星を撃ち落とす の商品レビュー
当初も思っていたような女子高生同士のドロドロとしたようなミステリではなく、透き通った残酷さと青春期特有の承認欲求が内混ぜになった青春ミステリでした。星を撃ち落とすというタイトルもいいし、透き通った星空の希望を孕んだもの寂しいイメージと内容が合致している。3章仕立てで間に別のエピを...
当初も思っていたような女子高生同士のドロドロとしたようなミステリではなく、透き通った残酷さと青春期特有の承認欲求が内混ぜになった青春ミステリでした。星を撃ち落とすというタイトルもいいし、透き通った星空の希望を孕んだもの寂しいイメージと内容が合致している。3章仕立てで間に別のエピを挟むという変則的な構成ながらも、しっかりと読めるつくりになっている。
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四人の女子高生たちのミステリで、廃園に囲まれた舘やそこに閉じ籠もっている主である少女や、感受性が豊かであったが為によじれてしまった少女等、題材はすきそうなのに、表層を受け取るくらいしか出来ずあまり入り込めなかった。良い意味で現実味のない雰囲気はすき。
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妬ましくて、愛おしくて、少女というもの。 著者の話をいくつか読んだが、ちょっとした悪意だったり、裏の気持ちだったりが、降り積もっていく話だな、と思う。人間である以上、好き嫌いはあるし、成長しきれていない部分がある。ましてや、少女では。 津上有騎、水瀬鮎子、長岡茉歩、葉原美雲。...
妬ましくて、愛おしくて、少女というもの。 著者の話をいくつか読んだが、ちょっとした悪意だったり、裏の気持ちだったりが、降り積もっていく話だな、と思う。人間である以上、好き嫌いはあるし、成長しきれていない部分がある。ましてや、少女では。 津上有騎、水瀬鮎子、長岡茉歩、葉原美雲。四人が抱える想いは、優しさか、恨みか、ねたみか、同情か。私と同じだ、と思えなくても、わかるところがどの少女にもある。誰が悪かったのか、なんて、わかるわけがない。
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章が3つあって、第一章を読んだところで後味の悪さに続きを読むか真剣に悩んだ(笑) とりあえず第二章からはわりと普通だったので少し安心。ともあれ、十代の子達が読むと、前に進むチカラになるような作品かなと思う。ミステリは味付け。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読了、40点 *** 津上有騎、水瀬鮎子、長岡茉歩、そして葉原美雲―四人の女子高生の不安定な対立感情が極限に達したとき、ひとつの悲劇が起きた。傷ついたのは誰で、嘘をついていたのは誰なのか?先行きの見えない展開、反転する構図―禍々しくて華やかな、少女たちの四重奏。復活が待たれていた少女小説界の鬼才による、五年ぶりの新作ミステリ。 *** 正直なところ評価は低いです。 この小説全体を通してのテーマは、立場が違えば見えてくるものが全く違う、ということだと思いますが、そのテーマに対するアプローチが非常に拙い印象。 小説の構成は全3章のうち第1章で茉歩の事件の背景となる人間関係と事件そのものが語られ、第2章では有騎が逃避した先での話が挟まり、第3章で茉歩の事件の真相が語られる形となります。 第2章で挟んだ洋館の謎も立場が違えば見えてくるものが違うという喩えとして挟まれているだけならその謎が完全に解き明かされる必要はありませんが、物語の最後に洋館の関係者が突然事故に遭い、その結果洋館の謎と洋館での人間関係にスポットが当たりますがその部分は完全に放置して物語が終わることには全く納得がいきませんでした。 また多重解決にしても、読者の視点にいる有騎が盲目的に他人の意見を信じ過ぎるせいで読者は置いてけぼりになってしまうような印象。これは同時に推理の論理展開が彼女が嘘をついているならとそこがベースになって発展している部分が問題。 僕は読みながら何故180度逆のスタンスの人間の言うことを鵜呑みにするの?そこは多少なりとも他の人に見聞きしたりしないの?と思わざるを得ませんでした。 そして最後に主人公4人の役割のバランスの悪さが気持ち悪い。ここまで来るともはや小説の粗探しになっているので割愛しますが他に書き方がなかったのかなと思ってしまいます。 文句ばかりをつらつらと書き連ねてきましたが、文体や女子高生4人の人間関係の苦悩や成長と、個人的に非常に好きな要素が多かっただけに、またミステリフロンティアという好きな小説が多いレーベルだっただけに勿体ないという気持ちが多分にあります。
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津上有騎,水瀬鮎子,長岡茉歩,そして葦原美雲ーー四人の少女の不安定な感情が限界に達した時、ひとつの悲劇が起きた。傷つけたのは誰で、嘘をついていたのは誰なのか? 色々な気持ちのズレが引き起こした事件。茉歩のやったことは身勝手だけど、気持ちはわかる気がする。 誰かがひとつでも違う行...
