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図書準備室 の商品レビュー

3

24件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    2

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2022/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

冷たい水の羊は10年かけただけあって表現や描写が細かかく描かれていると思った。内容が暗すぎるからか、ラストの水原からの伝言は今後少しでも希望を見出せる展開に繋がる言葉になって欲しいと思った。

Posted byブクログ

2021/10/03

冷たい水の羊、図書準備室収録 「図書準備室」は、小学校の時にいた得体の知れない先生、なんのためにあるのか分からんなんとか準備室みたいなものを題材にしているところは面白い。 「冷たい水の羊」はいじめが題材なのか、ほかの影響もあるのかなかなか集中出来なかった。 ストーリーもやや...

冷たい水の羊、図書準備室収録 「図書準備室」は、小学校の時にいた得体の知れない先生、なんのためにあるのか分からんなんとか準備室みたいなものを題材にしているところは面白い。 「冷たい水の羊」はいじめが題材なのか、ほかの影響もあるのかなかなか集中出来なかった。 ストーリーもややわかりにくかった。もう一度改めて読みたい。

Posted byブクログ

2020/04/10

【図書準備室】 主人公がずっと喋っていくスタイルの文章。序盤のリズミカルな、小気味良い口調が読んでいて楽しかった。子供の頃、倒錯的な強迫観念を抱いた経験が多かれ少なかれ誰にでもあるのではないだろうか。大人になり世の中のことがわかってくるにつれ、それが無知ゆえの取るに足らない思い込...

【図書準備室】 主人公がずっと喋っていくスタイルの文章。序盤のリズミカルな、小気味良い口調が読んでいて楽しかった。子供の頃、倒錯的な強迫観念を抱いた経験が多かれ少なかれ誰にでもあるのではないだろうか。大人になり世の中のことがわかってくるにつれ、それが無知ゆえの取るに足らない思い込みであることに気付く。しかし、大人になればまた別の強迫観念に縛られながら生きている自分がいる。人生が続く以上、この枠組みの外へは決して逃れられないのだと思った。 【冷たい水の羊】 自分がいじめられていると思わなければいじめは存在しない、という論理で真夫は自分を騙す。いじめを辛いと感じるような心理描写は全く出てこない、そんな真夫の強がりの論理は積まれ崩されを繰り返し先鋭化されていく。唯一の救いの可能性である水原里子の存在が真夫の積み上げた論理を揺るがす。二人で生きるという選択肢は選びようがなく、倒錯した心理は水原との心中を企てる。思えば誰もが真夫のように意識的に、または無意識的に自前の論理を拵えて生活しているのではないだろうか。その論理は自分を守るかも知れないし、殺すかもしれない。良くも悪くも自分の論理を崩してくれる存在が実は人生にとっては大切なのだ。

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2019/12/02

◯図書準備室、冷たい水の羊ともに、まず表現の面でエンターテインメントを感じた。 ◯図書準備室では、現在の語りと当時の行動のギャップに驚き、冷たい水の羊では、凄惨なイジメの描写に驚く。 ◯しかし、その先に、それぞれの生きることに関する論理がある。あるのだが、なかなか読み解けず、その...

◯図書準備室、冷たい水の羊ともに、まず表現の面でエンターテインメントを感じた。 ◯図書準備室では、現在の語りと当時の行動のギャップに驚き、冷たい水の羊では、凄惨なイジメの描写に驚く。 ◯しかし、その先に、それぞれの生きることに関する論理がある。あるのだが、なかなか読み解けず、その分心惹かれた。

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2019/12/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

図書準備室、冷たい水の羊、ともに集団リンチのシーンがあるが、どちらも描写がすごい。読んでいて身体のあちこちが縮むような心臓が圧迫されるような苦しさを覚えた。特に、冷たい水の羊の屋上でのシーンはあまりにも痛ましく、読んでいて貧血を起こしてしまった。 二作とも、絶望に満ちている。ひねくれているとかいうレベルじゃない。澄みきった絶望感。

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2018/10/08

デビュー作と二作目/ エッセイの文章が綺麗で読みやすいから読んでみたが、これはものすごく挑戦的だ/ 図書準備室に至っては、延々独白で自分の歪みっぷりを幼女に聴かせているだけの話で、その読点を駆使して文章をつなぎ形容しまくる文体は、たとえば節が十もあるヌンチャクを紙面に並べているよ...

