アフター・ザ・レッド の商品レビュー
改めて、自分にとって連合赤軍事件は歴史の中の出来事なのだな、と感じた。根っこの所でどうしてこうなってしまったのかわからないというか、この中の人々がいろんなことを語っているけれども、普通のおじさんたちなような気がする。特に植垣さんと加藤さんはNHKの番組でも拝見したから、さらにそう...
改めて、自分にとって連合赤軍事件は歴史の中の出来事なのだな、と感じた。根っこの所でどうしてこうなってしまったのかわからないというか、この中の人々がいろんなことを語っているけれども、普通のおじさんたちなような気がする。特に植垣さんと加藤さんはNHKの番組でも拝見したから、さらにそう思うのだろうけど。 みんなどこかで正しかった、あれはどうしようもなかった、誰がトップでもああなったという、まるで第二次大戦の繰り言のような言葉を重ねる。時代の空気という言葉も出てくる。 そのあたりに、どうしても断絶を覚えてしまう。戦前の時代背景や、空気感などはかなりの本を読んだり、映像を見たり、祖父から聞いたりしたことがあって、一続きの時代で、決して鬼胎の時代ではないと思っている。でも、この学生運動から続く新左翼の思想やら、活動やらに忌避感を抱いてしまうなぁ。 以前読んだ、雨宮花凛さんの「右も左も一緒」という言葉がひどく納得できる。
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これも「本の雑誌」で紹介されていた一冊。連合赤軍兵士だった人四人に、主に服役後の人生についてインタビューしたもの。鬱々とした調子のものかと思ったが、意外にあっけらかんと語られていて、非常に面白かった。いろいろ考えさせられた。 ちょっと興味があってアマゾンのレビューをのぞいたら、...
これも「本の雑誌」で紹介されていた一冊。連合赤軍兵士だった人四人に、主に服役後の人生についてインタビューしたもの。鬱々とした調子のものかと思ったが、意外にあっけらかんと語られていて、非常に面白かった。いろいろ考えさせられた。 ちょっと興味があってアマゾンのレビューをのぞいたら、あまりに不評で驚いた。特に若い人には理解不能らしい。「どこまでも反省しないバカ」と罵倒しているものもあった。「事件」としての表層を、他人事として見るとそうなるんだろうけど…。著者(全共闘世代より少し下。私も同じ)が、「自分がもしあそこにいたらどうしただろう」と書いていたことについて、「そんな風に考える奴なんかいるのか」と反発しているものもあったが、いるんだよね、ここに。 連合赤軍に限らず、70年前後の学生運動などについて書かれたものを読むと、いつも苦しくなる。それは、その時代、その場所に自分がいたなら、間違いなく当事者として、その苦悩や挫折を経験しただろうと思うからだ。おっちょこちょいで、正義感だけはちょっとあるつもりの私は、あの頃大学に入ったなら(あるいは運動の盛んだった高校にいたなら)、集会に行き、デモに参加し、そのうちその大学(高校)の主流派のセクトに所属するようになり、まあ根性なしだからそれほどたいしたことはできなかっただろうが、何かの拍子に過激な行動へと流されていったかもしれない。 連赤の「事件」の中で言うなら、きっと粛正される側だっただろうが、実際自分があそこにいたならば、本当にいったいどうしただろう。そう考えること抜きにこの本を読むことはできない。この問いは私にとっては十分リアルなものだ。 (漠然とではあるけれど、連赤の問題はオウムとも共通するものがあるという気がしてならない。社会についての真面目な問題意識がとんでもない所に暴走していくという点で。市民社会が、異常者の起こした事件として切り捨てていくのも同じだ。ただ私にはオウムはうまく理解できず、リアルにとらえられないのだが。) そういう重い問いかけを含んではいるが、この本はまた、非常に面白くもある。前代未聞の大事件により左翼の運動に大打撃をあたえた人たちが、長い服役後(植垣氏など27年!)