ロスト・トレイン の商品レビュー
廃線跡をたどるのが趣味の青年と、鉄道マニアの老人。居酒屋での交流が中盤で急展開。 青年は、後に出会った「テツ子」の女性と消えた老人を追い、やがて忘れ去られた場所で、失われたものが甦るのを目の当たりにする。 「甦った」ものはファンタジックで綺麗、だけど哀しい。失われたはずのものが手...
廃線跡をたどるのが趣味の青年と、鉄道マニアの老人。居酒屋での交流が中盤で急展開。 青年は、後に出会った「テツ子」の女性と消えた老人を追い、やがて忘れ去られた場所で、失われたものが甦るのを目の当たりにする。 「甦った」ものはファンタジックで綺麗、だけど哀しい。失われたはずのものが手に入るということは、現実を捨てることだから。 なんということもないお話だけれど、最後のファンタジーの部分が妙に心に残る。 前作「天使の歩廊」もなかなか良かった。これも、最後だけ「奇跡」がある。
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読み終わってなんだかすっきりしないのは男女の恋愛観の違いによるものなのか。 私が男だから、男性が女性に惹かれる心理は解るが逆は解らない。 彼女の選択の真意が読みきれないのと、後日談が気になる終わり方なのがすっきりしない。 廃線巡りの旅話かと思いきや、軽いミステリーやまさかのファン...
読み終わってなんだかすっきりしないのは男女の恋愛観の違いによるものなのか。 私が男だから、男性が女性に惹かれる心理は解るが逆は解らない。 彼女の選択の真意が読みきれないのと、後日談が気になる終わり方なのがすっきりしない。 廃線巡りの旅話かと思いきや、軽いミステリーやまさかのファンタジー要素はとても良かった。 続きが気になる展開で読み進めるのが楽しかったが、読み終わってからの反動というか、やるせなさと言うかが個人的にしっくりこない一作であった。 私は何を求めて読んでいたのだろう、などと考えてしまう。
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☆3.5 「まぼろしの廃線跡がどこかにあって、その線路を終着駅までたどると奇跡が起きる」そんな話をして消息をたった老人。交流のあった牧村は、老人にのテツ仲間という葉月と行方を追い東北へ向かう。「キリコノモリ」というキーワードを手がかりにして、2人がたどり着いた場所は...。 そこ...
☆3.5 「まぼろしの廃線跡がどこかにあって、その線路を終着駅までたどると奇跡が起きる」そんな話をして消息をたった老人。交流のあった牧村は、老人にのテツ仲間という葉月と行方を追い東北へ向かう。「キリコノモリ」というキーワードを手がかりにして、2人がたどり着いた場所は...。 そこで見た奇跡とは?! 東北に向かう話の中で、岩手の銀河鉄道の話も出て来て懐かしかった。 私はいわゆるテツではないので、電車のことやテツのことには詳しくないんだけど、まぼろしの廃線跡を探すなんて、なんだかロマンがあるなぁと思った。日常ともう一つの世界が入れ替わる描写がなんどか出て来るけど、どちらも現実感があって不思議な感じだった。
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はたして『銀河鉄道の夜』へのオマージュなのだろうか……?忌まわしい記憶とともに抹消された「まぼろしの廃線跡」をめぐるパラレルワールド譚。ふだんこの手の小説に縁がないため、こうした設定が古いのか新しいのかはまったく判らず。 人の一生というのは鉄道に乗るのと似ている、と鉄オタの平間...
はたして『銀河鉄道の夜』へのオマージュなのだろうか……?忌まわしい記憶とともに抹消された「まぼろしの廃線跡」をめぐるパラレルワールド譚。ふだんこの手の小説に縁がないため、こうした設定が古いのか新しいのかはまったく判らず。 人の一生というのは鉄道に乗るのと似ている、と鉄オタの平間さんは語る。「どこへでも自由に行けるかのように見えて、じつはそれほど自由があるわけではない」。すすむべき線路は一本ではなく、ところどころに乗り換え駅もあるけれど、うっかりすると「目指しているのとは全くちがう場所へ連れていかれてしまう」のだ。そんな平間さんが、ある日、忽然と姿を消してしまう。そして若い友人である菜月さんと主人公であるぼくは、わずかな手がかりをもとに消えた平間さんを捜して「まぼろしの廃線跡」をめざすのだが……。 ラスト、主人公の抱く不安は、菜月さんへの愛情と表裏一体をなすものであり、その意味で、大切な誰かを愛するということはまた、そこから逃げることのできない一本のレールの上にあって不安とたたかい続けることでもあるのだろう。
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知り合いになった鉄道仲間が、突如いなくなってしまった。 彼を探しているうちに知り合った、たくさんの人達。 彼らの知識を借りて、ようやくたどり着いて見たものは とても不思議で恐ろしく素晴らしいもの。 ただ人を探しているだけ。 その過程でたくさんの人と出会っただけ…で終われば普通の...
