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真夜中の動物園 の商品レビュー

3.5

13件のお客様レビュー

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    2

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2024/07/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第二次世界大戦中のチェコスロバキア、侵略国(ドイツ)の軍隊に両親や一族を連れて行かれて、逃亡中のロマ(ジプシー)の兄弟(と赤ん坊の妹)の物語。 動物園にい逃げ込んだ兄弟は、敵機の爆撃を受けた後に、檻の中のオオカミや雌ライオンたちから話しかけられる。 動物たちの話によると、その村のアリスという少女を中心に侵略国への抵抗として鉄道爆破が行われた際に、総統の親友を一緒に殺害してしまったため、村が徹底的な破壊の対象となったという。動物たちも置き去りにされたまま人々は去ってしまった。 人間たちがはじめた戦いで、子どもたちも動物たちも、ともに、これまでの生活を失った。自分たちだけで生き抜くのも大変な中、兄弟は動物たちに食べ物を分け、檻から出してあげたいと願う…。 後半、ファンタジー的な展開になり、ラストには、動物たちを檻から出したいと願うあまり、一緒に山へ逃げていくことを夢に見る兄弟。 もしかすると、これは兄弟の見ている夢で、最初の動物園への爆撃で、動物たちも子どもたちも死んでしまっているのだろうか、とも感じられた。

Posted byブクログ

2023/11/11

物語は、激しい爆撃にあった瓦礫の村を 逃げ回る、兄妹を (夜)から眺める視点で始まる。 それが、より一層、3人の子どもたちが 自分たちではどうしようもない大きな時代の波に、戦争に巻き込まれ必死で生きようと彷徨う姿を 描く。 赤い凧を上げていた、(黒いサラ)の日 サッカーボウルを拾...

物語は、激しい爆撃にあった瓦礫の村を 逃げ回る、兄妹を (夜)から眺める視点で始まる。 それが、より一層、3人の子どもたちが 自分たちではどうしようもない大きな時代の波に、戦争に巻き込まれ必死で生きようと彷徨う姿を 描く。 赤い凧を上げていた、(黒いサラ)の日 サッカーボウルを拾いに山に入ったことで 命は助かったもの、草むらの影から ロマの一族が、異国の民族に ひどい目に合う一部始終を見ることになる。 お母さんの 走りなさい こどもたち という、言葉から 始まる2か月と夜の動物園で過ごした 最後の1晩の物語。 心の鍵で開けた檻から 動物たちと脱出するラストは なんだか、ロバの音楽座の 音楽が流れてきた。 現実は、悲惨だけど、本当は こうであったら良かったなという ファンタジー観が、すこしだけ救いになる。

Posted byブクログ

2023/04/05

戦争が背景にあり、読んでいて胸が張り裂けそうな境遇の子どもたち。 それでもこの一冊を読み切れるのは、美しい表現と子どもたちの年相応な物事の受け取り方や前を向いて歩いていく姿に元気をもらえる物語だからと感じました。

Posted byブクログ

2017/10/03

【所在・貸出状況を見る】 https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/207077

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2014/05/03

平成26年4月18日 第二次世界大戦のチェコスロバキアが舞台らしい。ロマ人の兄と弟と赤ん坊の妹は目の前で自分たちの一族が侵略者によって連れ去られる。たまたま森にいた三人は難を逃れるが、生きていくのは困難。たどり着いたところは荒れ果てた動物園。人間の言葉をしゃべる動物達と交わしたこ...

平成26年4月18日 第二次世界大戦のチェコスロバキアが舞台らしい。ロマ人の兄と弟と赤ん坊の妹は目の前で自分たちの一族が侵略者によって連れ去られる。たまたま森にいた三人は難を逃れるが、生きていくのは困難。たどり着いたところは荒れ果てた動物園。人間の言葉をしゃべる動物達と交わしたことは…

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2013/10/22

『銀のロバ』がすごくよかったので、こちらも読んでみました。最初はずっしり現実が重くのしかかってきますが、最後はふわっとファンタジー。独特です。

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2013/05/05

保護者を失った子供たち(ロマの3兄弟妹)と、世話するものを失った動物園の動物。戦争で最も大きな被害を受けるか弱き者たちの不思議な交感が描かれている。

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2013/05/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

