南から来た男 の商品レビュー
レイ・ブラッドベリの短編小説集で読んだ話と、ここで再会してしまった。ジュニア向けに訳しているので、不気味さは割合ソフトかもしれない。読みやすさを重視したのか、くどさはなかった。とはいえ、翻訳者が違っていても『この話はアレだ』と、すぐにわかるのだから、日本の翻訳というのは素晴らしい...
レイ・ブラッドベリの短編小説集で読んだ話と、ここで再会してしまった。ジュニア向けに訳しているので、不気味さは割合ソフトかもしれない。読みやすさを重視したのか、くどさはなかった。とはいえ、翻訳者が違っていても『この話はアレだ』と、すぐにわかるのだから、日本の翻訳というのは素晴らしいと思う。まったく違うものになるとしたら、それはどちらかが、もしくは両方が意訳をふんだんに使っているわけで、それでは原作との乖離が凄まじいことの証左となってしまうだろう。 レイ・ブラッドベリはもちろん、エドガー・ランポー、ロアルド・ダール、オー・ヘンリー、H・G・ウェルズなど、そうそうたるメンバーの作品が収録されているため、なかなか読み応えがある。この本を入口にして、お気に入りの作者を見つける子ども達がいたら愉快だろうにと思った。
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児童書(中学生向け?)シリーズ第二弾。怖いと言うより味わい深い作品が多かった。 【収録作品】 「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」エドガー・アラン・ポー 「南から来た男」ロアルド・ダール 「家具つきの部屋」オー・ヘンリー 「マジックショップ」H・G・ウェルズ 「...
児童書(中学生向け?)シリーズ第二弾。怖いと言うより味わい深い作品が多かった。 【収録作品】 「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」エドガー・アラン・ポー 「南から来た男」ロアルド・ダール 「家具つきの部屋」オー・ヘンリー 「マジックショップ」H・G・ウェルズ 「不思議な話」ウォルター・デ・ラ・メア 「まぼろしの少年」アルジャーノン・ブラックウッド 「エミリーにバラを一輪」ウィリアム・フォークナー 「悪魔の恋人」エリザベス・ボウエン 「湖」レイ・ブラッドベリ 「小瓶の悪魔」ロバート・ルイス・スティーヴンソン 「隣の男の子」エレン・エマーソン・ホワイト すでに既読のものも何作かあった(タイトルは違うけど)。やはり不気味さで一番怖いのは「不思議な話」(「なぞ」というタイトルが多いと思う。原題もTHE RIDLLEだし)。チェスト(長櫃)の曰くや子供たちが消えてしまう理由もいっさい描かれない。美しい童話。 最後にドンとオチがくるタイプとして「悪魔の恋人」、「隣の男の子」は衝撃的ではあった。「南から来た男」も衝撃のラストではあるんだけど、なるほどって感心の方が大きくて。奥さんが捨て身で救済したのに治らない病気の恐ろしさよね。
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児童向けのホラー・アンソロジー侮りがたし 以前、2016年2月に[東京創元社の2016年新刊ラインナップ説明会](https://shimirubon.jp/columns/1674756)で行なわれたビブリオバトルについて語ったことがあります。 その時に深緑野分さんが紹介し、チャンプ本になったのが、金原瑞人・編訳の児童向けホラー・アンソロジー『八月の暑さのなかで ホラー短編集』。これが面白そうだったので、続編の『南から来た男』といっしょに買ってみたのです。 