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水危機 ほんとうの話 の商品レビュー

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13件のお客様レビュー

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2012/08/25

雑誌の書評を見て、読んでみようと思った。環境問題に絡む話は、論者の主義主張に左右されて客観的事実に基づかないものもあるようだが、本書は、書評や実際に読んでの実感からは、科学的な内容のように思う。 本書のテーマを超えた著者の主張や科学者のエピソードなどに脱線する部分も多いが、水問題...

雑誌の書評を見て、読んでみようと思った。環境問題に絡む話は、論者の主義主張に左右されて客観的事実に基づかないものもあるようだが、本書は、書評や実際に読んでの実感からは、科学的な内容のように思う。 本書のテーマを超えた著者の主張や科学者のエピソードなどに脱線する部分も多いが、水問題と聞いて思い浮かぶような一種の常識が次々と覆されて、とても面白い。例えば、節水は良いことだが、いくら日本で節水してもアフリカの水不足の役には立たないし、水源林のイメージで植樹すれば水が豊かになるとは限らず、むしろ植物が地中の水分を吸収し蒸散させてしまう効果も大きいといったことが書かれている。 中でも、仮想水貿易という考え方の本来の機能に関連して、水当たりの生産性が高い国から低い国へと食料が貿易されているという、貿易における比較優位の法則が水生産性に関しても成立しているという分析は、非常に興味深かった。 本書は、多種多様な水問題を扱っていて、手を広げすぎの感がなきにしもあらずだが、水をキーワードとした包括的な入門書として、一読の価値があると思われる。

Posted byブクログ

2012/07/20

  職場の本屋の平積みから購入。      いっていることが全う。 (1)地球温暖化、地球環境の問題は、手段と目的が逆転している。(p265)  本来すべての学問は、国民の命と生活を守り、改善していくためのも。それに対して、著者は、最近の地球温暖化ブームは、その目的を制限して...

  職場の本屋の平積みから購入。      いっていることが全う。 (1)地球温暖化、地球環境の問題は、手段と目的が逆転している。(p265)  本来すべての学問は、国民の命と生活を守り、改善していくためのも。それに対して、著者は、最近の地球温暖化ブームは、その目的を制限してまでも地球温暖化という手段を進めようとする意味で、手段と目的が逆転しているという。  そのとおり。しかし、それと同じことを河川工学者や河川関係者はやってきたのではないか。住民の生活と命を守るために行うべき手段の一つである河川整備を、それ自体を目的として進めてきたのではないか。  それが、今の被災地の海岸堤防の議論でもでているのではないか。 (2)多国籍企業の水源地の買収について、水は輸送コストのわりに単価が安いので、日本の水資源を海外に輸送するよりは、海水淡水化プロジェクトの方が割安。(p248)  中国人が土地を買っていると聞いたら、すぐ規制というと、ナショナリズムの人たちに受けるため、簡単に規制しろとかいうが、それが冷静な対応なのか、むしろ日本に投資してもらって地域にとっては、感謝すべき事柄ではないか。 (3)エネルギー自給率が食料自給率より遙かに低い日本では、食料自給率を上げる努力よりも、そもそも食料やエネルギーを輸入できない事態の陥らないよう努力すべき。(p189)  それもそのとおり。国民の生活を守るという観点からは、食料だけを議論してもだめだということ。  そこまで大胆にいうのであれば、治水ももう大規模構造物を新たにつくるよりも、既存の施設の更新、長寿命化に投資をする、むしろ治水、津波、地震などの災害についても、構造物ではなくて、避難によって命を守る投資に特化すべきではないか。

Posted byブクログ

2012/07/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あとがきに 研究とは,「不思議」や「非常識」「不見識」を「当たり前」にしていく作業である。 水と水循環に関する基本原理 1 地球上の水はなくならない などをしめし, 次に常識と思われていることをいくつか示す。 1 節水は善行で,たくさん使うのはいけないことだと無批判に思っている。 などなど そして判断基準として 1 間違っていないが正しいともいえないこともいっぱいある 2 銀の弾丸はない などなど これらの頭の体操をしてから,水問題に取り組んでいる。 最後にこれをやる方法もあるかも。

Posted byブクログ