二人の兄弟が赤ん坊を連れて焼け野原を歩く。 そして辿り着いた動物園でのお話。 寝る前に少しだけ読むつもりが…。 とまらず最後まで読んでしまった。 児童書ながらテーマが非常に重たく、読んでいてとても辛かったけれど、これが真実なのだろうなぁと思った。 動物園や水族館、ペットショップに行った時に感じる、どう言葉にしていいのか解らないあの気持ち。 動物と人間の、真夜中の交流。 もしかして、とは思っていたけれど、最後に思わず苦しい涙がでた。 読めてよかったと思う。 記憶に残る、印象的な夢のようなお話。

Posted byブクログ

2022/03/06

戦争で一族をまるごと殺された幼いロマの兄弟が、放浪するうちに動物園にたどりつく。 ファンタジー設定で幻想的に描く戦争。 戦争は第二次世界大戦で侵略国はドイツで虐殺はホロコーストだろうし執拗に破壊された村はリディツェやレジャーキを思い起こさせる。 けれど、国名や地名や時代は明記さ...

戦争で一族をまるごと殺された幼いロマの兄弟が、放浪するうちに動物園にたどりつく。 ファンタジー設定で幻想的に描く戦争。 戦争は第二次世界大戦で侵略国はドイツで虐殺はホロコーストだろうし執拗に破壊された村はリディツェやレジャーキを思い起こさせる。 けれど、国名や地名や時代は明記されていない。 訳者いわく、第二次世界大戦下のチェコスロバキアだろうとのことだけど、これは架空の舞台なんじゃないかな。 限りなく現実に近い、モデルがどこかを隠さない、けれどファンタジーでフィクションだから、現実を侵さないため、あえて「どこか」に設定したんじゃないかと思う。 移動する道を奪われるロマも、海や山やサバンナから連れてこられた動物たちも、失ったルーツを求めている。 ルーツと自由は重なっている。それをどうにか補おうとするような話。 救いはないけど希望はかすかにある。 詩的な(詩的すぎるくらいの)文章、章題を飾る枠、装丁、舞台設定、みんな美しい。 月やら風やら森やら動物やらがふんだんに使われた美しい舞台で、被差別者の少年が主人公で、動物たちもそれぞれ辛い目に合っている。 こういう本は往々にして「かわいそうな子萌え」に走りやすい。 綺麗でロマンチックな設定として虐殺を選んだのならそれは悪趣味極まりないことだ。 だからかなり警戒しながら読んだんだけど、意外なくらい嫌な感じがしない。 地雷臭はプンプンするのに、ギリギリで回避している。悲劇萌えの気配がない。 動物たちの人間への目線が厳しいからだろうか。 ガジェ(定住者)とロマ、大人と子供といったくくりで見れば主人公兄弟は犠牲者だけど、人間と動物というくくりで見れば加害者になる。 それぞれの語る言葉にも、「したいこと」と「できること」の矛盾があらわれる。 立場によって見方は変わる。正しい答をくれない。それは児童書として正しい姿だ。 本当に戦争を体験した人の話には、「どれだけ伝えようとしても伝えきれない。場所を見せても言葉を尽くしても伝えられるものじゃない」という言葉が出てくる。 この本を読んで、最初は、この設定はどうなのかな、ファンタジーにしちゃっていいのかなと思った。 腹を空かせるシーン以外は飢餓を感じてなさそうな、つくりものっぽさも嫌だった。 だけど、この本がファンタジーなのは、本物を描くどころか理解すらできない、それでも伝えたいと思う、知らない者としての誠意なんじゃないかと思う。

Posted byブクログ

2012/09/24

第二次大戦中のヨーロッパ、敵軍(ドイツ)に捕まったロマ人たち、移送される途中で母に「走りなさい、子どもたち」と言われ、兄と弟はまだ赤ん坊の妹を連れて逃げだす。逃げまわるうちに、空襲で全滅した町に取り残された動物園へ入り込む。なんと、ここの動物たちは人間の言葉が話せる。子どもたちと...

第二次大戦中のヨーロッパ、敵軍(ドイツ)に捕まったロマ人たち、移送される途中で母に「走りなさい、子どもたち」と言われ、兄と弟はまだ赤ん坊の妹を連れて逃げだす。逃げまわるうちに、空襲で全滅した町に取り残された動物園へ入り込む。なんと、ここの動物たちは人間の言葉が話せる。子どもたちと動物たちの間に不思議な連帯感(?)が生まれていく。自分たちが動物園を離れるときに、兄弟は動物たちを逃がしてやろうとする。 ラストの解釈は、人により色々だと思う。ロマ人の信じるマリアの救いなのか?小学校中学年くらいからでも読めるけれど、ちょっと難しいと思う。

Posted byブクログ