犬から見た世界 の商品レビュー
5年前に犬を飼うにあたり結構な数の本を読んだが、犬と生活して得た知見から考えると、「犬そのもののことを知りたい」場合は本書が一番おすすめできます。 自分の犬について書かれているパートなど特に冗長なのですが、犬を飼ってる方にとっては「あるある」な事例です。 本書には犬の行動がどの...
5年前に犬を飼うにあたり結構な数の本を読んだが、犬と生活して得た知見から考えると、「犬そのもののことを知りたい」場合は本書が一番おすすめできます。 自分の犬について書かれているパートなど特に冗長なのですが、犬を飼ってる方にとっては「あるある」な事例です。 本書には犬の行動がどのような意味なのか書かれています。犬という人ではない家族を理解する近道です。
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<目次> はじめに 第1章 犬の環世界~犬の鼻から世界を見る 第2章 家に属するということ 第3章 嗅ぐ 第4章 もの言わぬ… 第5章 犬の目 第6章 犬に見られる 第7章 犬は人類学者 第8章 犬は心を読むか 第9章 犬の内側 第10章 絆が作り上げるもの 第11章 朝の大事な時間 <内容> 動物行動学者が、自分の飼っていた犬を基軸に、イヌの世界、特に心理面を綴ったもの。完全な科学論文はないが、イヌの「擬人化」を避け、丁寧に書いている。そこからわかることは、イヌの感覚は、鼻で「嗅ぐ」ことで始まり、耳で「聞く」ことも大事だが、人と接する中で目で「観察する」ことも重要視しているということだ。イヌを理解するためには、イヌにならないといけない。人が立ったままイヌと接するのではなく、イヌの目線で立ち、イヌがするように鼻で感じ(むろん人間は犬のようには臭いをかぎ分けられない)るのだ。そうすれば、夏の日中の散歩がいかに熱くいのか暑いではなく熱い。アスファルトの照り返しはもちろん、アスファルト自体が相当に熱い)わかるだろう。地表近くの臭いを感じれば、イヌがなぜあちこちの臭いを嗅ぎたがるかわかるだろう(ちょっと人にはわからない部分だが、匂いは犬のコミュニケーション)。
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読み終わって頭の中に残ったのは、「アイコンタクト」と「匂いの視覚」。 「アイコンタクト」:人が飼い犬を良く見ているように、犬も飼い主を注意深く見ている。 だから人が視線をそらすと、犬はその先にあるものにも関心が向く。 「匂いの視覚」:人は主に視覚によって現在を見ているが、犬は視覚...
読み終わって頭の中に残ったのは、「アイコンタクト」と「匂いの視覚」。 「アイコンタクト」:人が飼い犬を良く見ているように、犬も飼い主を注意深く見ている。 だから人が視線をそらすと、犬はその先にあるものにも関心が向く。 「匂いの視覚」:人は主に視覚によって現在を見ているが、犬は視覚と嗅覚によって見ている。 匂いの強弱によって新旧を感じるので現在と同時に過去も感じている。視覚だけからでは得られない距離感も「匂いの視覚」から得ている。 私は犬を飼っていないので犬の日常を知らない。犬を飼っている人が読むともっと面白いのかもしれませんね。
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犬の行動学の専門家による犬の行動についての分析書。自分で行っている観察結果や他の科学者の研究成果を基に、犬の性質や行動を科学的に論じている。著者は、ソニーのアイボの開発にも携わった経験を持つほどの著名な女性博士であり、精緻な分析と説得力ある論述が展開されている。訳もよく読みやすい...
