専門家の予測はサルにも劣る の商品レビュー
昔から未来を予測したり予言した本は多数あるが、その予測はことごとく外れている。 歴史家などの専門家が書いた本も例外ではない。 なぜ予測は当たらないのかがテーマ。 日常的に専門家によって経済や環境についての予測が行われ、メディアや本で紹介されている。しかし、その大部分は科学の法則...
昔から未来を予測したり予言した本は多数あるが、その予測はことごとく外れている。 歴史家などの専門家が書いた本も例外ではない。 なぜ予測は当たらないのかがテーマ。 日常的に専門家によって経済や環境についての予測が行われ、メディアや本で紹介されている。しかし、その大部分は科学の法則や定理のように、現在の状況をふまえて「線形的に」予測し、現在の延長上にあると考えたものであり、少しでも変化を乱す要因が発生するとそのシナリオは狂ってしまう。 世の中は複雑であり、専門家の予測通りになることはほとんどない。 未来を予測するのはそれほど難しいのだ。 事例として挙げられた経済学者ジャック・アタリ氏の予測も外れることが多い。ジャック・ハズレ。(^^;) ちなみに自分も趣味で競馬をやっていて、予測の難しさを実感している。どれほどデータ分析しても、なかなか当たらない。(当然だけど)テレビの競馬記者や評論家も、競馬の予測はだいたい当たらない。未来予想については、専門家も素人も大差ない感じだ。
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不確実性の時代という言葉が誕生したのは1924年。いつでも世界は不確実。 正しい判断をするのに正しい予測は必要ない。よい決断とは将来どう転んでも前向きな結果をもたらす決断。 利益を出すトレーダーは、未来が予測できるから利益を出すのではなく、損切りができるから利益が出せる。=不確実性を受け入れた行動をする。 アナリスト用のチェックリスト=他の仮説は検討したか、反証を検討したか、など。予測の精度を上げるのではなく、他の予測の可能性を検討すること。 キツネの考え方=自己批判的で控えめ、本当かどうか、いつも自分に問いかける。集団知、メタ認知、バイアスに対するバイアス、謙虚さ、に気を付ける。
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草むらがガサガサ音を立てたら、そこには危険な動物が潜んでいるのかもしれない。人間はこのように、物事の因果関係、パターンを学習しながら、生き残ってきた。一方で、ランダムな現象に対して、あまりにも無力である。ランダムな現象を勝手に理屈付けて解釈してしまうのだという。そうした歪から、予...
草むらがガサガサ音を立てたら、そこには危険な動物が潜んでいるのかもしれない。人間はこのように、物事の因果関係、パターンを学習しながら、生き残ってきた。一方で、ランダムな現象に対して、あまりにも無力である。ランダムな現象を勝手に理屈付けて解釈してしまうのだという。そうした歪から、予測の間違いが生じていく。 上記は、専門家の予測が見誤られる一因だ。他にも、確証バイアス、バタフライ効果、認知的不協和や単なる確率論の話などがこの原因として挙げられる。なるほど、理解し易い話。 予測が無意味だとか、全くの無力だという話ではない。前提条件や因果関係を明確化しておく事が大事だというだけだろう。冗長だが、実証論、統計的というよりは、最初から最後まで、心理学的な内容。それはそれで面白いが。
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・他の人より正確に将来を予測した専門家は、自分が正しいことに自信が持てない人たち。そもそも将来を予測する能力に疑念を抱く。 ・読み手は非常に強いバイアスを持っている。が、読み手は自分たちのバイアスに気づいていない(トインビー現象)。 。過去の出来事は、適切なパターンに並べ上げれば...
・他の人より正確に将来を予測した専門家は、自分が正しいことに自信が持てない人たち。そもそも将来を予測する能力に疑念を抱く。 ・読み手は非常に強いバイアスを持っている。が、読み手は自分たちのバイアスに気づいていない(トインビー現象)。 。過去の出来事は、適切なパターンに並べ上げれば、どんな証明にもなりうる。トインビー教授は、それらのパターンを、最初から彼の頭の中にあった形に体系的にまとめることに成功しただけ。
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人間の認識力は現状維持バイアスとネガティブバイアスにより、悪いことが起きた後のリスクの警告を鵜呑みにしがち。 単純な原則から大胆な予測をして間違え続けるほうが、専門家としての任期を維持しやすい。逆に、複雑な情報を総合的に勘案して慎重な予測をしていると、専門家としては成功しない。 ...
人間の認識力は現状維持バイアスとネガティブバイアスにより、悪いことが起きた後のリスクの警告を鵜呑みにしがち。 単純な原則から大胆な予測をして間違え続けるほうが、専門家としての任期を維持しやすい。逆に、複雑な情報を総合的に勘案して慎重な予測をしていると、専門家としては成功しない。 大多数の専門家と逆の予測をして見事に的中する人がいるが、トラックレコードを見ると、間違った予測をし続けた跡、たまたま一回的中したということもある。そういう場合でも的中した予測だけがスポットライトを浴び、間違え続けた歴史は無視されやすい。
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いかに予測は当たらないものか、そしてそれでも専門家の予測を求めてしまう人間の性について。 人間の脳みその構造から、いかに不確実性に満ちた世の中の推移を予測するのは難しいし、悲観的な予測こそ売れてしまう。また、キツネと分類する者はハリネズミに分類する者よりも幅広い視野で考えて断言し...
