ザ・コストカッター の商品レビュー
カラ売りを専門とするヘッジファンドパンゲア&カンパニーの北川が狙いを定めたのは不振に喘ぐスポーツメーカー極東スポーツ。その株主である米投資ファンドによりCEOに任命された蛭田明は過酷なリストラ、不正会計を行い短期間で同社の株価を上昇させ、私腹を肥そうとする。カラ売り屋とリ...
カラ売りを専門とするヘッジファンドパンゲア&カンパニーの北川が狙いを定めたのは不振に喘ぐスポーツメーカー極東スポーツ。その株主である米投資ファンドによりCEOに任命された蛭田明は過酷なリストラ、不正会計を行い短期間で同社の株価を上昇させ、私腹を肥そうとする。カラ売り屋とリストラ屋が世界を舞台に戦いを繰り広げる。
Posted by
再読。 蛭田=悪というわかりやすいストーリーだったものの、もろもろを踏まえて悪だけでかたずけ切らないのが著者の良いところだとおもう。 また、空売り屋対名うての経営者というメインストーリーに、米国の黒人社会の一端を絡めてくるのも乙。
Posted by
日本の会社の一部では企業価値を高めるために海外投資ファンドから厳しい提案を示されるケースが見られるものの、海外の会社のほうが手厚い処遇で従業員に優しいことも多くなった昨今、時代背景は変わってきたように思えるものの、一方、日本の企業の生産性の向上は待ったなしということは間違いないの...
日本の会社の一部では企業価値を高めるために海外投資ファンドから厳しい提案を示されるケースが見られるものの、海外の会社のほうが手厚い処遇で従業員に優しいことも多くなった昨今、時代背景は変わってきたように思えるものの、一方、日本の企業の生産性の向上は待ったなしということは間違いないのではと感じる。その実行には優れたリーダーが必要と考えるが、本作では私利私欲にまみれたステークホルダーにより会社が破壊されていく様子が描かれている。リストラ屋社長の生い立ちやハーレムの子どもたちに語られる作品最終部は、社会問題意識が喚起される読後感を残した。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ファンドに買収されたスポーツシューズメーカーが、コストカットで経営を再建してきたというプロ経営者を雇い再建に乗り出すも、コストカッターの実態は株価の釣り上げのための無茶なリストラを行うのみで、結果的にはカラ売り屋に見破られ、プロ経営者は追い詰められていく。 コストカットが賞賛されつつも、それにより崩壊する組織の様、証券アナリストの推奨コメントの当てにならなさ、証券会社の儲け方など非常に勉強になった。 また黒木亮的な人間描写は毎度ながらお見事。
Posted by
展開が早くて、一気に読めた。空売りファンドというとなんか変なことをやってそうなイメージだけど、財務諸表から経営状況を読み取ったり地道に市場調査したり、これが実態に近いのであれば、結構コツコツやってるんだなと思った。 コストカッターの経営者が典型的な短期利益追求型。その堕落した行動...
展開が早くて、一気に読めた。空売りファンドというとなんか変なことをやってそうなイメージだけど、財務諸表から経営状況を読み取ったり地道に市場調査したり、これが実態に近いのであれば、結構コツコツやってるんだなと思った。 コストカッターの経営者が典型的な短期利益追求型。その堕落した行動や没落がコミカルに描かれていて、正義と悪みたいなものが分かりやすい構図だった。実際にはコストカッターだって単純な悪ではないだろうし、ファンドは悪いこともするのだろう。
Posted by
・空売り屋とコストカッターの対決。 双方に背景があり、コストカッターの蛭田には ブランドビルダーとして復活して欲しい。 ・コストに見合う製品が作られ、市場で売れるのか。 財務諸表は粉飾できても、エンドユーザーを ごまかすことはできない。 ・工場を閉鎖して外部委託したらどう...
・空売り屋とコストカッターの対決。 双方に背景があり、コストカッターの蛭田には ブランドビルダーとして復活して欲しい。 ・コストに見合う製品が作られ、市場で売れるのか。 財務諸表は粉飾できても、エンドユーザーを ごまかすことはできない。 ・工場を閉鎖して外部委託したらどうですか? そんな問いに示唆を与えてくれる。
Posted by
コストカッターvs空売り屋のお話。10年近く前の出版のはずだが日産のカルロスゴーン事件を彷彿とさせる内容である。テクニカルな部分は相変わらずのディテールで読み応え抜群。
Posted by
面白い。 今時、こんな転売バブルみたいな奴いるかよ、とか、IR がこんなにダイレクトに株価に直結するか?など突っ込みつつ楽しめる。 カラ売り屋が主役っていう設定の勝利かな。
Posted by
日産のゴーンが逮捕されるという時期に、 「ザコストカッター」という題名に引かれて読んだ。 どちらかと言えば、「空売り屋」の北川が主人公のように見えた。 空売り屋としての 財務諸表の目利きがきちんとできている。 空売りって、短期間で処理するかと思ったら、 かなり長い時間を保持できる...
日産のゴーンが逮捕されるという時期に、 「ザコストカッター」という題名に引かれて読んだ。 どちらかと言えば、「空売り屋」の北川が主人公のように見えた。 空売り屋としての 財務諸表の目利きがきちんとできている。 空売りって、短期間で処理するかと思ったら、 かなり長い時間を保持できることを初めて知った。 売掛金の増大による売り上げの増大。 そして、キャッシュフローが増えないということから ビルアンドホールドという手法であることがわかる。 そして、倉庫をリースしていることが、この推定の根拠にもなる。 それにしても 蛭田の持つ リストラとコストカットの仕方はすざましい。 コストカットではなく、ブランド確立の経営者がいるという北川の指摘は正しい。 中国、ブリックスをターゲットにした マーケティングと 中国への工場の集中化。 株を上げるためにどうするかを苦心する。 レインボープラスワンに関する リサーチの仕方が面白い。 ファッションと価格ではなく、よりがっしりしたものを 求めているというのが、よくできている。 結局 蛭田は 粉飾決算の方に 進んでいくことになる。 そうであっても、自分の報酬は 多額になる。 なんとなく、ゴーンを彷彿とさせる。 ゴーン問題の心象がよく見えて、面白かった。
Posted by
本書をどう読むか?所謂、リストラ屋と称されるコストカッターの実態とリストラクチャーされる企業側の悲哀を浮き彫りにした物語として読むことも出来る。カラ売り屋の北川も不正を暴く正義漢として描かれるが、所詮カネ儲けの手段としてヒルのように喰らい付いているだけといえばそうとも言える。(事...
本書をどう読むか?所謂、リストラ屋と称されるコストカッターの実態とリストラクチャーされる企業側の悲哀を浮き彫りにした物語として読むことも出来る。カラ売り屋の北川も不正を暴く正義漢として描かれるが、所詮カネ儲けの手段としてヒルのように喰らい付いているだけといえばそうとも言える。(事実、最後に儲けたのは米国投資会社とカラ売り屋である)読後感もあまりよろしくないし…但し、逆説的に企業がかくあるべきというかリストラ屋では、会社がよくならないことを暗示している点では共感できる。
Posted by