結婚 の商品レビュー

井上荒野【著】

2012/07/30

感動したとか、読んで良かったという感情はなく、何度も言えない読後感でした。

主人公ともいうべき古海は悪い奴なのですが、その内面は以外に複雑で、一概に極悪人とも言い切れません。

何か充たされない思いを抱いていて、ずっと住みたいと願っていたマンションに妻と居住する。

あれほど多くの女性と交渉を持ち、どの女性からも強く結婚を望まれながらも、結局、どうして彼は彼女を妻に選んだのでしょうか。
彼に欠けているものを充たしてくれる女性だと思ったからか…。

読後はそんなことをつらつら考えました。

今後何度も読み返したい本ではないけど、人間の心理について考えされてくれる、なかなかスリリングな小説です。

2012/07/29

結婚、というか、結婚詐欺のお話。
騙されたとわかっても、どこかでまだ信じたいと思う気持ちも、わからないではないけど。
被害者が少し多すぎた気が・・・途中かなり混乱。
最後はちょっと、井上荒野的な、サスペンス調。

2012/07/25

砂時計のような小説だ、と思った。
さらさらと硬質な砂が零れ落ちてゆくように、女から女へと身軽に渡り歩く結婚詐欺師の古海(うるみ)。
同じ登場人物が見えたり隠れたりしながら短編が連なる作品で、頁が進むごとに「残りコレだけしかない」「誰が何処でどうなるの」「まあどうなってもいいんだけど」と思いながら読み進める感覚も、個人的に砂時計っぽかった。
結局どうなるの、という明確すぎるオチがないのも井上荒野っぽくて良かった。
他の作品も気になる作家さんだ。

2012/07/23

本の帯に全く新しい物語を構築と書いてあったからてっきり結婚生活をじっくり書いた話かと思ったら、そこはやっぱり井上荒野。うらぎりませんね～。
狙いを付けた女を次々に落としていく古海のような結婚詐欺師、実際にいるんだろうか？こんな男なら騙されてみたいって思ってしまった。「きんつばが食べたい」とか可愛いよね。物語に出てくる女性たちも決して恨んでる様子もなく、まだ心のどこかで信じてるし、よっぽど魅力的なんでしょう。
それに引き換え、女は怖い。鳩子はどこに行ってしまったのだろう・・・。るり子、怖すぎ。

2015/01/23

欲望とねじれた思惑。
古海とその妻、るり子の着地点を見届けたかった気もする。
現実にはもっと、単純な仕組みでしかない男女関係を、陳腐でも下品でもなく、淡々と展開する作家に泥酔…

2012/06/23

するりと人の心に入り込む結婚詐欺師と騙される女たち、まわりの女たちの話。ずーっと不穏な空気のまま終わっていくのにキレイにまとまる不思議な感覚。
登場人物みんながドロドロしてるはずなのにある種の潔さがあって、読んでる側はあまりドロドロせずに、ぞわぞわしながら読めます。
誰の気持ちもわかる気がするけど共感にはしり込みしてしまう、そんなお話でした。
この作品は作者の父、井上光晴の同タイトルの作品に着想を得た話だそうなので、ぜひそちらも読んでみたいです。

2012/06/21

こんな調子の良い男がいるのか。
結婚にこだわらなければ、こんな男に引っかかることもないのだろうけど。

2012/06/19

古海ってどんだけモテる男なの(;o;)

結婚の決め手は妊娠とは

妊娠できる女は強いなぁ…

嘘でも言える女は

やっぱりそーなのかぁ

2012/06/14

図書館にて。
結婚詐欺師をテーマにした小説は読んだことがあったが、ラストに向かって恐ろしい方向に転がっていく。
え？え？と何度も戻って読み返した。
人の奥底の大切な部分、誰かを好きになる気持ち、信頼する気持ちを利用して裏切り、金銭をせしめる詐欺は本当に憎むべき行為だが、加害者被害者が入り乱れて暗躍する中、ラストシーンでつづられる妻の心の中が穏やかなのに一番ぞっとした。
理解はできるが味わいたくない。

2012/06/12

おもしろかった！ 2冊続けておもしろい本が読めてしあわせだー
この本は、今まであまり本を読んだことがない人におすすめしたい。
読みやすい文章で、短いし、退屈する暇がないくらい不幸な話が詰まっています。
この本を読んで、読書の楽しさを知ってほしい。