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ナチスのキッチン の商品レビュー

3.8

15件のお客様レビュー

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2024/09/13

人間に台所を埋め込み、台所に人間を埋め込む。 その対象となったのは、人と認められていなかったユダヤ人(パンと水のようなスープで働く安価な労働者)→(効率、利益を求めた社会に被害者)であり、戦争のために利用された国民(主婦、女性)たちであった。テイラー主義の元、無駄をなくすため国や...

人間に台所を埋め込み、台所に人間を埋め込む。 その対象となったのは、人と認められていなかったユダヤ人(パンと水のようなスープで働く安価な労働者)→(効率、利益を求めた社会に被害者)であり、戦争のために利用された国民(主婦、女性)たちであった。テイラー主義の元、無駄をなくすため国や企業によってなされた策(アイントプフの日曜日、無駄なくせ闘争など)、それぞれに思惑があった。システム化されたキッチンは、台所の労働者を解放するものではなく、新たな作業とコストの悪循環へ誘うものであった。女性政策(第一次世界大戦を受けて無駄と戦う)の主婦に向けた闘争の十ヶ条の中には、現代の地産地消運動やエコロジー運動に通ずるものもあった。しかしながらこうしたものが、政府のプロパガンダによって、戦争に向けさせる思想が民衆の台所ひいては、食に埋め込まれていた。 こういうこと..?

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2021/08/01

健康的な食事も健康な兵士を作るための国策だったという点は強調されるべきでしょう。ただ、キッチンやレシピなど調理の効率化のための具体的なソリューションを提示するところは、「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」の大日本帝国よりは相対的には科学的と言えるでしょう。

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2021/03/08

ナチス政権下におけるドイツの日々の食卓の風景を取りあげた一冊。 所蔵情報: 品川図書館 383.9/F56

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2017/10/16

正直、頑張って読みました。ドイツのキッチンの歴史がまとまっているのだが、そもそも本書の目的がイマイチ不明。ナチスを批判したいのか、女性の社会的地位の向上を訴えたいのか。ただ歴史を語りたいだけなのか。そもそも私に理解する能力があるのか?

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2015/08/14

初めて「学術論文」なる書籍に挑戦。う~~~ん、長かった。笑 前半はゆるゆる、台所にナチスが絡み始めたあたりからどんどん読み進められた感じ。所々「ん??」もちらほら。

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2013/09/27

人は台所に何を求め、台所はどのように変遷してきたのか。ナチスの時代を挟む現代ドイツの台所史を通して、「食」のあり方を考える。 本書で論考されるのは、主に、1919年から1945年のドイツ台所史である。ドイツの、ではあるが、日本の公団のダイニング・キッチンは1920年代のドイツの...

