続・悩む力 の商品レビュー
100年前の夏目漱石やマックス・ ウェーバーなどの慧眼により、現代を的確に表現している。自殺者の多数、逸脱資本主義からの人と人との全般的や不信の構造、直接アクセス型社会からの公共領域の消失、柔らかい全体主義の傾向、宗教に代わった科学の存在、同時に人々の孤独感とともに肥大化する自意...
100年前の夏目漱石やマックス・ ウェーバーなどの慧眼により、現代を的確に表現している。自殺者の多数、逸脱資本主義からの人と人との全般的や不信の構造、直接アクセス型社会からの公共領域の消失、柔らかい全体主義の傾向、宗教に代わった科学の存在、同時に人々の孤独感とともに肥大化する自意識の状態。 「彼らをむやみに自分らしさの探究に駆り立てるものをしっかり見つめ直しておく必要があると思うのです。」引用 前半は読んでいて、現代の病理的な現象を夏目漱石やウェーバー等の作品、表現を引用し論じられている。そのため正直気が滅入りそうだった。 しかし、後半は、そのような世界においてどのように考え、どこに幸福を見いだしたらいいのか、これも夏目漱石等を元に、人間の3つの価値観や己を忘れるべしという考え方、何をやるかよりどうやるか、よい過去を積み重ねていく気持ちで生きることと、考え方を刷新させられます。
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時代と悩みは直結するけれど。 普遍的な悩みも勿論あるけれど。 自分の悩みのもっと深淵を知ろうと思えるのも力なのかもしれない。 その力が、弱くなってしまう状況も。 簡単に解決出来るより、出来ているつもりでいる危うさも。
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人生とは何かを漱石などの作品を元に現代と照らし合わせて考えられている。絶望するわけではないが、人生からの問いにひとつひとつ答えていかないと前に進まないと感じる
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本書は、前作に続き夏目漱石とウェーバーの思想の共通点をピックアップして、さらにフランクルやジェイムズの思想をもピックアップして、「震災以後、どう生きるか」ということが書き綴られている。 いくぶん世相を反映したものなので、原発であったりとか政治的な事柄が出てきます。そのため前作と比較すると浅さを感じてしまうのは仕方のないことなのだろうか。
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・人間の3つの価値「創造」「経験」「態度」 ・人間は,はかなく死ぬ運命にあることを念頭に置いて,あくまでも謙虚に人間的なものを肯定する ・人間にとって重要なのは「唯一性」 ・吾輩は過去である ・「個人的共鳴」という新しい言語が必要 ・人生の問いに答える.responsibilit...
・人間の3つの価値「創造」「経験」「態度」 ・人間は,はかなく死ぬ運命にあることを念頭に置いて,あくまでも謙虚に人間的なものを肯定する ・人間にとって重要なのは「唯一性」 ・吾輩は過去である ・「個人的共鳴」という新しい言語が必要 ・人生の問いに答える.responsibilityはresponseの派生語
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「悩む力」の続編。夏目漱石とマックス・ウェーバーに心酔する著者が、その哲学的思想を存分に披露するのは前作と同様。ただ、東日本大震災のわりとすぐ後に書かれたものであり、著者の悩みがより一層深まっているようだ。 まず、とにかく「暗い」。思考が非常にダークである。そもそも哲学的思考が強い人は、楽天的・楽観的な思考を蔑み、深く思考することが善という考え方であり、血を吐くような苦しみで精神を病むほど悩み、そこから復活を遂げる「二度生まれ」という概念を非常に重視している。しかし、そこまで苦しんでまで人生の真理を追い求めるよりも、何も悩まずに楽に一生を終えることができればそれはそれで幸せなのではないだろうか。私とは根本的に考え方が違うので、「何事も小難しく考える人が書いた本」という風にしか見えない。 それでも、資本主義がもたらした「安定した収入、伴侶と家族、健康、老後のたくわえ」といった「幸福の概念」を否定し、人生の「態度」を追い求めることを理想とする考え方や、「過去」を大事にすることが大切で、「人生」はその蓄積なのだ、という考え方など、共感できる部分もたくさんあり、思考回路が違う人の考え方を学ぶことも視野を広げる上では大切だ、ということをあらためて考えさせられる。
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作者は政治学者ですが、文学に情熱を持っている人だと思いました。特に夏目漱石に深い思い入れがあると感じました。作者は、例えばA・B二つの事実がある時に、それらの類似点を顕すのが上手いと思います。この作品で作者が主張している事は、文学を読んで身につく考え方と似ていると思います。「悩む...
作者は政治学者ですが、文学に情熱を持っている人だと思いました。特に夏目漱石に深い思い入れがあると感じました。作者は、例えばA・B二つの事実がある時に、それらの類似点を顕すのが上手いと思います。この作品で作者が主張している事は、文学を読んで身につく考え方と似ていると思います。「悩む事」が作品のキーワードですが、それに関連して一番気になった所は、「二度生まれ」という考え方です。「悩む事」を悩み抜いてそれを突き抜けた時、その人に新しい価値が生まれる。個人的な体験を突き詰めて真摯に引き受けていった先にすばらしい新世界がある。おそらく、文学作品でもよく素材に取り上げられる「精神的な跳躍」と関係している考え方だと思います。作者は「悩む事」に思い入れがあるのだと感じました。
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社会を見る目が斬新でとても良い刺激を受けた。鋭い視点で社会を読み解くが、どこか暖かい感じが文面から読み取れる。
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「悩む力」に続いて読んでみた。 幸福とは何か、について書かれている。 前作に続いて夏目漱石の小説を引き合いに出し、漱石が人生や幸福についてどう考えていたのかを、小説の主人公の語った言葉から読み解き、解説している。 第7章で紹介されるデンマークの作家ヤンネ・テラーの「人生なんて無意...
「悩む力」に続いて読んでみた。 幸福とは何か、について書かれている。 前作に続いて夏目漱石の小説を引き合いに出し、漱石が人生や幸福についてどう考えていたのかを、小説の主人公の語った言葉から読み解き、解説している。 第7章で紹介されるデンマークの作家ヤンネ・テラーの「人生なんて無意味だ」と、終章で解説される、フランクルの人生の3つの価値の中の「態度」は心に残った。
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前著「悩む力」より今の時代・人に寄り添った提言だった。 過去を大切にしようというのが一番印象的であり自分に刻まれたメッセージになった。
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