湿地 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ここに出てくる遺伝子疾患について認識が雑だと感じた(軽度ですが自身がレックです) 神経線維腫症は1型と2型がありレックリングハウゼン病と称されるのは1型のみです。 1型と2型は別の病気です。異常がみられる染色体も別です。 しかしこの小説では混ざって書かれている印象を受けました。 また人によって症状の差はかなりあり、確かに神経があるところであれば腫瘍はどこにでも出来る可能性のある病気です。 同じ家系だとしてもそれぞれ症状の度合いは異なると思うのでのでそんなに死ぬことはないと思います(腫瘍はどこにでも出来ても悪性の確率は低いです)し1型であれば腫瘍は小さい頃に出来ることは稀なのではないかと思います(医者ではないのでわかりませんが思春期頃から肌等に神経線維腫が出てきます、外見から見えない部分もこの頃以降じゃないのかと思います) 2型であれば子供の頃に発症し腫瘍が出来る可能性があるのだったと記憶しております。 レックリングハウゼン病は男女で差があるとしたら乳がんのリスク差くらいしか聞いたことありません。 また家系でこの病気がなくとも突然発現することもありますし家系でいても親から遺伝する確率は50%であり兄弟姉妹であっても絶対みんなに遺伝するわけではありません。 医者ではないので私も間違えている部分等あるかもしれませんがたまたま読んだ小説がわりとキーになるであろう部分でもやもやしたのでここに書いてしまいました。 もやもやした以外のストーリーとしてはおもしろかったです。
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アイルランドのミステリー。とても読みやすく面白かった。翻訳も良いのだと思う。単なる殺人事件と思いきや恐ろしく悲しい事実が次々に明らかになっていく、その過程にドキドキしました。
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ひまわりめろんさんのレビュー見て、おもしろそうなシリーズものだなーと思って借りてみました。 北欧はアイスランドを舞台にしたミステリー。 世界40ヵ国で紹介され、シリーズ全体で700万部突破! ガラスの鍵賞を2年連続受賞。 CWAゴールドダガー賞受賞。 だそう。 なんかこうい...
ひまわりめろんさんのレビュー見て、おもしろそうなシリーズものだなーと思って借りてみました。 北欧はアイスランドを舞台にしたミステリー。 世界40ヵ国で紹介され、シリーズ全体で700万部突破! ガラスの鍵賞を2年連続受賞。 CWAゴールドダガー賞受賞。 だそう。 なんかこういうの書いてると前フリみたいで嫌なんだけど(笑) う~ん。普通のミステリー(笑) ★2か3か迷ったけど、魅力はそこそこだが特に瑕疵もなかったということで★3。 ガラスの灰皿で殴られて殺された老人が見つかって、よくある強盗とかの普通の殺人とか思いきや、へんなメッセージの紙切れがあって。そこからどんどん奥が深くなっていきます。 読みやすいし、展開も早いし、300ページくらいだから楽なんだけど。 ストーリーはともかくとして、キャラクターがちょっと弱いんだよなー。 主人公の捜査官は特にこれといった特徴もないし、一緒に捜査する2人なんてもっと特徴らしきものがない。 主人公は離婚しているおっさんだが、転がり込んできた娘が実はヤク中で、その娘になぜか事件の経緯を説明してるのが意味わからんかったな。殺人事件の経緯なんて、そんなこと家族に話しちゃいかんだろ。 訳者あとがきで、訳者がアイスランドを訪れた話がおもしろかった。 作品の中でも雨の場面が多かったが、アイスランドはとにかく天気が良く変わるらしい。 編集者によると一日で5つの天気を経験することも良くあるとか。 そのぶん太陽への憧れはとても強いらしくて、一年にわずかしかない一日中快晴の日には、商店や会社は「本日快晴につき休業」と張り出して、太陽に顔を向けて外に座っているのだそうだ。ホンマかいな。 おもしろい。 一日快晴が珍しくて休みになるなんて。 まあ、でも外で仕事なんかしてると天気が良いってのが何よりありがたいのはわかる。 でも、そんなに天気が悪い国なんて住みたくないなー。 住む予定もないけど。 逆に向こうからしたら日本なんてしょっちゅう地震が起きるから恐くて住みたくないって言うかもだがな(笑) このシリーズは、残念だがもういいかな。 表紙はいい雰囲気で好きなんだけど。
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北欧ミステリ独特の寒そうで陰鬱な感じが好きでいくつか読んだが、アイスランド作品は初めて。ヴァイキングか歌手のビョークぐらいしか知らなかったが、人口僅か32万人で治安の良さは世界トップクラス、あとがきによれば苗字という概念はなく皆ファーストネームのみを使い、外からの影響が少ない単一...