知り合いになった鉄道仲間が、突如いなくなってしまった。 彼を探しているうちに知り合った、たくさんの人達。 彼らの知識を借りて、ようやくたどり着いて見たものは とても不思議で恐ろしく素晴らしいもの。 ただ人を探しているだけ。 その過程でたくさんの人と出会っただけ…で終われば普通の話。 最後になるにつれ、不思議で奇妙で、とても澄んだ空気の中に ひょっこり入り込んだような感じでした。 しかも最後の伝言板! そこまでも、それまでも人柄がうかがい知れるものがありましたが 楽しそうに書いてある内容には、きちんとした警告。 それだけで、何だか嬉しくなってしまいました。 降りるか、そのままか。 究極の選択です。 あちらに本屋があれば、行ってしまうかも、しれません。 あちらに行くのが幸せか。 残って『幸せ』と思った所にいるべきか。 『準備』をしていったわけではないので どちらを選択しても、何だか心が残りそうです。 むしろ自分に、あの時そうしたから、と 言い聞かせているようにも感じます。 正解、はないでしょうが、どちらが幸せだったのか…謎です。
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人は、社会生活と個人の領域との間に何かしら、枠を設けている。そのどちらにおいても、自分というものを基盤にして、割り切るのか、我を通すのか、場所と時間と状況といろんな要素に合わせて選択していく。 しかしこの選択とは、今の自分だけに基づいているのだろうか、それとも過去から連綿と続く自...
人は、社会生活と個人の領域との間に何かしら、枠を設けている。そのどちらにおいても、自分というものを基盤にして、割り切るのか、我を通すのか、場所と時間と状況といろんな要素に合わせて選択していく。 しかしこの選択とは、今の自分だけに基づいているのだろうか、それとも過去から連綿と続く自分史から無意識にもとめているのだろうか? まぼろしの廃路線を追い求め、そこに何を求めて登場人物たちはすすんでいくのか。 ファンタジーという側面をもちつつ、内面へはいっていく作品
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飽きずに読めた。知らない間に坂道を転がるみたいにどんどんミステリーに引き込まれる。でも心にもやもやが残ってる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大学生協で推薦されており、また鉄道ネタなのかと思い手にとってみた。話のキーワードとして重要なのは鉄道というよりも廃線跡であり、廃線跡を訪れるマニアもいるのかという驚きと、それに対する情熱やロマンが伝わってきた。リアルな面と共に若干のSF(かなりSFかも)が混じっており、現実と空想のバランスはうまくとれてると感じた。ただ、悪い見方をすれば中途半端なSFになっているのかもしれないので、がっつりSFに浸りたいという人にはあまりお勧めではないかもしれない。鉄道が好きな人にとっては読んでみても良いかもしれない。少なくともこの本を読んで廃線跡に興味をもったことには間違いない。
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夏に読めてよかった。 牧村は鉄道マニアの平間老人と出合うが、老人が「まぼろしの廃線跡」の話をした後消えてしまう。 そこで、平間と付き合いのある菜月と探しに行くって話。 設定面白かった。ちょっと意味不明もあったけど、それ含めてもよかった。
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日本のどこかにある、まぼろしの廃線跡 その始発駅から終着駅までをたどれば、奇跡が起こるらしい…… 列車の廃線跡や廃墟に惹かれてよく訪ねて回っていた主人公は 旅先でテツの老人と出会い、親しくなる 酒に酔っていつになく上機嫌なその老人がこぼした 「まぼろしの廃線跡」の話に興味を持っ...
日本のどこかにある、まぼろしの廃線跡 その始発駅から終着駅までをたどれば、奇跡が起こるらしい…… 列車の廃線跡や廃墟に惹かれてよく訪ねて回っていた主人公は 旅先でテツの老人と出会い、親しくなる 酒に酔っていつになく上機嫌なその老人がこぼした 「まぼろしの廃線跡」の話に興味を持った主人公はしかし その詳細を老人から聞くことはなかった 何故なら老人は 突然、失踪してしまったのだ—— * まぼろしの廃線跡 消えた老人 廃墟! そんなミステリ 列車で東北を旅するというので もうちょっと各地を見て回るのかなと思ったけど そんなことはなかった 資料や文献をあさり 事情を知っていそうな鉄道ファンとコンタクトをとり そうやって地道に調べ上げた先に辿り着いた 噂の真実とは? そして老人はいったいどこへ…? あおり文句の通りに旅に出たくはあまりならなかったし 果てしなく淡々としていたし 主人公が惚れた女性に特に魅力を感じなかったりしたけれど なんとなく爽、としたかも知れない
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