女の旅 の商品レビュー
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この著者、文章が上手だなぁ。 過去の人間を一人称で語り、それがとても活き活きと表現されているような気がする。それにしても色々な人生もあったものだ。この頃の旅は命懸けだろうし、言葉も文化も風習も場所ごとに全然違って面白かったんだろうなぁ。旅行というより、まさに旅という感じ。ある意味、何かを成した人たちがこうして物語として蘇っているわけだが、それ以外にも色々な人生があったんだろうなと思わせられる本だった。そしてそれぞれの女性が強いこと。控えめな女性を演じながらところどころで芯の強さを発揮している。 津田梅子は言わずもがな、旅芸人花子、富士山で気象観測した野中千代子、欧州に結果的に居着くことになってしまったクーデンホーフ光子、モンゴルにスパイとして派遣された河原操子、日本で美容院を開いた山野千枝子などなど特に興味深かった。 P.13 民俗学者の宮本常一も指摘していることであるが、プライバシーがないことは、常に多数の人の目に触れるということでもある。このことが結果的に、危機の回避につながったとも考えられる。 日本の民家は、プライベートな空間がきわめて少なく、間取りの大半を来客や寄り合いのために割かれるという特徴がある。プライバシーを極力排除することで、互いの生活や安全を保ってきた社会の仕組みに、おそらくイザベラも旅をしながら気づいたのではないか。 P.83(黒田清隆) 黒田は、一八七一年一月、視察のために訪れたアメリカで、女性が社会的に優遇され、家庭でも大きな影響力を持っていることに衝撃を受ける。帰国後、黒田は建議書のなかで、「開拓」には人材が必要であること、その人材を育てるには、母である女性がまず、豊かな知識を身につけていなければならないことを力説した。日本が文明国として成長を遂げるには、女子に対する本格的な教育が不可欠と結論づけたのである。 P.152 日本政府が目をつけたのは、内蒙古49旗のうちの一旗、カラチン王府であった。(中略)まずは一九〇二年の春、カラチン王を大阪の内国勧業博覧会に招待した。王は日本の近代文明にすっかり感じ入り、日本式の教育を導入したいと言い出した。蒙人よりも漢人の人口比がはるかに多く、清とロシアという二つの大国の間にあって、主体的な近代化への道を模索していたカラチン王にとっては、アジアの小国である日本が果たした近代国家への脱皮は、緊急に見習うべき具体像でもあったのだ。 P.155 教育に関して、日清戦争の勝敗は、両国のあいだに特殊な結びつきをもたらした。列強に対して虚勢を張る日本は、「脱亜」を果たしたわが国が未開の清を教導するのだという驕慢な発想を抱いていた。清は清で、日本の教育制度のなかに近代化の鍵があるとみた。少なくとも一九一〇年代まで、教育面における清のお手本は日本であった。結果、何百という日本人が清国全土の教団に立つことになる。その初めての女性が、操子であった。 P.157 操子のカラチン行きは「官命」であった。職務は、王室の教育顧問として女学堂を設立することだが、同時に軍事的な諜報活動も課されていた。 しかし、彼女を送り込む真の目的は、さらに先を見越したところにあった。 それは、蒙古のなかに「日本」を作ることであった。政府にしてみれば、女学堂はあくまで、王室を日本的に感化するための道具のひとつであった。事実、開校後の時間割では、蒙古語と漢語に加えて、日本語の授業にどの言語よりも多くの時間が割かれていた。そればかりでなく、もうこの祝祭日と同様に、日本の紀元節や天長節までもが、休校日の中に組み込まれていた。操子は、明治期の教師が潜在的にそうであったように、お上が遣わす伝達者としてカラチンに不妊したのである。
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その時代のバックグラウンドの中で、困難と思われることも実行にうつすことはできる。女性の場合は男性よりもしがらみは多い。現代でも少なからずある。その中でどう考え実行するかがら自分の人生をつくるポイントである。
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江戸時代の女性放浪人の記録。 俗世を捨て、旅と和歌に生きるおんな。 波乱万丈な人生を抜け出し欧州で活躍し、ロダンに愛されたおんな。 逆境と動乱の時代にこそ偉大な人物は輝く、苦境をチャンスに変えていくことが重要。 強く美しく生きる女の歴史、必読です。
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◆時代に立ち向かった女性たちの旅の軌跡◆ ユネスコの世界文化遺産に登録された富士山は、この夏休み大勢の観光客で賑わうことでしょう。 さて、この本には明治期、富士山頂での越年気象観測に情熱を傾ける夫を助ける為、女性で初めて富士山〝越冬〟に挑んだ野中千代子の話が載っています。厳冬期山...
