氷点(下) の商品レビュー
環境によって人は左右されるとも思えたし、環境が変わったところで、結局自分は自分でしかなくて、どんな環境に置かれようと同じような結末を迎えるのかもしれないとも思えた。
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辻口家の養女 陽子が高校2年生になるまでの物語。小4で貰い子だと知ってしまい、今まで以上に真っ直ぐ育っていこうと決意したり、初めて恋をしたり、犯罪者の子だと知ってしまったり。 陽子が真面目で健やかに育てば育つほど気に食わない母の夏枝。実の娘を殺した犯人の娘が幸せに生きている事...
辻口家の養女 陽子が高校2年生になるまでの物語。小4で貰い子だと知ってしまい、今まで以上に真っ直ぐ育っていこうと決意したり、初めて恋をしたり、犯罪者の子だと知ってしまったり。 陽子が真面目で健やかに育てば育つほど気に食わない母の夏枝。実の娘を殺した犯人の娘が幸せに生きている事への苛立ちや、若く美しい女性へと成長している陽子への女としての嫉妬を抱え生きている。 辛かったけど、面白かったです。 昭和21年頃に生まれた女の子達の高校卒業後の進路とか、当時の生活とか。『氷点』ってタイトルの付け方も秀逸。
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あぁあぁ…。 救いようのない結末。 残るのは「悲しみ」と「人間の醜さ」。 上下巻ともに、登場人物の想いが揺れ動いて、あっちに行ったりこっちに行ったり…。 憎しみの感情に支配されたかと思いきや、ダラダラと普通の日常を過ごしてみたり。 途中で、同じような内容(心の動き)が続くから...
あぁあぁ…。 救いようのない結末。 残るのは「悲しみ」と「人間の醜さ」。 上下巻ともに、登場人物の想いが揺れ動いて、あっちに行ったりこっちに行ったり…。 憎しみの感情に支配されたかと思いきや、ダラダラと普通の日常を過ごしてみたり。 途中で、同じような内容(心の動き)が続くから中弛みするような感覚に陥るけど、でも人間の気持ちって行ったり来たりするから、それはそれでリアリティがある気もした。 夏枝の精神年齢の低さにはイライラしたが。 解説にあった、原罪がベースにあることを知って、納得。 どんな人間でも清らかな人はいないと感じさせてくれる生々しい本だった。 陽子ですら実際に罪を犯していなくても、罪を背負っているような気持ちになる感覚を指す「原罪意識」も持っているのだ。 ★よそ目には、幸せそうな夫婦に見えていたかも知れないが・・・・・・。とにかく心の底をぶちまけていま得たものは、他人よりも遠い二人であったということだった
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夏江の女性であるがゆえの嫉妬心がとても剥き出しになった回だった。誰しも罪を持って生きている。遠い親戚をたどれば犯罪を犯した人がいるという文章が印象的だった。赦しとは何かと考えさせられた。
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忘れられない作品になった。 自分を貶めようとする母の存在に対する、真っ直ぐ生きようとする意地。それは自分の存在に曇りがないことを確証してこそのものだった。「陽子」が氷点を自覚した遺書が強烈だった。母を一切責めない陽子に、夏江は何を取っても勝てないのだと思った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
妻が逢引きをしている間に3歳の愛娘を殺害された夫の啓造は、妻への復讐のために殺人犯の子供を養子として引き取り育てていく、、。啓造も夏枝も最低!!子供は自分の親を選ぶことが出来ないのに、娘の仇と言わんばかりに陽子を憎み、いじめ、真に愛すこともなく見放し、健やかに生きる邪魔をする。法を犯さなければ何をしても良いのか?自分が被害者家族だったら何の罪もない加害者家族に何をしても良いのか?散々いじめておいて被害者面するのもいい加減にしてほしい。啓造は成長した陽子に発情するし、夏枝は陽子の恋人に色目を使う。そんな2人を恨まずに育ててくれてありがとうと感謝する陽子を見習ってほしいくらい。最後は夏枝も謝ってたけど、陽子が犯人の娘でなかったと分かったから謝ってたのにモヤモヤする。たとえ犯人の娘だろうが娘じゃなかろうが両親が陽子に対して行っていた仕打ちは責められるべきだし謝らなきゃいけないことでしょ。巻き込まれた徹も北原も可哀想。どうか陽子が、徹が、北原が、穏やかに過ごせますように。
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辻口家に巻き込まれて、なんの罪もない陽子が苦しまなければいけないのは、読んでいて本当につらかった。 面白いという言葉だと軽すぎる気がしてしっくりはこないけど、人間の汚い部分が生々しく描かれていてすごく面白かった。
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なんとも言えない読後感 陽子はひたすらに純粋であり、周りの人物は自分本位の考え方で構築されていてある意味では純粋さがある こんなに、ヤキモキ・イライラしているのに読み進めてしまうのは小説としての面白さ そこにある、「自分の中にもある自己中心的で、他人に嫉妬する」気持ちに思い当たる...
なんとも言えない読後感 陽子はひたすらに純粋であり、周りの人物は自分本位の考え方で構築されていてある意味では純粋さがある こんなに、ヤキモキ・イライラしているのに読み進めてしまうのは小説としての面白さ そこにある、「自分の中にもある自己中心的で、他人に嫉妬する」気持ちに思い当たるからだろうと思う 目が離せないのだ、彼らの行く末に その彼らの行く末に、自分の未来を重ねてしまうから [読了短歌] 晒される 私の中の 醜さが せめてあなたの 心とければ
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下巻。 夏枝の陽子への陰湿な嫌がらせはエスカレートしていき、兄の徹は陽子を愛する思いを自制するために友人の北原を陽子に紹介する。やがて北原と陽子はお互い惹かれあうが、嫉妬に狂った夏枝がついに北原と陽子の前で、出生の秘密を明かしてしまう… 高木…お前ってやつは…!!!!(読了後の...
下巻。 夏枝の陽子への陰湿な嫌がらせはエスカレートしていき、兄の徹は陽子を愛する思いを自制するために友人の北原を陽子に紹介する。やがて北原と陽子はお互い惹かれあうが、嫉妬に狂った夏枝がついに北原と陽子の前で、出生の秘密を明かしてしまう… 高木…お前ってやつは…!!!!(読了後の第一声) 下巻では夏枝がいよいよ醜怪な人物に思えて嫌悪感がすごかった。特に北原に色目を使って陽子から奪い取ろうとしたところにドン引きした。夏枝が陽子に冷たく当たるようになったのと反対に、父の啓造は陽子に優しくなってきた…と思ったら陽子の脚を見て欲情しててもうダメだこいつら……。辰子さんだけは最後まで気持ちのいい人物だったなぁ。 自分の罪を知り、死を選んだ陽子。続編があるってことは陽子は一命をとりとめるんだろうけど、陽子にとってそれは幸せなことなんだろうか…と思った。 とりあえず続編も読みたいと思います。
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