イギリス帝国の歴史 の商品レビュー
大英帝国(後のコモンウェルス)とアジア(インド、中国、日本など)の関係を解説。複雑な貿易の流れなどを、図を用いて分かりやすく説明している。 「大英帝国の解体〜コモンウェルスの成立」は、高校世界史で躓いた分野だったが、今回やっと納得・理解できた。
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帝国の歴史は、いかに宗主国の経済的利益のために、搾取するための植民地を作ってきたのかの歴史である。金のためには何でもありの国家形成政策である。このような帝国主義は一昔前のもののように感じられるが、今まさに帝国化したあるいは帝国化しようとしている国々が世界に猛威を振るっていることに...
帝国の歴史は、いかに宗主国の経済的利益のために、搾取するための植民地を作ってきたのかの歴史である。金のためには何でもありの国家形成政策である。このような帝国主義は一昔前のもののように感じられるが、今まさに帝国化したあるいは帝国化しようとしている国々が世界に猛威を振るっていることには驚きである。いつになったら世界中でウィン=ウィンの関係が構築できるのだろうか。
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イギリス帝国の歴史についてインドをはじめとしたアジア諸国との関係を中心に描いた書籍。近年、どの学問領域においても個々の事象ではなく、その関係性に焦点が当てられてきているが、本書もその潮流に乗ったものである。日本とイギリスの関係についても語られており、経済や貿易、金融などの視点から...
イギリス帝国の歴史についてインドをはじめとしたアジア諸国との関係を中心に描いた書籍。近年、どの学問領域においても個々の事象ではなく、その関係性に焦点が当てられてきているが、本書もその潮流に乗ったものである。日本とイギリスの関係についても語られており、経済や貿易、金融などの視点からも近現代を雑観できる良書である。
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イギリスの植民地経営、近現代のイギリスと植民地間貿易の仕組み、ロンドン・シティの金融街がイギリス外交政策に与えた影響、コモンウェルスの歴史、インドが果たした役割などが勉強になった。 もともと、香港と他のイギリス植民地の経営方針の違いが知りたくて読んだが、イギリスと植民地の関係は...
イギリスの植民地経営、近現代のイギリスと植民地間貿易の仕組み、ロンドン・シティの金融街がイギリス外交政策に与えた影響、コモンウェルスの歴史、インドが果たした役割などが勉強になった。 もともと、香港と他のイギリス植民地の経営方針の違いが知りたくて読んだが、イギリスと植民地の関係は物凄く奥が深くて面白い事がわかった。
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これまでの通説を紹介しながら、それを覆してグローバルヒストリーの面白さ、視点の豊かさを提示していく著作。アジア、特にインドの存在が、イギリス帝国の「帝国性」を支えていた。(カナダはどうなの?)
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P.59-62 七年戦争による財政赤字と負債の増大があまりに急激であったために、その負担の一部を北米植民地に転嫁せざるを得ない状況に追い込まれたのである。 こうして本国政府は1765年に、法律・商業関連の文書だけでなく、新聞や書籍など印刷物全てに本国発行の印紙を貼ることを義務付けた印紙法を導入した。植民地側が「代表なくして課税なし」の論理で同法に激しく反対したことはよく知られている。印紙法は現地植民地の反対で、翌66年に撤廃に追い込まれた。 しかし本国政府は67年に、蔵相タウンゼンドが別の形の増税策として、茶、ガラス、紙、ペンキ、鉛に輸入関税を課した(タウンゼンド諸法) (中略) イギリス商品とイギリス的生活様式を拒否することが、植民地側の独自性を主張する手段になった。 (中略) 本国政府は、北米植民地への茶の直送と、その独占販売権を東インド会社に与える茶法を、1773年に制定した。 同年十二月十六日、茶法に反対した商人・急進派市民が先住民(ネイティブ・アメリカン)を装った上で、ボストン港に入港していたイギリス東インド会社船を襲い、積荷の茶を海に投棄するボストン茶会(ティー・パーティ)事件を引き起こした。 (中略) 消費パターンの脱イギリス化、その典型としての紅茶の拒否が、アメリカ人のアイデンティティの確立にとって不可欠となっていったのである。 P.206 ポンドの価値を実勢レート以上に過大評価した旧レートでの金本位制への復帰は、イギリス本国の産業界にとってはポンド切り上げとなり、輸出を困難にして打撃を与えた。他方、ロンドン・シティは、海外のポンド建て資産の価値を温存でき、ニューヨークに対抗する国際金融センターの地位を保つためにも必要な措置であるとして、この政策を歓迎した。 P.257-258 国境を越える広域史(regional history)、広域の諸地域相互の関係史(trans-regional history)など、新たな枠組みを創出する必要がある。その一つの実例として、現在、世界中の歴史家や社会科学者が注目しているのが、グローバルヒストリー(global history)と呼ばれる歴史の捉え方である。
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17世紀にはじまる大英帝国の衰亡を、とくにインドを中心としたアジア方面の経済を軸に論じている。世界の四分の一を支配した大帝国も、時の移ろいとともにヘゲモニー(覇権)を米国に譲り渡すととなったが、本書は、そこまでの帝国の確立、膨張、運営、破たん、衰亡に、公式帝国、非公式帝国の観念を...