『八月の暑さのなかで』 エドガー・アラン・ポー原作/金原瑞人翻案「こまっちゃった」 W・F・ハーヴィー「八月の暑さのなかで」 サキ「開け放たれた窓」 リチャード・ミドルトン「ブライトンへ行く途中で」 ロード・ダンセイニ「谷の幽霊」 レノックス・ロビンスン「顔」 E・M・デラフィールド「もどってきたソフィ・メイソン」 フレドリック・ブラウン「後ろから声が」 L・P・ハートリー「ポドロ島」 フランク・グルーバー「十三階」 ロアルド・ダール「お願い」 ジェイムズ・レイヴァー「だれかが呼んだ」 ローズマリー・ティンバリ「ハリー」 :book:241633:八月の暑さのなかで ホラー短編集: 『南から来た男』 エドガー・アラン・ポー原作/金原瑞人翻案「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」 ロアルド・ダール「南から来た男」 オー・ヘンリー「家具つきの部屋」 H.G.ウェルズ「マジックショップ」 ウォルター・デ・ラ・メア「不思議な話」 アルジャーノン・ブラックウッド「まぼろしの少年」 ウィリアム・フォークナー「エミリーにバラを一輪」 エリザベス・ボウエン「悪魔の恋人」 レイ・ブラッドベリ「湖」 ロバート・ルイス・スティーヴンソン「小瓶の悪魔」 エレン・エマーソン・ホワイト「隣の男の子」 このラインナップ、たいしたものでしょ? 有名な作品が多く、半分ぐらいは読んだことあるんですが、「八月の暑さのなかで」(炎天)、「十三階」(十三階の女)、「南から来た男」、「不思議な話」 (「謎」)、「湖」(みずうみ)あたりは、再読してもやっぱりいいんです。 「こまっちゃった」と「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」は、どちらもポーの原作を現代の少年少女を主人公にして翻案したもの。特に「アーサー・ゴードン・ピム」には恐れ入りました。「アーサー・ゴードン・ピム」を読んで、人肉食のくだりに戦慄した少年の身に、恐怖が降りかかるという話。こういう翻案があるのか! 驚いたのがロバート・ルイス・スティーヴンソン「小瓶の悪魔」。これって『マンガで分かる心療内科』14巻の「ビンの悪魔」の話と細部までまったく同じだ! :book:3883248:マンガで分かる心療内科 14: 面白い話だとは思ってましたが、スティーヴンソンが原作だったとは。いちおう『マンガで分かる心療内科』の巻末には、参考資料の1冊として、金原瑞人訳『英米ホラーの系譜』という本が載っているので、そこから取ってきたんでしょうけど。 スティーヴンソンは亡くなって1世以上経ってますから、著作権は切れてる。だから現代の人間がいくら二次利用してもかまわないわけです。 でもいちおう、原作者名はよく見えるところに表記していただきたかったところです。 古い作品が多い中、最も新しいのは、1991年に書かれたホワイト「隣の男の子」。 ヒロインは大学生。深夜のアイスクリーム店で一人でバイトしていると、閉店直後、隣に住むマットという少年が銃を持って押し入ってきます。彼は、一度、人を殺してみたいと思っており、ヒロインに狙いを定めたんです。知り合いの少女を殺して店の金を奪えば、強盗殺人に見せかけられるはずだという目論見。 深夜の無人の店内で、ヒロインを殺そうとする少年と、なんとかなだめてやめさせようとするヒロインのやりとりが続きます。軽妙でユーモラスな中にも緊迫感がみなぎっていて、はらはらどきどき。オチも上手い。 アンソロジーはたまにこういう拾いものがあるからやめられません。
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フォークナーの「エミリーにバラを一輪」を読んでみたくて借りて来た。ホラー短編集という名にたがわず収録の11編、どれもドンと胸にくる最後が待ち受けていた。 「エミリーにバラを一輪」1931 ウィリアム・フォークナー 1897-1962 アメリカ南部、1870年代の高級住宅地に建つ...
