治安維持法 の商品レビュー
治安維持法を通して戦前から戦後を描く一冊。 治安維持法の生まれた経緯がわかりやすく解説されており、 日ソ国交樹立と普通選挙が契機として 大きな位置を閉めたとの説明には納得させられる。 その後の改正や運用についての記載はやや骨太に過ぎる感があるが、 内容は非常に丁寧で、各事件につい...
治安維持法を通して戦前から戦後を描く一冊。 治安維持法の生まれた経緯がわかりやすく解説されており、 日ソ国交樹立と普通選挙が契機として 大きな位置を閉めたとの説明には納得させられる。 その後の改正や運用についての記載はやや骨太に過ぎる感があるが、 内容は非常に丁寧で、各事件についてもしっかりと解説されている。
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著者が東大に提出した博士論文を基にした一冊。実は、博士論文や助手論文にこそ良い物があるというのは、この業界に詳しい人なら既に常識であるように、この本もとても力の入った一冊。そのことは、参考文献を見るだけでも伺える。また、視点もオリジナリティがあり素晴らしい。しかし、いかんせん文章...
著者が東大に提出した博士論文を基にした一冊。実は、博士論文や助手論文にこそ良い物があるというのは、この業界に詳しい人なら既に常識であるように、この本もとても力の入った一冊。そのことは、参考文献を見るだけでも伺える。また、視点もオリジナリティがあり素晴らしい。しかし、いかんせん文章が読みにくい。また、注釈も参照しにくい。良い題材なのに、ぐいぐいと本の世界に引き込んでいく力に欠ける。というわけで、残念ながら星3つ。
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「悪法」であるという、漠然とした意識しかもたない治安維持法の成立過程、変遷、実際に適用された事例を、丁寧に説明している。特に、治安維持法の成立が、なぜ戦前護憲三派内閣で成立したのかに着目し、内務省と司法省、憲政会と政友会の利害一致に答えを求めた点は、大変興味深かった。
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P159~161 転向者による国体の学習は保阪正康の著書にも書かれていた”国体の本義”? 大政翼賛会が治安維持法の取り締まり対象だったとは意外。同じ体制側だと思っていたのだが。 悪法と言われながらも、議会で審議可決された。だが、その運用に問題があった。 P224~225 清...
P159~161 転向者による国体の学習は保阪正康の著書にも書かれていた”国体の本義”? 大政翼賛会が治安維持法の取り締まり対象だったとは意外。同じ体制側だと思っていたのだが。 悪法と言われながらも、議会で審議可決された。だが、その運用に問題があった。 P224~225 清瀬一郎の東京裁判での発言
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【75冊目】若き研究者による本。取り締まるべきなのは、言論ではなく暴力の方だったという最後の考察が地味に心に残った。 「復活説」等、当時の法学説の勉強になりました。 それと、共産党(赤化)とテロの脅威が治安維持法を後押ししたみたいだということは勉強になりました。年齢的に、共産党の脅威というのは実感しにくい世代ではあるのだけれども。 治安維持法が拡大の一途を辿っていく過程は興味深く読みました。以前読んだ「許される悪はあるのか」に書いてあった、lesser evilの基準を意識しながらもう一度読みたいです・・・読まないと思うけどww
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治安維持法は「宣伝」取締法ではなく「結社」取締法として成立したとか、「目的遂行罪」を設けた改正案が審議未了で廃案となった後に緊急勅令として枢密院で可決されたとか、地味面白い。
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中澤俊輔『治安維持法 』中公新書、読了。副題通り「なぜ政党政治は『悪法』を生んだか」を検証する。成立させたのは護憲三派の政党内閣、政治的自由の確保が一つの目的である。「悪法」としての歴史は政党政治の全盛、衰退、消滅の歩み。自由と民主主義を守る意味でも、その実態を学ぶ意義がある。
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悪名高い治安維持法の成立から、その拡大的適用、そして廃止に至るまでの歴史的経過を、中心的役割を果たした機関や政治的状況に焦点をあてることで克明に描き出している。本書によれば、治安維持法は加藤高明内閣の下で、共産党を具体的な対象と考え、デモクラシーを破壊しようとする結社に制限を加え...
悪名高い治安維持法の成立から、その拡大的適用、そして廃止に至るまでの歴史的経過を、中心的役割を果たした機関や政治的状況に焦点をあてることで克明に描き出している。本書によれば、治安維持法は加藤高明内閣の下で、共産党を具体的な対象と考え、デモクラシーを破壊しようとする結社に制限を加えようとして制定された。議会では反対意見も強かったが、政党人は成立した以上遵守するのが政党政治の精神だと理解していた。それが、次第に拡大解釈され本来的には共産党員でない人々にまで適用されていった。名前は知っているが、詳細には理解はしていないという歴史的に有名な事象は数多くあるが、治安維持法もその一つだったということに気づかせてくれる著作。戦前日本の政治の内実をより深く理解するためにも役立つだろう。
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中澤さんはぼくより20歳も若い政治学者で、博士論文をまもめた力作。 治安維持法という悪法が、どうして、護憲3党が連立したときにできたか、から切り込んで分析している。 3党が連立することによって、当初の法案から宣伝を規制するなど牙が抜かれていくが、最後に、結社の自由を制限...
中澤さんはぼくより20歳も若い政治学者で、博士論文をまもめた力作。 治安維持法という悪法が、どうして、護憲3党が連立したときにできたか、から切り込んで分析している。 3党が連立することによって、当初の法案から宣伝を規制するなど牙が抜かれていくが、最後に、結社の自由を制限するという観点に絞って治安維持法ができていく。その解釈も厳密と抽象的の間の中庸できまっていく。 現時点で民自公がまとまったような時代だったということか。政党政治は、いままで与野党で争っていた政党が大連立するとたががはずれるいい例だと思う。みなさん、よく記憶しよう。 また、2回目の強化のときは、国会で廃案になったものを一部の枢密院の有力者が勅令で死刑をいれたりした改正案をつくり、あとから国会で承認させている。このような、国会の仕組みを通さないで、国民の権利を制限する歴史を絶対にくりかえしてはいけない。 その他、治安維持法の条文がどんどん拡大解釈されて、天皇制を否定する共産党から最後は、キリスト教団体まで規制するようになる。 現在、条文案を作成するわれわれも、後世において、拡大適用がされないよう、国民の権利義務に関わる部分はきちんと条文上規定しておく必要がある。 きちんとした法律を国民の意見をきちんときいて議会に提案し、成立後は、その法律に従って、きちんと節度をもって運用する、これが最低限の行政府の役目だと再確認した。
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1979年生まれでこの内容か……と思ってあとがきを読んだら、東大北岡ゼミ出身、ということで、納得。実証的だけどアプローチが新鮮。
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