猫ノ眼時計 の商品レビュー

津原泰水【著】

2012/12/22

火を発する女、カメラに映らない友人、運命を知らせる猫-。猿渡は今日もこの世ならぬ出来事を引き寄せる。全5篇を収録。

思いつきやうんちくをダラダラ書いただけという気がしないでもないけれど、全体を通しては不思議な雰囲気を持った作品集。この作者を読むのは初めてなので、ほかの作品も読んでみようかという気にさせられたことは事実。
（Ｃ）

2012/09/11

「幽明志怪」というシリーズの完結編だそうですが、これだけ読んでも特に問題はないようです。幻想的でミステリアスな短編5編。何とも形容しがたい独特の雰囲気が素敵です。

2020/07/16

「ピカルディの薔薇」ではどれも意味不明で、こちらではどれも分かりやすくなっていて、極端だなあなんて思いながら何か物足りなさを感じながら読み進んでいた。
正直4/5まで読んできて、もはや最後の一篇でなにか変わるはずもないと思っていたけれど、最後に表題作を読んで、ああこういうのをずっと待ってたんだ…と感無量だった。いい意味で覆された。決して他篇がよくないというわけではない。むしろ詰まらない話は一つもなく、ただ文字が大きかったのが読みにくくはあったけど。集英社の装丁の方が好きだったな。
蘆屋家の後、ピカルディより先にこちらを読むと人間関係がしっくりきそう。最後の猿渡年表は貴重だ。

2012/08/21

一気読みの上に、読みおわったその日に人に貸し与え布教を始めてしまった。ああ、大好きだ！

「蘆屋家の崩壊」の登場人物が再登場して、伯爵も出番多く、懐かしいテイスト。新出のアイダベルというキャラがまた… 猿渡との会話が絶妙。伯爵と話すときより猿渡が少年ぽくなるね。

「日高川」と「城と山羊」の間に、「玉響」。もう〜〜〜これがとてもいいの！

あとは、竹輪愛だったりヤドカリ苦手だったり冷静に推理したり意味ありげにブーツ触ったりする伯爵が可笑しすぎる。

2012/08/16

猿渡と伯爵って、、ああそうか、手にしてわかった『蘆屋家の崩壊』シリーズ3作目。
相変わらずの珍道中。
こちらが酔ってるのかと勘違いするくらい異常酩酊、足の置き場のなくふわふわ漂う感じ。
表題作の「猫ノ眼時計」で冷水を浴びせられて目が覚める。

2012/08/16

『蘆屋家の崩壊』に続く〈幽明志怪〉シリーズ三作目。
猿渡（語り手）と怪奇小説家「伯爵」（解釈役）の愉快な変人コンビが遭遇する怪奇譚・幻想譚。
流麗な文体で描かれる奇妙で酩酊感のある不思議な物語。どの作品もそれぞれ味があって引き込まれる。豆腐好きで食べ物にこだわりのある二人のコミカルなやり取りも楽しい。
中篇「城と山羊」及び「続・城と山羊」は、シリーズ完結にふさわしいボリュームの総集編的内容、まさに猿渡の奇妙な冒険。
表題作にして最終話の「猫の目時計」は、猫の目がみた人の余命を表すという怪談風の話で、シンプルですが完成度高く、不思議な余韻が残りました。
シリーズはこれで完結とのことですが、また続けてほしいです。まずは、二作目『ビカルディの薔薇』も読まなくては。

2012/08/16

「バレエ・メカニック」があまりにも素晴らしく、以来、津原泰水さんの作品は目につくと読むことにしている。

これは「蘆屋家の崩壊」から続く奇譚シリーズの完結編らしいが、これで終わりという感じはあまりしない。エキセントリックな女の人や突拍子もない設定は苦手だけれど、主人公の猿渡のとぼけたキャラクターのせいかそんなに抵抗なく読めた。

またばりばりのSFを書いてほしいな…。

2012/08/09

猿渡と伯爵の幽明志怪シリーズもついに完結。相変わらずのゾクゾク、クラクラする幻惑感は素晴らしいの一言。シリーズ唯一の長編「城と山羊」のこれまでの集大成的内容や巻末の猿渡年表もファンには嬉しいかぎり。

2012/07/16

『蘆屋家の崩壊』から続く猿渡シリーズの完結編。
上手いです。いや、上手すぎます。軽妙洒脱ながらも端正な文体は溜息をつくほど。文書のリズムに取り憑かれること請け合いです。

収録作では「玉響」が素敵。シリーズファンには嬉しい登場人物を主軸に、酩酊感のある展開が堪能できます。

なお、表題作「猫ノ眼時計」は最後の最後に読むことを強くお勧め。巻末の年表との合わせ技は溜息もの。どこか遠くを見つめるような読後感は得がたい体験でした。

ちくま文庫からシリーズ第一作『蘆屋家の崩壊』および第二作『ピカルディの薔薇』も刊行されましたし、まとめての一気読みを強くお勧めします。