フォークナーの「エミリーにバラを一輪」を読んでみたくて借りて来た。ホラー短編集という名にたがわず収録の11編、どれもドンと胸にくる最後が待ち受けていた。 「エミリーにバラを一輪」1931 ウィリアム・フォークナー 1897-1962 アメリカ南部、1870年代の高級住宅地に建つお屋敷でエミリーはひとり死んだ。74歳。もはや古き南部ではなく、自動車修理工場や綿花の加工場が増え、あまたあった高級住宅群で1軒だけ残った屋敷でだ。過去には愛する男も現れたらしいが、その男は・・ エミリーの住むお屋敷ととりまく街の移り変わりを想像できる文。その中でひとり生きたメアリーのある意味たくましさ、孤独がずしりと迫ってくる。 「南から来た男」1953 ロアルド・ダール1916-1990 ホテルのプールサイドで、行われた、かけ。老人は若者に、そのライターを10回続けて火をつけることができたら、わしのキャデラックをやろう。もしできなかったら君の小指の先をくれ、というのだ。厨房から包丁を調達して、火付け開始・・ 7回、8回、緊張が高まってくる。が、女が現れ、その女の姿がもう脱力だ。 「家具つきの部屋」1906 オー・ヘンリー1862-1910 部屋をさがしていた若者は、家具付きの部屋を契約した。実は去っていった恋人を探していたのだ。部屋にその恋人の匂いを感じ取る。残酷ではあるのだが、何か柔らかさを感じる。この柔らかさがオー・ヘンリーか。 「マジック・ショップ」1904 H・G・ウェルズ1866-1946 父と息子で訪れたマジック・ショップ。主人は次々にマジックの品を出してくれるが、それはマジックを通り越し魔法とでもいうような。ウェルズとあって、読んでると、このまま異次元の世界に飛んだり、タイムトラベルしてしまうのでは? なんて雰囲気になった。 「不思議な話」1923 ウォルター・デ・ラ・メア1873-1956 7人兄弟妹はおばあさんの家にひきとられた。屋根裏にはチェストがあってそれにはさわるな、と言われた。ある日ヘンリーはこっそりいってチェストを開けてみた。するするとひきこまれ・・ 次の日からは6人の子供に・・ またある日今度はマティルダが・・ 今度は・・ 「まぼろしの少年」1924 アルジャーノン・ブラックウッド1869-1951 男が気づくと前を大きなバッグを持った少年が歩いていた。なぜか気になりバッグを持ってあげるとそれは驚くほど軽かった。何が入っているの?と聞くと、「僕の未来」と言い、ママが待ってると言って言ってしまった・・ それは私の未来でもあったのか? 私の12年前のある出来事。ちょっと悲しい余韻が残る作品・ 「悪魔の恋人」1945 エリザベス・ボウエン 1899-1973 2度の大戦を生きる、キャサリンの秘めた約束・・ 出征した婚約者との、約束の時間にまた会おう、という約束。そして今は第二次世界大戦、疎開先からロンドンに一時戻り自宅をあけると手紙が・・ 年齢によっては、2度、大戦で人生が変わった、そんな思いがする作品。 「湖」1947 レイ・ブラッドベリ 1920-2012 12歳の夏、幼馴染のタリーは湖に消えた。幼いながらも僕はタリーを愛していた。22歳の今、僕は結婚し新婚旅行で再びこの湖に来た・・ 僕がみる幻想? 「小瓶の悪魔」1893 ロバート・ルイス・スティーブンソン 1850-1894 「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」を書いた、あのスティーブンソンの作品。小瓶の悪魔は何でも願いを聞いてくれる。だが、その小瓶を手放す時は、買値より安く売らないといけない。・・ところが、願いは確かにかなうのだが、そのために誰かが死んだり不幸になってゆくようなのだ。なので買った人は次々に瓶を手放してゆく。ハワイ島に住むケアヴェという男がその瓶を買ったが・・ 「隣の男の子」1991 エレン・エマーソン・ホワイト 1983- こちらは現代の作品。けっこうブラックですねえ。アイスクリームストアで深夜バイトをしている高校生の私。そこにクラスメイトのマットが、一回強盗をしてみたかった、といって押し入ってくる。なんとか窮地を脱出しなくちゃ。それで言ってやった、私の秘密を教えるから、あんたの強盗も秘密にしてあげる。・・私の秘密は・・ え、本当なの? 「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」1838 エドガー・アラン・ポー1809-1849 金原瑞人翻案 幽霊船の話。 2012.7.18第1刷 図書館
