かあちゃん の商品レビュー
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かあちゃん。 重松清さん。 素晴らしい作品でした。 涙。涙。 名言がたくさん。 星5つ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎ みんなに、読んでほしい。 忘れずにいる勇気。 背負いつづける勇気。 罵られることすら叶わない罪。 自己満足だと切り捨てられて終わる償い。 いじめを認めたくない。 認めてしまうと、 その瞬間、 「いじめられている奴。」になってしまう。 絶対にいじめられたくないから、泣きたい思いでいじめてきたのに。 いじめの加害者になっても、被害者になっても、母を悲しませてばかりいることが、いちばん悲しい。 自分の心をきちんと言葉で表現できるくらいなら、誰も苦労しないよ あいつにはおびえない。勝てなくても負けない。たとえ負けても、もう逃げない。 ばれる嘘をついてるうちなら、まだ間に合う。 ガンバレ と、アスパラガスとグリンピースでつくった文字が、凍ったカレーの上に並んでいた。母の笑顔が浮かんだ。 負けたことのある教師のほうが、生徒には必要じゃないか? どんな子どもも、ひとりぼっちでこの世に生まれてくることはありえない。生まれきた瞬間にいちばんそばにいてくれるひとは、どんな人間の場合でも、母親なのだ。
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同僚を巻き添えに自らも交通事故死した父の罪を背負う母。母を精一杯生きる女性と、その子どもたちの物語。 重松さんが初めて描く「母と子」の物語。笑うことも幸せになることも禁じる母の姿は、亡くなった同僚の家族への贖罪の意識だけでなく、父親を失った子どもたちへのメッセージも込められている...
同僚を巻き添えに自らも交通事故死した父の罪を背負う母。母を精一杯生きる女性と、その子どもたちの物語。 重松さんが初めて描く「母と子」の物語。笑うことも幸せになることも禁じる母の姿は、亡くなった同僚の家族への贖罪の意識だけでなく、父親を失った子どもたちへのメッセージも込められていると思う。母性という深い愛情が自らを戒め、そして無言ながら子どもに『人』として生きる価値を伝える。
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電車で涙がぽろっとでちゃいました。 というようなフレーズのレビューがあると期待値高くなるので、構えず読んでほしいです。参考程度に
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償い続ける事の重さを教わった。どんな事があろうと償い続ける、かあちゃんの姿。こんな風に私には出来ない。最後、もちろん号泣でした。笑顔を捨てた長い時間、私には想像出来ないです。
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とんび女性バージョン。 不覚にも泣いてしまうような作品。 重松さん、こんな話ずるいよー。 暗い重松さんがよかったのにー。
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久しぶりに小説を読んだ。 一気に読んだ。 いろんな母子の姿を描く連作。夏が舞台の作品なので、夏休みに読むのがいいんじゃないかな。
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重松氏の心理描写の巧みさが存分に発揮された作品だった。 人は誰しも、他人を傷つけた過去があるのではないだろうか。 忘れたい過去なのは間違いないが、その過去を忘れずに、重荷を背負って生きていくことが、思いやりや優しさに繋がっていくのだと感じた。 ちなみに私自身、他人をいじめた経...
重松氏の心理描写の巧みさが存分に発揮された作品だった。 人は誰しも、他人を傷つけた過去があるのではないだろうか。 忘れたい過去なのは間違いないが、その過去を忘れずに、重荷を背負って生きていくことが、思いやりや優しさに繋がっていくのだと感じた。 ちなみに私自身、他人をいじめた経験があり、そのことを思い返すとどうしようもないほどの後悔の波が押し寄せる。しかし、その過去は決して消せないもの。いじめた相手への償いの気持ちは、一生忘れないようにしたい。 自分のこれからの生き方を考えさせてくれる一冊。
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父が運転していた車の事故で同乗者の上司も亡くなってしまった。その罪を自ら追い、笑わず身を粉にして働く「かあちゃん」。主人公が大きくなり、子供を持った頃、その話を聞いた少年が勇気づけられ、いじめに向き合うと言う話。 弱さ故にいじめに加わってしまった人、いじめられた人、いじめた人、章...
