夏休みの拡大図 の商品レビュー
就職のために引っ越しするちとせと、その手伝いにやってきた幼なじみの百合香と木嶋。百合香は蟠りをはっきりするべく色々考えるのだが、幼い頃の思い違いや各々の考えていたことが明らかになるにつれ考えを改める。という青春物語。ものすごく軽い感じの謎解き小説でした。
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「私、夏休みって人生の縮図だと思うんだ。遊んでいてばかりいたって始めのうちは誰にも咎められないのに、後半もそのままでいたらとたんに起こられるでしょ。こら、宿題は済んだのか、って。私たちはね、長らく宿題に手をつけてこなかったんだよ。ずっと目を逸らし続けてきただけなの。子供のうちは、...
「私、夏休みって人生の縮図だと思うんだ。遊んでいてばかりいたって始めのうちは誰にも咎められないのに、後半もそのままでいたらとたんに起こられるでしょ。こら、宿題は済んだのか、って。私たちはね、長らく宿題に手をつけてこなかったんだよ。ずっと目を逸らし続けてきただけなの。子供のうちは、大人ってもっと開けた世界に飛び出していくものだと期待してたのに、実際はそうじゃない。自由とは無縁の閉じた世界で、黙々と生きるために生きて行くんだよ。私たちはいっぱい遊んだ分、たくさんの宿題を山積みにしてる。だからいま、やだやだ、もう夏休みがおわっちゃうよって嘆いてるの。でも時間は待ってくれない。いままで楽しかった生活とはさよならして、これからは部屋にこもって、溜りに溜まった夏休みの宿題と向き合わなくちゃいけないんだよ。いつまでも片付け終わらないのに、ずっと、ずっとね」p172 「あのときなにも言えなかったけど、私も間違ってた。夏休みって、やっぱり人生の縮図なんかじゃないよ。そんなものがすべてだと思ってきた私たちは、未熟で、いままで生きてきた世界があまりにも狭すぎたんだ。山積みの宿題を片付けることは、まだまだ全然終わりなんかじゃないよ」 「だって夏休みが終わったらさ、二学期が始まるじゃない」p259 この登場人物の言葉が、この本をよく表していると私は思う。
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幼馴染の引越しを手伝いながら、過去の出来事を振り返り謎を解明する青春小説。 主人公は百合香。幼馴染のちとせは昔から鋭く、色々な謎を解明してくれる存在だった。過去を振り返りながら、高校時代の想い人、柳井がちとせに第二ボタンを渡したのではないかと疑い、この機会に確かめようと探り出す...
幼馴染の引越しを手伝いながら、過去の出来事を振り返り謎を解明する青春小説。 主人公は百合香。幼馴染のちとせは昔から鋭く、色々な謎を解明してくれる存在だった。過去を振り返りながら、高校時代の想い人、柳井がちとせに第二ボタンを渡したのではないかと疑い、この機会に確かめようと探り出す。 割と読みやすくさらさらと読めたけど、百合香の胸が豊かだったことしか印象に残っていない…。 木嶋は誤解されやすいが、そこまで悪いヤツじゃないね。
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親友・ちとせの引越しの手伝いをしながら私はこっそりと機会を窺っていた。ちとせの部屋に隠されているはずの、あるものを探すだすために……。 小学校からの親友ちとせと、その引越しを手伝いにきた主人公百合香、そしてそこに何故か奇人変人として有名だった同級生木嶋が手伝いに来て、思い出話を...
親友・ちとせの引越しの手伝いをしながら私はこっそりと機会を窺っていた。ちとせの部屋に隠されているはずの、あるものを探すだすために……。 小学校からの親友ちとせと、その引越しを手伝いにきた主人公百合香、そしてそこに何故か奇人変人として有名だった同級生木嶋が手伝いに来て、思い出話をしながら片付けをしていく本。 転校生木嶋の奇妙な行動の謎や旅先の海で起こった不愉快な出来事や、クラスの合唱で泣いていた指揮者の秘密についてなどを解き明かしていく、日常の謎的な小さな謎がちりばめられた連作短編集っぽい長編。謎はどれも小粒だけど全部背景がほろ苦くて、なかなかよかった。 というか、主人公百合香の思い込みが強くて周りが見えていなかったからこそのそれぞれの思い出話なので、それをちとせが実はこうだったんだよ~と説明してくれるのがスカッとした。 作中で何度も繰り返されてるように、ほんとにこの主人公胸くらいしか良いところなかったのでは、と思ってしまいそうになるほど、ちょっと主人公にいらいらしてしまったところも。 オチはちょっと微妙だけど、全体的にほろ苦くて爽やかだし、探し物の真相も気になっていて一気に読めた。 ただ、最初の謎が、どこかのコピペで何度かみかけたことがあるネタだったので、んん?ってなった。
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『ベンハムの独楽』の印象が強烈だったので、ちょっと肩透かしをくらったような感じがする。 小学生一年の頃からの同級生の新巻ちとせ、宮崎百合香、木嶋くんは、社会人となって巣立っていくちとせの引越しの手伝いにやってくる。ちとせの部屋の片付けをしながら、女優を目指していた猪原小夜、百合香...
