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森林の思考・砂漠の思考 の商品レビュー

3.9

13件のお客様レビュー

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2023/08/15

1章~4章までは、砂漠的思考、森林的思考の話 5章は日本における具体的な分布図の例で、6章は分布図のパワーについて。 どうせ因果関係など究極には証明出来ないのだから、どんどん単純な分布図を作れば良い、という考え方は物凄く面白い。昨今、データサイエンスと社会科学を組み合わせるのが流...

1章~4章までは、砂漠的思考、森林的思考の話 5章は日本における具体的な分布図の例で、6章は分布図のパワーについて。 どうせ因果関係など究極には証明出来ないのだから、どんどん単純な分布図を作れば良い、という考え方は物凄く面白い。昨今、データサイエンスと社会科学を組み合わせるのが流行で、いかにデータを職人的に扱えるかを競走しているようにも思える。経済や政治のような難しいことをするには、そういうことも必要かもしれないが、経済や政治の土台となる人間を見る時には、もっと素朴なデータを素朴に考えることが大事かもしれない。

Posted byブクログ

2023/03/19

40年前の本とは思えないくらい、今にも通じる点がある。 宗教の生まれた背景、伝播し変容する背景も、砂漠と森林で説明するのは新鮮で一気に読み進められた。

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2019/07/20

【文章】 読み易い 【ハマり】  ★★★・・ 【共感度】  ★★★・・ 【気付き】  ★★★★・

Posted byブクログ

2016/07/14

著者は地理学者。とはいえ,その後言語学者としても広く名を知られることになる。著者の本をきちんと読むのは今回が初めて。大学院生時代に環境地理学を専攻する同級生の書棚に,著者の『超越者と風土』と『風土の構造』があり,その存在は知っていたが,当時は環境決定論に対する拒否反応のようなもの...

著者は地理学者。とはいえ,その後言語学者としても広く名を知られることになる。著者の本をきちんと読むのは今回が初めて。大学院生時代に環境地理学を専攻する同級生の書棚に,著者の『超越者と風土』と『風土の構造』があり,その存在は知っていたが,当時は環境決定論に対する拒否反応のようなものがあり,この著者もそのレッテルをつけていた。 しかし,著者の言語研究はきちんと読んでみたいと思うようになったし,彼の議論がどのように環境決定論なのかも見極める必要がある。今回は「日本文化論」の1冊として本書を読むことにした。NHKブックスの1冊。 第一章 日本文化の森林的性格 第二章 変化する森林と砂漠 第三章 東西の差を生ぜしめたもの 第四章 日本における「砂漠化」の進行 第五章 日本の森林とその意味 第六章 砂漠的思考技術としての分布図 巻頭の「はしがき」によれば,本書は学術書として書かれた『超越者と風土』を一般向けに書き直したものだとのこと。そして,その一部はNHK教育テレビの「みんなの科学」という番組で放映された内容でもあるという。 著者の前著でどちらも「風土」という言葉が使われているように,そこには和辻哲郎の『風土』の影響がある。『風土』は副題に「人間学的考察」とあるように,自然科学の書ではない。あくまでも人間の性質について論じる名目で,世界を「モンスーン」「沙漠」「牧場」と分類し,モンスーンを日本を含むアジアとして,牧場をヨーロッパとして論じている。本書もそれに近い形で,洋の東西に分け,東洋を森林に,西洋を砂漠に分類する。そして,前著の「超越者」が「神」なのであろう。本書では超越者の概念は登場しないが,第三章では,宗教の違いと神の違いについて論じられている。 なぜ,和辻が牧場としたヨーロッパを砂漠としているかというと,そもそもヨーロッパを支配することになるユダヤ教およびキリスト教の発祥の地が砂漠にあるからだという。砂漠で産まれた宗教だからこそ,二者択一(生きるか死ぬか)の厳しい選択が人間に要求され,多神教ではなく一神教に辿り着くのだという。 第四章のタイトルにあるように,本書中盤では,日本で「砂漠化」が進行していると主張する。しかし,これは自然地理的な意味ではない。要するに,明治維新以降顕著に進んだヨーロッパ化。ヨーロッパ文明は砂漠で産まれたキリスト教に基づくものであり,著しく砂漠的な特徴を持つもので,それが日本に浸透するさまを「砂漠化」と呼んでいるのだ。 本書を読むと,内村鑑三『地人論』やジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』などを思い出す。これらは十把一絡げにいえば「環境決定論」といえるが,要は,自然と人間に関するさまざまな知識を持つ者が,「同じ場所にあること」を理由にその関連性を検討し始めると,それがかなり自由度を持って説得的な物語を作ることを可能にするということなのかもしれない。ともかく本書はある程度説得力を持ちながらも,冷静に考えると「そんなバカな」と思える内容が多く,どこからが科学的根拠に基づくのか,判断できなくなる。

