化石の分子生物学 の商品レビュー
化石に残るかすかな、しかしきわめて重要な、手がかりをめぐる分子生物学者たちの成功と失敗が紹介されています。 約20万年前に誕生したホモ・サピエンスと比べて、たとえば何千万年前の恐竜の化石から何かを知ろうとすることは相当に大変なことであることを知ることができます。では、なぞそのよ...
化石に残るかすかな、しかしきわめて重要な、手がかりをめぐる分子生物学者たちの成功と失敗が紹介されています。 約20万年前に誕生したホモ・サピエンスと比べて、たとえば何千万年前の恐竜の化石から何かを知ろうとすることは相当に大変なことであることを知ることができます。では、なぞそのように大変な作業をつづけることができるのでしょうか。著者は、結論部において以下のように述べます。 「現在という磨りガラスを通さずに、直接過去を見ることができる快感は何物にもかえがたい。何かの役に立つからではない。いや、何かの役に立つかもしれないが、それが目的ではない。過去を知るということは、それ自体が知的好奇心を刺激する営みなのだ。」 「過去を知るということ」がもたらすのは「直接過去を見ることができる快感」。この快楽原則が分子生物学の探究を支えている、というのは乱暴すぎる議論でしょうか。 個人的には、現生人類が存在していなかった過去を化石を介して知ることの意義は、カンタン・メイヤスーが『有限性の後で」で述べている、化石を介して知るということの問題(いわゆる祖先以前性の問題)としても捉えられると考えています。つまり、科学と哲学を表裏一体の関係として考えることで、化石論は広がりと深まりをもつように思えるのです。
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(2012/10/17) タイトルは堅いんだけど、中身は柔らかく、面白い! ジュラシックパークの世界! 過去の化石からDNAを取り出すためにどんな手順を取っているか、 またそれがいかに難しいかがよくわかる。 とれたDNAが本当にその当時のその生物のものなのか、それともあとから付着...
(2012/10/17) タイトルは堅いんだけど、中身は柔らかく、面白い! ジュラシックパークの世界! 過去の化石からDNAを取り出すためにどんな手順を取っているか、 またそれがいかに難しいかがよくわかる。 とれたDNAが本当にその当時のその生物のものなのか、それともあとから付着したものなのかを 判断するためには並大抵ではなく地道な作業の繰り返しがあるようだ。 きちんと作業して取り出したDNAからいろいろなことがわかる、というのはすごい。 推理小説並み。 女性特有の遺伝子だけが引き継がれるため、現代の人類の祖先は「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれるたった一人の女性に行きつくとか、 日本人を「縄文人顔」「弥生人顔」などというが、DNAで追いかけると実は、、、とか。 ・・・私はミトコンドリアは男の遺伝子で、天皇制が男系なのはこのミトコンドリアを維持するためだと思い込んでた。 逆じゃん。というかDNA的にはもはや天皇制の根拠がないってことだ。血筋だけならば男だろうが女だろうがいいわけで。 天皇の声を遠ざける宮内庁を廃して、国民に身近な天皇家を守ればいいのではなかろうか。。話がそれた。 以下にこの本が面白いか、この目次の「問いかけ」からしてそそるでしょう。 第1章 ネアンデルタール人は現生人類と交配したか 第2章 ルイ十七世は生きていた? 第3章 剥製やミイラのDNAを探る 第4章 縄文人の起源 第5章 ジュラシック・パークの夢 第6章 分子の進化 第7章 カンブリア紀の爆発 第8章 化石タンパク質への挑戦 福岡伸一さんが世に出た「無生物と生物の間に」同様、 我々がなかなか知りえない世界をわかりやすく、面白く伝えてくれている新書だと思う。 なのにこのタイトルはないわなー。福岡さんのタイトルも微妙だけど、少なくともわくわくさせるタイトルではある。 が、「化石の分子生物学」、、、「学」ではねぇ。 それこそ第一章の「ネアンデルタール人は現生人類と交配したか」をタイトルにしてもよかったんではないかな。 「ミトコンドリア・イブ」でもいいかも。 このままだと多くの人の手に取ってもらえない。 私もdigで紹介されなかったら読まなかったと思う。だからせめて私のブログ読者の間だけでも何とか広めたいと思います。 これは面白いです!ぜひ!
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生物が作るアミノ酸はL体 死ぬと徐々にラセミ化しD体が増えていく これを見ると年代推定が狩野 一番早くラセミ化するのがアスパラギン酸、アラニン、ロイシンと遅くなる 同一生物で逆転する事はない
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更科功「化石の分子生物学」読了。化石というとまず恐竜を思い浮かべるが、それだけでない化石への理解が深まり大変興味深かった。化石を調べる事の難しさとそれを克服するする為の創意工夫、また、そこから明かされる生物の歴史と進化の衝撃。今ここにいる自分に至るまでの深遠な営みに思いを馳せた。
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現代のすりガラスを通さず、過去を直接的に見ることは、役に立つ立たないだけではなく、それだけ刺激的なのだ、と最後に好きなことを仕事にできるのは幸せですよね。 化石の分析の仕方を、結果だけではなく手法や測定原理を平易に説明している点が○です。
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素人対象の新書なのに、ダイデオキシ法とかPCR法とかお実験方法を丁寧に図解してある。これは貴重。ふーん、実験室の学生クン達は地味にこんなことしてるのね。何気に木村資生が「中立説」を立てるまでの経緯説明が、結構なページ数を割いているだけあって、リアルかつ分かり易かった。 それにして...
