妖異金瓶梅 の商品レビュー
中国の古典を元にした連作ミステリーです。 精力絶倫の大富豪・西門慶とその8人の妾達、周辺人物に起こる奇怪な事件を描きます。 最初は、中国の単語やら地名やらが沢山出て来たので調べながらだと読み進めるのが重かったのですが(内容には余り絡まないので読み飛ばしても良いかも)、中盤過ぎた...
中国の古典を元にした連作ミステリーです。 精力絶倫の大富豪・西門慶とその8人の妾達、周辺人物に起こる奇怪な事件を描きます。 最初は、中国の単語やら地名やらが沢山出て来たので調べながらだと読み進めるのが重かったのですが(内容には余り絡まないので読み飛ばしても良いかも)、中盤過ぎた辺りからグイグイ読める内容になって行きます。 読了後は、本作のミステリ史的な立ち位置とか読み方が分からなかったのですが、"犯人が固定化される事(フーダニットの排除)"、"動機が首尾一貫している事(ワイダニットの排除)"を「物語上の縛り」とし、"どうやって殺したのか?"だけで勝負する、と言う部分が画期的みたいです。僕は一般読者なので、緻密な分析はしながら読まないけど、言われてみれば"この型"のミステリは余り無いですね。 作品自体はボリュームがあるものの佳作です。ちょっと、各種ブック・レビューが"最期で全部繋がる"みたいな感じでかなり煽りが強かったのでハードルが上がり過ぎていたかもしれません。 最後の真珠の章で更に何か起きると予測したのであのエピソードは途中に挟み込んでも良かったかな。
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中国の古典をもとに、美姫たちが織りなす凄惨隠避な怪事件を描く伝奇ミステリー。 読み応えのあるボリュームでしたが、一気に読まされてしまいました。 展開は、探偵もののミステリーという形はとっているものの、それだけだけくくれない、まさに奇書を作者がさらにアレンジして一大奇書に...
中国の古典をもとに、美姫たちが織りなす凄惨隠避な怪事件を描く伝奇ミステリー。 読み応えのあるボリュームでしたが、一気に読まされてしまいました。 展開は、探偵もののミステリーという形はとっているものの、それだけだけくくれない、まさに奇書を作者がさらにアレンジして一大奇書に仕上がっていると思います。 形式は連作短編で、どれも淫靡な世界が描かれており、怖いもの見たさから目が離せませんでした。 人間の業の深さを感じずにはいられませんでした。
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明の長編小説「金瓶梅」をもとにして、西門慶と多くの夫人たちの話を連作短編のミステリにしています。夫の寵愛を受けようと密かな戦いが繰り広げられる中、事件は起こり、西門慶の悪友でたいこもちの応伯爵が毎回真相を見抜くのですが…。最初はただただ恐ろしいと思える彼女が、読み進めるにつれ、愛...
明の長編小説「金瓶梅」をもとにして、西門慶と多くの夫人たちの話を連作短編のミステリにしています。夫の寵愛を受けようと密かな戦いが繰り広げられる中、事件は起こり、西門慶の悪友でたいこもちの応伯爵が毎回真相を見抜くのですが…。最初はただただ恐ろしいと思える彼女が、読み進めるにつれ、愛のためならなんでもするとても可愛らしい人になっていきます。ミステリ好きならトリックは楽しめること間違いなし。15編すべて同じように進むかと思ったら、彼らをラストまできちんと書ききっていて、長編としてもとても良かったです。
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山田風太郎ほどジャンルの幅が広く、駄作がなく、いつも見事な語り口で読者を酔わせる作家は他に知りません。中国の4大奇書とされる原作を深く読み込んでいますね。登場人物を自在に操り、金蓮を主人公にした「金瓶梅」を成り立たせています。潘金蓮愛のなせる技を見ました。お見事!
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この趣向で本作以上の作品は出てこないのではないだろうか? 短編それぞれのトリックや動機の凄まじさもさることながら、キャラの魅力が存分に発揮され、後半にかけて特異な物語へ変貌するキーとなっている。味わったことのない深い感情へと誘います。 エログロ盛りだくさんであり本格ミステリ。...
この趣向で本作以上の作品は出てこないのではないだろうか? 短編それぞれのトリックや動機の凄まじさもさることながら、キャラの魅力が存分に発揮され、後半にかけて特異な物語へ変貌するキーとなっている。味わったことのない深い感情へと誘います。 エログロ盛りだくさんであり本格ミステリ。と一括りには出来ない美しさに気付くのであった。 華文ミステリが身近なこともあるし、ぜひ今のミステリ読者も読むべき。このテーマは現代人にこそ響いてほしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
犯人はヤスならぬ潘金蓮。 浅学菲才の身ゆえ『水滸伝』の武松の名こそは知っていたものの彼の伝で語られる豪商西門慶とその第五夫人潘金蓮はとんと知らず、まして水滸伝と並んで中国四大奇書とされる『金瓶梅』がそのスピンオフ小説でありタイトルの「金」がその潘金蓮の金だと知ったのは本作の読後の事であった。 さて本作はその『金瓶梅』をベースにその官能性を失わぬまま大胆にアレンジした16篇からなる短編連作ミステリーである。 作中で度々「稀代の大淫婦」「妖婦」「毒婦」だの散々な…恐らく水滸伝や金瓶梅そのままの評で呼ばれる潘金蓮が傍から見れば些末な出来事で癇に触れ、その相手を死なせる、死ななくとも酷い目に遭わせ、それを西門慶の幇間であり悪友にして本作の探偵役である応伯爵がトリックを見破りながらも彼女にべた惚れであるがゆえに役人に突き出すような真似はせず見逃し、潘金蓮が婀娜と微笑んで幕を閉じる短編が11と続く。 3篇目ともなると事件の動機となる定型化されたやり取りに「あっ…(察し)」となり、案の定な事件が起きてハイハイ犯人は潘金蓮潘金蓮ワロスワロスとなる。フーダニット?ホワイダニット?何それ美味しいの? …が、しかし。12作目から物語は怒涛の展開を見せ始め、短編連作と思われた本作は実は一本の筋の通った長編であり(一本の長編と番外編の短編一作と言っても差し支えない)狂気とエログロはただひたすらな愛情であり、そして愛欲と憎悪が渦巻き果てはソドムとゴモラと化す「金瓶梅」とは潘金蓮だけを指す訳ではなかったのである…。
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山田風太郎『妖異金瓶梅』読了。 今回のシャカミス課題本。初山田風太郎作品だったのだけれど、50年前の作品とは到底思えない読みやすさだった。本作は、中国四大奇書『金瓶梅』を基に、キャラクターと舞台をそのままに連作ミステリとして再構築したもの。しかしすごいな表紙・・・・・・ ...
