1,800円以上の注文で送料無料

残念な日々 の商品レビュー

3.9

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/07/01

【琉大OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB0873142X

Posted byブクログ

2021/06/01

連作短編12編 作者の分身のようなディメトリーの子供の頃の物語。アルコールに溺れる父や叔父たち4人と祖母の貧乏暮らし。宵越しの金を持つのは犯罪のよう。そんな一風変わったプライドで飲んで飲んで飲みまくる。ツールドフランスに見立てた酒飲みレースには驚いた。 そんなはちゃめちゃな一家だ...

連作短編12編 作者の分身のようなディメトリーの子供の頃の物語。アルコールに溺れる父や叔父たち4人と祖母の貧乏暮らし。宵越しの金を持つのは犯罪のよう。そんな一風変わったプライドで飲んで飲んで飲みまくる。ツールドフランスに見立てた酒飲みレースには驚いた。 そんなはちゃめちゃな一家だが、家族の強い絆、お互いを大切に思う気持ちが暖かい。最後は現在に近づいてきて人間関係も僕の中で変わってしまったところもあるが、叔父たちの変わらぬ駄目さと愛にグッとくるものがある。

Posted byブクログ

2019/02/03

さりげなく醜悪な世界に涙ぽっちゃり。戦争体験もの震災ものなど読む前からげんなりするのは「これ書いてる俺世の中見据えてる。読まないお前ら意識低ーい」「そういうエンタメっていうか読みやすい本読んでるようじゃ、読書家って言わないんじゃない?」うがー。うるさい。うっとおしい。ほっとけ。こ...

さりげなく醜悪な世界に涙ぽっちゃり。戦争体験もの震災ものなど読む前からげんなりするのは「これ書いてる俺世の中見据えてる。読まないお前ら意識低ーい」「そういうエンタメっていうか読みやすい本読んでるようじゃ、読書家って言わないんじゃない?」うがー。うるさい。うっとおしい。ほっとけ。この筆者は↑こういうやつらが「まーお下劣」と目を背ける下半身ネタを歪むことのない冷静なまなざしで見つめ暖かく包み込み上品に執筆していらっしゃる。田舎の人は下品よ。しかも年とってから備わった下品さはどうにもならん。それが悲しゅうて。

Posted byブクログ

2015/11/18

嘔吐や糞尿にまみれたアル中の与太話を書き連ねた連作集。野蛮で粗野な男女たちの物語は、アウトロー賛歌ではなくむしろ汎人類的な業の在り処を掘り出している。巻末で豊崎由美が賛美するように、ここにあるのは反教養主義の称揚ではなく、詩情の屹立だということに納得する。 呑みくらべを耐久レース...

嘔吐や糞尿にまみれたアル中の与太話を書き連ねた連作集。野蛮で粗野な男女たちの物語は、アウトロー賛歌ではなくむしろ汎人類的な業の在り処を掘り出している。巻末で豊崎由美が賛美するように、ここにあるのは反教養主義の称揚ではなく、詩情の屹立だということに納得する。 呑みくらべを耐久レース化した酒場の話「ツール・ド・フランス」が出色の出来。

Posted byブクログ

2014/06/17

大笑いしながら読んだけど、読むほどに切なさがつのる。「ツール・ド・フランス」はもうサイコー!「収集家」は紋切り型の対立と最後の一文がちょっとあざといかな。

Posted byブクログ

2014/02/05

ベルギー・フランダース地方で子ども時代を過ごした著者。 「毎晩のように幸福と不幸の区別がなくなるレベルまで酒を飲む」「度重なる警察や財産差し押さえ人の訪問」・・底辺に貧乏な生活を送る父と叔父たち、母代りを兼ねる祖母(ばーちゃんスゲー!)と過ごす少年時代。 ・・・と、後半「主人公が...

ベルギー・フランダース地方で子ども時代を過ごした著者。 「毎晩のように幸福と不幸の区別がなくなるレベルまで酒を飲む」「度重なる警察や財産差し押さえ人の訪問」・・底辺に貧乏な生活を送る父と叔父たち、母代りを兼ねる祖母(ばーちゃんスゲー!)と過ごす少年時代。 ・・・と、後半「主人公が大人になってから。」の自伝的連作短編集。 前半の貧しさと汚描写(主にユーモラスに、時にしんどい)が、後半に活きてきます。 家族と少年時代を恥じ・・・けれど叔父を、祖母を父を愛しているのが伝わってきます。(そして父や叔父が主人公を愛していたことも行間から滲みでています。でも、酒は貧しさは・・・。・・・。) 特に、祖母への思いが。息子への気持ちが。・・・描かずにはいられなかったんだろうなぁ。 あとがきによると、著者は中学生のとき学校で自ら家庭の事情を打ち明け、里親の家で暮らすことに。ナイフ・フォークの使い方にはじまり、生活のすべてをそこで学び直さなくてはいけなかったそうです。 「しあわせであることは自らの務め。」・・・この本は、前半・後半、あとがきまで全て読んで、 ひとつの素晴らしい「彼の」人生を読むことができます。

Posted byブクログ

2013/10/06

ディミトリフェルフルスト「残念な日々」/新潮クレスト 読んだ http://www.shinchosha.co.jp/book/590094/ しみじみとよかった。でもその読後心境に行き着くまでには怒濤の猥雑下劣な描写と汚穢をくぐり抜けねばならない。書かれている内容に比べたら猥...