父が運転していた車の事故で同乗者の上司も亡くなってしまった。その罪を自ら追い、笑わず身を粉にして働く「かあちゃん」。主人公が大きくなり、子供を持った頃、その話を聞いた少年が勇気づけられ、いじめに向き合うと言う話。 弱さ故にいじめに加わってしまった人、いじめられた人、いじめた人、章ごとに視点が変わりいじめについて考える。一つのいじめに人事の背景思いを書く。 子供らにも読んで欲しいと思う、重松さんらしい「生きる」を考える一冊。
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「「墓参りは、覚えとる、いうことじゃ」 「墓に参って、手を合わせて、ああ、おかげさまでまた一年たちました、半年たちました、春が来ました、夏が来ました、いうて……おかげさまで元気で生かしてもろうております、いうて……忘れとりません、いうて……」」 「「二十何年だぜ、すげえよ。じいちゃんも、ばあちゃんも、母ちゃんも、幸せだったと思う。現実に幸せか不幸せかっていったら、それは絶対に不幸なんだけど、でも……忘れないでいてくれるひとがいるっていうのは、やっぱり幸せだと思うんだよな」」 「「取り返しのつかないこと」というのは、事件とか事故のすごく大きな一瞬を境にするのではなく、毎日のだらだらとした繰り返しの中でーーみんなが「ちょっとヤバイかもね」と心配しながらも見て見ぬふりをしているうちに自殺未遂にまで至った黒川くんのいじめみたいに、静かに、ひそかに「取り返しのつかない」一線を越えてしまうのかもしれない。」 「心の中が優しさだけのひとなんて世界中のどこにもいない。どんなひとだって、ときには弱くなったり身勝手になったりする。だから、誰かに優しくされたり誰かに優しくするときって、胸がほんのりと温もりながら、ちょっとだけせつなくなるのかもしれない。」 「どんなにおとなびていても中学生はやっぱり中学生だなあ、と思うのは、こういうときだ。地元しか知らない。この子たちの世界はまだまだ笑ってしまうほど狭くて、小さくて、だからこそいとおしい。」 「それはそうよ。人間が一人でがんばれることなんて、たかが知れてるんだから」 「思い出すことすらできない人生のいちばん最初に、母親がいる。その深い深い記憶を忘れずにいるかぎり、ひとは、どんなに寂しい毎日を送っていても、決してひとりぼっちではないのかもしれない。」 『かあちゃん』というタイトルの本だったけれど、母子の関係以外の多くのことから考えさせられたお話だったと思う。「この奥さんがここまで罪の意識を背負う必要があるの?」という疑心から始まり、中学生の各家庭での事情が語られ、(重い事情ありすぎだろ…と、思う)読み進めながらもずっと心に残っていたのは"忘れない"という償い方についてだった。 私は、人は忘れることで前に進めると思っていた節があった。忘れたいことを忘れずに抱えて生きていく、というのはどれほど苦しいんだろうか?私には想像がつかないが、登場人物たちが重く受けとめ、かつ前へ進んでいく姿は確かに眩しく、力強く感じた。 どんな形であれ、人に覚えていてもらうということはそんなにいいものなのだろうか。私にもその答えがわかる日が来るだろうか。
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前半は”他と比べるとちょっとパンチ力ないかな~”みたいな感じで読んでたけど、後半、巻き返しが凄かったです。かあちゃんを通しての贖罪が通底するテーマで、思春期のほろ苦さも絶妙にブレンドされてます。個人的には、ラス前のクロちゃんに会いにいく章が一番グッときました。”かあちゃん”という...
前半は”他と比べるとちょっとパンチ力ないかな~”みたいな感じで読んでたけど、後半、巻き返しが凄かったです。かあちゃんを通しての贖罪が通底するテーマで、思春期のほろ苦さも絶妙にブレンドされてます。個人的には、ラス前のクロちゃんに会いにいく章が一番グッときました。”かあちゃん”という存在からは、おそらく一番離れた章なんですけどね。この章で登場するかあちゃんは、ちょっと取ってつけた感もあるし。でも良かったです。マルチ視点で進む物語ってことでは素敵だった「きみのともだち」を思い出しましたが、こちらも相当に素晴らしかったです。
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