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ナイン・ストーリーズ の商品レビュー

3.9

22件のお客様レビュー

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2018/11/18

『フラニーとズーイ』、クラフト・エヴィング商會と小川洋子の『注文の多い注文書』、そして同商會の『おかしな展覧会』…この流れで手にした一冊。と言うか、この流れで『ナイン・ストーリーズ』を読まずにすますことはまずできない。 そして、期待して手にしたこの9つの物語は、人間の持つナイーヴ...

『フラニーとズーイ』、クラフト・エヴィング商會と小川洋子の『注文の多い注文書』、そして同商會の『おかしな展覧会』…この流れで手にした一冊。と言うか、この流れで『ナイン・ストーリーズ』を読まずにすますことはまずできない。 そして、期待して手にしたこの9つの物語は、人間の持つナイーヴさの緻密な描写に満ちていた。『フラニーとズーイ』同様、怒りと苛立ちをあらわにした人物も登場するが、感情を秘めている人物があるきっかけでその感情を表面化させたり、いきなり行動や思考を変えてしまう姿が印象的だ。『エスキモーとの戦争前夜』のジニ―、『笑い男』の僕、『可憐なる口もと 緑なる君が瞳』の銀髪の男、『テディ』のニコルソン。彼らは素の感情のある一片を薄いガラスでできた小さな瓶に入れていたのだが、その瓶があるとき乾いた音と共に割れた。割れるきっかけと、割れた後の態度はそれぞれ異なるが、見えてくるのは、誰もがガラスの瓶を持っているのではないか、その瓶はとても脆く壊れやすいのではないか、ということだ。そして、この9つの物語はガラスの割り方が絶妙なのだ。

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2018/11/13

サリンジャーの作品は毎回色が違って面白い。ナイン・ストーリーズもそうだ。色が違うからこそ何度読んでも面白く、長く愛される作家なんだと思う。バナナフィッシュ目当てで読み始めたが、1回では何も書けないと思った。印象的だったのは『テディ』。哲学者的な言い回しと周りの反応が非常にリアルだ...

サリンジャーの作品は毎回色が違って面白い。ナイン・ストーリーズもそうだ。色が違うからこそ何度読んでも面白く、長く愛される作家なんだと思う。バナナフィッシュ目当てで読み始めたが、1回では何も書けないと思った。印象的だったのは『テディ』。哲学者的な言い回しと周りの反応が非常にリアルだった。最後どうなったのかな、木の実が落ちてきたのかあるいは...。

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2018/09/17

「バナナフィッシュ日和」で始まり「テディ」で終わる構成がまず良かった。グラース家の人たちの話はやっぱり知ってる人たち!とときめくけど、この本では「コネチカットのアンクル・ウィギリー」が好きだな。ただふたりが話しているだけなのに読ませられてしまうふしぎ。 グラース・サーガの長男シー...

「バナナフィッシュ日和」で始まり「テディ」で終わる構成がまず良かった。グラース家の人たちの話はやっぱり知ってる人たち!とときめくけど、この本では「コネチカットのアンクル・ウィギリー」が好きだな。ただふたりが話しているだけなのに読ませられてしまうふしぎ。 グラース・サーガの長男シーモア・グラース-Seymour Glass-は”see more glass”でもあったのかという、サリンジャーならではの言葉遊びにちょっとテンション上がりました(バナナフィッシュ日和) 訳者あとがきを読んでようやくぴんときたのだけど、サリンジャーの小説がふしぎかつすごいのは、「物語」になる直前の「個人」がそこにいるからなんだなあ。 最後まで読んで「で、何?」と思うってことはわたしが無意識にその小説に「物語」を求めていたということで(だから何かを期待している) でも実際期待したとおりの展開が起こることは実生活で考えたらそう無くて、そこにあるのはただ会話であったりその合間にあるちょっとした動作、中座であったり、そういうことが積み重なって一日が成り立ってるわけで、サリンジャーにはそこがよく見えていたのだろうなと思った。 結局「起こったこと」に対して何かを後付けで考えて物語にしていくのは読者の方の仕事なのかもしれない。 サリンジャーの書く会話はほんとにすごい。こんな「ありそう」且つ「なんか変」な会話を書ける人はいない。 すごく演劇的だし、見習いたいな〜と、勝手に思ったのだった。

Posted byブクログ

2017/05/13

ひねひねおじさんが悲しくて心に残る話。9つの話ぜんぶに必ず変な人がでてくる。 もっとガラスみて?see more glass 鏡だっけ?コップだっけ?glassってどう訳してたんだっけ。 笑い男は攻殻機動隊!