犬の行動学の専門家による犬の行動についての分析書。自分で行っている観察結果や他の科学者の研究成果を基に、犬の性質や行動を科学的に論じている。著者は、ソニーのアイボの開発にも携わった経験を持つほどの著名な女性博士であり、精緻な分析と説得力ある論述が展開されている。訳もよく読みやすい。 「人間が世界を見るように、犬は世界を嗅ぐ。犬の宇宙は、複雑な匂いの層からできている。匂いの世界は、少なくとも視覚の世界と同じくらい豊かである」p88 「(いろいろな犬にマーキングされた)消火栓に堆積している見えない匂いの山は、コミュニティー・センターの掲示板である」p105 「犬は人間に聞こえる音(20Hz~20kHz)の大部分を聞くだけでなく、45kHzまでの音を検知できる」p117 「(人間の目は)赤、青、緑の波長に反応する。犬は、青か緑の領域にある色彩を最もよく認識する」p157 「犬は、人間よりも閃光融合頻度が高い(より瞬間的認識が高い。動くものに敏感)」p160 「犬は視野が広く、周辺にあるものがよく見えるが、真ん前にあるものはそれほどよく見えない。自分の前足はおそらくはっきり焦点が合っていない」p162 「犬には「視線をたどる能力」がある(視線での指し示しがわかる)。犬は、人間の行動から可能な限り情報を収集しようとする性質がある」p179 「霊長類と比べると、犬ははるかに人間に似ていない。だが私たちの視線の背後にあるものに気づき、それを使って情報を手に入れ、あるいは自分たちの利益になるように使うということになると、はるかに優れたスキルを発揮する」p188 「犬は問題解決に人間を使うことにおいて、すばらしく巧みであるが、人間がそばにいないときに問題を解決するのは不得意である」p210
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翻訳の手抜きがひどい。レベル最下層の下訳を訳者がろくすっぽ読まずに世に出したとしか思えない。英語原文が透けて見える中学生レベルの直誤訳、そもそも日本語になってないフレーズ。まったく読むに堪えない。読み続けたら慣れるかと思ったが最後までそんなことはなかった。
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観察を通して、犬の嗅覚、視覚、行動原理などをまとめていき、人間と相当に異なる彼らの見ている世界を照らし出す。
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あまりにも身近にいるため、ついつい擬人化してしまったり、わかったつもりでいたりしがちだけれど、当たり前のことながら、全く別の種であるし、別の行動原理があり、別の視点がある。何を考えているかなんて、全く分からない。それでもお互いに分かりあいたい、寄り添いたいと思う気持ちは種を超える...
あまりにも身近にいるため、ついつい擬人化してしまったり、わかったつもりでいたりしがちだけれど、当たり前のことながら、全く別の種であるし、別の行動原理があり、別の視点がある。何を考えているかなんて、全く分からない。それでもお互いに分かりあいたい、寄り添いたいと思う気持ちは種を超える。彼らは私たちをじっと観察している。私も彼をしっかり見つめよう。 あれ?これは別に、人間同士でも言えることか・・・。
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犬の見ている世界では、どんなものが見えていて、何に興味をそそられて、何に驚いているのか。そんな、人間にもっとも身近で人間とは全く違う“犬”の世界に踏み込んで探訪した本。 人間と共生(家畜化)している動物は数あれど、犬ほど人間に依存して生きている動物もいない。そして人間は犬を動物とは別物として接する。人間のような名前をつけ、人間の言葉で語りかけ、服を着せ、まるで人間に相対するように犬の考えを推測する。 でも、犬の本当の気持ち(そもそも気持ちというものが犬にあるかは疑問だけど)はどうなのだろうか?自分も小さい頃から犬を飼っているが、そういった犬の環世界に少しでも迫ることができた本で非常におもしろかった。また、著者の犬に対する愛情が溢れてる。実家に帰って愛犬を撫で回してあげたくなった(それを愛犬が嬉しがっているかはちゃんと観察しないといけないが)。 文章自体は訳文な上にちょっと長いから冗長に感じる。でも、犬の理解は深まるはず。
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本書によると、飼犬は自分がどのような行動を取れば、飼主がどのような反応をするかを、よく観察しながら行動しているという。それは最終的には、自分が餌にありつくためだという。そういえば、「犬の伊勢参り」で津軽・黒石から伊勢参りした犬は飼犬で、飼主に”伊勢参りに行け”と命令されて家から飛...
本書によると、飼犬は自分がどのような行動を取れば、飼主がどのような反応をするかを、よく観察しながら行動しているという。それは最終的には、自分が餌にありつくためだという。そういえば、「犬の伊勢参り」で津軽・黒石から伊勢参りした犬は飼犬で、飼主に”伊勢参りに行け”と命令されて家から飛び出したと書かれていた。推測だが、飼主は無意識に普段から行なっている動作(大きな声を出すとか、手で家の外を指すなど)をしながら犬に命令したのではないか、そして犬にとってその動作に従うことは、餌を得ることに結び付くと学習されていたため、家を飛び出したのだろう。
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かなり読むのに時間がかかってしまった(笑) 内容としてはわかりやすい,というか犬を飼っている(飼ったことのある)人からすれば「そんなの当たり前じゃん」といいたくなるようなことだったりする。 でもそれを生物学的,心理学的な視点で解説してくれることで,私のような大の犬好きの理系人間が...
かなり読むのに時間がかかってしまった(笑) 内容としてはわかりやすい,というか犬を飼っている(飼ったことのある)人からすれば「そんなの当たり前じゃん」といいたくなるようなことだったりする。 でもそれを生物学的,心理学的な視点で解説してくれることで,私のような大の犬好きの理系人間が満足できるような本になっている。 章の構成と著者の愛犬「パンプ」のエピソードもイイ感じにリンクしており,良いスパイスとなっている。 文章を通して,著者の犬への愛が存分に感じられる一冊です
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