出所し、それぞれの人生を生きていく。生家の農業を継いだり、小さな会社を興したり、子供のいる人もいて保育園の送迎をしたり。一切取材を受けない人も(当然)いるなかで、ここで語っている人たちが一様に「逃げない」「語る責任がある」といっているのが心に残る。 話として抜群に面白いのが第1章の前澤さんだ。ざっくばらんに語られるご両親(特にお父さん)、祖母、叔父さん、奥さんの連れ子とのエピソードなど、まるでドラマのようだ。昔つけ回された公安の刑事とのやりとりなんかも笑ってしまう。この方職人なのだが、宮内庁の改修工事の時は「この人はちょっと…」と親方が言われたらしい。そりゃそうだろうなあ。 もちろん、十二人もの人を死なせた粛正は何故起こったのか、ということについてのそれぞれの考えも語られる。これについては多くの人が発言し、本が書かれ、映画や小説になり、それでもなおわからない。「みんな、連赤問題を、自分の理解可能なレベルに落として、解釈しているだけだ」という植垣氏の言葉が重い。「連合赤軍事件の全体像を残す会」が発足したのもその問題意識からだそうだ。ここでもいくつか示唆に富んだ見解が示されている。オウムもそうだが、自分とは関わりのないことと切り捨てずに、社会と集団の問題として考えるべきことは多いと思う。 最初と最後に、亡くなった方の名前と所属、年齢が記されている。みな若い。自分の子供たちと同じくらいだ。そう思ったら胸が詰まった。
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[焰の後]日本全国の衆目を集めたあさま山荘事件、そしてその後に明らかになり、一気に運動からの支持を失わせることになった「総括」。時代の一部を飾った衝撃の事件を経た人間は、その後どのように生活をし、残りの人生を過ごしてきたのか。連合赤軍による事件に当事者として関わった人間の「その後...
[焰の後]日本全国の衆目を集めたあさま山荘事件、そしてその後に明らかになり、一気に運動からの支持を失わせることになった「総括」。時代の一部を飾った衝撃の事件を経た人間は、その後どのように生活をし、残りの人生を過ごしてきたのか。連合赤軍による事件に当事者として関わった人間の「その後」を取材した作品です。著者は、「AERA」等で人物ルポを手がけている朝山実。 当事者により明かされる、そして推測される連合赤軍の内幕というだけで興味深い。なぜあの凄惨な出来事が起きたのか、組織として狂い始めてきたのはどこからなのか等、誰もが答えを見出せない、しかしあの時代を考える上では通り過ごすことのできない問いにも鋭くくい込んでいっており、大変読み応えがありました。それにしても、意外な程にインタビューを受ける人々が(ちょっと言葉は雑ですが)「平然」としているのが印象的。 改めて本書を読んで感じるのは、「出口」のない、「風通し」の悪い組織が持つおそろしさ。どこにも選択肢が転がっていない、それ故に1つの経路を転がり落ちていいうしかないどうしようもなさを改めて感じました。オウム真理教にも通じるものがあるという視点が本書の中にもありましたが、暴力の萌芽を宿していた団体が、山に入り退路を自ら断った中では、ああいった事件が起きるのはある意味では「当然」だったのかもしれないなとさえ感じられました。 〜風向きをかえるために、話をそらしちゃった。俺はそれが、山での総括問題の種だと思っている。〜 この時代の雰囲気は本当に想像が難しい☆5つ
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日本中に衝撃を与えた『あさま山荘事件』から40年もの月日が流れ、服役を終えた連合赤軍の元兵士たちは逃れられない過去を負い、その後の人生をどのように送ってきたのか?本書は彼らの貴重なインタビュー集です。 本書は漫画家の山本直樹氏が「イブニング」にて連載している連合赤軍事件に題材を...
