散り椿 の商品レビュー
ほぼお初?の時代小説に挑戦。 葉室さんの文章は淡々としていて少し武骨だけど、物語の隅々に一本の糸が張ってあるような感じ。武道をする前の黙想の時に漂うような、凛とした雰囲気。 いろいろな人物が出てきて少し複雑だったけど、話についていけないほどでもなく比較的読みやすかったと思う。 あ...
ほぼお初?の時代小説に挑戦。 葉室さんの文章は淡々としていて少し武骨だけど、物語の隅々に一本の糸が張ってあるような感じ。武道をする前の黙想の時に漂うような、凛とした雰囲気。 いろいろな人物が出てきて少し複雑だったけど、話についていけないほどでもなく比較的読みやすかったと思う。 あまりにも清らかなお話すぎて、ちょっと物足りないかなあと感じる部分あり。
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若き日々に剣道場で四天王とも言われた面々も中年になり各々歩く道も境遇も別れてしまったけど、究極の局面では自ずと固い絆が生ずる! 瓜生新兵衛は愛妻の病死で失意のうちに昔追われた故郷に亡き妻との約束を果たすために舞い戻るが、藩にはきな臭い争い事が渦巻いている。 武骨だが愛すべき人柄の...
若き日々に剣道場で四天王とも言われた面々も中年になり各々歩く道も境遇も別れてしまったけど、究極の局面では自ずと固い絆が生ずる! 瓜生新兵衛は愛妻の病死で失意のうちに昔追われた故郷に亡き妻との約束を果たすために舞い戻るが、藩にはきな臭い争い事が渦巻いている。 武骨だが愛すべき人柄の新兵衛もご多分に洩れず否応無く渦中に巻き込まれて行くのだが、我を貫き通す生き様が周りにも大いに影響していくのであります♪ 亡妻の甥っ子にあたる藤吾はひたすらに傾いた家の再興のために出世すべく邁進しているのだが、不意に現れた叔父新兵衛が出世の邪魔になる懸念から距離を置く。そんな彼もいつしか新兵衛に徐々に心酔するようになるけれどその過程がいいです。 手放しのハッピーエンドではありませんが例によって余韻が残るエンディングでした。
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父が使途不明金の責任を負う形で切腹をし、その子供の藤吾は、出世をして家を元に戻そうと頑張っていました。 そこに、過去に不正を訴え、認められずに藩を出たけど、その訴えていた不正が認められて、藩に帰ろうと思えば帰れたのに、帰ってこなかった新兵衛が、妻を亡くしたことがきっかけで、1...
父が使途不明金の責任を負う形で切腹をし、その子供の藤吾は、出世をして家を元に戻そうと頑張っていました。 そこに、過去に不正を訴え、認められずに藩を出たけど、その訴えていた不正が認められて、藩に帰ろうと思えば帰れたのに、帰ってこなかった新兵衛が、妻を亡くしたことがきっかけで、10数年ぶりに帰ってきて、甥っ子にあたる藤吾の所に居着きます。 これで出世が出来なくなるんじゃないかと、新兵衛を厄介払いしたがっている藤吾ですが、そうも言ってられないような事件がおこります。 出世をしてから無念を晴らす。これもいいことなのかもしれない。でも、出世ばかりにこだわっていると、大事なものを守れなかったり、失ってしまったりすることがある。 無念を晴らすことは、出世だけではないということと、そして、出世より大事な事があること。 大人たちが若い藤吾には、後悔させるような道を歩ませたくない。という気持ちが伝わってきました。
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簡単に本心を言えない世界。 みんな相手の気持ちを慮って動いてる。 だけどその手には常に刃があって。 すれ違いの結果は、お互いに刃をむけることにもなりかねない。 心の刃と現実の刃と。 難儀な世界だ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
さすが映画化されただけのことはある、序盤からぐいぐい惹き込まれた。 篠の気持ちわかるなあ、申し訳なかったんだろうなずっと。好きだから一緒にいたい、けど私とでなければ、違う人生を歩めたかもしれない才を持つひとを制限してしまっているかもしれない苦しさ。新兵衛のこれからの人生がもうすこし続いて、すこしでも違う幸せを体験できる時間をもてることを望んだんだろうなあ。采女、源一郎、三右衛門、新兵衛の四人の関係性も、深いものがある。それぞれが絡み合って、守りたい気持ちと傷つける気持ちが両刃の剣となるような。ひとことで言ってしまえばとある藩のお家騒動ストーリーなんだけれど、出生の身分に縛られ、士分の使命と弁えがあり、夫婦や親子の愛と憎しみの関係あり、いろんな角度から心をぎゅうぎゅうとせつなく締め付けられる物語に仕上がってる。新兵衛はまたいつか椿を見に戻ってくる運命だといいなあ。中年にオススメなヒューマン時代劇。でした。
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2020.04.23 これほどに人の気持ちとは受け取り様によって違うものかと。裏を読むのではなく、こうだったのか、あーだったのか、そうだったのかと3通りくらいは考えないといけないなあ。3通り考えれば真実はその中にある。毅然としながらも裏寂しい武士の世界を感じた。最近思うのは武士道...
2020.04.23 これほどに人の気持ちとは受け取り様によって違うものかと。裏を読むのではなく、こうだったのか、あーだったのか、そうだったのかと3通りくらいは考えないといけないなあ。3通り考えれば真実はその中にある。毅然としながらも裏寂しい武士の世界を感じた。最近思うのは武士道の中にはそれ以上の伴侶がいるのではないかと。その様な伴侶が居て、武士が光る様にも見える。言い換えれば共に恥ずかしくない生活をしている。否、他に誇れる生き方をしてこその武士道なのだと思う。
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時代小説は初めて読んだ。すごい時間かかった。 うまく感想を書けないんだけど、男らしいというか、硬派の極みというか、まぁきっと時代的に当たり前なんだろうけど、とりあえず登場人物がみんなかっこよかった。
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映画化で知って読みました。 映画は見ていません。 物語の最初から最後まで妻への深い愛情を感じました。 もう幸せになればいいのに、そうしないところが生き様なんでしょうね。
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ある意味よくある藩の派閥争いモノなんだけど、とてもシンプルで清々しい透き通ったトーンの物語でした。 京都の地蔵院には何度か行っているんだけど、人気の観光エリアでもなく、とても小さなお寺さんの「散り椿」がタイトルに絡んでいるとは思いませんでした。 自分の感情を内に秘めることがで...
ある意味よくある藩の派閥争いモノなんだけど、とてもシンプルで清々しい透き通ったトーンの物語でした。 京都の地蔵院には何度か行っているんだけど、人気の観光エリアでもなく、とても小さなお寺さんの「散り椿」がタイトルに絡んでいるとは思いませんでした。 自分の感情を内に秘めることができる上昇志向のエリートと、直情径行で不器用で損ばかりしているけれど真っ直ぐに生きている二人の幼馴染の対比が、これまたよくある設定だけどわかりやすくて良かったです。 浅田次郎さんほどのベタではない分、泣かせる部分は弱いかもしれないけれど、こういう透き通ったお話も良いよね♪
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映画鑑賞後に読みました。いくつもの場面が、映画のシーンを思い出させられました。 極寒のなか、力強く耐え、春、咲き誇る椿のような生き様に、ため息がもれるほどに読み応えがありました。
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