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「反原発」の不都合な真実 の商品レビュー

4.2

87件のお客様レビュー

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2024/03/24

3.11の東日本大震災後、反原発が正義となり、原発推進派はそれだけで邪悪な存在となってしまった。 マスコミでは、反原発のデモが繰り返し垂れ流され、科学的知識を持ち合わせた専門家の意見は一切取り上げられなくなった。 こんな風潮に警鐘を鳴らす一冊となっている。 そもそもの前提として...

3.11の東日本大震災後、反原発が正義となり、原発推進派はそれだけで邪悪な存在となってしまった。 マスコミでは、反原発のデモが繰り返し垂れ流され、科学的知識を持ち合わせた専門家の意見は一切取り上げられなくなった。 こんな風潮に警鐘を鳴らす一冊となっている。 そもそもの前提として、絶対安全、人間社会に全く害のないエネルギーというのは存在しない。また、現代社会において、私たちの生活にエネルギーは必要不可欠な存在となっている。 この前提をはき違えた感情論が先走りしているのが昨今の反原発論調である。 全く無害のエネルギーが存在しない以上、どのエネルギーがよりましなのかという議論にならざるを得ない。 今の日本では、火力発電が主力で、石炭・石油を燃やしてエネルギーを作り出している。 しかし、火力発電というのは、大気汚染の影響が凄まじい。火力発電・車の排気ガスによる大気汚染が原因で亡くなっている人の数は全世界で、年間100万人もいるというから驚きである。 翻って、東日本大震災の原発事故による死亡者はゼロである。 非科学的な風評被害が深刻なだけであって、実は科学的に危険なレベルの放射能漏れは起きていない。 しかし、当時の民主党政権が原発の稼働をストップさせてしまったために、原発や電力会社への風当たりは一層強くなってしまった。 原発を稼働できないことにより、電力会社は古い火力発電所を稼働せざるを得ない。 しかし、火力発電というのは深刻な大気汚染を発生させるため、原発を稼働させていれば亡くならずに済んだ人が、年間で推定5千人ほど出ると言われている。 環境、人体への影響はもちろん、経済的に最も合理的なエネルギーの選択肢は原発なのである。 電力会社も国もそれを理解しているから、原発を推進してきた。 惜しむらくは、国民の反発を恐れて絶対安全という神話を作り出してしまったこと。 リスクとリターンを当初からきちんと発信するべきであった。

Posted byブクログ

2024/02/26

タイトルは「原発推進派」を思わせますが、「反「反原発」派」による本、と捉えた方が、より的確な気がしました(結果的に、原発推進派と捉えてよいとは思いますが)。 第1章(発電方法の違いによる死亡者数の違い)、第2章(放射線のリスク)、第3章(再生可能エネルギーの現状)あたりは、『フ...

タイトルは「原発推進派」を思わせますが、「反「反原発」派」による本、と捉えた方が、より的確な気がしました(結果的に、原発推進派と捉えてよいとは思いますが)。 第1章(発電方法の違いによる死亡者数の違い)、第2章(放射線のリスク)、第3章(再生可能エネルギーの現状)あたりは、『ファクトフルネス』を思わせる内容で、的確な数値を用いて、「反原発」がいかに非現実的な考えであるかが、勢いよく述べられています。 しかし、地球温暖化の話である第4章あたりから、定量的な話が減り、定性的な話が増え、前半で見られた歯切れのよさ、それにともなう小気味よさが薄れているように思います。 また、第6章の「原子力」に関する説明は、わかる人にしかわからない内容だと思われ、この章だけ、文章の質が著しく低いように思います(対象となる読者の設定がおかしい印象。この章だけ、編集者が機能していないのかもしれません)。 とはいえ、原発推進派の本として、この本はかなり説得力のある、よい本だと思います。 ちなみに、少し前に読んだ『それでも原発が必要な理由(わけ)』も、おそらく、本書と同じ思いで、原発推進の主張をしたかったのだと思いますが、原発を推進する理由を述べた本としては、本書の方が圧倒的に優れていると思います(本書は、『それでも~』よりも5年も前に出ているにもかかわらず)。 今のところ、原発推進派の本としては本書、原発反対派の本としては『原子力の社会史』を読むのがよいと思っています。 原発に関する技術を理解する上でも、この2冊を読めば、基本的なところは押さえられるかと。

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2022/09/05

この本は日本人の「正義」である「反原発」をアナドル極めてアクシツな言論である。 曰く「原子力をやめて化石燃料を使うと大気汚染で多くの人が死ぬ上、温暖化防止に寄与しない。しかも燃料費だけで年間4兆円余計にコスト負担が生じる。」 曰く「閾値なしモデルを使ったとしても、年間100ミリシ...

この本は日本人の「正義」である「反原発」をアナドル極めてアクシツな言論である。 曰く「原子力をやめて化石燃料を使うと大気汚染で多くの人が死ぬ上、温暖化防止に寄与しない。しかも燃料費だけで年間4兆円余計にコスト負担が生じる。」 曰く「閾値なしモデルを使ったとしても、年間100ミリシーベルトの放射線を浴びると0.5%死亡率が上がることになるが、原爆で被爆しなくても日本人の半数は癌になり、日本人の3分の1は癌で死亡するので、統計上は検出が困難。従って100ミリシーベルト以下の被爆による人体への被害は無視できる。」 曰く「原発1基の電力を生み出すための太陽光発電には山手線の内側の面積が必要で、風力発電ではその3.7倍の面積が必要。それも天気まかせであり、安定供給のためには火力発電とセットでなければ使い物にならない。」 曰く「電気自動車はCO2を出さない原発とセットで考えるクリーンなシステムであり、化石燃料で作った電気を使うとなると、電気を作るためのロス、送電中のロスを考えたら自動車が直接ガソリンを燃やした方が効率がいい。」 等々と極めてケシカラヌ「真実」を例示しているので、マスコミが折角煽ってくれている「反原発」の風潮が崩れそうな勢いである。なんとかムシできぬものか。