人は台所に何を求め、台所はどのように変遷してきたのか。ナチスの時代を挟む現代ドイツの台所史を通して、「食」のあり方を考える。 本書で論考されるのは、主に、1919年から1945年のドイツ台所史である。ドイツの、ではあるが、日本の公団のダイニング・キッチンは1920年代のドイツのキッチンをモデルとしており、現在使用されている「システムキッチン」もまた、源流は20世紀前半のドイツにあるとのことであり、日本にもあながち無縁な話ではない。 近代以前の時代では、竈は密閉された形ではなく、台所には煙と煤がつきものだった。時代が下るにつれ、竈はしっかりと覆われていき、燃料を過剰に使用する必要がなくなり、また調理時間も短縮される。排煙設備も発達するため、煙や煤が家の中にこもることもなくなり、台所と居間の境目がなくなっていく。 都市化の流れのなかで、台所に充てられる空間は狭くなり、技術の進歩と相まって、コンパクトなキッチンが生まれていく。 一方で、この頃、何家庭かが台所を共有して省力化を図るセントラルキッチンの試みもなされたが、大きな成功は収めなかった。 調理器具がテクノロジー化され、加工食品なども生まれてくると、台所は市場化の波にさらされていく。商業化の一端は、レシピ本にも現れる。電機企業のために電気釜を使ったメニューを載せたり、チョコレート製造業のためにチョコレートのレシピを載せたり、といった具合である。 この時代は、家政学が発展してきた時代でもあった。台所環境の変動に合わせ、家事マニュアルが登場し、家庭を「マネジメント」するという観点が生まれる。なかでも、テイラー主義と結びつけられた家政学が注目される。テイラー主義とは、アメリカの機械技師、フレデリック・ウィンスロー・テイラーが提唱したもので、科学的見地に基づき労働改善を行おうという理論・運動である。要するに合理化・効率化と言ってよいだろう。調理器具や食器の配置、動線の考察、作業をするときの姿勢など、当時の研究者による、実に細かい考察が残されている。 こうした流れのなかで、ナチス政権時代に移り、世界は第二次世界大戦へと向かっていく。 ナチスの支配は家の中にも及び、台所にもプロパガンダが入り込んでくる。 曰く、台所は「戦場」であり調理器具は「武器」である。主婦もまた、国家のために闘う兵士というわけである。ドイツの食材を使い、無駄をなくし、合理的・効率的に家政を行うべきである。優れた主婦は「マイスター」の称号を得、一方、「不良」主婦は「教育施設」に入れられることもあった。主婦の世界にもヒエラルキーが導入されたわけである。そして、さらに下層に非アーリア系の女性たちが据えられ、ドイツ式の家事を押しつけられていった。 戦時下には、レシピ本にも、残り物を使った料理やアイントプフと呼ばれる節約・煮込み料理が登場してくる(アイントプフは日曜日の節約料理として推奨され、皆が安価で素朴な料理を食べるプロパガンダとして利用された)。マギーやクノールのスープの素などもこの頃、盛んに使われており、プロパガンダとしてのレシピ本にも、特定企業のブイヨンの名前が出てくる。ナチスと企業(=政治と経済)の結びつきもまた、無視できない側面であったのだろう。 個人的には本書を読んでいて、近代化の流れのなかで、ナチスの登場が台所の姿を強い力でねじ曲げていったような印象を受けた。 この本の主題は1945年までなので、これ以降どうなったかはまた別の話となる。 食はある意味、面倒である。ある程度定期的に取らねばならないし、そのたびに準備せねばならない。 しかし、面倒だからといって効率だけに流されては、無味乾燥になってしまう。 楽しく食べるということと合理化・効率化は、最後のところで相容れないものがあるのだろう、とぼんやりと思う。 収容所での「食」に触れた、あとがき代わりの著者の一文は重い。食べるものを失った収容者たちは、自らの体の栄養分を自ら消費していくしかなかった。最後には、自らの身体をもはや「ただの肉」としか感じられなかったというのである。それはある意味、究極のキッチンの合理化ではないか、と著者は問う。 現代の食事情の中で、「ナチスのキッチン」をどのように捉えればよいのか、なかなか整理がつかないのだが、この一文を書かずにはいられなかった著者の思いの強さを感じつつ、自分もまた、引き続き考え続けていきたいと思う。 *関連書 ・『戦争と飢餓』 ・『HHhH』

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2013/05/20

第一次世界大戦〜第二次世界大戦の間のドイツの「台所」事情を、様々な資料を元に分析した本。タイトルになっているナチス時代の台所事情は衝撃的。

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2013/04/08

序章 台所の環境思想史 第1章 台所空間の「工場」化 第2章 調理道具のテクノロジー化 第3章 家政学の挑戦 第4章 レシピの思想史 第5章 台所のナチ化 終章 来たるべき台所のために 「食べること」の救出に向けて

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2012/11/08

【今日の一冊】383.9||F56 ナチス支配体性下で,人間と食をめぐる関係を記している。 http://www.auelib.aichi-edu.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00596046&initFlg=_RESULT_SET...

【今日の一冊】383.9||F56 ナチス支配体性下で,人間と食をめぐる関係を記している。 http://www.auelib.aichi-edu.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00596046&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

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2012/10/03

レシピも載っているし、建築の本でもあるし、歴史の記録でもある。 ナチスのイデオロギーと、実際に起こった台所空間の「工場化」の話。 かけ声が記号化し、先鋭化していく。豊かなレシピが栄養摂取を目的とした単一の目的になる。 台所もしかり。人はその一部品。政策が台所を通じて人を支配して...

レシピも載っているし、建築の本でもあるし、歴史の記録でもある。 ナチスのイデオロギーと、実際に起こった台所空間の「工場化」の話。 かけ声が記号化し、先鋭化していく。豊かなレシピが栄養摂取を目的とした単一の目的になる。 台所もしかり。人はその一部品。政策が台所を通じて人を支配していく様。 うーん。これはナチズムだけで起きていることなのか? 裏を返せば、キッチンから人を通じて社会にコミットしていくことも出来るはず。 がんばろう、ちゃんとした台所をつくっている人たち!

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