素人対象の新書なのに、ダイデオキシ法とかPCR法とかお実験方法を丁寧に図解してある。これは貴重。ふーん、実験室の学生クン達は地味にこんなことしてるのね。何気に木村資生が「中立説」を立てるまでの経緯説明が、結構なページ数を割いているだけあって、リアルかつ分かり易かった。 それにしても、古代DNAの発見が続いて時期に『ジュラシック・パーク』が作られたって、凄い偶然。
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化石や剥製からDNAやタンパク質を抽出して解析し、現生生物のDNAと比較することが歴史を解き明かす手段となり得ることを紹介した本。 化石からのDNA解析において、外部から混入したDNAとの判別が難しいという事が様々な研究紹介を通じて理解出来ました。また、ジュラシックパークの世...
化石や剥製からDNAやタンパク質を抽出して解析し、現生生物のDNAと比較することが歴史を解き明かす手段となり得ることを紹介した本。 化石からのDNA解析において、外部から混入したDNAとの判別が難しいという事が様々な研究紹介を通じて理解出来ました。また、ジュラシックパークの世界には夢を抱かされますが、残念ながら、現実的では無い事も理解しました。 本書の最後で語られている、筆者の研究者としての信念や知的好奇心に感心させられました。
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化石に分子生物学の手法をあてはめて、解き明かすとい科学を紹介。 これにより、数十万年前までならDNA をとりだせ、 ネアンデルタール人がホモ・サピエンスと交配しとことを明らかにした。 でも、それ以上古くなると、できなくなってしまう。 残念ながら、琥珀の中の昆虫も、そのDNA ...
化石に分子生物学の手法をあてはめて、解き明かすとい科学を紹介。 これにより、数十万年前までならDNA をとりだせ、 ネアンデルタール人がホモ・サピエンスと交配しとことを明らかにした。 でも、それ以上古くなると、できなくなってしまう。 残念ながら、琥珀の中の昆虫も、そのDNA は保存できない。 ロマンに挑戦する科学。
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2018/12/26 詳細は、こちらをご覧ください。 『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1185.html 2018/05/30 予約 6/2 借りる。 8/29 読み始める。...
2018/12/26 詳細は、こちらをご覧ください。 『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1185.html 2018/05/30 予約 6/2 借りる。 8/29 読み始める。 9/27 読み終わる。 家族に勧められて読み始めたら、すごく面白い。 目次を見てもうワクワク。興味のあることが次々出てきます。 これまで読んだ本でよくわからなかったことが、本書を読むことで なるほどとすっきり理解できたり、まだわかっていないことなのね と納得できたり。 もう一度読みたくなります。 第1章 ネアンデルタール人は現生人類と交配したか ネアンデルタール人は私たちと交配した スヴァンテ ペーボ / 文藝春秋 ( 2015-06-27 ) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/416390204X/seaapteacucom-22/ref=nosim アナザー人類興亡史 −人間になれずに消滅した”傍系人類”の系譜− (知りたい!サイエンス) 金子 隆一 / 技術評論社 ( 2011-04-21 ) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774146404/seaapteacucom-22/ref=nosim 第4章 縄文人の起源 日本人になった祖先たち DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス) 篠田 謙一 / NHK出版 ( 2007-02-24 ) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/414091078X/seaapteacucom-22/ref=nosim 第5章 ジュラシック・パークの夢 恐竜再生 ジャック・ホーナー, ジェームズ・ゴーマン / 日経ナショナルジオグラフィック社 ( 2010-10-07 ) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/486313102X/seaapteacucom-22/ref=nosim 恐竜の再生法教えます―ジュラシック・パークを科学する ロブ・デサール, デヴィッド・リンドレー, 加藤 珪, 鴨志田 千枝子 / 同朋舎 ( 1997-08 ) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4810424405/seaapteacucom-22/ref=nosim 第7章 カンブリア紀の爆発 エディアカラ紀・カンブリア紀の生物 (生物ミステリー (生物ミステリープロ)) 土屋 健 / 技術評論社 ( 2013-11-12 ) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774160849/seaapteacucom-22/ref=nosim 化石の分子生物学――生命進化の謎を解く (講談社現代新書)
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ネアンデルタール人やら恐竜やら歴史上の人物やらのDNAをしらべる話。ホットな分野と思われる。 ミトコンドリアのパラドックス?ミトコンドリア・イブにかならずたどりつく理由。 ある時点では多様なミトコンドリアがいる。でも子供を産まない女性がいたり、産んでも男だったりするとそのミトコ...
ネアンデルタール人やら恐竜やら歴史上の人物やらのDNAをしらべる話。ホットな分野と思われる。 ミトコンドリアのパラドックス?ミトコンドリア・イブにかならずたどりつく理由。 ある時点では多様なミトコンドリアがいる。でも子供を産まない女性がいたり、産んでも男だったりするとそのミトコンドリアは子孫に受け継がれない。ミトコンドリアはそうして減る一方なのでそのうち生き残りは単一になる。それを遡ればイブになる。それでも現時点でミトコンドリアの多様性があるのは変異のため。 古代DNAの研究にはしばしばミトコンドリアDNAが登場する。それは核DNAは長いけれども細胞につき1つしかなく、一方ミトコンドリアは細胞内に多数あるので分析しやすいため。 生物が死ぬとアミノ酸のラセミ化が進行する。時間以外に温度、PH、加水分解の影響もある。大雑把にいってラセミ化が進んだ化石は状態が悪い 分子進化の中立説:分子レベルの進化的変化の大部分は自然選択ではなく、中立、あるいはほぼ中立な突然変異がおきた遺伝子が遺伝的浮動によって集団全体に広まったものである 分子の進化速度はほぼ一定、進化的変化のぜんぶが中立ではないので、実際には適応度や集団サイズが少し影響する →ムズカシイ
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