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2022/07/28

日本人みんな読んで欲しい。エネルギー資源に乏しいこの国でどうやって原子力と向かい合えばいいのかを提言してくれる本書。日本と国と原子力。技術と政治とコスト。あれやこれやが詰め込まれた名作。1度は読んでおこう。

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2022/01/27

筆者独特のとても歯切れの良い文書で、原発の優位性がひたすら述べられている。 ただ優位性を主張しすぎて、都合の悪いデータや想定の考慮はあまり行われていなさそうな感じも否めない。 例えば、原発事故というものすごくレアで予測不能な事象について、過去の実績だけをもとに、他の電力とのコ...

筆者独特のとても歯切れの良い文書で、原発の優位性がひたすら述べられている。 ただ優位性を主張しすぎて、都合の悪いデータや想定の考慮はあまり行われていなさそうな感じも否めない。 例えば、原発事故というものすごくレアで予測不能な事象について、過去の実績だけをもとに、他の電力とのコスト比較をするのもどうだかなぁと思う。

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2021/06/14

原子力発電について理解しやすい内容になっていました。 化石燃料を使い続けることは問題だし、現在のテクノロジーで原発を使い続けるにもリスクはあるという状況で将来世界人口が増え続ける中、エネルギー問題をどう解決していくか、ベストマッチな方法を取らなきゃいけない。その一つとして今は原子...

原子力発電について理解しやすい内容になっていました。 化石燃料を使い続けることは問題だし、現在のテクノロジーで原発を使い続けるにもリスクはあるという状況で将来世界人口が増え続ける中、エネルギー問題をどう解決していくか、ベストマッチな方法を取らなきゃいけない。その一つとして今は原子力ではないかという感じでした。 原子力の可能性とともに、エネルギーについて考えさせられる内容で勉強になりました。

Posted byブクログ

2021/05/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

原発問題は原子力工学の専門家、放射線医学の専門家、エネルギー政策の専門家や原発設置地域の行政、住民などが関わっているが、全体を俯瞰する総合的な専門家はいない。(本来なら政治家や官僚がそうあるべきなのだろうが…) その中で経済学やリスク分析の専門家であり、物理学の博士号を持つ科学者である著者がフラットな立場で原発問題についてデータに基づき評価した本。 こういったデータ分析的な話は個人的に好きなこともあり大変面白かった。発電のための人的犠牲を減らし、地球環境を守り、日本の財政を持続させるためにも原発の再稼働、増設がされることを期待します。(増設に関する合意形成の難しさは途方もないと思いますが) 以下抜粋 代表的な発電方法における1TWhあたりの死亡者は 化石燃料21人 ソーラー0.44人 原子力0.03人 となっている。これは大規模な採掘や造成、パネルの取り付け作業に伴う事故が起因する。 また、化石燃料は大気汚染により年間100万人の死者を出すため、その他の発電とは比べ物にならない犠牲のもとに成り立っている。(大気汚染は直接の死因ではないが) さらに言うと化石燃料はCO2の排出量も多いため、地球温暖化によるリスクの将来世代への先送りも無視できない。 放射線被曝による健康被害は福島、チェルノブイリの事故で超低リスクなことが判明している。要は実際のリスクではなく感情論が先行している。チェルノブイリ原発事故があったウクライナは原発を推進。 クリーンエネルギーについて、そもそも太陽光や風力は化石燃料や原子力(放射性ウラン)のエネルギー密度に対して圧倒的に低い密度のため多少の技術革新などがあっても発電効率の悪さは変わらない。 日本のエネルギーポートフォリオの中で原子力を全て止めるとなると追加の化石燃料の購入のため約4兆円の出費が増える。(日本の税収が40兆円程度) 一度臨界に達した原発は連鎖的な核分裂反応が継続するために40年ほどは閉鎖できず、管理を続ける必要がある。どうせ管理するならエネルギーを取り出す方が得。

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2020/12/31

原発に関して、経済合理性や被害の影響度合いの観点から有用性を指摘。原発の仕組みについても素人である私にも理解できるほどわかりやすく説明されている

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2020/04/06

原発にあまり興味ないので、流し読みだけど、 ロジカルに考えれば原発は言うほど悪者じゃない、 みんなロジカルな考え方はできない、ということねすね。

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2019/08/05

原発やめるか7000人殺すか 3.11からの原発不要論を受けて書かれた本.原発をやめることで化石燃料の費用が膨大に増え,火力発電による大気汚染で原発以上に危険な環境になる,など原発がいかに安全で経済的であるかを論文を示しながら記されている. 風力・太陽光の発電については貧弱すぎて...

原発やめるか7000人殺すか 3.11からの原発不要論を受けて書かれた本.原発をやめることで化石燃料の費用が膨大に増え,火力発電による大気汚染で原発以上に危険な環境になる,など原発がいかに安全で経済的であるかを論文を示しながら記されている. 風力・太陽光の発電については貧弱すぎて使い物にならず,それぞれの特性が書かれエネルギーのことがよくわかる1冊となっている.放射線に関しても科学的なファクトがまとめられているので,ぜひとも理解しておきたい. CO2排出による地球温暖化にも触れられているが,それに関しては個人的に半信半疑.

Posted byブクログ