資本主義が嫌いな人のための経済学 の商品レビュー
左右両翼の経済観の謬見を解きほぐしていく「哲学者による」正統派的な解説書。 ほとんど完全な競争は、そうでない不完全な競争よりも効率がよい、と信ずる根拠はない。完全な競争が完全な効率をもたらすというテーゼはそれを擁護しない。 福祉の問題で、左派はモラルハザードが生じる可能性を否定す...
左右両翼の経済観の謬見を解きほぐしていく「哲学者による」正統派的な解説書。 ほとんど完全な競争は、そうでない不完全な競争よりも効率がよい、と信ずる根拠はない。完全な競争が完全な効率をもたらすというテーゼはそれを擁護しない。 福祉の問題で、左派はモラルハザードが生じる可能性を否定すべきではない。それを認めたうえで、より広範なリスク共同管理の便益と費用をはかりにかけるべき。 などなど。
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経済はゼロサムゲームじゃないという人もいます。でもこの本では、明快に、「青信号は、誰かにとっての赤信号」として、誰にでも青信号なんてありえないぞ、という点からスタート。 その信号は、数多くて単純なものではないし、さまざまな選択的行動からなっている。当たり前のことなんだろうけど、...
経済はゼロサムゲームじゃないという人もいます。でもこの本では、明快に、「青信号は、誰かにとっての赤信号」として、誰にでも青信号なんてありえないぞ、という点からスタート。 その信号は、数多くて単純なものではないし、さまざまな選択的行動からなっている。当たり前のことなんだろうけど、僕が理解できていない、ということがよくわかった。関係者全員が悪いなら、システムを壊すしかないって。そうかもね。
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経済学の本に取っつきにくかった僕にも読みやすい。 というのも、自分の理論をただ押しつけることや、つまらないお金の流れなどを述べるのではなく、右派、左派の両方の観点から客観性を持たせつつ述べているからだと思う。 経済としてだけではなく、人としてどういう手段で人を動かすかということに...
経済学の本に取っつきにくかった僕にも読みやすい。 というのも、自分の理論をただ押しつけることや、つまらないお金の流れなどを述べるのではなく、右派、左派の両方の観点から客観性を持たせつつ述べているからだと思う。 経済としてだけではなく、人としてどういう手段で人を動かすかということにも通ずる気がする。 とても面白かった。ただ、日本語訳がおかしいところや、堅苦しい表現が見られたので☆みっつ。
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これは面白い!やはり、経済読み物は、経済学者“以外”が書いたものの方が当たりが多いなぁ(笑) 特に、第7章公正価格という誤謬、第12章レベリング・ダウンなんかは、現在の日本の問題に直結しているので、経済学に興味のある人は是非読んでほしいです。 但し、翻訳がかなり読みにくいので注意...
これは面白い!やはり、経済読み物は、経済学者“以外”が書いたものの方が当たりが多いなぁ(笑) 特に、第7章公正価格という誤謬、第12章レベリング・ダウンなんかは、現在の日本の問題に直結しているので、経済学に興味のある人は是非読んでほしいです。 但し、翻訳がかなり読みにくいので注意。というか、おそらくは原文がかなり持って回ったような文章なんだろうと想像します。翻訳者の方も苦労されたのではないでしょうか?なので、経済学的基礎知識が無いと、読むのはちょっと苦労するかも。でも、飛ばし読みでも価値があると思います。
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世界には、温和な社会主義をとっている国もある。 そういった国は、行政システムが緩くて汚職も多い、という感じもあるけれど、それなりに利点もあるようで。 哲学者である著者だって、資本主義が絶対だとは思っていないはず。 思考を自由にするには、なんでも「これじゃないきゃいけない」と思うの...
世界には、温和な社会主義をとっている国もある。 そういった国は、行政システムが緩くて汚職も多い、という感じもあるけれど、それなりに利点もあるようで。 哲学者である著者だって、資本主義が絶対だとは思っていないはず。 思考を自由にするには、なんでも「これじゃないきゃいけない」と思うのを やめる必要がある。 だから、まず始めるのは批判から。そもそも、右派も左派も、自分のかっこいいところばかりを強調していて、論理に無理があったり、現実をみていないことが非常に多いということを再確認。 そして本書で目指されているのは、やはり、読者が「覚めた」状態で資本主義を考えられるようになるレベルだと思う。
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第一部は「右派(保守・リバタリアン)の謬見」 第二部は「左派(革新・リベラル)の誤信」 どちらも、それぞれ間違いを犯しているという批判。 公平ですね。 じゃあ結局どっちなの?というときっとどっちでもなく その間のどこかに落としどころをもっていく議論が 必要なんだけど、実際は両...
第一部は「右派(保守・リバタリアン)の謬見」 第二部は「左派(革新・リベラル)の誤信」 どちらも、それぞれ間違いを犯しているという批判。 公平ですね。 じゃあ結局どっちなの?というときっとどっちでもなく その間のどこかに落としどころをもっていく議論が 必要なんだけど、実際は両派ともそれを 受け容れられないので平行線。 議論の前提となる知識が共有されていないのです。 左派は経済(統計的データ)を学ばず、 右派は哲学(人間の不確実性)を軽んじる。 なんだか日本の原発問題の議論にも共通していますね。 筆者はおそらくその議論を成立させるための地ならしの役割を この本に課したのではないかと想像するのです。 最終的にいいたいことは 「どっちももっと勉強しないと議論にならんよ」 ということだと思うのですが、 各章の事象に関しては僕自身の知識不足で 理解しきれないままでした。 勉強しなくちゃ、ですね。
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