津上有騎,水瀬鮎子,長岡茉歩,そして葦原美雲ーー四人の少女の不安定な感情が限界に達した時、ひとつの悲劇が起きた。傷つけたのは誰で、嘘をついていたのは誰なのか? 色々な気持ちのズレが引き起こした事件。茉歩のやったことは身勝手だけど、気持ちはわかる気がする。 誰かがひとつでも違う行動を起こしていたら、結果は違うものになっていたのだろうか。 有騎の母親の叔父のこと,廃園の主の事件の真相,天体観測会メンバーの正体,有騎の父親のことetc…。 回収されていない伏線が多くて、一体何が真実なのかと疑ってしまう。
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読んで良かった。とっても読んで良かった。レトリックに騙されるんだけど、騙されて良かった。騙されて、安心して、泣いてしまった。読書で悔し泣きとは、って少し笑う。さっさと見舞いには行っとけ、とは思うのだけど。 あと、恩田陸さんの麦シリーズが読みたくなる。なので「薔薇の中の蛇」を待望...
読んで良かった。とっても読んで良かった。レトリックに騙されるんだけど、騙されて良かった。騙されて、安心して、泣いてしまった。読書で悔し泣きとは、って少し笑う。さっさと見舞いには行っとけ、とは思うのだけど。 あと、恩田陸さんの麦シリーズが読みたくなる。なので「薔薇の中の蛇」を待望することに決めた。「ダンデライオン」も。
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まず何よりタイトルが秀逸。一目見ただけでビビッとくる本につまらないものなど無いという自説を証明してくれました。 ただ、王道のミステリが好きな人に無条件でお薦めはできないかな、という印象。これはたぶん、謎ときというよりも多感な少女達の精神的な成長がメインに据えられてるせいかも。...
まず何よりタイトルが秀逸。一目見ただけでビビッとくる本につまらないものなど無いという自説を証明してくれました。 ただ、王道のミステリが好きな人に無条件でお薦めはできないかな、という印象。これはたぶん、謎ときというよりも多感な少女達の精神的な成長がメインに据えられてるせいかも。個人的には文句なし。
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いやぁ~大好きな世界観(^^) 面白かったぁぁ~ (またまたkwosaさん有り難う!) 特に第一章の怒涛の反転には 思わずサブイボが出るほど驚いたし! ただの青春ミステリーで終わらない 乙女でダークで妖しい空気感が妙にツボを突いてきたし。 (ただ、曖昧さを嫌いすべてに決着を...
