歌に私は泣くだらう の商品レビュー
短歌を平易に語るように謳う達人。夫婦で歌人。 「手をのべて あなたとあなたに触れたきに 息が足りない この世の息が」が最後の歌とは…。
Posted by
短歌を詠む夫婦の闘病の記録。夫婦どちらも才能とエネルギーに充ちていて、いつも何かを求め何かと闘っている。すごいと思うが、著者の思いが強すぎて、今ひとつ感情移入できなかった。こうした作品は他と比較すること自体不謹慎かもしれないが、自分としては、俳句の江國滋の闘病記『おい癌め 酌み交...
短歌を詠む夫婦の闘病の記録。夫婦どちらも才能とエネルギーに充ちていて、いつも何かを求め何かと闘っている。すごいと思うが、著者の思いが強すぎて、今ひとつ感情移入できなかった。こうした作品は他と比較すること自体不謹慎かもしれないが、自分としては、俳句の江國滋の闘病記『おい癌め 酌み交わそうぜ秋の酒』の方が心に沁みた。
Posted by
妻が乳がんを発症して告知を受けてから亡くなるまでの記。岡本太郎によるかのこの記を読んだ時と同様、命を燃やすように創作していくさまが印象的。 祈るってなんだろう、というのは私のしばらくのテーマだったけど、また考えた。引用にも記した部分は、私もドイツで感じた。一心に祈る人の姿を見て、...
妻が乳がんを発症して告知を受けてから亡くなるまでの記。岡本太郎によるかのこの記を読んだ時と同様、命を燃やすように創作していくさまが印象的。 祈るってなんだろう、というのは私のしばらくのテーマだったけど、また考えた。引用にも記した部分は、私もドイツで感じた。一心に祈る人の姿を見て、やっぱり人にそういった行為が必要不可欠と感じずにおれない。 歌そのものは、夫の歌の方が男性的な冷やかさがあって私は好きかな
Posted by
「家族の歌」を読んでいたので、既知の部分もあったけれど、薬害に正気を失った妻と夫、母と子の相克はここで初めて明かされるものでした。 自分も夫も子もみな歌人。夫と子どもは歌に仕事に邁進するのに、自分だけが術後の不調に耐え、再発の不安におびえる日々。だとしたら、「おいてけぼり」恐怖は...
「家族の歌」を読んでいたので、既知の部分もあったけれど、薬害に正気を失った妻と夫、母と子の相克はここで初めて明かされるものでした。 自分も夫も子もみな歌人。夫と子どもは歌に仕事に邁進するのに、自分だけが術後の不調に耐え、再発の不安におびえる日々。だとしたら、「おいてけぼり」恐怖はどんなにつらいものだったかと思います。 表現者ならばこそ、死を前にした不安も詠まねばならず、作品が残ればこそ、その作品を読むごとに詠われた時点に呼び返されて泣かねばならない。表現者ならばこそ、かつては伝わらなかった思いが詠われた作品によって伝わることもある。 魂の交歓に時差がある夫婦。歌詠み同士の夫婦ならではの回顧録。泣けました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
夫婦歌人というより歌人一家。妻の河野裕子さん10年のガン闘病を見つめた夫の追悼記。若き日からその死まで互いに相聞歌を交し合う歌人夫婦の深く厚く自律した愛の交流は、すさまじいまでの芸術との闘いであり真摯に生き抜くことの痛みがある。 夫婦は二世をちぎるといわれるが終生そのことをまっとうしたこの夫婦と家族の生き方が心を打つ。 最後の一首「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」
Posted by
一昨年亡くなった歌人・河野裕子さんの闘病の日々を夫の永田和宏さんが綴られています。 読んで驚きました。なんという修羅を乗り越えてきたのでしょう…。 河野さんの術後の激昂の日々は、どちらにとってもほんとうに地獄のようです。 ともに歌人であり相聞歌集も出されていて、愛情あふれるご夫婦...
一昨年亡くなった歌人・河野裕子さんの闘病の日々を夫の永田和宏さんが綴られています。 読んで驚きました。なんという修羅を乗り越えてきたのでしょう…。 河野さんの術後の激昂の日々は、どちらにとってもほんとうに地獄のようです。 ともに歌人であり相聞歌集も出されていて、愛情あふれるご夫婦の物語とばかり思っておりました。 闘病の十年を振り返られて、歌が残っているからこそ気持ちがありありと伝わってきます。 残り少ない最期の日々となった2010年の裕子さんがなんと気高いことか。 まさに人生の全うの仕方を考え抜かれて突き抜けたのでしょうね。 永田和宏さんの深い深い思いにも感涙。 人と連れ添い生きること、その人生の終わり方について、ずしりと自分に問いかけられました。
Posted by
- 1
- 2