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2015/09/26

短編小説と長編小説とは全く別物であるように思う。ストーリー展開や、描写の積み重ねで徐々に引き込んでいく長編と異なる、なにかしらの魅力がない短編は、長編のなりそこないでしかない。 この本はまさに短編小説。 特異な緊張感によって一瞬で引き込まれ、短さを感じさせない重たさがある。こ...

短編小説と長編小説とは全く別物であるように思う。ストーリー展開や、描写の積み重ねで徐々に引き込んでいく長編と異なる、なにかしらの魅力がない短編は、長編のなりそこないでしかない。 この本はまさに短編小説。 特異な緊張感によって一瞬で引き込まれ、短さを感じさせない重たさがある。こんなに訳がわからないのに再読したくなるのはなぜだろう。

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2014/05/23

装丁が印象的。シンプルで一見手がかかってなさそうに見えるのに、なぜか大事にしたくなる。本を手で持ったときの手触りも他の文庫本とは違って独特。 サリンジャーの短編はあまりひとつの作品からいろいろ読み取ろうとして読むものではないと思う。漠然とした腑に落ちない感じを楽しむのが良いの...

装丁が印象的。シンプルで一見手がかかってなさそうに見えるのに、なぜか大事にしたくなる。本を手で持ったときの手触りも他の文庫本とは違って独特。 サリンジャーの短編はあまりひとつの作品からいろいろ読み取ろうとして読むものではないと思う。漠然とした腑に落ちない感じを楽しむのが良いのかなと。 ただ、よく読むと人間関係がつながっていたり、登場人物の挙動が実は何かのメタファーになっていたりしていて面白い。 一つ一つを完結した作品として取るのではなく、全体を(というか、サリンジャーの他の作品全ても合わせて)ひとつの世界として捉え、短編はその世界の中のとあるワンシーンを切り取ったものだと考えて読んでいます。 この短編集については野崎訳のものを持っているんだけど、柴田訳の方が口語(会話文)が今どきっぽいかなと思う。野崎訳の温かみも、彼ならではの捨てがたい魅力だけど!

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2013/11/28

『完全なる首長竜の日』で主人公が井之頭公園で読んでいた短編集 バナナフィッシュの話が収録されている

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2013/12/26

純文学とは何か?という議論がある。 娯楽性を排除しさえすれば、純文学になりえるというものでもないだろう。少なくとも、この作品には娯楽要素などない。だからといって、日本における「純文学=私小説」というわけでもない。 作者の私小説的要素は皆無だし、これがアメリカ的な文学なのだろうか。...

純文学とは何か?という議論がある。 娯楽性を排除しさえすれば、純文学になりえるというものでもないだろう。少なくとも、この作品には娯楽要素などない。だからといって、日本における「純文学=私小説」というわけでもない。 作者の私小説的要素は皆無だし、これがアメリカ的な文学なのだろうか。 9つのエピソードからなる短編集。 それぞれの物語では、大きなドラマ性はない。 人々の日常が、日常ゆえの無駄に思える会話から成り立っている。その無駄を楽しめるかどうかで、この作品の評価が変わるのだろう。 強いて挙げるなら、戦地に赴く新兵が、教練のあいだに立ち寄ったカフェでであった幼い女の子との交流を描いた、「エズメにーー愛と悲惨をこめて」がよかったかなあ。しかし、実のところ、一つの作品を取り出してみたところで、あまり意味はないだろう。 作品一つずつの輪郭はぼやけている。九つの作品が集まって初めて、ナインストーリーズという作品を形成しているのだ。

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2012/12/28

初サリンジャー作品。 ?なところが多かった。 もうちょっと別なやつも読んでみよう。 個人的に笑い男が印象的。

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2014/10/19

柴田元幸さんの新訳で再読。旧訳よりも読みやすかった。 登場人物たちのキャラクター、会話が魅力的。女性二人の割込んだり脱線したりの会話、子どものちょっとしたしぐさ、外の世界への目線などリアリティがある。小説の登場人物ではなく、現実に彼ら彼女らが存在していて、その日常を覗き見している...

柴田元幸さんの新訳で再読。旧訳よりも読みやすかった。 登場人物たちのキャラクター、会話が魅力的。女性二人の割込んだり脱線したりの会話、子どものちょっとしたしぐさ、外の世界への目線などリアリティがある。小説の登場人物ではなく、現実に彼ら彼女らが存在していて、その日常を覗き見しているよう。

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