ラン の商品レビュー
びわ湖も終わり、今週の名古屋が終われば、五輪の代表も決まるよねぇ。人が走っているのを見ると自分でも走りたくなるけど、もはや色んなところにガタが来ている体では歩き回るのが精々で些か淋し。 さて“ラン”と題されたこの本、13歳で家族全員を亡くし、20歳で残った叔母も喪って、孤独な生活...
びわ湖も終わり、今週の名古屋が終われば、五輪の代表も決まるよねぇ。人が走っているのを見ると自分でも走りたくなるけど、もはや色んなところにガタが来ている体では歩き回るのが精々で些か淋し。 さて“ラン”と題されたこの本、13歳で家族全員を亡くし、20歳で残った叔母も喪って、孤独な生活を送っていた環が主人公。 冥界と下界をつなぐ「レーン」があって、その先には死者の世界にいる家族が…、なんて設定は、何となく同じ作者の「カラフル」を思わすが、あの話が、自分で自分を縛らず自由に動けと、前向きにメッセージを発信したのとは異なり、自転車を手放さなければならなくなった環が、死んだ家族に会うために自力で40kmを走り抜く決心をするというのが、今ひとつしっくり来ない。 人間って、悲しみや苦しみも時間の経過の中で徐々に癒し、そして学んで次へのステップを踏んでいけるのではないかと思うのだけれど、あの世のファーストステージにいる人たちがこの世へ残した思いを徐々に溶かしていきセカンドステージに進んでいくのを見ながら、環にはそれが無いのが、またやり切れず。 相変わらず話の運びは上手いと思うものの、私が憧れる自分の足で走り抜く爽快さと話の肝が結びつかず、ちょっと残念。
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知り合いから貰った自転車で死んだ家族に会うことが出来る女性が、自転車を持ち主に返し自分の足で家族に会うために40キロを走りぬくことを決意した女性の成長を描いた小説。 書き出しは何でここからマラソンにつながるんだろう、と思ったのですが、森絵都さんらしいファンタジー要素を上手くから...
知り合いから貰った自転車で死んだ家族に会うことが出来る女性が、自転車を持ち主に返し自分の足で家族に会うために40キロを走りぬくことを決意した女性の成長を描いた小説。 書き出しは何でここからマラソンにつながるんだろう、と思ったのですが、森絵都さんらしいファンタジー要素を上手くからめた展開のおかげで、無理なく話のつながりに入っていけました。 登場人物たちも個性豊かで彼らのやり取りが楽しいばかりではなく、希望を持てない主人公の心情や彼女の抱える悲しさや切なさそして成長もきっちりと描きこまれているあたりもさすがだなあと思います。 エピローグ的なものが少しほしかったかな、と思うところもありましたが、読み終えた後は優しい気持ちになれる大人のための童話といった感じのする本でした。
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もっと続いて欲しかったな・・ カラフルの逆バージョンなような気もする。。 修君も強い子に生まれてきますように。。。 溶けていくふりして溶けてない部分もあったね・・!
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森絵都はいい。 小学校だったか、中学校だったか、あの時も「カラフル」を読んで励まされたけれど、26になって、また森絵都独特の世界に励ませれるとは思ってもいなかった。ちょっとSFで、添加物なし優しさ100%のおはなし。 つらいけれど、とても爽快で、前向きな小説だった。大人向けの...
森絵都はいい。 小学校だったか、中学校だったか、あの時も「カラフル」を読んで励まされたけれど、26になって、また森絵都独特の世界に励ませれるとは思ってもいなかった。ちょっとSFで、添加物なし優しさ100%のおはなし。 つらいけれど、とても爽快で、前向きな小説だった。大人向けのおとぎ話。 本書はタイトル通り、走る事をkeyとして進められる。が、決してスポ根ものではない。 近年、様々な人が最近の流行りとしてランニングを始めているが、流行りというだけではなく、その他にも目的があって始める場合が多い。主人公の目的は例外としても、こういった共感できる目的をもつ人物がたくさん登場する。 単なる好奇心から、新しい趣味として、飛躍する助走として、走ったあとのビールを楽しみにして(?)。 はたまた、何かから脱却したいから、何かから気をそれしたいから、むしろ、他全ての思考を排除し、何かを一人で考えたいから。 でも、全部同じ意味に辿り着く。 走る景色と同様、今抱く思いにも歩みを進めさせ、大切なものだけがふわりと残像のように残るように、昇華させたい。 生きていく為に、前向きになる為に、静かに色々な思いを抱えて走っているのだろうなと。 朝の電車にゆられながら、一ページ一ページ、走る時の爽快な景色描写とともに、歩を進めながら変わっていく登場人物を楽しみに、この本を読み進めていった。 私自身、次走るのが楽しみになる。そんな物語でした。
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こういう死生観もあるんだなと思った。 誰かを喪うことは自分の死とちゃんと向き合う手段になるのかも。 強いと思っていた人が突然心折れてしまったり。 弱いと思っていた人が突然強く進み始めたり。 人生、いくつになってもどうなるか分からないものですね。 コンプレックスがあるからこそ強...
こういう死生観もあるんだなと思った。 誰かを喪うことは自分の死とちゃんと向き合う手段になるのかも。 強いと思っていた人が突然心折れてしまったり。 弱いと思っていた人が突然強く進み始めたり。 人生、いくつになってもどうなるか分からないものですね。 コンプレックスがあるからこそ強くなれる人もいるし。 人の不幸を食い物にして生きてる人も世の中にはいるんですね。 僕が生きてきた中にはそこまでひどい人はいなかったけど。 若い人たちの恋愛や成長ストーリーは初々しくていいですね。 素直に羨ましいと思えるようになった自分は年を取ったってことなのかな。 新しく何かを始めるのは簡単かもしれないけれど。 続けていくことは本当にとても難しいことだと思った。 モチベーションを保つためには何かを掲げなきゃならないし。 それは目標なのかご褒美なのかは人それぞれ違っていて。 誰かとじゃなきゃ生きていくことができない人間という生き物と。 一匹でも生きていける野生の動物たちとの違いかもしれない。
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この人のはダイブしか読んだことなかったけど、これは恩田陸ってかんじ。 死と生と、現実と夢と、そしてマラソンと恋と。 人は生きなければならない。
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