Posted byブクログ

2012/07/19

教授よりお借りしてもうすぐ2年にもなるのか…近々お返しするとして、最近『龍の文明史』、『日本の幽霊』、『風が変えた世界史』などの歴史ものを読むようになってから、この本の一度目の通読がいかに自分の深い部分に根差したかがよくわかるようになったし、また、再読(目次読)してみて一度目より...

教授よりお借りしてもうすぐ2年にもなるのか…近々お返しするとして、最近『龍の文明史』、『日本の幽霊』、『風が変えた世界史』などの歴史ものを読むようになってから、この本の一度目の通読がいかに自分の深い部分に根差したかがよくわかるようになったし、また、再読(目次読)してみて一度目よりもずっと俯瞰的にこの本の射程が把握できるようになった。   世界の(あるいは、地球と人間の)歴史に親しむと、日本についての視野がアップデートされていく感じがする。「ガラパゴス」というものはどこの国も似たようなものであるし、騒ぎの煙幕を除けて一体何が対応すべき「問題」なのだろうかと落ち着いて見つめられるようになっていくし、日本に対して敬意を新たにしたり、またその一方で、よろしくないことを曖昧にではなくて、己の考えのもとによろしくないと言えるようになっていくし、何かが強くなっていくとはこういうことかと実感できるような気もする。   この本は、やはりタイトルがよい。基礎的な視点として採用しやすい。

Posted byブクログ

2012/04/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

書き方は、冗長的ではあるし、無駄や断りがやたら多いのがやや残念ではあるが、中身は、他の本で読んだ事のない、新しいことが書いてあり、またそれは中々面白い。30年前の本とは本当に驚き。30年前にこれを書いた人が居たのに、今の世の中の常識の1つに、これが入っていないのが不思議。 ただ、所詮こじつけといえばこじつけで、単純にそういう文化で育てられ、欧米では「きみはどう思うのか」とひたすら聞かれて育つ、だからはっきり自分の意見を言うようになる、合っていようといなかろうと、といわれてしまえば、はいその通り、ではある。 が、 ①砂漠という厳しい環境で唯一神を信じ、右に行くか左に行くか、どちらかは生き、どちらかは死ぬ。そこで絶対的神のみぞ真理を知る。見晴らしが良いし、常に鳥瞰図で物を観る、という欧米。 ②森という自分の近所しか見えない、が、近所を詳しく把握する事が奨励される環境の中で、緻密に守備範囲を理解する性格。右に行くのが正しい道だが、左に行ったらもっといい場所が見つかるかもしれないし、どちらにせよ死なない、神は自然と一体であり、八百万の神なアジア。 面白いと思う。

Posted byブクログ

2011/04/16

人間の思考には、周りの自然環境が大きく影響しているということがわかります。また、自然環境を交えて一神教、多神教がどう発生していったかについても書いてあり、とても興味深く読むことができました。文章も易しく書いてあり、読みやすい本です。 全体を俯瞰的に見るという思考をしたいなら砂...