17世紀にはじまる大英帝国の衰亡を、とくにインドを中心としたアジア方面の経済を軸に論じている。世界の四分の一を支配した大帝国も、時の移ろいとともにヘゲモニー(覇権)を米国に譲り渡すととなったが、本書は、そこまでの帝国の確立、膨張、運営、破たん、衰亡に、公式帝国、非公式帝国の観念を織り交ぜながら、いかに経済が大きなウェイトを占めていたか、ということを理解させてくれる。当時のヨーロッパ情勢はほぼ出てこないが、それは、世界最強の軍事力を持った大英帝国が、政戦両略をもってヨーロッパ各国の思惑をはねのけてきたためともいえる。唯一フランスに付け込まれて誕生した米国が、ヘゲモニーを受け継ぐことになるのは、皮肉とも取れる。 また、非公式帝国には、初期の大日本帝国も組み込まれており、これは日英同盟による、日本のジュニアパートナーへの昇格まで、続いていた、という点は、驚きがあった。大英帝国が緩やかに衰退し、帝国+コモンウェルス、最終的にはコモンウェルスのみへ移行し、完全に消滅した今となっても、遺産として残っているものは多い。 やはり、20世紀までは、政治、軍事、文化、どれをとっても、大英帝国こそが、世界最強の覇権国家であったことを再認識させられ、その実像を知る一端となる書だと感じた。
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大英帝国の成立と展開、さらに縮小。シンガポールにて知ったことと世界史的視点を繋げるには良かった。さらにアラブの歴史の違う側の視点を知る意味でも勉強になったが、研究自体は革新性を感じない。
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[唯一無二のヘゲモニー]かつて世界の陸地の約四分の一と海洋を支配したイギリス帝国。帝国から植民地という垂直関係だけではなく、両者の相互関係の中でイギリス帝国がどのような影響力を与え、そして与えられたかを、特にアジア地域との関係性の中で幅広く考察していく作品です。著者は、イギリス関...
[唯一無二のヘゲモニー]かつて世界の陸地の約四分の一と海洋を支配したイギリス帝国。帝国から植民地という垂直関係だけではなく、両者の相互関係の中でイギリス帝国がどのような影響力を与え、そして与えられたかを、特にアジア地域との関係性の中で幅広く考察していく作品です。著者は、イギリス関係の著作を幅広く世に送り続けている秋田茂。 イギリス帝国の幅広い顔が見えてくる一冊。単なる歴史の「強者」としてのイギリスではなく、ヘゲモニー国家として世界史的役割を果たした存在として捉える視線が非常に興味深い。特に、自由貿易体制や通信網の整備など、誰にとってもプラスになる国際公共財を提供しながら自国の影響力を高めていくところに(期せずしたものかもしれませんが)「巧みさ」を感じました。 また、あまり知られていないアジア地域とイギリス帝国の関わり合いについての指摘も白眉。特に、物理的な影響力の行使が地理的制約にも伴って限定される中で、シティを中心とする経済・金融体制がアジアをしっかりとイギリス帝国につなぎとめていたことに驚きを覚えました。少し教科書的な記述が散見され、読み進めるのに努力を必要とするところもありましたが、グローバル国家の本格的な考察としてオススメです。 〜ヘゲモニー国家は、世界諸地域に多様な国際公共財を提供してきた。それらは、国際秩序における「ゲームのルール」の形成に直結しており、アジア国際秩序を考えるうえでも不可欠の構成要素であった。〜 新書ですがボリューム感あります☆5つ
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かなり読むのに時間がかかってしまった。中世の終わりから現代までのイギリスを中心とした世界史を駆け足で辿っていく感じ。何年に何が合って…と形式的な記述が多いため世界史の年表がざっくりにでも頭に入っていないと読みにくいし、内容の理解もいまいちになってしまう。 植民地時代のイギリスは圧倒的な権力で支配していたのかと思っていたが実際には軍事力では解決できないことも多く、外交の駆け引きなど複雑なやりとりがあった。現在はアメリカにヘゲモニー国家の地位をとって代わられたが、イギリス帝国の遺産は現在も世界に大きな影響力を持っていることにも注目したい。 教科書で教わるような歴史認識が近年見直されているようだ。新たな資料が見つかり、新たな定説がなされて、それが議論される。今確立されている歴史も事実ではなくあくまでひとつの認識ということを意識するべきだろう。
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