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ヘルプ(上) の商品レビュー

4.3

22件のお客様レビュー

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2023/01/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

地域で力を持つ奥様達が、家政婦として雇っている黒人女性に自宅のトイレを使わせるべきではない、少なくとも家政婦用、つまり黒人専用トイレを作るか、屋外にある黒人用のトイレを使わせるべきだとカードをしながらおしゃべりしている。 始まってそうそう心身を凍り付かせるような話だけど、50年代から60年代のアメリカ南部は本当にこんな場所だったんだろうな… 小説の時代はローザ・パークスからはじまったバスボイコット運動で公共の乗り物内での分離は違憲という結果が出た直後くらい。バスで黒人が白人に席を譲らなくてよくなっても、うっかり白人専用のトイレを使った黒人は襲われて、投票所へ投票へ行った黒人は車を燃やされる。そんな時代だった。 息子の三年目の命日を迎えるエイビリーンの描写を読みながら、今年の兄の命日には兄のことを想い出さなかったことに気付いた。日記もないし買物もしていないので、本当に何をしていたかわからない。ブクログの記録は残っている。たぶん本を読んで料理して部屋を掃除していた。たぶん12年ぶりの何の葛藤もない12月28日だった。落ち込んで体が重く、何もする気力がわかなかったのは、兄の自殺のせいか、ただたんに月日が無為に過ぎていることへの恐怖か。その両方かもしれない。 黒人男性は家庭で黒人女性に暴力を振るって、白人女性は黒人男性と黒人女性の生活を左右できる特権を持っていて、白人男性は白人女性と黒人男性と黒人女性の生殺与奪権を握っている。 人種分離政策に反対する姿勢を見せただけで告発され逮捕された人のニュースが毎日のように新聞に載る時代の、社会的に保障された病的な差別の関係性がとてもわかりやすく描かれている。 未婚の女性が一人暮らしをしたり、結婚に興味なかったりすると、その人には何か欠陥があるのではないかと思われるなんて、ぞっとする。 その欠陥というのは、具体的に言うと落ちこぼれということ。落ちこぼれだと思われるのはまだましなほう。場合によってはレズビアンだと思われて、娘思いの母親は性的嗜好矯正用のお茶を娘に飲ませる。性的嗜好矯正用のお茶って何それ? ミス・シーリアがメイドを雇ってることすら話せないくらいだから、ミスター・ジョニーはとんでもないモンスターなのかと思っていたのに、いざ登場してみると善人にしか見えない。妻のこともちゃんと愛してる。しかも黒人のメイドともきちんと向きあって気さくに話をする。この時代の白人男性としては変人の部類かもしれないけど。一体この夫婦は何が問題なんだろう。 ミスKKKが牛耳っている同盟は胸糞悪い。主人公はどうしてこんなくだらない同盟にいつまでもかかずらっているの? メドガー・エヴァーズがKKKに暗殺された事件が起きた。 1963年6月12日 BLMが起きた時、黒人はそれほど警察に殺されていないと統計の数字を持ち出して説明しようとする人はいたし、ある意味でそれは正しい面もあるんだろうけど、問題は黒人であるというだけでいつ殺されるかわからない恐怖が黒人の中にまだ沁み込んでいて、その恐怖にはちゃんと根拠があるということなんだ。 ミニーはミス・ヒリーに一体何をしたの?チョコレートパイに何かしたようだけど。 上巻のラストでミス・シーリアの恐怖の原因がわかった。すごくかわいそうだ。下巻を早く読みたい。 別の本を読んでた時に気づいたけど、白人の子が黒人を差別することを覚えるようになると別の家に移るというエイビリーンは、ネルソン・マンデラの「生まれた時から肌の色や生まれた国、宗教で他人を差別する人はいない。」を思い起こさせるものだ。

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2017/01/21

読み応えがある。 海外小説だけどよみやすく、黒人に対する偏見差別について学べるだけではなく、人間のことを描いた本だなと。周りにこんな人いるよね、こんな恋愛あるよね、というかんじ。 読んでから時間はたったけど、いまでもスキーターやヒリーたちのことを覚えてる。

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2016/04/23

恵泉女学園に見学に行ったとき図書館が素晴らしく、その中でオススメの本だった。早速購入して読んだら、うん、良かった。

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2015/10/03

登場人物一人ひとりの魅力が出ていて面白い。 続きぐ気になる。 どうか、問題なく本が出版できますように。 そして、彼女たちや子供たちの未来が明るくHAPPYになりますように…。 下巻に続く。

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2015/10/03

第156回 舞台はアメリカ、ディープサウス。公民権運動が盛り上がりを見せた時代のことです...(2012.9.21)   舞台はアメリカ、ディープサウス。 公民権運動が盛り上がりを見せた時代のことです。 タイトルの「ヘルプ」は、家事や育児をする黒人のメイドのことを指しています...

