1,800円以上の注文で送料無料

女が嘘をつくとき の商品レビュー

3.9

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    7

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/11/03

図書館のロシアのコーナーで気になり手に取った1冊。 6話の短編からなり、各話に嘘をつく女が必ず出てくる。そして全てにジェーニャという女性が関与している。 当時のソ連情勢と共に毎話ジェーニャの置かれる状況は変化しており、メインとなる女性に対するジェーニャの態度も変化していた。読後...

図書館のロシアのコーナーで気になり手に取った1冊。 6話の短編からなり、各話に嘘をつく女が必ず出てくる。そして全てにジェーニャという女性が関与している。 当時のソ連情勢と共に毎話ジェーニャの置かれる状況は変化しており、メインとなる女性に対するジェーニャの態度も変化していた。読後感は決して良くなく、非常に考えさせられたが面白かったと感じる。 想像以上に私にハマった1冊だった。 この女たちの嘘は必要悪。救いなのだ。 ソ連~ロシアには必要悪のようなテーマが多いような気がする。近代のこの国の歴史を思えば当たり前なのかもしれない。

Posted byブクログ

2019/07/30

随分以前にチェックしてた本。なにが気になったのかさえ忘れてしまった。 連作短編とされているけれど、結構バラバラ。あまり、まとまりはなかった。 そしてやはり、どうも翻訳物は苦手だ。 4作目の「自然現象」が良かった。 5と6があんまりだったので、全体的にも印象があんまりになってしまっ...

随分以前にチェックしてた本。なにが気になったのかさえ忘れてしまった。 連作短編とされているけれど、結構バラバラ。あまり、まとまりはなかった。 そしてやはり、どうも翻訳物は苦手だ。 4作目の「自然現象」が良かった。 5と6があんまりだったので、全体的にも印象があんまりになってしまった。

Posted byブクログ

2019/02/10

作者が生まれ育った人口密度によって文章のキチキチコセコセ感も決定されるような気がする。ロシアなのでゆったり。遊牧民は「建前」がないらしい。常に移動してるし国土も広いので二度と同じ人に会わない。知らない人が死にそうになってたら自分の全てをなげうって助けるが、一切見返りは求めない。そ...

作者が生まれ育った人口密度によって文章のキチキチコセコセ感も決定されるような気がする。ロシアなのでゆったり。遊牧民は「建前」がないらしい。常に移動してるし国土も広いので二度と同じ人に会わない。知らない人が死にそうになってたら自分の全てをなげうって助けるが、一切見返りは求めない。そこには動物も人間もないんだな。そういう所で育ったモンゴルの人がよく日本の相撲協会でやってるなと。ですからね、嘘って「思い」であって必要なもので、呑み込まれないようにうまく生きていくのが農村民族のありかたでして。

Posted byブクログ

2018/11/21

読まなきゃいけない作家が増えた。 女を真っ向勝負で書いてくる作家で、上手くてうなったのはアリス・マンローに続いて二人目。 国に頼れない、男に頼れない、ロシア女の強さと孤独がつまった全6編。 タイトル通り女たちが嘘をつく。 本当のような嘘を。 理由なんてない、いやあるかもしれな...

読まなきゃいけない作家が増えた。 女を真っ向勝負で書いてくる作家で、上手くてうなったのはアリス・マンローに続いて二人目。 国に頼れない、男に頼れない、ロシア女の強さと孤独がつまった全6編。 タイトル通り女たちが嘘をつく。 本当のような嘘を。 理由なんてない、いやあるかもしれないけれど、一言で語れるようなものではない。 「なぜ?」と考えてしまうタイプの人はやめよう。 女とはこういう生き物なのだから。 ディアナ ユーラ兄さん 筋書きの終わり 自然現象 幸せなケース 生きる術

Posted byブクログ

2017/06/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あらすじを言ってしまえばいたって簡単、確たる理由もなく嘘をつく女性達に出会う主人公(なかなかのお人好し!)の話…。だけど、味わい深い上質な文章で非常に楽しめる。

Posted byブクログ

2016/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

頭5編はジェーニャがつかれた嘘の記録といった趣があった。たぶんジェーニャが真剣に人の話を聞くから、どんどん話が誇張されていったのでは? 最後はジェーニャ自身の物語で締めており、人間がこの世に生を受けたこと事態が嘘なのではないだろうかと思わされた。 しかし、オレオレ詐欺よりもこういった嘘のほうが、騙すほうも騙されるほうもマシ。 以前読んだコンゲームもので、人に夢を与えられるのが最良の詐欺師という台詞があったのを思い出した。