山田風太郎『妖異金瓶梅』読了。 今回のシャカミス課題本。初山田風太郎作品だったのだけれど、50年前の作品とは到底思えない読みやすさだった。本作は、中国四大奇書『金瓶梅』を基に、キャラクターと舞台をそのままに連作ミステリとして再構築したもの。しかしすごいな表紙・・・・・・ 後から知ったのだけれど、実はこの文庫は『妖異金瓶梅』とその続編『秘抄金瓶梅』を併録したもののよう。単行本で持っている稀有な方がいたら前半で終わっているかも。読書会メンバー大丈夫かしら。 さて、金瓶梅といえば水滸伝のスピンオフだが、厳密には水滸伝から分岐した違うルートである。 本作はその金瓶梅のシナリオを抑えつつ実は水滸伝のシナリオも重要な要素として機能している。とはいえ、元ネタの知識は不要。奇書繋がりでちょっとだけ知っていた僕は面白かったけれど、僕の知識はWikipediaの粗筋程度なので多分原作知識は要らないでしょう。 元の水滸伝、金瓶梅のキャラが非常にユニークで魅力的なので、当然本作もそのあたりは読んでいて楽しい。探偵役の応伯爵なんてめっちゃ面白いおっさんだし、潘金蓮の妖艶さもこの作品の肝だろう。これだけの数の登場人物がみな違ってみな魅力的なのは驚異的。 ミステリとしては本来は連作では用いない(普通は作品としては崩壊する)ある縛りをあえて使い、その上で成功させている。ハウダニット、フーダニットものの連作短編としても面白いが、連作が「長編化」していく終盤も見事。あまりに壮大で美しく哀しい。
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この全編を支配する淫靡で血生臭くも妖艶な世界観は何なのだ!?! 酒池肉林の渦中に観る凄まじい肉欲と憎悪とそして死・・。 まるで読み耽る自分が七つの大罪を犯しているかの如くに深淵に堕ちていく感覚・・・。 絶世の美女でありながら稀代の大淫婦「藩金蓮」の凄まじい愛と欲望渦巻く妖異譚の傑...
この全編を支配する淫靡で血生臭くも妖艶な世界観は何なのだ!?! 酒池肉林の渦中に観る凄まじい肉欲と憎悪とそして死・・。 まるで読み耽る自分が七つの大罪を犯しているかの如くに深淵に堕ちていく感覚・・・。 絶世の美女でありながら稀代の大淫婦「藩金蓮」の凄まじい愛と欲望渦巻く妖異譚の傑作。
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読了後、思わずため息がこぼれた。 どこをとっても素晴らしい。 舞台は中国の古書、『金瓶梅』を下敷きとして書いたものらしいのだが、この舞台設定が作品の艶かしさを高めている。 そして登場人物皆が魅力的でいきいきしてるのだ。 手前勝手だが何故か憎めない西大慶。 どうしようもない奴だが...
読了後、思わずため息がこぼれた。 どこをとっても素晴らしい。 舞台は中国の古書、『金瓶梅』を下敷きとして書いたものらしいのだが、この舞台設定が作品の艶かしさを高めている。 そして登場人物皆が魅力的でいきいきしてるのだ。 手前勝手だが何故か憎めない西大慶。 どうしようもない奴だが、どうしてか周りを惹きつけてしまう応伯爵。 そして美しい妾たち。 中でも潘金蓮の蠱惑的なことと言ったら… 本書はまさに潘金蓮のために書かれたと言っても過言ではないだろう。 そんな中で起こる殺人事件やらなんやら… 冒頭の「赤い靴」で衝撃を受け、それ以降の作品でさらに衝撃を受ける。 なぜならフーダニットとホワイダニットを排除してしまっているのだ。 したがってハウダニットに主眼が置かれるのだが、これがまた毎回驚きを伴っているのだから凄い。 ラストの方はストーリー仕立てになっているのだが、そこで潘金蓮の魅力は最高潮に達する。 そこらの作家が小手先で書いた恋愛小説など霞むレベルの深い「愛」に読者は圧倒されるだろう。 そしてラストを飾る「人魚灯籠」 これがまるで走馬灯のような役割をもたらしなんとも言えない余韻が生まれる。 この上なく贅沢な一冊。 是非読んでみて欲しい。
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面白い話もあったような気もするけど、全体的には退屈であくびが止まらなかった。。 半分も行かずに断念。
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