炎環 新装版 の商品レビュー
少し古い本ですが、十分面白い。登場人物が多いですが大河を観ていたので良かった。鎌倉時代に馴染みがないと予習が必要です。
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1964年の直木賞受賞作です。 大河ドラマの原作にもなっています。 おそらく史実に忠実に、でも、感情面は作者なりの解釈で描かれていると思います。 鎌倉幕府がいかにして成立したかが、よく分かりました。
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TNさんのお勧め。 「この世をば」と同じ作者。 鎌倉幕府創世期を、4人の主人公、 頼朝の異母弟全成、御家人筆頭の梶原景時、 政子の妹保子、そして北条義時の視点から描かれていた。 現在進行形で見ている大河ドラマの先達として読んだ「この世をば」とは違って、 今回は既に見た大河ドラ...
TNさんのお勧め。 「この世をば」と同じ作者。 鎌倉幕府創世期を、4人の主人公、 頼朝の異母弟全成、御家人筆頭の梶原景時、 政子の妹保子、そして北条義時の視点から描かれていた。 現在進行形で見ている大河ドラマの先達として読んだ「この世をば」とは違って、 今回は既に見た大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を思い起こしながら読むことになった。 すでに顔が判っているというとおかしな表現だが、 俳優さんをあてはめて読んでいけるので、登場人物が把握しやすかった。 もちろん、演じていた俳優さんを思い出せずに、誰だったか気になって調べてしまう人もいた。 ドラマとこの本の人物像の違いはそのままに見た目はドラマで見た俳優さんの姿を借りながら、 それはそれ、これはこれと二重焦点で読み進めていくのは、 不快ではない不思議な感覚だった。 自分がこの時代に詳しくなく、大河ドラマで詳細を知ったための勝手な感覚だとは思うが、 この作品での人物像の描き方が自然体でかつ確固としたものだったからだろう。 面白かった。 気になったのは。途中でさらりと「独裁好きな日本人の歴史の中で」と書かれていたこと。 逆かと思っていたので、そこを詳しく解説してほしい。
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1964年下半期の直木賞受賞作で大河ドラマ『草燃える』の原作のひとつになった作品だそう。鎌倉幕府創成期のお話。 『草燃える』は観てないので、やっぱり『鎌倉殿の13人』が思い浮かぶ。人物像が全然違うのかな?と思っていたけど、案外、自分の持っていたイメージと遠からずだった。 章ごとに...
1964年下半期の直木賞受賞作で大河ドラマ『草燃える』の原作のひとつになった作品だそう。鎌倉幕府創成期のお話。 『草燃える』は観てないので、やっぱり『鎌倉殿の13人』が思い浮かぶ。人物像が全然違うのかな?と思っていたけど、案外、自分の持っていたイメージと遠からずだった。 章ごとに主役が変わり、それぞれ全成、梶原景時、北条保子(阿波局)、北条義時を中心に語られる。読み始めは、拍子抜けするほどあっさり話が進む。でも同じ出来事を視点を変えて語られるごとに厚みが増していき、読み進むほどにこの小説の凄さを感じた。 ドラマ観てたから、すごく面白かった。 文章は読みやすいけど、登場人物も多いし予備知識ゼロだとちょっと難しいかなと思う。
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1964年の直木賞受賞作品。鎌倉時代の歴史小説。物語は四つに分かれそれぞれ阿野全成、梶原景時、北条政子と保子姉妹、北条四郎義時を中心に描かれている。冷静な描写と表現は歴史小説というより、ノンフィクションを読んでいるよう。全てを読み終えると鎌倉幕府、源頼朝、北条家などが立体的に浮か...
1964年の直木賞受賞作品。鎌倉時代の歴史小説。物語は四つに分かれそれぞれ阿野全成、梶原景時、北条政子と保子姉妹、北条四郎義時を中心に描かれている。冷静な描写と表現は歴史小説というより、ノンフィクションを読んでいるよう。全てを読み終えると鎌倉幕府、源頼朝、北条家などが立体的に浮かび上がってきて面白い。ただ歴史に造詣が深くないと少しハードルが高くなるのだけが残念(←私だ)。 同じ直木賞受賞作品で、松井今朝子「吉原手引草」が少し似た構成で物語を魅力的に読ませていたのを思い出した。
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武士政権として誕生した鎌倉幕府ですが、これまでは源頼朝が「坂東の武士たちよ我についてこい」的につくったとものだと思っていました。 しかし、この本を読んで頼朝の辣腕以上に頼朝の取り巻きの者たちの権謀術数が幾重にもかさなり、それがつながった結果できた幕府なんだと自分には思えました。
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2022年NHK大河ドラマ、鎌倉殿の13人関連の一冊として。 好きな鎌倉時代を改めて読む。 頼朝嫌い、北条嫌いは変わらないが、歴史を身近に感じて面白かった。新たな人物発見にもなった。 やはり歴史の影に女性あり! 政子の妹の阿波局が気になる!
