ココロ・ファインダ の商品レビュー
高校写真部の女子部員4名の青春を綴った連作物語。 心に引っ掛かる謎解きが終わると、あたたかい気持ちになる小説です。 カメラの仕組みの解説も心の動きを説明する役に立てているところなんか憎いですね。 こんなさりげなさで、普通の事を書いているように見えますが、女子高生の心がうまく描かれ...
高校写真部の女子部員4名の青春を綴った連作物語。 心に引っ掛かる謎解きが終わると、あたたかい気持ちになる小説です。 カメラの仕組みの解説も心の動きを説明する役に立てているところなんか憎いですね。 こんなさりげなさで、普通の事を書いているように見えますが、女子高生の心がうまく描かれていて、どの作品もキラキラしています。
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ニュウトラルティーンの揺れ動く心模様を描くのが本当に上手な作家ですね。 孤立してしまう女子高生がファインダーを通して結ばれていく様は、ある意味現代社会の縮図かも。 良い子が敬遠されていくのが今の風潮に成りつつある。悪ぶったり、全体主義のような空気に流されない者がシカトされる世の中...
ニュウトラルティーンの揺れ動く心模様を描くのが本当に上手な作家ですね。 孤立してしまう女子高生がファインダーを通して結ばれていく様は、ある意味現代社会の縮図かも。 良い子が敬遠されていくのが今の風潮に成りつつある。悪ぶったり、全体主義のような空気に流されない者がシカトされる世の中。 ファインダーの世界は静寂と瞬間的世界で、切り離された個の空間だが、個性がより集まると力になる。 彼女たちは、孤立し迷い苦しみながらも分かち合える喜びを体現していく。 相沢さんの作品を読むことで、共感と喜びを与えてくれました。 作品がミステリー的なのが暗さを無くしてくれていますね。いい作品です。
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マツリカ・マジョルカから、相沢沙呼の作品を読みました。 男性だとは知らなかったです(笑) 写真部の4人の少女の話でした。
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女の子たちの日々の小さな悩みや些細な出来事。ずっと遠くなってしまったけれど、私だってそんなことに一喜一憂してました。 連作短編集で、章が代わるごとに目線が代わり、友人から見た彼女たちの悩みを客観的にも見られひとりひとりの日常に愛おしくなるような思いを抱かされます。 さらっと読...
女の子たちの日々の小さな悩みや些細な出来事。ずっと遠くなってしまったけれど、私だってそんなことに一喜一憂してました。 連作短編集で、章が代わるごとに目線が代わり、友人から見た彼女たちの悩みを客観的にも見られひとりひとりの日常に愛おしくなるような思いを抱かされます。 さらっと読めてしまったのだけど、じっくりと読み込んでみてもよかったのかもしれない。でもやっぱり遠い昔・・・かな。
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写真部の少女たちを描く、柔らかな雰囲気の学園ミステリ。柔らかではあるけれど、青春ならではの悩みや痛みも盛り込まれていて、甘いばかりではありません。 お気に入りは「ツインレンズ・パララックス」。誰しもこういう思いを抱えたことが一度はあるんじゃないのかな。
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相沢氏の描く女性ってなんだかな、と思っていたのですが、今まで読んだのが男主人公目線のものであったからかもしれないなあ、と思いました。 理想している女性像というのでしょうか、明らかに私の好みではないタイプの女の子がヒロインでした。 が、ココロ・ファインダは同じ部活内の女の子を主役と...
相沢氏の描く女性ってなんだかな、と思っていたのですが、今まで読んだのが男主人公目線のものであったからかもしれないなあ、と思いました。 理想している女性像というのでしょうか、明らかに私の好みではないタイプの女の子がヒロインでした。 が、ココロ・ファインダは同じ部活内の女の子を主役とした、連作短編集の形を取っており、ああこういう悩みあるよなあ…としみじみ思うような内容でした。 何だ、魅力的な女の子書けるじゃないか…!なんて思わず思ってしまうほど。 男主人公目線で描くのとは全く違うのでしょうね。 あまり連作短編集というのも得意ではないのですが、これはすっきり読むことがかないました。 壁の写真のお話がどことなく印象的。
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読んでいてところどころ苦しくなしました。 きっと自分にも昔経験したようなないようなそんな内容だったからです。 昔の自分を思い出して比べれるくらいにはちょっとは大人になったのかなぁ。
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高校の写真部を舞台に、コンプレックスを抱える4人の女子高生(容姿に自信が持てないミラ、人気者のカオリ、「わたし」というしがらみに悩む秋穂、誰とも交わろうとしないシズ)の連作短編集。 『午前零時のサンドリヨン』や『ロートケプシェン、こっちにおいで』でも思ったことだけど、なんでこん...