デビュー作と二作目/ エッセイの文章が綺麗で読みやすいから読んでみたが、これはものすごく挑戦的だ/ 図書準備室に至っては、延々独白で自分の歪みっぷりを幼女に聴かせているだけの話で、その読点を駆使して文章をつなぎ形容しまくる文体は、たとえば節が十もあるヌンチャクを紙面に並べているようで、また表現されている景色は妙に細かく、期待していたような読みやすさではなかったと言えなくもない/ 冷たい水の羊は高校卒業以来一度たりとも労働についたことのない青年が書いた最初の小説という側面を、どうあぶり出してくれるのかという意味で興味深い/ デビュー作からして途切れることのない長い接続の文章で心情ないし風景を文字列に変えている/ エンタメじゃないんならこんなものなのかと思う/ これが村上龍ならクラスメイトの少女を殺してしまうんだろう/ 作者本人がいじめられていたのかどうかは知らないが、その内面に同調できるものは多いはず/ さっと読まないと、何日もかけて読むようなことをすると気分が下がるね/

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2016/07/25

「逃げてからどうするの?」従兄の幼い娘に問われ「逃げつづけるしかない」と、答える主人公。たとえそれが辛く虚しい行く末だとわかっえいても、逃げはじめたらそこに終わりはなく、逃げ続ける人生が死ぬまでつづくのかな?

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2016/02/09

”いじめ”という概念を、独自の論理を広げ、いじめられていないということを考える主人公の話である「冷たい水の羊」を併録している。こちらにフォーカスを当ててレビューを書き込む。内容としては、いじめを受けている主人公の想いが淡々と書き込まれており、物語が進んでいく感じである。常人であれ...

”いじめ”という概念を、独自の論理を広げ、いじめられていないということを考える主人公の話である「冷たい水の羊」を併録している。こちらにフォーカスを当ててレビューを書き込む。内容としては、いじめを受けている主人公の想いが淡々と書き込まれており、物語が進んでいく感じである。常人であれば、いじめを受けたらもう二度と受けたくない、一秒でも早くいじめを終えて欲しいと思うだろうが、主人公は独自の論理を導きだし、「もっとやれ」と心の中で願望する描写は、マゾという感覚ではなく、一種の性癖なのかと感じる。する側も受ける側も各々の価値観で行動しているのであって、読者がどのように捉えるかは人それぞれだろう。本の虫ではないが、今まで読んだ小説の中で、一番読了するのに時間がかかったのは、一行一行の文章に重みを感じたからかもしれない。表題作も然り。

Posted byブクログ

2015/03/17

単調で投げてしまいました^_^; 主人公の話の脱線っぷりが半端なくて、でもこの作者らしいというか、芥川賞受賞の際にテレビで初めて姿を拝見した時の印象を裏切らない作品でした。 出来れば読み切りたいな〜~_~;多分無理だと思うけど…笑

Posted byブクログ

2014/10/15

<「冷たい氷の羊」について>  いじめがストーリーに絡んでくる小説は読むのが難しいなと感じる。凝視すべき点は本当にそこなのか?と疑いつつも、気が付けばそっちに目が行ってしまう。いかにも寓意がたっぷり込められていそうで、読書の流れを勝手にぶった切ってしまう。  主人公の視点がはまっ...

<「冷たい氷の羊」について>  いじめがストーリーに絡んでくる小説は読むのが難しいなと感じる。凝視すべき点は本当にそこなのか?と疑いつつも、気が付けばそっちに目が行ってしまう。いかにも寓意がたっぷり込められていそうで、読書の流れを勝手にぶった切ってしまう。  主人公の視点がはまった。狭溢な世界の中で、視線で外側へ穴を空けるんじゃないかってくらい、じっ…と見る。でも、絶対に穴は空かない。でも、しっかり見てる。一所懸命見てる。そんな感じが好き。  現実をそのまま見ている訳では、もしかしたらないのかもしれない。後半に出てくる他者の視点が、主人公のような少年がたくさんいることを気付かせてくれた。  終盤の描写は素敵だったが、面白くは無かった。 <表題作について>  笑ったけど、何だか良く分からなかった。  どちらの短篇も、思っていることや言っていることが行動とかみ合っていない。袋小路チックで息苦しい。客観的な語り口なのに、明らかにズレてるであろう解釈をする。語り手は、そのズレを意識しているのだろうか。  意識しているのだと思う。話の途中気が付けばいない伯母や、母の反応に、彼がズレを感じ取らないとは流石に思えない。だからこそ、彼は洪水のように語るのではないだろうか。それが、彼が現状もち得るアクセスの手段なのではないか。  だから、本当か作り話かは、どうでもいい。あくまで話。戦争も同じく、話。吉岡のとんでもない体験も、入れ籠構造によってぼんやりと遠ざかっていく。  「冷たい氷の羊」では読めたのに、「図書準備室」での吉岡による残酷な描写は眠くて読むのに苦労したのは、この現実性の乏しさが原因なのかも。なんだか、戦争が遠のいた。

Posted byブクログ