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ドイツ古典哲学の本質と展開 の商品レビュー

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2023/08/27

カントやヘーゲルなど、ドイツ哲学にかんする著者の論文が収録されています。 「カントの「世界市民的社会」の論理」と題された論文では、カントの市民社会および国家についての考えかたが紹介されています。ドイツ観念論にかんする教科書的な説明では、カント倫理学の形式的な性格が、ヘーゲルの人...

カントやヘーゲルなど、ドイツ哲学にかんする著者の論文が収録されています。 「カントの「世界市民的社会」の論理」と題された論文では、カントの市民社会および国家についての考えかたが紹介されています。ドイツ観念論にかんする教科書的な説明では、カント倫理学の形式的な性格が、ヘーゲルの人倫の思想によって乗り越えられていったと説明されることがあります。これに対して著者は、カントの共和制についての議論を検討し、共和制こそが法的立法理性にもとづく正当な国家形態だとみなされており、個々人の主観にもとづく恣意性を否定することから、人民の抵抗権を認めない発言をおこなっている一方で、現実の国家をただちに理性的な国家形態とみなさず、実践理性の原理にもとづいてのみ国家の絶対性が主張されうると考えられていたことを明らかにします。そのうえで、カントは『判断力批判』における目的論の考察に沿って、合目的的な政治体制としての共和制の理念を展望していたと論じられています。こうしたカント解釈は、アーレントの議論とテーマがかさなっていることもあり、興味深く読むことができました。 ヘーゲルの論理学や社会哲学、法哲学にかんしては、マルクス主義の立場から、その意義が評価されているようです。このほかにも、ゲーテなどの思想家をもとに、ドイツにおける古典主義とロマン主義の関係について論じている論文や、フレーベルの教育哲学についての論文なども収録されています。

Posted byブクログ