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このタイトルを見るとどうしても、私の中の(横山)剣さんが「♪東~京~から来た女~」と歌い出すんですよね…という話はおいといて。 まさか私がホラー短編集なんていう本に手を出す日が来るとは。きっかけ大図鑑(日本図書センター)、仕事しすぎ!でも読んでみてわかったけど、ホラーって怖いだけじゃなく、優しかったり温かかったりもするんだな…。 本書の編・訳担当の金原瑞人さんは、数少ない「私の認知している翻訳家」のひとりなので嬉しい。児童書ということもあり、とても読みやすかった。巻末解説を読んだら、同じホラー短編集の第一巻も読みたくなった。 以下、ネタバレしない程度を心がけてるけどしてるかもしれない備忘録。 ■エドガー・アラン・ポー『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』(一八三八) ここに収録されているのは、訳者の金原さんによるポーの翻案(ちなみに私は翻案ってかなり好き)。原作についてはNHKの「一〇〇分de名著」で取り上げられていたのを見たので概要は知っているが、読んだことはない。概要(かなり怖そう)を知らなかったら、この翻案を読んで、原作を読んでみようときっと思っただろう。 ■ロアルド・ダール『南から来た男』(一九五三) この短編集を手にした狙いは、きっかけ大図鑑で出会ったこの表題作を読むことでした。「十回連続でライターの火を付けることができたら、私のキャデラックをあげよう。ただしもしできなかったら、君の左手の小指をもらうというのはどうだ?」見知らぬ老人からそう持ちかけられた若者は、なんと面白がってこの賭けに乗るのです。あ~ドキドキした~!満足。 ■オー・ヘンリー『家具つきの部屋』(一九〇六) 家具が喋り出す(ように感じる)…というあたりからぐぐっと引き込まれる。家具とか持ち物に持ち主の思念のようなものが宿るという実感は、まあある。もっと即物的には、子どもの頃、友達の家に遊びにいくとそれぞれのおうち固有の匂いがあるなあと感じていた、あれにも似ている。入れ替わりの激しい劇場街の貸し間のそれは、もっと複雑かも。 ■H・G・ウェルズ『マジックショップ』(一九〇四) 息子にせがまれ玩具屋感覚で「マジックショップ」に入ると、怪しげな店主が次々にマジック(手品/魔法)を繰り出してくる。素直に驚き楽しむ息子と対照的に、危険や嫉妬を感じて全く楽しめなくなる「わたし」。すごくわかる。 ■ウォルター・デ・ラ・メア『不思議な話』(一九二三) お祖母さんに引き取られた七人の子どもたちがひとり、またひとりといなくなる。怖い、とも受け取れるが、不思議なオークのチェストの描写が甘く優しいためか、あまり悲壮な感じはしない。 ■アルジャーノン・ブラックウッド『まぼろしの少年』(一九二四) ブラックウッドって、光文社古典新訳文庫でちょっと気になっている『人間和声』の人だ。と気付く。怪奇小説の人なのかなと思っていたら、こんなに切ない、柔らかいところに触れてくるなんて。 ■ウィリアム・フォークナー『エミリーにバラを一輪』(一九三一) このへんでだんだん、私が恐れていたほど、ホラーって怖い“ばかり”じゃないんだなということがわかってくる。 ■エリザベス・ボウエン『悪魔の恋人』(一九四五) えっ怖い…。タイトルと、途中の不穏な感じからすると、これは紛う事なきバッドエンドという解釈でいいの…?亡霊方面なのか、ストーカー方面なのか、よくわからなかったけど、怖いからまあいいや…。 ■レイ・ブラッドベリ『湖』(一九四七) 少年期に幼馴染みの死を経験した「ぼく」が、大人になり、長らく離れていた故郷に戻ってきて…。なかなか残酷な話だ。でも、誰が誰に対して残酷かと考え出すと、別に誰も悪くなくて、だってそういうものでしょ…と。文章の織り成す雰囲気の美しさが印象的だった。 ■ロバート・ルイス・スティーブンソン『小瓶の悪魔』(一八九三) その小瓶には悪魔が住んでいて、どんな願いでも叶えてくれる。ただしその小瓶を持ったまま死ぬと地獄に落ちる。手放すには、買い取ったときより安い値で誰かに売らなければならない。自分への愛のために一セントでその小瓶を買った夫の苦しみを知った妻は、一セントの五分の一の価値の「サンチーム」貨幣のある外国へ渡り、買い取ってくれる人を一緒に探すことを提案したが…。ドラえもんのひみつどうぐ「しあわせトランプ」にちょっと似たシステム。はじめのうちは気軽なものだが、最後は誰かに地獄行きの運命を押し付けることになるというこの構図は、何かのメタファーのようにも感じられる。 ■エレン・エマーソン・ホワイト『隣の男の子』(一九九一) 舞台はぐっと現代に近づいて、アメリカのティーンエイジャーの冴えない日常、からの、まさかの展開とさらにまさかのオチ。