人間の思考には、周りの自然環境が大きく影響しているということがわかります。また、自然環境を交えて一神教、多神教がどう発生していったかについても書いてあり、とても興味深く読むことができました。文章も易しく書いてあり、読みやすい本です。 全体を俯瞰的に見るという思考をしたいなら砂漠のようなだだっ広いところ(砂丘でもいいか??)を体験し、細かく見るという思考をしたいなら森林を体験すればいいのではないかと思いました。でも、今まで日本という森林の多い場所で暮らしてきたので、ある程度までしか変わらないのだろうなぁと思います。

Posted byブクログ

2011/01/10

西洋と東洋のものの考えかたの違いを、その環境の相違と関連付けて説明すしている本です。  森林の人間の視点は地上の一点にあり、自分の周りにある(すでに見えている)さまざまな植物や動物の知識を集めることが生きていくために必要であり、砂漠の人間は天(神)からの視点でさえぎるもののない広...

西洋と東洋のものの考えかたの違いを、その環境の相違と関連付けて説明すしている本です。  森林の人間の視点は地上の一点にあり、自分の周りにある(すでに見えている)さまざまな植物や動物の知識を集めることが生きていくために必要であり、砂漠の人間は天(神)からの視点でさえぎるもののない広い空間を見渡し、どこにあるかわからない水を得るために考えて行動することが必要になるという違いがあると述べています。  この論点から出発して、ものの考え方、科学の手法、宗教、農業、文化の東西の差がどうやってできたかを、過去の気候の変動や人類がとうやって異動してきたか似も触れながら分析しています。その上で日本人の思考と森林の関連について説明しています。  なるほど、と思う部分も多く、比較文化論に興味のある人や、欧米人と日本人の考え方の違いに興味のある人にはお勧めです。  もっと、おもしろい身近の事例を入れたりして、一般人にも興味持ちやすくしていれば文句のないところですが、論理が秀逸で内容も丁寧に説明されていて専門外の人にもわかりやすい本だと思います。(高校生の時に最初に読みましたがおおむね理解できていたとおもうので。)

Posted byブクログ

2010/08/11

科学者に関しての部分が印象的だった。砂漠の縁辺で生まれたキリスト教・ユダヤ教世界では、”科学者自身もその天地万物の一部であり、天地万物の総体について、それを創った神について、完全な認識を持つことはあり得ないと考える。「われわれには、物事がこう見える」としかいいようがない。だからこ...

科学者に関しての部分が印象的だった。砂漠の縁辺で生まれたキリスト教・ユダヤ教世界では、”科学者自身もその天地万物の一部であり、天地万物の総体について、それを創った神について、完全な認識を持つことはあり得ないと考える。「われわれには、物事がこう見える」としかいいようがない。だからこそ、かえってなんの遠慮もいらず、大胆な、大仮説、大理論を展開することができ、そのうちのあるものは、事実と良く一致することによって、大発見となる。” しかるに、森林の民たる仏教的世界の日本人の科学者にとっては、”学問は「真理の探究」を目的”としている。そこには真理は探求し得るという前提がある。森林の民にとっては自我が宇宙の中心であり本質であり、仏教はその思考の発展の上に形成されたものであるから、科学者にとっては真理とはつかむことのできるもの、探求しうるものと考える。真理を探究するのが科学者であるから、日本の科学者は、まちがったことを言ってはならない、観察し分析した範囲で正確に物を言わねばならない、視野の外にあることには沈黙を保つことの方がよしとされる。こういう雰囲気の中では分析的な研究は大いに進歩するが、広い範囲の総合、大きな理論というのは生まれにくことは容易に理解されよう。”

Posted byブクログ

2009/10/04

森林から虫の目を持つひとが、砂漠から鳥の目を持つひとが生まれた。 そんな単純な事実を、単純な地図によって示した本です。

Posted byブクログ