ディミトリフェルフルスト「残念な日々」/新潮クレスト 読んだ http://www.shinchosha.co.jp/book/590094/ しみじみとよかった。でもその読後心境に行き着くまでには怒濤の猥雑下劣な描写と汚穢をくぐり抜けねばならない。書かれている内容に比べたら猥雑という言葉すら上品に感じるな(つづく 穀潰しアル中の男どもの破天荒エピソードに隠れて目立たないけど、この一家、というかこの本の中心はおばあちゃん。息子がアル中で重篤な状態にあることを知らせに来た警察をど迫力で追い返したり、家財差押中にどうやってかお金を工面して新品の自転車を買ってきたり。ボケても主張は強い(つづく 育ちがいいというのはこういうことだとつくづく思う。無学で下品でも家族に愛があり気に掛け合う。いやこれだと貧しくても絆があれば!というバカな話のようだけど全然違う、全然酷い家の悲惨な話。自転車ツールの話とTVを観に他人の家へ押し掛ける話と離婚後の息子の面会日の話がとてもいい(おわり

Posted byブクログ

2013/07/22

子供のころの親戚たちに囲まれた、貧しいどん底の生活が、誇らしくユーモラスに描かれている。 主人公が村を出て、大人になって、「いい暮らし」を手に入れるにつれて、ちょっぴりダークな心情描写になっていく。 村を出てしまった後ろめたさを感じつつも、親戚のもとに時々は、帰らずにはいられない...

子供のころの親戚たちに囲まれた、貧しいどん底の生活が、誇らしくユーモラスに描かれている。 主人公が村を出て、大人になって、「いい暮らし」を手に入れるにつれて、ちょっぴりダークな心情描写になっていく。 村を出てしまった後ろめたさを感じつつも、親戚のもとに時々は、帰らずにはいられない。 叔父たちの態度は、変わることはない。いつまでも自分たちの一員の「チビ」として、受け入れてくれる。 家族である、残念な人々への深い深い愛情を感じる。

Posted byブクログ

2013/06/06

翻訳の話し言葉が秀逸で、なんと関西弁なのです。最初は何やってんだこの翻訳?と思いながら読んでいたのですが、ベルギーには3つの公用語があるという実情を、日本で表現するにはうまい解決策なのかもしれません。 読み始めて、とんでもない小汚い話が関西弁の会話とともに、続々と出てくるの...

翻訳の話し言葉が秀逸で、なんと関西弁なのです。最初は何やってんだこの翻訳?と思いながら読んでいたのですが、ベルギーには3つの公用語があるという実情を、日本で表現するにはうまい解決策なのかもしれません。 読み始めて、とんでもない小汚い話が関西弁の会話とともに、続々と出てくるので、なんだよ、これ、でした。最後まで付き合えるか心配になるお話で始まります(最初のエピソードの落ちは秀逸ですが)。 読み進んでいく途中には、私にはくだらないと思えるエピソードがあったりして、中盤あたりでは、さっさとこれは終わりにして、次行こうと思いながら読み進んでいました。最後の方になって、じっくり味わいながら読まなければいけない話になってくるのですが、それにしても、小汚さは、最後までさりげなくまぶされています。読んでいるうちにその小汚さも、愛すべきエピソードになって私の中に入り込んできます。最後の最後、読み終わってみて、私は、家族というもののあり方に、深く考えさせてくれるこの作家に感謝していました。私には、よい小説でした。

Posted byブクログ

2013/05/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中島さなえさんがラジオで紹介していなかったら、まず手にすることはなかったであろう一冊でした。(とはいえ、この回は聴きそびれているか、忘れているかのどっちかでした。)ビールやその他もろもろの不快な臭いが行間から漂ってくるようなデンマークの貧しい一家の豪快で情けなくもちょっと切ない物語です。下ネタが苦手で潔癖症の人には向かないかもしれない・・。 貧しい下層の人々を指す言葉に「労働者階級」というのがあるけれど、彼らはそれすら当てはまらないのかもしれません。何せ家族のほとんどが飲むのが仕事みたいになってて働いていないのだから・・。 父方の祖母を筆頭に父親、兄のような叔父たちとともにディミトリーは育ちます。冒頭の章では、そんな男所帯に美人で有名な叔母がこれまた美しい従妹を連れて帰ってきます。何もない村の数少ない娯楽である村の酒場に連れ出され、そこで余命いくばくもない村人と出会い、どこか心通わす従妹は、ちょっとしたことから酒を飲む羽目になり酔っぱらって帰ってきます。そこで、待ち構えていた叔母の口から思いがけない事実がわかり・・。 ロイ・オービソンのところでは、ネットで検索して該当の曲を聴きながら読んだのですが、臨場感が増しておススメ。 これでもかというほどの「残念」で「悲惨」な日々が描かれているのですが、その中に家族に対する愛と懐かしさが感じられます。こういうのを「アイロニー」っていうのかな? 後半、大人になったディミトリーが登場し、その家族の顛末が明かされていきます。そしてそんな環境に育った少年が一体どうやって作家になっていったのか? 訳者あとがきも必読です。 ところでこの舞台となっているフランダース地方といえばかの『フランダースの犬』ですが、あれはイギリス人が書いた物語で、あの結末に感銘を受ける民族というのは日本人くらいらしい・・。一説には、ここの母語であるオランダ語はもともと農民の言葉なので、あまりロマンチックな表現がない・・なんて話もあったりします。

Posted byブクログ