北欧ミステリ独特の寒そうで陰鬱な感じが好きでいくつか読んだが、アイスランド作品は初めて。ヴァイキングか歌手のビョークぐらいしか知らなかったが、人口僅か32万人で治安の良さは世界トップクラス、あとがきによれば苗字という概念はなく皆ファーストネームのみを使い、外からの影響が少ない単一民族なので遺伝子研究に最適、と本土の北欧諸国と違う文化風土に驚いた。殺人者も刑事もそれぞれが親子の「血の繋がり」を巡る重く哀しい苦悩を抱える様は、アイスランド犯罪小説らしさであると同時に、日本人にも共感できる部分が多いと思った。
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レイキャビク2001年、男が自室アパートで殺されて発見。70才前後、血が流れたそばにはガラスの灰皿が落ちていた。調べが進むうち、殺された男ホルベルクのおぞましき過去が露わになる。現場に残された紙片にあった「あいつ は ・・」という言葉、この言葉こそこの犯罪の要なのだが、あまりにも...
レイキャビク2001年、男が自室アパートで殺されて発見。70才前後、血が流れたそばにはガラスの灰皿が落ちていた。調べが進むうち、殺された男ホルベルクのおぞましき過去が露わになる。現場に残された紙片にあった「あいつ は ・・」という言葉、この言葉こそこの犯罪の要なのだが、あまりにも悲しすぎる。 刑事たちは30年前の男の過去を調べる。人口30万人のアイスランドだからできるのか、その遺伝子情報データが一か所にそろっているのだ。ここで露わになる事実には目を背けたい。しかし、執拗な描写は、巻末の著者の弁によれば、「私は女性に対する暴力の正体を男たちに知らせたい」のだという。そして「犯罪小説は、”人間の条件(human condition)を描く文学、すなわち、ある人物が自分や周りの人々の人生を良くしようとしてしたこと、ないしはしなかったことを描く文学であり、常に自作ではそれを心がけている」のだという。 あまり情報の入らないレイキャビクやアイスランドの暮らしがちょいちょいと描かれる。最初にレイキャビクの市街地図が載っていて、殺されたのはノルデュルミリという地区で「北の湿地」という意味。広そうなレイキャビク美術館に接していて、少し行くと絶景建築写真集などで見た、「ハルグリムス教会」などもある。 調査で分かったこととして語られるのは、ノルデュルミリに半地下のあるアパート群があり、そこの建物は戦時中と戦後にたてられた。アイスランドは独立し、通りの名前はアイスランドの英雄伝説(サーガ)からつけられた。この街には貧富、あらゆる種類の人間が集まり、湿地には金のない人が住んだ。建物の所有者が地下に下働きの者を住まわせ、それがアパートになった。 訳者あとがき アイスランドは874年にノルウェー人バイキングが乗りこんで、それまで無人島だった島にスコットランドとアイルランドのケルト人とともに定住。世界最古の議会アイシンクも設けられたが13世紀以降ノルウェーとデンマークの.支配下に置かれる。19世紀に独立運動が起き、1874年にアイスランド自治法が制定されたが、その後もデンマークの支配下に置かれ、1944年に共和国として完全独立を果たす。国土は北海道と四国を合わせたくらい。人口32万。 アイスランド語はアイスランドの人口32万人のみが使っている言語で、訳者はスウェーデン語に訳されたものから日本語にしている。共に古ノルド語を土台としていて言葉のニュアンスや雰囲気が近い。またファーストネームが正称で、姓のほうは一般に使われない。 レイキャビク警察犯罪捜査官のエーレンデュルの元、配下のエーリンボルク、シグルデュル=オーリが捜査に当たる。エーリンボルクは女性。う~ん、発音しづらくて覚えずらい・・ ☆早川海外ミステリハンドブック2015:北欧ミステリ 2000年発表 2012.6.15初版 図書館
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いやはや困った またしても追いかけたい作家さんが増えてしまった このボリュームでこれほど深みのある作品を生み出せるなんてとても稀有な作家さんであると言わねばならない 良質な海外ミステリを読みたいけれど600ページを超えるような大長編はちょっと…という方に是非お勧めしたい 物...
