翻訳教室 の商品レビュー
この本は「読書術」として読める。作者の言葉を自分のものとすることも、同じ日本語であってもある種の翻訳作業だと思う。自分の読書への向き合い方を改めて考え直すよい機会となった。
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著者の母校の小学校でおこなわれた翻訳の授業のようすを中心に、ことばを翻訳するとはどういうことなのかという根源的な問いを一緒に考えていく一冊。 授業がおこなわれたのは小学校六年生の1クラス。前半は「最寄りの沿線の列車になった気持ちで文章を書く」という課題を通して、自分以外のもの...
著者の母校の小学校でおこなわれた翻訳の授業のようすを中心に、ことばを翻訳するとはどういうことなのかという根源的な問いを一緒に考えていく一冊。 授業がおこなわれたのは小学校六年生の1クラス。前半は「最寄りの沿線の列車になった気持ちで文章を書く」という課題を通して、自分以外のものに成り代わって書いてみる。後半は実際にシルヴァスタインの「The Missing Piece (邦題:ぼくを探して)」を小学生たちが辞書片手に訳していくのだが、ここでの子ども同士のやりとりがとても面白い。 小六の子たちなので結構あざとい言葉を使う子もいて、同じ年齢のころの自分を思い出してちょっと恥ずかしくなるところも(笑)。鴻巣さんはそれも含めて「翻訳は解釈からはじまる」というメッセージを伝えるステップにしていく。誰かを理解するためには〈読む〉技術がいるということは、大人になっても繰り返し学ぶ必要があることだと思った。
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(刊行当初におもしろく読了しているのにレビュー記録なしだったので2021年2月に再読して書く) NHK「課外授業 ようこそ先輩」で小学6年生にした授業の記録を元にした「翻訳」入門。理論や技術以前の一歩目。 出張授業は身近な電車になりきるという準備運動を経て、シェル・シルヴァスタ...
(刊行当初におもしろく読了しているのにレビュー記録なしだったので2021年2月に再読して書く) NHK「課外授業 ようこそ先輩」で小学6年生にした授業の記録を元にした「翻訳」入門。理論や技術以前の一歩目。 出張授業は身近な電車になりきるという準備運動を経て、シェル・シルヴァスタインの有名な作品「ぼくを探して」の原文を日本語に翻訳するというもの。すでに英語に親しんでいる子もいればほとんどゼロに近い子もいたはずだと思うが、かんたんなゲームでつづりや辞書に親しみ、ポイントを抑えた解説やヒント・挿絵を頼りに、グループごとに協力してそれなりの訳文を仕上げていく姿におどろかされる。そして「翻訳」は決して一部の専門家だけの特殊な仕事ではなく、わたしたちの日常のコミュニケーションの延長線上にあるものなのだな、と気がつく。 翻訳は深い読書であり批評であり、想像力で壁をこえ他者になりきり自分に還って自分の言葉として人に伝える行為であるということ。能動的に読むことの大切さ(そして楽しさおもしろさ)、個別の言語や文化それぞれのかけがえのなさと他の言語を学ぶ意味、こうしたことを実践を通じて12歳という年齢で学べた子どもたちはしあわせだと思うし、できれば教育課程の中でだれもがこうしたことを学べるようになってほしい。 2021年2月、ちくま文庫化。
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実際に小6生に対して行われた翻訳講義の、文起こしってことやね。絵本の翻訳に挑戦っていうやり方は、視覚的にある程度カバーできる部分もあるし、なるほどナイスアイデア、って感じ。大人がちょっとやってみるにも良さそうだし、子供の教育にもうってつけかも。覚えておかないと。
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有名な"The Missing Piece"を小学生たちと訳す、という実際に行った授業を元にして。 翻訳に対する考え方、心の持ち方とかを教えてくれる内容でした。 まずは原文で本を読むところから始めようかな、と。語学が好きなので興味深い内容でした。 自分ならど...
有名な"The Missing Piece"を小学生たちと訳す、という実際に行った授業を元にして。 翻訳に対する考え方、心の持ち方とかを教えてくれる内容でした。 まずは原文で本を読むところから始めようかな、と。語学が好きなので興味深い内容でした。 自分ならどう訳すか考えながら、"The Missing Piece"をを読みたいな。
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著者が小学校6年生の児童におこなった翻訳の授業に基づいて書かれた本です。じっさいにシェル・シルヴァスタインのThe Missing Pieceを翻訳してみるという体験を通して、翻訳とはどのような営為なのかを子どもたちに伝えています。 テクニックよりもっと基本的な、著者自身の「翻...
著者が小学校6年生の児童におこなった翻訳の授業に基づいて書かれた本です。じっさいにシェル・シルヴァスタインのThe Missing Pieceを翻訳してみるという体験を通して、翻訳とはどのような営為なのかを子どもたちに伝えています。 テクニックよりもっと基本的な、著者自身の「翻訳原論」ともいうべき内容が分かりやすい言葉で説明されており、おもしろく読みました。
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本格的な英語教育は受けたことの無い、ごく普通の小学6年生たちが、絵本「The Missing Piece」の和訳をする話。さすがベテラン翻訳者だからなのか、文章が読みやすい。小学生たちの想像力と表現力に感動した。 能動的な翻訳、を勧める。ちょっと勇気をもらえる。 「翻訳とは言って...
本格的な英語教育は受けたことの無い、ごく普通の小学6年生たちが、絵本「The Missing Piece」の和訳をする話。さすがベテラン翻訳者だからなのか、文章が読みやすい。小学生たちの想像力と表現力に感動した。 能動的な翻訳、を勧める。ちょっと勇気をもらえる。 「翻訳とは言ってみれば、いっとき他人になることです。」 「翻訳というのは、自分のなかから転がりでて、いっとき他者の言葉を生きることです。でも、もちろんそれを生きるのはあなた自身で、最後に訳文を書くときには、もういちど自分にもどってこなくてはなりません。」
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「バカの壁」に通ずる見解が翻訳という世界から考察できる。翻訳者の仕事の紹介というより、翻訳の本質について書かれている気がする。
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訳される相手の視線になってみる。翻訳に使う想像力は、ただ読書をする私も必要だと思う。 子供たちが挑戦する翻訳を読んで、自分でもやってみたくなった!
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翻訳とは読み解けるかどうか、そこが問われているということなんだなと、いつも自分がどちらかというと技術寄りの 翻訳の仕事をしながら感じていることを、あらためて確認しました。
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