高校の写真部を舞台に、コンプレックスを抱える4人の女子高生(容姿に自信が持てないミラ、人気者のカオリ、「わたし」というしがらみに悩む秋穂、誰とも交わろうとしないシズ)の連作短編集。 『午前零時のサンドリヨン』や『ロートケプシェン、こっちにおいで』でも思ったことだけど、なんでこんなに女性心理がわかるのかと思っちゃいました! それぞれが抱えるコンプレックスに共感しちゃいます。 ミラのコンプレックスもわかるけど、一番共感したのは秋穂のコンプレックスかな・・・今でも悩まされてます(+o+) ミステリーの要素もあるけどほとんど青春小説だと思うので、カテゴリは青春小説にしました。 以前読んだ作品では文章苦手かも・・・って思ったけど、この作品はとっても読みやすかった。 ただ単に、慣れただけかもしれないけど(^_^;) 写真に関する描写も読みやすいというかわかりやすかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とある方のブクログレビューに魅かれて手に取った1冊。 柔らかなソフトフォーカスと温かみのある色合いの装丁に見とれてて気づく。 …ローライフレックスだ!!!!(小躍り) 表紙の写真が裏焼きになっているのが不思議だったんだけど あたしの読みが正しければ、その謎は本編を読めば解けるはず。 4人の女の子の目線で語られる連作短編集。 吉田秋生氏の『桜の園』を彷彿とさせる。 実はそれぞれにちょっとずつ違う傷を抱えて悩み足掻く ミラ、秋穂、カオリ、シズがそれぞれに可愛らしくて愛おしくて 思わずぎゅーっとしたくなってしまう(ホントにやったらただの変態だが)。 過去に読んだ相沢作品にも巧妙に棘が仕込んであったんだけど 今回の棘はキラキラしたガラスの破片でできてるんだ、きっと。 傷をつける棘すら輝いている、というか。 『その一瞬を、逃せない』という一文が、高校生という時期を象徴している気がした。 カテゴリは『ミステリ』と迷った末に『青春小説』を選んだ。 正統にミステリといえるのは カオリの章である『ツインレンズ・パララックス』だけだと思ったから。 出来上がった写真を文章で見せるのは相当難しいと思うんだけど この作品は文章なのに写真の画を鮮やかに見せてくれた。 撮影会の様子、ピンホールカメラの現像、補正ソフトの使い方… そういった描写を読むにつけ、改めてデジイチが欲しくなる。 銀塩の一眼レフはどこかにあるはずなんだけど、どこ行ったかな…。
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「カタカナの魔術師」という称号を捧げたい、相沢沙呼さん! 『午前零時のサンドリヨン』、『ロートケプシェン、こっちにおいで』では 魅力的なマジック用語を交えながら、高校生たちの声にならない叫びを それこそ魔法のように鮮やかに描き出していたのが印象的だったのですが この本では、高...
「カタカナの魔術師」という称号を捧げたい、相沢沙呼さん! 『午前零時のサンドリヨン』、『ロートケプシェン、こっちにおいで』では 魅力的なマジック用語を交えながら、高校生たちの声にならない叫びを それこそ魔法のように鮮やかに描き出していたのが印象的だったのですが この本では、高校の写真部を舞台に、タイトルはもとより、 各章のタイトルにも写真用語のカタカナをあしらって カメラのファインダを覗き込みながら自分を見つめ直していく少女たちを 男性作家とは思えない筆致で描いています。 どうしたって親友のようには可愛くなれない、と自分で自分を追いつめて 好きな男の子の前でも自然に笑えないミラを描く「コンプレックス・フィルタ」 「わたしらしさ」がわからなくて、自分には日の当たらない場所が似合うと 諦めてばかりの秋穂を描く「ピンホール・キャッチ」 いじめられていた中学のころの自分と訣別するために創り上げた お洒落で可愛らしいキャラクターに罪悪感を抱くカオリを描く 「ツインレンズ・パララックス」 優秀な子しか受け入れてくれない両親の期待を背負い、写真を続けたい自分を 出来損ない、失敗作と責め、進路に悩むシズを描く「ペンタプリズム・コントラスト」 カクカクとぎこちなく転がるような、カタカナの写真用語と 上手にからめて描かれる謎と、コンプレックスの鎧。 レンズを通ってからファインダーに届くまで、何度も何度も反射を繰り返す光のように あちらにぶつかり、こちらにぶつかりしながら 想いが届くまで、伝わるまでもがき続ける少女たちがいとおしい物語です。
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