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児童向けホラーアンソロジー。有名作も多いけれど、訳し方で印象が変わったりして面白いです。 「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」が収録されているのですが。もちろんこれは長大な長編なので、ほんの一部、ハイライトの部分を抜粋した程度なのですが。それをアレンジしてこんな...
児童向けホラーアンソロジー。有名作も多いけれど、訳し方で印象が変わったりして面白いです。 「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」が収録されているのですが。もちろんこれは長大な長編なので、ほんの一部、ハイライトの部分を抜粋した程度なのですが。それをアレンジしてこんな物語にしてしまうだなんて! これを読めば、未読の人は気になって読みたくなっちゃうかなあ。 レイ・ブラッドベリ「湖」は怖いというよりも、やはり切なさが印象的な物語です。だけど主人公が「変容させられてしまった」ととれば、これは恐怖の物語となるでしょうかね。 本邦初訳のエレン・エマーソン・ホワイト「隣の男の子」、これはいったいどうなってしまうのかとどきどきさせられながら読みましたが。このオチにはぞくりとさせられますね。現実的に怖い物語かも。
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面白い。金原瑞人編訳のジュニア向けホラー短編集ニ作目。前回同様に怖さは抑えめの奇妙でひねりの効いた作品が多い。 表題作『南から来た男(ロアルド・ダール)』表題作です。賭け事を提案してくる老人の話に乗って、車のために指を賭けられるか。気を抜いたところにひとひねりあり後味が悪い。 『...
面白い。金原瑞人編訳のジュニア向けホラー短編集ニ作目。前回同様に怖さは抑えめの奇妙でひねりの効いた作品が多い。 表題作『南から来た男(ロアルド・ダール)』表題作です。賭け事を提案してくる老人の話に乗って、車のために指を賭けられるか。気を抜いたところにひとひねりあり後味が悪い。 『マジックショップ(H•G•ウェルズ)』息子と入ったマジックショップはホンモノだって信じられる?次々と奇妙なアイテムを紹介されるが、息子はなにを欲しがるんだろう。なかなか洒落たほんわかした作品。 『不思議な話(ウォルター・デ・ラ・メア)』別のアンソロでも読んだけどそっちは『なぞ』というタイトルでしたね。まさに不思議な話。説明もなく一人ずつ消えていく。わけわからないけれど強く引き込まれ印象に残るお伽話のような雰囲気の作品。 『湖(レイ・ブラッドベリ)』 筋は平坦な幽霊譚なのですが、なんとももの悲しく幻想的な作品に仕上がっている。 『小瓶の悪魔(ロバート・ルイス・スティーブンソン)』長め。願いを叶える小瓶を手に入れたが、死ぬ前に入手したより安く他人に譲らないと地獄行きというルールがあら、いかに上手く立ち回れるか。面白い。 『隣の男の子(エレン・エマーソン・ホワイト)』隣家の男の子が、だれか殺してみたいという理由で一人勤務のバイト先を訪ねてきたら口八丁で切り抜けられるか。明るい語り口で緊迫感のある会話。ラストもひとひねり。
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「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」 エドガー・アラン・ポー原作、金原瑞人さん翻案のオリジナルホラー!オープニングを飾るのにふさわしいドキドキハラハラ感が味わえます。グロテスクな描写もたまらない?よね? 「南から来た男」 書名ともなっているロアルド・ダールのホ...