◆時代に立ち向かった女性たちの旅の軌跡◆ ユネスコの世界文化遺産に登録された富士山は、この夏休み大勢の観光客で賑わうことでしょう。 さて、この本には明治期、富士山頂での越年気象観測に情熱を傾ける夫を助ける為、女性で初めて富士山〝越冬〟に挑んだ野中千代子の話が載っています。厳冬期山頂の観測小屋で夫と共に82日間を過ごしたとは驚きです。 他にも、幕末から明治期にかけて、「旅」というより「冒険と輝きに満ちた人生」を送った、魅力的な女性たちの物語が満載です。
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幕末から明治に旅をした11人の女性を取り上げた本. 取り上げられているのは 第一章 田上菊舎(俳人) 第二章 松尾多勢子(尊皇家) 第三章 楢崎龍 (龍馬の妻) 第四章 岸田俊子 (民権運動家) 第五章 津田梅子 (教育者) 第六章 花子 (旅芸人) 第七章 野中千代子 (富士山...
幕末から明治に旅をした11人の女性を取り上げた本. 取り上げられているのは 第一章 田上菊舎(俳人) 第二章 松尾多勢子(尊皇家) 第三章 楢崎龍 (龍馬の妻) 第四章 岸田俊子 (民権運動家) 第五章 津田梅子 (教育者) 第六章 花子 (旅芸人) 第七章 野中千代子 (富士山越冬) 第八章 クーデンホーフ光子 (ボヘミア貴族の妻) 第九章 河原操子 (モンゴルで学校運営) 第十章 山野千枝子 (教育者)日本初の美容師) 第十一章 イザベラバード (旅行家) この中で知っていたのは四人.知らなかった人の中では、山野千枝子が一番興味を持って読めた. 全体としてみると,テーマは面白いと思うんだけど、いささか掘り下げ不足.どの章もさらっと人生の表面をなぞった感じで、「旅」というテーマが深まっていかない.取り上げる人を絞ってその人にとっての旅を書いて欲しかった.
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副題にあるように幕末維新から明治期に活躍した女性達がした旅を取り上げています。 「旅」といっても遊びの「旅」ではなく、自分の人生を切り開くための「旅」だったり、別れの「旅」だったり、様々。 しかし、共通してるのは本書に登場する女性は皆強い意思を持ち、信じられないぐらいの行動力と決...
副題にあるように幕末維新から明治期に活躍した女性達がした旅を取り上げています。 「旅」といっても遊びの「旅」ではなく、自分の人生を切り開くための「旅」だったり、別れの「旅」だったり、様々。 しかし、共通してるのは本書に登場する女性は皆強い意思を持ち、信じられないぐらいの行動力と決断力を持っている。 現代から比べれば非常に情報力が乏しい時代、彼女たちには頭が下がるばかりです。
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山本志乃『女の旅 幕末維新から明治期の11人』中公新書、読了。近世以前、女性の一人旅は困難だったが、江戸末期より自らの意思で「移動」する女性たちが登場する。俳人田上菊舎は40年も歩き、松尾多勢子は志士を助け、河原操子は大陸浪人の女性版……。 およそ女性に限らず、限定的社会は基本的に「移動の自由」が制限されている。ひとりひとりが自身の意思において「移動」をすることにより、共同体は活性化していくものである。彼女たちの足跡は社会の変化を映し出している。 本書で、河原操子を初めて知る。松本藩士の長女として生まれ、大同学校教師を経て、モンゴルの王室で教育顧問、粛親王と交友、同地の女子教育に先鞭をつける。同時に日露戦争関係横川省三と沖偵介と諜報活動に従事。知られざる「女傑」(←言葉が古い)の存在に驚くばかり。
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昔の日本人女性が旅を嗜好するのをめずらしく感じ、そのメンタリティに興味を持ち読んでみた。社会の風当たりも強かったであろうのに、それぞれの人生を歩む姿には大和撫子達の奥ゆかしさの中にも強さを感じる。
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なかなか興味深く読んだが、薩摩や土佐という言葉を使わず、鹿児島藩高知藩という表記になっているのが多少違和感。 こだわりかと思うが、長州はそのままなのには何か意味があるのか?
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きよのさんの明朗な旅も楽しいが、幕末からのそれぞれの事情を抱えた女性の旅人11人の旅も興味深い。芭蕉の旅をたどる事から始めて半生を旅に生きた田上菊舎からイザベラ・バードまで、日本を、日本から世界へ、あるいは海外から日本へ、レディ・トラベラー達の旅と背景を紹介。 読了 それぞれ統一...
きよのさんの明朗な旅も楽しいが、幕末からのそれぞれの事情を抱えた女性の旅人11人の旅も興味深い。芭蕉の旅をたどる事から始めて半生を旅に生きた田上菊舎からイザベラ・バードまで、日本を、日本から世界へ、あるいは海外から日本へ、レディ・トラベラー達の旅と背景を紹介。 読了 それぞれ統一感が有るものではないけど、劇的で心に残る。どこから読んでも誰かの人生に惹かれれば本書は成功したのでは。
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