日本中に衝撃を与えた『あさま山荘事件』から40年もの月日が流れ、服役を終えた連合赤軍の元兵士たちは逃れられない過去を負い、その後の人生をどのように送ってきたのか?本書は彼らの貴重なインタビュー集です。 本書は漫画家の山本直樹氏が「イブニング」にて連載している連合赤軍事件に題材をとったマンガ「レッド」作中に出てくる人物の「その後」を丹念に取材したインタビュー集であります。僕が連合赤軍事件に興味を持ったのは、確か高校か大学のどちらかだったかと思いますが、詳しくは思い出せません。中心メンバーだった坂口弘や永田洋子の書いた本をそのとき読んだ気もします。 そのときに起こった『総括』と呼ばれる凄惨なリンチ事件や後に『あさま山荘事件』と呼ばれる立てこもり事件など、彼らが残した『爪あと』は非常に深いものであると思っております。時は流れて40年以上。ここに出てくる人間の一人ひとりが服役を終え、『市井の人』としてそれからの人生をどのように生きていったか、そして『あの時』のことをどう思っているかということが本人たちの口から語られており、そういった意味では貴重な記録であると思います。 長い時間がたっているかこそようやく口を開いて当時のことを語っているということに彼らがいかに自らと向き合って生きてきたのかというある種の『真摯さ』が伺えるものでした。『その後』の人生も誰一人として同じ生き方をしたものはおらず、あるものは塗装職人となり、あるものはソフトウェア関係の会社を経営し、またあるものは実家の農家を継ぎ、地域社会に生きる――。その中で筆者を相手に語られる『真実』は本当に重いものでありました。 僕も実際にヘルメットにゲバ棒を持った集団を目の当たりにした衝撃を昨日のことのように覚えております。ただ、彼らに与しなかったのはどこかでこういうことが行われたという『事実』を踏まえていたのかもしれないということをこれを書きながら思い出しました。そして、作中にもいくつか知っている地名やいったことのある場所が出てきたときにはものすごくびっくりしました。も一度これをきっかけに『世の中を変えていきたい』と志を持って行動してきた人間がなぜ、あのような凄惨な事件を起こす結果になってしまったのか?というテーマを持ってあのときに行動を起こした人間たちの記録を巻末に上げられた参考資料を基に読んでいきたいなと、思っております。
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日本を騒然とさせた「あさま山荘」事件から40年。服役を終えた連合赤軍の兵士たちは、逃れられない過去を負い、その後の人生をどのように送ってきたのか。そしていま、何を思うのか。彼らの「あれから」と「いま」
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元兵士四人へのインタビュー。内訳は,革命左派から前澤虎義,加藤倫教,雪野建作,赤軍派から植垣康弘。端折ってしかるべき雑談的会話も多く,あまり実のある内容とはいえない。 あさま山荘事件をはじめとする連合赤軍事件についてある程度知らないと,何を話しているのかよくわからないと思う。...
元兵士四人へのインタビュー。内訳は,革命左派から前澤虎義,加藤倫教,雪野建作,赤軍派から植垣康弘。端折ってしかるべき雑談的会話も多く,あまり実のある内容とはいえない。 あさま山荘事件をはじめとする連合赤軍事件についてある程度知らないと,何を話しているのかよくわからないと思う。それに,あの事件は何だったのかという問いかけに答えるようなやりとりはなく,反省の色も薄く感じられた。 中でもあさま山荘事件を経験し,また実兄がリンチで命を落としている加藤へのインタビューでは,そのあたりの釈明や懺悔を期待したのだが,著者が踏み込んだ質問を避けているのか格別のものはなかった。途中で逃亡した前澤などは,警察と銃撃戦をすると知ってたらあさま山荘行くんだったと述懐してるし。 時代の雰囲気がそういうものだったということなんだけど,やはりここまで深入りしてしまった人たちって考え方にかなりの偏りがあるな,という印象。出獄後も続く腐れ縁もそれを助長。権力不信は消えることがないのだろう。無農薬で農業をやってるとかいう人もいて,なんだか納得してしまう。
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元連合赤軍メンバーへのインタビュー集。 例えば、森・永田両氏の評価なども人によってまちまちで興味深い。 しかし、日本の左翼活動は何故このような方向に進んで行ったのであろうか。ひとえに文化的バックボーンによるのではないだろうか。ヨーロッパの100年近く昔の理論を無理やり取り込んで未...
元連合赤軍メンバーへのインタビュー集。 例えば、森・永田両氏の評価なども人によってまちまちで興味深い。 しかし、日本の左翼活動は何故このような方向に進んで行ったのであろうか。ひとえに文化的バックボーンによるのではないだろうか。ヨーロッパの100年近く昔の理論を無理やり取り込んで未消化のままに活動が先鋭化した結果のように思えてならない。
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