どん底 の商品レビュー
人間の悪意を固めて砂の城をつくったらこうなるのだろう。しかし人の心は理論整然とはいかない。曲がりくねりうねり乱され後戻りする。自分の心理を明快に語れる人はいるのだろうか。
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部落差別自作自演事件を追ったノンフィクション。権利を利用するが、筋は全く通さない、そんな犯人。本当に腹立つ。 犯人を信じて、支えて来た組坂幸喜さんが大道塾WARSに出ていた方だと知ってビックリ。
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差別ハガキが同和地区のある男性に送られてきた。男性は差別への怒りを訴え講演会に引っ張りだこになり自作の歌さえもうたうのだが結局はハガキをだしたのは男性本人と判明した。周りの善意と同情と運動の歴史を踏みにじって、ちっぽけなエゴを満足させようとした男性のパーソナリティがなんとも不気味...
差別ハガキが同和地区のある男性に送られてきた。男性は差別への怒りを訴え講演会に引っ張りだこになり自作の歌さえもうたうのだが結局はハガキをだしたのは男性本人と判明した。周りの善意と同情と運動の歴史を踏みにじって、ちっぽけなエゴを満足させようとした男性のパーソナリティがなんとも不気味だ。すべてが発覚したあとも男性は未だに同じ場所に住んでいるという。なんとも後味の悪い読後感だが構成が上手く発端から発覚その後と一気に読んでしまった。良書。
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こういう人ともし出会ったら、全力で関わり合わないように逃げるしかないですね。 関わり合わないわけにはいかない状況になってしまった解放同盟等の方々には同情の念しかありません。
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状況がすっかり分った状態で この事件の詳細が語られてゆく。 結果が分っているだけに、読み進む事が非常に辛くなる。 この男は、同和問題以前に「ただ そういう人だった」と言うことのような気がする。 何処にでも、こういった人物は居るのだ。
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差別自作自演事件のルポだが、本質は犯人の人間性に帰着するという論調もあるが、人間が根源的に持つ差別意識を問う重たい一冊。
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世の中にはさまざまな差別が存在している。その中でも、生まれた地域や職業によって差別され続けられているのが、「被差別部落」の人たちである。ここに登場する山岡一郎の悲しくも哀れな結末を通じて、この国が明治維新以来、戦後、民主主義国家に至ってもなお完治することが出来ず、それはまるで傷の...
世の中にはさまざまな差別が存在している。その中でも、生まれた地域や職業によって差別され続けられているのが、「被差別部落」の人たちである。ここに登場する山岡一郎の悲しくも哀れな結末を通じて、この国が明治維新以来、戦後、民主主義国家に至ってもなお完治することが出来ず、それはまるで傷のかさぶたを剥がすような痛々しさがこの本に描かれている。治りかけては、剥がされ、剥がしては、治そうとする…この虚しい繰り返しが、差別の根本的な問題なんだろと思う。世の中の状況が悪くなり、自分の将来に不安を感じたり、生活が苦しくなると、この「差別」が著しく台頭してくる。今まで自分より劣っていると思ったり、バカにしていた人たちが、自分よりいい生活をしたりしているのを見ると、やっかんだり恨んだり、場合によっては引きずり落とそうと考えたりする。普段は抑え込んでいる劣情に捉(とら)われ、相手の秘密を暴露したり、密告したり。そうやって自分の優位性を満足させる為の「差別」を作り出さずには生きてゆけぬ人間の業の深さが、この本に描かれているグロテスクで歪んだ差別社会を作りだしてしまうのだ。
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狭山事件があるので、みんなの目がくもってしまったのではないだろうか?それにしても平気で嘘をつく人は恐い。そして嘘と理解していないだろうことがもっと恐いです。
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福岡県で実際に起きた部落出身者による差別自作自演事件のルポ。 被差別部落については、本当に根が深く、一筋縄では到底行かない難題であるのは周知の事実。 本作は、それに加え、その解放運動の孕む危うさ、差別問題の別の側面にもさらに一歩言及した問題作と言ってもいいかもしれない。 犯人の...
福岡県で実際に起きた部落出身者による差別自作自演事件のルポ。 被差別部落については、本当に根が深く、一筋縄では到底行かない難題であるのは周知の事実。 本作は、それに加え、その解放運動の孕む危うさ、差別問題の別の側面にもさらに一歩言及した問題作と言ってもいいかもしれない。 犯人の狡猾さというか幼稚さというか、部落云々以前にその人間性を強く疑うような振る舞いは、読んでいるだけでも憤りを通り越して呆れるばかりだが、著者はそこへさらに、解放運動の在り方にも一石を投じるかたちでルポをまとめている。 これはなかなかに勇気のいる決断ではなかったかと思う。 同時に、それだけこの部落問題が持つ難しさ、根深さをも追及して見せたという点で、非常に意義深い作品。 あとがきの「曇りのない目で読んでほしい」というひとことに、二重三重の著者の思いを見た。
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あまりにも身近な場所での事件なのに、 まったく知らなかった。 身近な地名、身近な方言で語られる事件。 なのに、全然身近に感じたことのなかった差別・・・ 部落差別については、義務教育時代からいろいろ勉強しているが、 過去のものという意識でいた。 しかし、この事件はつい最近のこと...
あまりにも身近な場所での事件なのに、 まったく知らなかった。 身近な地名、身近な方言で語られる事件。 なのに、全然身近に感じたことのなかった差別・・・ 部落差別については、義務教育時代からいろいろ勉強しているが、 過去のものという意識でいた。 しかし、この事件はつい最近のこと。 部落差別の歴史も含めて、今でも差別が続いていることが書かれている。 その差別をなくすために、地域の人たちが、どれだけのつらい思いをして、 どれだけの決意を持って戦っているか。 それを、この自作自演の主人公がどのように踏みにじったのか。 自分の実力以上の地位や職、金を求めて、自作自演を繰り返した男。 社会の同情や注目が集まることで得たものは、 彼をどれだけ、安心させたろうか。 この地域に生まれただけで、常に恐怖感と戦っている。 そのことがバレるんじゃないか(なにも悪いことはしていないのに) 差別を受けたくない(差別を受けることはみじめだ) 差別は間違っている。 差別するものは、糾弾されるべきだ。 しかし、誰もが立ち向かえるほど、簡単な問題ではない。 隠して生きていく生き方も、決して間違ってはいないと思う。 本書内にも、なぜ隠すのか、なぜ堂々としないのか、という地域の声もあったが、 誰もがそれほど強いわけではないし、戦えるだけの知識や能力を持っているわけでもない。 それは、部落差別に関わらず、私の持論であるけれど、 そもそも、この男がなぜこんなことをしでかしたのかというと、 差別だけの問題ではなく、人間性の問題のように思える。 タイトルの「どん底」は差別をされているこの地域のことを指しているかと思っていたが、 この男の人間性のことなんだろうなと思う。 どこにでも、こんな底辺の人間がいるんだな・・・ これじゃ、差別はなくなるはずないさ・・・
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