第156回 舞台はアメリカ、ディープサウス。公民権運動が盛り上がりを見せた時代のことです...(2012.9.21)   舞台はアメリカ、ディープサウス。 公民権運動が盛り上がりを見せた時代のことです。 タイトルの「ヘルプ」は、家事や育児をする黒人のメイドのことを指していますが、違った意味にもとれます。 重いテーマを扱った小説ながら、語りの面白さでどんどん読みすすめられますし、痛快さを感じる場面も。 そして、ハッピーエンドとは言えなくても、希望が感じられる良い終わり方でした。 もちろん映画のDVDも入る予定です。 ぜひ見てくださいね。

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2014/11/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] <上> 1962年、大学を終えて故郷に戻ったスキーターは、改めて南部の差別的風土に衝撃を受ける。 同級生はほとんど主婦になったが、家事・育児を酷い待遇で雇ったヘルプ=黒人メイドに任せきり。 作家志望のスキーターの頭に探していたテーマが閃いた。 ヘルプを取材し差別問題を浮彫りにするのだ。 しかし、白人と個人的に話すのさえ命がけだった時代ヘルプ達は頑なで…。 全米1130万部のミリオンセラー。 <下> 「ヘルプを取材して本を出したいなんて、このお嬢さんはどうかしてる。 白人トイレを使っただけでリンチされるのに」しかし息子に先立たれた50代のヘルプ、エイビリーンは、親友が酷いやり方で解雇された事を契機に、その白人女性を自宅に招き、内情を語る決心をする。 最初は吐くほど緊張したが、言葉は予想外に豊かに溢れ出し…。 世界を変えた、勇気ある女達の物語。 [ 目次 ] <上> <下> [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2013/02/26

映画を観た後に読みました。 登場人物が多い物語ですが、先に映画を観たおかけで、それほど混乱せずに読み進める事が出来ました。 映画に登場するキャストそのままの雰囲気を脳裏で再構成しながら読み進めるのも良かったが、もしも本を先に読んだら一体どんな読み方になったかにも一興。 人種...

映画を観た後に読みました。 登場人物が多い物語ですが、先に映画を観たおかけで、それほど混乱せずに読み進める事が出来ました。 映画に登場するキャストそのままの雰囲気を脳裏で再構成しながら読み進めるのも良かったが、もしも本を先に読んだら一体どんな読み方になったかにも一興。 人種差別が当たり前だった当時の南アメリカの雰囲気を色濃く感じさせつつ、白人と黒人の立場と関係を涙あり笑いあり、時にシビアに描いた秀作と思います。

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2013/01/30

翻訳がうまくはまっている。 まず上巻だけ買って様子見するつもりだったが、さっそく次の日に下巻を買いに行った。 海外小説のなにが面白いって、文化とか宗教観の違いとか、ときどき「ええ!?」と思うようなことが向こうでは普通だったりするからたまらない。 主要の登場人物三人それぞれが、...

翻訳がうまくはまっている。 まず上巻だけ買って様子見するつもりだったが、さっそく次の日に下巻を買いに行った。 海外小説のなにが面白いって、文化とか宗教観の違いとか、ときどき「ええ!?」と思うようなことが向こうでは普通だったりするからたまらない。 主要の登場人物三人それぞれが、読んでいて同じくらい好きになり、また応援したくなる。向こうの女性はパワフルだな、と思わせられる。

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2012/12/26

1960年代、差別が色濃く残るアメリカ南部を舞台に、白人女性とその家で働く黒人メイド(「ヘルプ」)の心の交流を描く。 当時、南部では白人の中・上流家庭の主婦は家事一切を黒人ヘルプに任せていた。表向きは奴隷ではなくなったものの、明らかな蔑視はそこにあった。だがヘルプたちに育てられ...

1960年代、差別が色濃く残るアメリカ南部を舞台に、白人女性とその家で働く黒人メイド(「ヘルプ」)の心の交流を描く。 当時、南部では白人の中・上流家庭の主婦は家事一切を黒人ヘルプに任せていた。表向きは奴隷ではなくなったものの、明らかな蔑視はそこにあった。だがヘルプたちに育てられた子ども達にとっては、ヘルプのぬくもりはまた、厳としてそこにあるものでもあった。 そんな時代の白人家庭で働く黒人の視点から見た世界を、現代に生きる白人の著者が描いた、というところが本作の際だった特徴だろう。 全米では1130万部のミリオンセラー。映画化もされ、複数の賞を受賞している。 大学を出て、故郷ミシシッピに帰り、鬱々とした毎日を送る白人女性スキーター。愛し育てた雇い主の子ども達がやがては差別する側に回ることを知っており、一方で自分の息子を事故で亡くした痛手から立ち直っていない黒人ヘルプ、エイビリーン。激しい気性とはっきりものを言う性格から何度も勤め先を代わり、家に帰ればDVの夫が待っている、やはり黒人ヘルプであるミニー。 この3人の視点が代わる代わる出てきて物語を紡いでいく。 物書きに憧れるスキーターが、「ヘルプ」の物語を書いたらどうだろうか、と思いついたことから、3人の運命が動き出す。 アマゾンでは非常に評価が高いようであり、また確かにおもしろくは読んだのだが、読み終わってみると釈然としない思いも残る。 デリケートな問題であり、そこに生きていない外国人である自分には多分、理解しきれないこともあるのだろう。この作品が素晴らしいと感じる思いと、いや、ちょっとどうなんだろうと感じる思いとどちらもある。 ちょうど上下巻に分かれているので、下巻では個人的にどう思ったか、もう少し書いてみる。

Posted byブクログ

2012/09/28

映画が好きで原作本を読むのを楽しみにしていたけれど期待通り。映画よりディテールも描かれていて読み応えがある。

Posted byブクログ