いかに予測は当たらないものか、そしてそれでも専門家の予測を求めてしまう人間の性について。 人間の脳みその構造から、いかに不確実性に満ちた世の中の推移を予測するのは難しいし、悲観的な予測こそ売れてしまう。また、キツネと分類する者はハリネズミに分類する者よりも幅広い視野で考えて断言しないところもあり予測が当たりやすい傾向があるが、一般には分かりやすい考え方で断言するハリネズミのほうが売れる。また、予測が外れても外した本人の記憶が書き換えられてそもそも外した意識や予測したことすら覚えてなかったり。 結局大事なのは結びの言葉で、世界の危機を深刻に受け止めて楽しむべきことを後回しにするのは自然の摂理に反するというアリス・ザ・コックの言葉なんだろう。
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ナントカバイアスがあるので、専門家の予測も当たらないという、クリティカルシンキング的な本だった。 予測が当たると大々的に取り上げられるのに、予測が外れても非難されないってのと、予測が当たらなかったときの言い訳がひどくて、ちょっと面白かった。
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人間の能力としても、物事の本質からしても、複雑なことの長期にわたる予測は難しい。 「物事の本質」というのは、第二章で述べられているような、カオスによる予測不可能性を代表例とする、自然の複雑を指す。 「人間の能力」については、第三章から第七章までで述べられる、行動経済学や認知心理学...
人間の能力としても、物事の本質からしても、複雑なことの長期にわたる予測は難しい。 「物事の本質」というのは、第二章で述べられているような、カオスによる予測不可能性を代表例とする、自然の複雑を指す。 「人間の能力」については、第三章から第七章までで述べられる、行動経済学や認知心理学の知見でわかっているさまざまな判断のバイアスのことをいう。 専門家は、その専門性で精度を上げることもできる人(キツネ)もいるが、たいていはバイアスをよりデフォルメした人間(ハリネズミ)で、かえって正しい予測から遠ざかってしまう。さらに、おそらくは虚栄心や自信過剰によってその傾向は大きく強められ、大衆はその「言い切り」に魅了されるため、この傾向は変わらない。間違っていたことがわかっても、その誤りを認めることはなく、検証されもしないために、間違いはそのまま放置される。 「言い切る」専門家は信用してはいけない、というのは確かに実感どおりだ。 各章ごとに触れられているポイントは ↓ のようなもの。 第一章 歴史による証拠 キツネとハリネズミ 第二章 カオスによる予測不可能性 第三章 確証バイアス 第四章 利用可能性ヒューリスティック 現状維持バイアス 第五章 ネガティビティバイアス 第六章 自信ヒューリスティック 権威の力 第七章 認知的不協和 後知恵バイアス 第八章 「将来を予測するときには、控えめな態度でのぞみ、複雑さや不確実性を受け入れ、自己批判的で、自分が真実だと信じているものが本当はどうなのかをいつも問いかけている。すでにある思考のテンプレートを使わずに、できるだけたくさんの情報源からアイデアや情報を収集する方を選ぶ」
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人間の性質・脳の構造を引き合いに出しながら、なぜ人は専門家の予測に頼りたがるのか、専門家は予測をしたがるのか、そしてなぜあたらないのかを実例とともにわかりやすく解説してくれている。日本語の表題が特に秀逸だと思う。 腹に落ちた点、以下抜き書き。 -専門家の予測がなぜあたらないのか。その答えは、専門家は大量な知識があるがゆえ、有りもしないところにパターンを見出し、理屈をつけたり、ねじまげたりする能力が一般人よりも高い。それゆえ、物語を作り出す力が高く、そしてそれを(自分の専門知識に裏打ちされているが為)自信過剰に信じてしまうから。 -メディアが欲しいのは必ずしも正しい予測ではない。空振りは誰も気にしない。自信満々に人々を導いてくれる専門家を人々は待っている。なぜなら人々は不確実な未来が嫌いだから。(ウソでも)はっきりと未来を示してくれる人を待っている。 -正しい決断をする為には、必ずしも正確な予測は必要ではない。可能性に対する大まかな感覚があれば十分。地震は予知できないが来る可能性があることがわかっていれば、対策は取れる。(だから、「これだ!」という未来予想は必要ない) -明日問題になりそうなことが、実際問題になることは滅多にない。(だって皆準備をするから)
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第1章 始めに 第2章 予測できない世界 第3章 専門家の頭の中 第4章 今日と同じ明日 第5章 不確実性による不安 第6章 メディアスターたちの予測 第7章 予言が外れる時 第8章 終わりに
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