「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」 エドガー・アラン・ポー原作、金原瑞人さん翻案のオリジナルホラー!オープニングを飾るのにふさわしいドキドキハラハラ感が味わえます。グロテスクな描写もたまらない?よね? 「南から来た男」 書名ともなっているロアルド・ダールのホラー。まさにこれこれ!やっぱりこのストーリー展開を待っていました!意味がわかると背筋が凍る怖さ。最高。 「家具つきの部屋」 オー・ヘンリー作。怖さより切なさを感じてしまう。 「マジックショップ」 H・G・ウェルズ作。題名通り、不思議な味わい。私はこのショップに訪れ…たい……かも。 「不思議な話」 ウォルター・デ・ラ・メア作。本当に不思議な話。一体みんなどうなったの?どこへ行ったの? 「まぼろしの少年」 アルジャーノン・ブラックウッド作。前述の「家具つきの部屋」以上の切なさ。これは泣ける話です…。 「エミリーにバラを一輪」 ウィリアム・フォークナー作。私はこの本の中で、この話に一番心動かされました。エミリーの気持ちが分かるから。そしてこのタイトルがつけられた理由にも共感できた。…でもやっぱり怖い。 「悪魔の恋人」 エリザベス・ボウエン作。これは映像化したい話。最後、とても不気味な余韻を残しそう…。 「湖」 レイ・ブラッドベリ作。この話も怖さより切なさの方が勝る。 「小瓶の悪魔」 ロバート・ルイス・スティーヴンソン作。一番読み応えのあった話。この話もドキドキしながら読み進められた。最後はハッピーエンド…なのかな?ラブストーリーと言えなくもないかも。 「隣の男の子」 エレン・エマーソン・ホワイト作。現代のアメリカのティーンエイジャーを想像しながら読みましたが、これも面白い。 どの話も面白い短編集なんて最高! 一口にホラーものと言っても、切ない話やドキドキする話もあって、とても読み応えのある一冊でした。そして怖いけれど楽しい一冊でした。 一巻、三巻も読むぞー!!
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面白かった。 アーサーゴードンピム(の元ネタ)、南から来た男の二篇は既読だった。 古いお屋敷のチェストのなかに子供達が入っていく、あのひっそり不気味な感覚のホラーが新鮮だった。 これらのほかのシリーズも読んでみたいと思った。
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ホラー短編集。だいぶ前に実は映画で「ライフ・オブ・パイ」が話題になったころにポーの原作「ナンタケット島…」を読んだ。それとスティーブンソンの「小瓶の悪魔」も再読したくて同じころにこの本を手にしていた。金原さんの訳は読みやすいし最初のポーの翻案も面白いと思う。この短編から、チョイス...
ホラー短編集。だいぶ前に実は映画で「ライフ・オブ・パイ」が話題になったころにポーの原作「ナンタケット島…」を読んだ。それとスティーブンソンの「小瓶の悪魔」も再読したくて同じころにこの本を手にしていた。金原さんの訳は読みやすいし最初のポーの翻案も面白いと思う。この短編から、チョイスされている作家の本の読書に誘えるな、ときっかけの一つになる本としても利用したい。
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