『ベンハムの独楽』の印象が強烈だったので、ちょっと肩透かしをくらったような感じがする。 小学生一年の頃からの同級生の新巻ちとせ、宮崎百合香、木嶋くんは、社会人となって巣立っていくちとせの引越しの手伝いにやってくる。ちとせの部屋の片付けをしながら、女優を目指していた猪原小夜、百合香が好きだった柳井拾希とのエピソードなどを交えながら物語は展開していく。「夏休みが終わったら、また新しい二学期が始まる」というのが、この本のメッセージだとしたら、定年後のぼくの第二の人生は、どんなふうに始まるのだろうかと、不安は不安だけれど、生きている以上前向きに生きるしかないだろうと思えてくる。 小島達矢は、将来性を感じる作家の一人だ。
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設定がとても面白い!! 引っ越しをすることになった幼馴染のちとせの家の中だけでそれも八時間の出来事 その中で忘れかけていた思い出を勘違いしていた想いをちとせの手によって真実を知るという ちょっと強引なこじつけもありますがまーいいでしょう!! この作品の題名で使われている『夏休み』...
設定がとても面白い!! 引っ越しをすることになった幼馴染のちとせの家の中だけでそれも八時間の出来事 その中で忘れかけていた思い出を勘違いしていた想いをちとせの手によって真実を知るという ちょっと強引なこじつけもありますがまーいいでしょう!! この作品の題名で使われている『夏休み』とは社会に出るまでの期間のことです 『学生時代』を『夏休み』と例えお話が進んで・・・・いいー読了感でした!! http://momokeita.blog.fc2.com/blog-entry-198.htmlより
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親友は「名探偵」。学校で起きた「事件」を次々と解明する。でも、「あのこと」だけは、私が真相を見抜かなくては。謎解きの鍵は、あの日の思い出。
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かわいらしい表紙に惹かれて手に取った1冊。 引っ越すという友人ちとせの散らかり放題の部屋をかたづけに行った百合香は、奇人変人の木嶋に会って驚く。手伝いがてら、ちとせが持っているはずの、百合香が好きだった同級生の第2ボタンを探したいという思いがあった。 小さいときに思い込んでいたい...
かわいらしい表紙に惹かれて手に取った1冊。 引っ越すという友人ちとせの散らかり放題の部屋をかたづけに行った百合香は、奇人変人の木嶋に会って驚く。手伝いがてら、ちとせが持っているはずの、百合香が好きだった同級生の第2ボタンを探したいという思いがあった。 小さいときに思い込んでいたいろいろなことが、ちとせの解釈で、別の面が見えてくる不思議。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
さわやかな表紙がとても素晴らしい。 引っ越しの合い間に浮かんでくる過去の疑問、疑念、わだかまり…を一つ一つつぶしていく。最後には話題の人物も現れて…という構成が面白かったです。 引っ越しって、次の場所へ行く準備でもあり、過去の棚卸しでもある。しかも自分と学生時代の時間のほとんどを共有してきた友人の引越しです。同じ想い出を持っていると思っていたものが違ったり、相手のことを知っているつもりで知らなかったり…そんな新事実がぽろぽろ出てきて、そのたびに主人公は周囲の人への評価を変えざるをえません。このオセロ的快感が、本作品の醍醐味の一つでしょう。 ただ物語が主人公一人の視点に寄り添って進むせいか、次から次へと明らかになる過去の事実にうろたえまくる彼女が、あまりにも独りよがりで残念な人に見えてしまうという欠点も。これは、引っ越しの一日、ほとんど部屋を出ない、というストーリー上の制限のせいもあるかもしれません。 作中で主人公らが「夏休みは人生の縮図だ」というようなことを話しています。では、タイトルの「夏休みの拡大図」とは「人生」のこと? うーん、そこはちょっとピンときませんでした。 最後には未来に向かって踏み出す彼女たちですが、そのわりに彼女たちの現在や将来の姿が見えて来ず(学生時代を振り返ってばかりなので無理もないことですが)、やや説得力に欠けるラストかなと思いました。 彼女たちの最後の結論「夏休みが終わっても二学期がくる」を読んで、なんだか無性に大島弓子のマンガ『毎日が夏休み』を読み返したくなりました。
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小学生から大学卒業迄の思い出をたどっての謎解き短編集!?謎解きは簡単だけど楽しめた♪ ...
小学生から大学卒業迄の思い出をたどっての謎解き短編集!?謎解きは簡単だけど楽しめた♪ 2012.8.30
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