いやぁ~大好きな世界観(^^) 面白かったぁぁ~ (またまたkwosaさん有り難う!) 特に第一章の怒涛の反転には 思わずサブイボが出るほど驚いたし! ただの青春ミステリーで終わらない 乙女でダークで妖しい空気感が妙にツボを突いてきたし。 (ただ、曖昧さを嫌いすべてに決着をつけたい人には少々キツいかも) 思春期特有の自意識と 聡明でいて残酷な少女たちの瑞々しい会話も心地良かった。 オセロのように二転三転する 登場人物たちの印象と構図。 何が本当で何が嘘なのか? 傷ついていたのは誰だったのか? 思い込みや先入観という視点によって いとも容易く変わる他者という存在の曖昧さ。 いい人だと思っていたものが 実は悪だったり、 悪者扱いされていた人が 本当は善人だったり。 緊張感を保ったまま 最後まで引っ張るスリリングな構成も見事! 世界中を旅した母に憧れるも 夢に踏み出せない主人公の女子高生、 津上有騎(つがみ・ゆき)。 正義感が強く一本気な クラスのムードメーカー的存在の 水瀬鮎子(みなせ・あゆこ)。 鮎子の幼なじみで 気が弱く いつも怯えて頼りなげな 長岡茉歩(ながおか・まほ)。 クラス一の問題児と認められながらも 学年主席の座を守り続けるミステリアスな少女、 葉原美雲(はばら・みくも)。 津上有騎に対するストーカー事件を機に 有騎と仲良くなった鮎子と茉歩。 そこへ謎の少女・美雲が現れたことから 不穏な展開へ。 長年の友人である茉歩を独占する 悪評の絶えない美雲に 対抗心を剥き出しにする鮎子。 いつのまにか有騎の部屋の中から 屋外の郵便受けに入っていた 動くリモコンの謎。 やがて始まる陰湿なイジメ。 丘の上に建つ廃園の館での天体観測会。 そして起こる悲劇と驚愕の真相… 同じ場所、同じ時間に夜空を眺めていても ある人には見えていた星が ある人には見えなかったという状況が 確かにあるということ。 人はそれぞれがそれぞれの主観で語っているだけで それを鵜呑みにしてはいけないし、 語る言葉すべてが『真実』だとは 決して言えないということ。 誰が正義で 誰が悪かという単純なものではないということ。 そう、モノの見方や視点を変えるだけで その人の評価も とっていた行動もすべてが反転する。 この作品は何が真実で 何が嘘かについては 決定的に明らかにはしていないので そこが不満だという人もいるだろうけど、 だからこそ読後は議論ができるし(笑) 余韻の残る作品になりえたんだと思う。 同じ少女小説でも ピュアで気弱なヒロインが 世界と闘い散りゆく様を 鮮烈に描いたのが桜庭一樹だとすれば、 友桐 夏は知的でしたたかでロマンを愛する少女たちの 自我を守る為の心理戦を 揺れ動く心の機微を見事に掬い取った丁寧な描写と会話力で 優れたミステリーとして読む者に魅せてくれる。 物語の後半、 詩的でセンスのいい 『星を撃ち落とす』というタイトルもまた 真実が明かされる時、見事に反転します。 (美しい表紙の絵にも秘密があります!) それにしても友桐さんは 初めて読んだ作家だったけど、 知名度さえ上がれば一気にブレイクしそうな実力を備えた方のようだし、 過去の作品も読んでみたいなぁ~。 ちなみに無人島の心理テストは 自分は物語や詩を書いて暮らしたいでした(笑) それにつけても A嬢の過去の殺人事件が気になる! ( 有騎の母・侑子さんの冒険譚と共に、この話はまた別の小説として続きが読みたいなぁ~)
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ここまで細密に少女達の心理描写を試みた作品を読んだ事が無い。七河迦南の作品も複雑な少女の実態を赤裸々に綴っているが、事件らしき事が無い乙女の学園生活から、家庭環境をも踏まえて更に内面までも踏み込んで謎解きをみせる手法は新鮮で共感出来る。しかしながら理解不能な少女の心理の不可思議な...
ここまで細密に少女達の心理描写を試みた作品を読んだ事が無い。七河迦南の作品も複雑な少女の実態を赤裸々に綴っているが、事件らしき事が無い乙女の学園生活から、家庭環境をも踏まえて更に内面までも踏み込んで謎解きをみせる手法は新鮮で共感出来る。しかしながら理解不能な少女の心理の不可思議な世界でも有る。それはまた解答の無い謎なのかも。相沢沙呼も少女の不可思議な世界を描いてみせるが、友桐は独特の手法で存在感がある。この分野は侮れなく成りそうだ。
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