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鎌倉殿の13人に影響されて読みました。 戦国時代と違って基礎知識が少ない為登場人物が多いとその人物の貢献度がイマイチわからない。 登場人物の樹形図が欲しいところ。
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読み終えると表題がしっくりきます。炎(命)の交わりと終わりなき連鎖。時には真っ赤に、時には青白く、勢いよく燃え上がったと思えば消えてゆく。其々の思いから発せられる言動が連鎖して一つの流れをつくり、それらが絡まり合って時代を作る。鎌倉の中枢で生きる人々の生き様を個々の視点で見せる物...
読み終えると表題がしっくりきます。炎(命)の交わりと終わりなき連鎖。時には真っ赤に、時には青白く、勢いよく燃え上がったと思えば消えてゆく。其々の思いから発せられる言動が連鎖して一つの流れをつくり、それらが絡まり合って時代を作る。鎌倉の中枢で生きる人々の生き様を個々の視点で見せる物語です。 人の思いの暗部にそれとなくスポットライトをあてた様な文面はホラー小説を読んでいるかのようなゾワッとした気持ちにさせられます。 阿波局(保子)は助演女優賞級のいい味出してます。
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『鎌倉殿の13人』放映時にTwitterで紹介されていて気になっていた本。 世田谷の図書館には全集しかなかったのですが、こちらの図書館の棚には普通に文庫が置いてありました。 『悪禅師』全成 『黒雪賦』梶原景時 『いもうと』北条保子(『鎌倉殿』の実衣) 『覇樹』北条義時 鎌倉時...
『鎌倉殿の13人』放映時にTwitterで紹介されていて気になっていた本。 世田谷の図書館には全集しかなかったのですが、こちらの図書館の棚には普通に文庫が置いてありました。 『悪禅師』全成 『黒雪賦』梶原景時 『いもうと』北条保子(『鎌倉殿』の実衣) 『覇樹』北条義時 鎌倉時代を舞台に4人それぞれを主人公にした短編集。 あとがきいわく 「この四編は、それぞれ長編の一章でもなく、独立した短編でもありません。一台の馬車につけられた数頭の馬が、思い思いの方向に車を引張ろうとするように、一人一人が主役のつもりでひしめきあい傷つけあううちに、いつの間にか流れが変えられてゆく──そうした歴史というものを描くための一つの試みとして、こんな形をとってみました。」 それぞれの短編が絡み合うわけでもなく、でもひとつでは成立しない、かといって四編読み終わっても完結した感じがしない。 そもそもこの主人公4人のセレクトが『鎌倉殿』を見た今なら「おー」と思うものの、なんとも地味。 源頼朝や義経ではなく全成。北条政子ではなく、保子、義時。 また全員が心の内が読みにくい人物で、男性陣は無口だし、保子はおしゃべりの裏で最後まで本心がわからない不気味さがあります。 頼朝の旗揚げから長い年月を静かな野心を持ちつつ、かなえられることなく死んでいく。 権力の頂点に立ったはずの義時ですら幸せそうにはみえない。 小説としては不完全燃焼のような気もするし、そこが良いという気もする。 「ふっと夜の底の音を探るような目をしてから」のような表現が心に残りました。 (『鎌倉殿』のベースがないと次々に起こる権力闘争についていけないんですが、歴史小説を読む人にはここらへんは当たり前なのか。) 『炎環』は1964年の作品で永井路子の最初の単行本。直木賞受賞作です。 『北条政子』が1969年なので、政子より先に保子が描かれているという。 大河ドラマ『草燃える』の放送が1979年。 景時の人物像などは『鎌倉殿』にも通じるものがある気がします。 解説を読んではじめて永井路子が川端康成の担当編集者だったことを知りました。 解説を書いている進藤純考も同じく川端康成の担当編集者だったそうですが、解説の文章が「彼女の小柄なからだに影落ちているつつましやかな知性が、豊かな気息をもって私に迫った。」とか、ただの編集者にしては巧みな、と思ったら文芸評論や随筆なども書かれてる方なんですね。それともこのレベルでないと川端康成の担当はつとまらないのか。 316 五郎が言ったとき、四郎は微笑を消し、ふっと夜の底の音を探るような目をしてから、 「ちょっと待て」 短く言った。
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