いやはや困った またしても追いかけたい作家さんが増えてしまった このボリュームでこれほど深みのある作品を生み出せるなんてとても稀有な作家さんであると言わねばならない 良質な海外ミステリを読みたいけれど600ページを超えるような大長編はちょっと…という方に是非お勧めしたい 物語はほぼほぼ一本道と言っていい 複数の事件が複雑に絡み合ったり、次々と容疑者が現れたり、突然舞台がカリフォルニアに移ったり、どんでん返しに次ぐどんでん返しが巻き起こったりはしない ただしその道は最初から最後まで“湿地“に覆われている そんな気にさせる悲劇の物語でした また、物語の根幹はアイスランドという国が持つちょっと特殊な背景に根差していると思います どういった背景かも物語全体から感じらます そして主人公である老練な刑事エーレンデュル、彼自身家族に問題を抱えていて悩み苦しみ、自分の弱さを認めながらも少しづつ前に進もうとします そんな彼のこの先を見続けたいとも思いました
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アイスランド作家によるアイスランドを舞台にした地に足のついた骨太の社会派ミステリ。司馬さんを彷彿とさせる質実剛健なカラリとした文体で淡々と描かれていて読みやすいです。内容に派手さは無く、身近で根深い問題が丁寧に(時には執拗なまでに)細部まで再現されており、自分が体験したことではな...
アイスランド作家によるアイスランドを舞台にした地に足のついた骨太の社会派ミステリ。司馬さんを彷彿とさせる質実剛健なカラリとした文体で淡々と描かれていて読みやすいです。内容に派手さは無く、身近で根深い問題が丁寧に(時には執拗なまでに)細部まで再現されており、自分が体験したことではないのに身につまされるような見事な筆致でした。本国ではこの作品の前に2冊同シリーズが出ているそうですが、日本語で読めるのは文学賞を受賞したこの作品以降からのようです。翻訳者によるアイスランドの歴史と社会の解説と、原作者へのインタビューの抜粋もとても良かったです。主人公エーレンデュルは昔気質の男やもめで、別れた家族と確執を抱え、自身の生い立ちにも悲しい過去があるらしく、これらはシリーズを通したテーマになっているようです。満足して読了しました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
次々と事実が浮き彫りになっていく構成。 強姦シーンは胸糞悪く、解決シーンもやはり救われないない。それでも緑衣の女よりはライトだった。親は選べないのだから大変だ。 展開が次々進むためサクサク読める。
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タイトルの通り、アイスランドの影の部分、暗く、じめっとしていて、陰鬱な印象。 天気も雨ばかりで、晴れ間が覗くような明るいシーンはない。 でも惹き込まれる。読んでいて辛いのに読みたくなる。 それも、訳者あとがきを読んで納得した。 「アーナルデュルの作品にはいつも歴史的な洞察がある...
タイトルの通り、アイスランドの影の部分、暗く、じめっとしていて、陰鬱な印象。 天気も雨ばかりで、晴れ間が覗くような明るいシーンはない。 でも惹き込まれる。読んでいて辛いのに読みたくなる。 それも、訳者あとがきを読んで納得した。 「アーナルデュルの作品にはいつも歴史的な洞察がある。今回の『湿地』も、レイキャヴィクというこの国最大の都市の北側が第二次世界大戦の前後にレイキャヴィクに流れ込んで来た人々のために開かれた居住地で、もともとは湿地帯であること、その湿った地下に貧しい人々の居住があったことが物語の背景にある。」 なるほど、事実としてある歴史的背景をもとに、社会全体の問題を問うような犯罪を描いているから、こんなに惹き込まれるのか。 さらに、アーナルデュルはアイスランドの伝統文学であるサーガに書かれたような、短く簡潔な表現を目指しているという。 形容詞をいくつも並べたりせず、簡潔で的確な表現を心がけているからか、慣れない地名や人名があっても読みやすい。 犯人の残した<おれはあいつ>という謎のメモ書き。 その真相がわかったとき、犯人の「俺たちが最後だ」「それも終わりだ」という言葉にやり場のない怒りを感じ、胸が塞がる思いがする。 それでも、人の暮らし、平和な日常、家族が一番大切だと思っているからこそ、その大切なものが壊されるのはなぜなのかを描く、アーナルデュルのミステリをまた読みたくなってしまう。
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シンプルな文体でさくさく読める。 暗くて思いテーマ。 あとがきに納得。 世の中には納得出来ないことが沢山ある。 それとどう折り合いをつけて生きていくのか。
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