Posted byブクログ

2015/12/20

 時に話を盛る程度であったり、時に根も葉もない話をしたりと、大小の嘘をつく女たちの連作短編集。嘘をついて実際に誰かをどうこうしたいとかそういうんじゃなくて、自分を満たしたいがために自覚的にも無意識的にも嘘をつく人たちを強く責める気持ちにはならなくて、どこか滑稽で愛しく感じた。

Posted byブクログ

2013/10/23

『星とヒトデを縫いつける/海と母とを縫いつける』ー『縫いつける』 堀口大學の「人間の歌」の一節が、無意識に口を衝いて出る。連作短篇という程に一つひとつの物語が互いに呼応している訳ではない。それでも一本の糸がそれらをひとつの流れに縫い合わせている。それは、タペストリーに例える程、...

『星とヒトデを縫いつける/海と母とを縫いつける』ー『縫いつける』 堀口大學の「人間の歌」の一節が、無意識に口を衝いて出る。連作短篇という程に一つひとつの物語が互いに呼応している訳ではない。それでも一本の糸がそれらをひとつの流れに縫い合わせている。それは、タペストリーに例える程、大袈裟なものではない。その物語とこの物語の間には、語られはしないが確かにひと続きの時間の流れが存在しているのだ、そういう感覚を生み出すものがあるという感覚、細い一本の縫い糸のようなものだ。もちろんそれは、ジェーニャ、という登場人物の果たす役割だ。 リュドミラ・ウリツカヤを読むのはソーネチカ以来二冊目だけれど、この作家の感情の起伏を抑えたような筆致に惹かれていることを、改めて自覚しながら読む。抑えた、という言葉は冷静さを伴うニュアンスも呼び起こすけれど、リュドミラ・ウリツカヤの場合、そこには感情の昂まりを事前に察知して無理矢理に圧し殺しているかのような気配がある。そのことと、かつて為政者によって一つの国として纏め上げられていた土地に棲む人々の辿って来た歴史を重ねて見るのは余りに単純に過ぎるだろうけれど。 こんな小説を読むと、自分の棲むこの国が良くも悪くも平板な世界に見えてしまって閉口する。もちろん、ここにも格差はあり、非人道的な事は起きているけれど、太平洋の向こう側のひと達が熱狂するようなチェンジもない代わりに、どうしようもない程に付き合い難いこの世でもない。そこそこに自由があり、物は街に溢れ、世界の中でも指折りに電気を使うことができ、そしてこれこそが決定的だと思うが、大っぴらに文句を言うこともできる。気分が高揚しても、構うことなく解放できる。それが、どこでも許される訳ではないことに、ほんの少し思い至るだけで、世界の深さ、そして暗さの度合いがいきなり増し始める。 居心地の悪さを、決して露悪的になることなく感じつつ、手探りで世界のぬめりと冷たさを感じ取りながら頁を繰る。嘘が、必ずしも愉快ではないこの世をくぐり抜けて行くための方便であることを確認しつつ。あの人の人生やこの人の人生を、白い丈夫な糸で繋ぎ止めつつ。しんしんと降り積もる雪の下に豊穣な大地が眠っているのだと信じつつ。

Posted byブクログ

2013/09/21

6つのお話からなる連作短編集です。ひとはなぜ、嘘をつかずにいられないのでしょう?そもそも生きるということが虚構なのだと、心のどこかで感じているからでしょうか?それとも、嘘でもついていないと生きていけないからでしょうか?ここに描かれた嘘はどれも悲しいけれど、魂を救うものでもありまし...

6つのお話からなる連作短編集です。ひとはなぜ、嘘をつかずにいられないのでしょう?そもそも生きるということが虚構なのだと、心のどこかで感じているからでしょうか?それとも、嘘でもついていないと生きていけないからでしょうか?ここに描かれた嘘はどれも悲しいけれど、魂を救うものでもありました。物語の端々に70年代以降のロシアの状況を垣間見ることができて、それも興味深かったです。

Posted byブクログ

2013/05/18

第4作と第6作が好き。 ロシア語の「元気?」の答えには詳しい近況報告を前提にしてるというのを今更ですが知りました。 登場人物の背景に前半あまりついていけなかった。全部読んでからもう一度読み進めました。

Posted byブクログ