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日本思想史新論 の商品レビュー

3.9

23件のお客様レビュー

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2013/05/05

書店で、手に取ったときには、あまり馴染みの無い内容なので、購入をためらったが、巻末にある、我々に息づく「国の思想」についての叙述を読み、読んでみようと思った。 国体とは何か、という問いに対して、後期水戸学から福沢諭吉へと続く、日本の実学、プラグマティズムの実態を明らかにすることで...

書店で、手に取ったときには、あまり馴染みの無い内容なので、購入をためらったが、巻末にある、我々に息づく「国の思想」についての叙述を読み、読んでみようと思った。 国体とは何か、という問いに対して、後期水戸学から福沢諭吉へと続く、日本の実学、プラグマティズムの実態を明らかにすることで、その解を探る。 伊藤仁斎、荻生徂徠、会沢正志斎、福沢諭吉の4人が取り上げられている。 読み返すことで、その4人のつながりが見えてくる。 内外憂慮はいつの時代も変わらない。自分の尺度で国体を考えるには、参考にしたい視点が示されている内容だった。

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2013/04/08
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尊王攘夷論とは、排外主義でもなければ、内向きな精神でもなく、海外情勢を把握したうえでの国家戦略であったということがまず述べられていた。また、水戸学のルーツである古学、実学とは、プラグマティックな思想であり、そうした思想が、鎖国期に生まれていたということに気づかされた。  この本を読んでみて、具体的な問題について考えるならば、TPPもまた、徳川幕府の「避戦・開国」といえるのではないかと思う。攘夷という思想をもつならば、今回の場合、開国という結論は出ないのではないだろうか。

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2016/05/03

第1章 消された系譜―古学・実学・水戸学(開国イデオロギーの呪縛 開国までの歴史 ほか) 第2章 伊藤仁斎の生の哲学(尊王攘夷論の導火線 解釈学 ほか) 第3章 荻生徂徠の保守思想(徹底したプラグマティスト 方法論 ほか) 第4章 会沢正志斎の自由主義(古学が生んだ戦略家 古学と...

第1章 消された系譜―古学・実学・水戸学(開国イデオロギーの呪縛 開国までの歴史 ほか) 第2章 伊藤仁斎の生の哲学(尊王攘夷論の導火線 解釈学 ほか) 第3章 荻生徂徠の保守思想(徹底したプラグマティスト 方法論 ほか) 第4章 会沢正志斎の自由主義(古学が生んだ戦略家 古学と水戸学 ほか) 第5章 福沢諭吉の尊王攘夷(実学を重んじたナショナリスト 福沢諭吉の国体論 ほか)

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2013/02/23

著者の着眼点が素晴らしい良書!!  100年以上前の思想や哲学から、実践主義、所謂、プラグマティズムという概念、そしてナショナリズムが形成される過程がわかりやすく説かれ、それが現代においても十分に通用し、古さを感じさせない。 また、今まで一般的に捉えられてきた見方に対して疑問を...

著者の着眼点が素晴らしい良書!!  100年以上前の思想や哲学から、実践主義、所謂、プラグマティズムという概念、そしてナショナリズムが形成される過程がわかりやすく説かれ、それが現代においても十分に通用し、古さを感じさせない。 また、今まで一般的に捉えられてきた見方に対して疑問を投げかけ、新たな解釈を織り交ぜられている。 日本をはじめ世界中が危機に瀕している現代において、この本が投げかける問題提起の意味は大きい。

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2013/01/25

幕末の危機に際して、優れた国家戦略を構想した会沢正志斎の「新論」について、新たな見方を提示した著作。 「新論」が伊藤仁斎、荻生徂徠の影響を受け、そして福澤諭吉の戦略思想に引き継がれているのではとの考え方を彼らの著作から論証している。 著者は、英国に留学した経験もあり、西洋政治...

幕末の危機に際して、優れた国家戦略を構想した会沢正志斎の「新論」について、新たな見方を提示した著作。 「新論」が伊藤仁斎、荻生徂徠の影響を受け、そして福澤諭吉の戦略思想に引き継がれているのではとの考え方を彼らの著作から論証している。 著者は、英国に留学した経験もあり、西洋政治学にも造詣が深い。 古今東西の学者の言説も参照しながらの「新論」の分析で、新たな視点を示すものであり、興味深く読めました。 しかしながら、司馬遼太郎の著作をどれほど読んだか知らないが、あまり好意的に書かれたいたのが少々残念でした(涙)。

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2012/12/21

お歴々の思想家たちが、次々と紹介され、素人には厳しい。が面白い。日本人の思想の基本を知ることが出来る。

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2012/12/15

かつて国が大きく変換した時、対立する思想は批判され、見向きもされなくなった。もちろん、間違った思想は批判されてしかるべきだが、その中には本質を理解されなかった思想もあるのではないだろうか? 尊王攘夷とかナショナリズムという言葉を口に出すと、すぐさま内向きの排外主義と言われるし、自...

かつて国が大きく変換した時、対立する思想は批判され、見向きもされなくなった。もちろん、間違った思想は批判されてしかるべきだが、その中には本質を理解されなかった思想もあるのではないだろうか? 尊王攘夷とかナショナリズムという言葉を口に出すと、すぐさま内向きの排外主義と言われるし、自分もそう感じる。でも本当は両者とも健全な思想であり、それに学ぶところは大きいのではないか?そんな疑問を持って書かれた本。 自分のいる場所を愛しつつ、外を広く大きく見渡して良いところは学び、害を及ぼすものには抵抗し、最善の策での解決を試みる。これは決して内向き思想じゃないはずだ。こういう視点を持ってことに当たれるように、日本人がなれたらいい。日本やだ、でもあの国もやだとか、もうネットで愚痴りたくない(って感想からだんだん遠く離れてきたなあ)

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2012/09/06

TPP亡国論とかに結び付けなければ、思想史の1つの解釈としては面白いかも。しかし、本多利明が本田利明とかになっていると……それだけでがっかりするのもまた事実。

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2012/06/14
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※このレビューにはネタバレを含みます

本著を読み終えた感想としては、難しい内容であった、それに尽きる。しかしながら、私なりに考えることはあった。4人の思想家の思想をおおざっぱに解釈すれば、即ち道元禅師の思想に近く、常日頃私自身が思うことでもある。日常生活から学び、日常生活に実践する。重視すべきは日頃の行いにある。日々の動きから様々なことを学び取り、応用的に日常に組み込む。本著は熟読するとまた考えが変わりそうである。

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2012/06/06
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「開国物語」という病理的な固定観念を、伊藤仁斎、荻生徂徠、会沢正志斎、福沢諭吉を再読することで、その虚構を撃つ。開国しなければまともじゃないという他律的発想とは別に、前近代において、自律的思索を積み重ねた先人たち営為に驚く。 確かに日本思想史の細かな議論としては、アクロバティックなところもありますが、筆者が専門の西洋の政治・経済思想と日本思想史を比較しながら論じているのは面白い。日本思想史において、遜色のない近代への「槌音」が存在したとみることは可能かも。

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