軍縮研究(第3号) の商品レビュー
今回は主に核の問題について。 《特別寄稿1》原子力政策・核燃料サイクルの選択肢をめぐる議論 ―国際的視点を中心にー(鈴木 達治郎 原子力委員会) 日本の核燃料サイクルに関して、我が国が誇る技術力、透明性の観点から、模範国として歩むべきだという意見や、非核保有国で唯一核燃料...
今回は主に核の問題について。 《特別寄稿1》原子力政策・核燃料サイクルの選択肢をめぐる議論 ―国際的視点を中心にー(鈴木 達治郎 原子力委員会) 日本の核燃料サイクルに関して、我が国が誇る技術力、透明性の観点から、模範国として歩むべきだという意見や、非核保有国で唯一核燃料サイクル施設の保有を認められている点を我が国の外交成果、また国力として評価する意見。それに対して、核燃料サイクルを、潜在的核兵器保有と見て懸念する意見や、3.11以降信頼性を疑問視する声もある。 多分この論文の発表後のニュースだけど、余剰プルトニウムの返還要求?とかアメリカに求められたように、世界からの日本の原子力に対する目も厳しさを増していることも考慮する必要があると思った。これまでは原子力については完全にエネルギー問題として見ていたので、軍縮とか安全保障の観点からこれからの原子力を考えるというのは新鮮だった。 《研究論文1》変化する抑止力の概念と『核兵器のない世界』に向けた日本の安全保障政策への一考察(一政 祐行 防衛研究所 政策研究部 防衛政策研究室 主任研究員) 近時の抑止論の展開、日本において核の傘が機能する事態とは、また、今日の安全保障環境の中で日本が検討すべき抑止の在り方について。 プラハでのオバマ大統領の「核なき世界」演説を皮切りに、米国は拡大抑止政策の見直しに入っているとも言われる。日本周辺では、ロシアの軍事ドクトリンにおける核戦力重視へのシフトの懸念や中国の不透明な軍拡や強硬外交など、不確実で予測困難な非対称脅威が増大している中でのアメリカの「核の傘」の見直しは、日本の安全保障における抑止力の再定義に直結する問題となってくる。 2011年11月の日米首脳会談で発出された「核リスクの低減に関する日米協力」では、核攻撃の抑止を米保有核兵器の「唯一の役割」としていくよう条件を整えていくよう努力することに言及し、また、日豪共同開催で会合を重ねている「軍縮不拡散イニシアチブ(NPDI)」は、参加国の半数以上が米国の「核の傘」政策の下にあり、また、米国の非戦略核のホスト国たるトルコ、ドイツの参加も得て、「核なき世界」への移行期戦略である「核リスクの低い世界」を目指すことを確認できたことをみると、日本は抑止力に占める核兵器の役割を低減していく方向へすでに舵を切っていると見ることができる。 「核なき世界」へと至る重要なステップと考えられるものとして核の先行不使用(NFU)があるが、このような核兵器の役割の縮小には、保有国だけでなく、核の傘の下にいる国からも懸念が表明されている。事実、核保有国のうちNFUを採用する国は中印のみであり、ソ連も当初は採用していたものの、通常戦力の不利を理由にNFUを放棄、NATOも核の先行使用による拡大抑止の対象に通常戦力による侵攻を含める政策を変えていない。また多くの国が、核兵器は生物・化学兵器に対する重要な抑止力であると考えており、国際的にNFU政策を広めていくためには、まず通常戦力や生物・化学兵器の軍縮に取り組まなければならない。また、このような核兵器の役割の低減に資するものとして、グローバルストライク兵器の導入が期待されている。
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