残念な日々 の商品レビュー
世に人有る所クズ人間有り。ベルギー出身の著者が少年期を回顧した自伝的短編集。金もなく生活や言動はどうしようもなく粗野、毎日をチキンレースの如く飲んだくれることで過ごす父と祖父達の元で過ごした日々は糞ったれで最低なのに、ここには決して奪われない絆と笑いが刻まれているのだからたまらな...
世に人有る所クズ人間有り。ベルギー出身の著者が少年期を回顧した自伝的短編集。金もなく生活や言動はどうしようもなく粗野、毎日をチキンレースの如く飲んだくれることで過ごす父と祖父達の元で過ごした日々は糞ったれで最低なのに、ここには決して奪われない絆と笑いが刻まれているのだからたまらない。作者はやがて距離を置き、文化的に洗練される事でこの小説を書き上げたのだが、それはこの共同体から切り離されることを必然的に意味していた。だからこそ本書は葛藤や自己嫌悪に苛まれながらも、家族に対しての愛おしさが滲み出てるのだろう。
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寝る前に毎日一話ずつ読んで読み終わりました。似た話が続いて飽きるかな、と思ったのですが意外と飽きなかったです。 最後の主人公と自分の息子のエピソードがぐっときました。クレストブックスははずれがないです(ほとんど)。さすがです。
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ディミトリ フェルフルスト 長山 さき 訳 新潮社 (2012/2/29) (新潮クレスト・ブックス) 久しぶりのヨーロッパの本 これ以上ないほど下品で悪臭まで漂ってくるようです フランダース地方の方言というか彼らの言葉が関西弁に訳されていてびっくりしました なんなんだ...
ディミトリ フェルフルスト 長山 さき 訳 新潮社 (2012/2/29) (新潮クレスト・ブックス) 久しぶりのヨーロッパの本 これ以上ないほど下品で悪臭まで漂ってくるようです フランダース地方の方言というか彼らの言葉が関西弁に訳されていてびっくりしました なんなんだ!この人たちは1 なんて思いながら でも何故か憎めない 彼らから距離を置いて「普通」になった作者の複雑な想いが切ないです 貧乏で怠惰で愛情深いこの一家、ビールと歌と家族愛があふれていました ≪ あの家族 残念ながら 今の日々 ≫
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血のつながりと、村のつながり。その残念な日々。 過去と地続きの自分。 村を捨てたことへの罪悪感。 あらゆる感情がないまぜになって、その後に残念な日々への愛情が残ります。
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残念な一家のお気に入りは、なんと、ロイ・オービソン! あのライブを彼らも見たのか。 それだけで親近感を持っちゃうな。
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ベルギーのオランダ語圏フランダース地方の作家、ディミトリ・フェルフルストの、一応フィクションだけど自伝的な作品です。 主人公、ディメトリーは父と母が離婚した後、父方の実家で暮らすことになる。そこには父、祖母、そして父の兄弟たちがいたが、そろいもそろって貧しく、下品であった...
ベルギーのオランダ語圏フランダース地方の作家、ディミトリ・フェルフルストの、一応フィクションだけど自伝的な作品です。 主人公、ディメトリーは父と母が離婚した後、父方の実家で暮らすことになる。そこには父、祖母、そして父の兄弟たちがいたが、そろいもそろって貧しく、下品であった。酒場で歌うのは「陰部の歌」。トイレはドアを開いたまま。酒臭い息、タバコのヤニですっかり黄色くなった歯。 アホだし、汚いし、品はないけど自分たちの家族、仲間を大事にしている、愉快な仲間たちの話です。 昼間っから飲んだくれているような父や叔父たちとの下品で残念な人たちだけれど、そこに起こる出来事を通して、人間性豊かで、少しの悲しみと、少しの誇りを感じる本です。 主人公ディメトリーは大人になってこのアホンダラな親戚たちと離れて独立していくことになりますが、懐かしく思いながらももうその中には入れない、そんな詩情も感じます。 フランダース地方っていうと、日本ではフランダースの犬があまりにも有名です。こんな人たちがいたら、ネロもパトラッシュも死ぬことはなかったのだろうなぁ、と勝手ながら思いました。飲んだくれで下品にはなっていたかも知れないけど。(笑)
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フランダースの作家の半自叙伝風短編集。 タバコとビールとオンナにうつつを抜かすオトコたち。わたしは一緒に暮らすのは嫌!だけど、彼ら特有の家族の結束力は小気味良く、ホノボノする。最後の短編はピリリとココロに刺さります。
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過去の自分と現在の自分。 どれだけ乖離していようとも、 否定は出来ないし、 否定してはいけないのだな。 ベルギー人の書いた私小説なのかもしれない。
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