ヘルプ(下) の商品レビュー
海外小説の場合、翻訳がハズレだと数ページで投げ出してしまう。 しかしこのヘルプは、うまいこと訳しているので、さくさく読めた。 登場人物三人の一人称で語られるのだが、それぞれの個性が良く出ているので、読んでいて混乱することがない。 黒人差別、女性の自立、とテーマは重いのだが、翻訳...
海外小説の場合、翻訳がハズレだと数ページで投げ出してしまう。 しかしこのヘルプは、うまいこと訳しているので、さくさく読めた。 登場人物三人の一人称で語られるのだが、それぞれの個性が良く出ているので、読んでいて混乱することがない。 黒人差別、女性の自立、とテーマは重いのだが、翻訳が良いのか、暗い雰囲気にはならない。 メイドという日本人にはまるで身近ではない存在に、考えさせられ、笑わされた。本当にアレを食べさせたのか……? ラストはどこかほろ苦く、余韻が残る。
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マーティン・ルーサー・キングやローザ・パークスの公民権運動の時代である。エピソードをうまく織り込みながら、時代の空気をよく描き出している。衛生のためと称してヘルプのトイレを分けようとし、黒人は泥棒で嘘つきと犯してもいない罪を着せる話など、胸が痛むが、なるほどそういうこともあったの...
マーティン・ルーサー・キングやローザ・パークスの公民権運動の時代である。エピソードをうまく織り込みながら、時代の空気をよく描き出している。衛生のためと称してヘルプのトイレを分けようとし、黒人は泥棒で嘘つきと犯してもいない罪を着せる話など、胸が痛むが、なるほどそういうこともあったのだろうと思わせる。 ただ、人物造形にはむしろ粗さが目立つ。 ヘルプの物語を書こうと思い立ったスキーターは、自分の理想が故郷にないことを知っている。旧弊な母。女帝のように君臨するかつての友人ヒリー。自分のしたいことと悉く違うものが「よし」とされる世界。傍から見たら「そこにいたらダメだ」ということが痛いほどにわかるのに、彼女はそこを捨てられずにいる。 それが慣れ親しんだ価値観と新しい価値観とのせめぎ合いだというなら、まぁそれもありなのだろうが、ミニーが仕える白人貧困家庭出身のシーリアは本当にただのお馬鹿さんなのか、内に秘めた「何か」があるのか、結局最後まで判然としない。女帝ヒリーはステレオタイプ過ぎるし、ヒリーの顔色ばかり伺うエリザベスも血が通った感じがしない。 白人女性の中で、一番、魅力があったのは、エイビリーンを愛する幼児メイ・モブリーだろう。 男たちはなお一層、陰が薄く、ぺらぺらに感じられる。 対して、圧倒的な魅力を持って描かれるのがエイビリーンであり、ミニーである。 だがそこにはやはり一抹の疑いが残る。自らもまた黒人ヘルプに育てられたという著者が描く黒人女性は、本当に黒人女性の真の姿なのだろうか。 それぞれの未来に向かっていこうとする3人の姿は感動を呼ぶものでもある。だが一方で、ある意味、放り出された形のエイビリーンやミニーの前に待つものは何か。少なくともバラ色の世界でないことは確かだ。悪い方に転がれば、掛け値なしに慄然とするような結果が待っている。 いささか穿った見方をすれば、多分、彼女たちの「この先」は、本当にこの時代の黒人の社会を肌で知っている人でなければ書けないのではないか。 個人的には、公民権運動が1960年代のことであり、また自分と同世代の著者が自身、黒人ヘルプに育てられたというのが、ちょっとした驚きだった。 そう、この物語はそれほど遠い過去の話ではない。何もかもがすっきりと解決するには、こんな短い時間では足りないだろう。 それこそがこの物語がアメリカでミリオンセラーとなった一因なのかもしれない。 *あとがきに記される、著者自身の思い出が温かい。なるほど、こうして生み出された物語なのか、と思わせる。 *物語のキーとなる、ミニーがヒリーにした「酷いこと」、これもちょっといただけない。下品であるとかそういうことは別として、それ以前に、ヒトの知覚はこの「罠」に気付かないほど鈍くないように思う(よほどの微量でない限り)。ネタバレになるのでこれ以上書けないが。
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世界一の先進国アメリカでついこの間といってもよいぐらいの時代に人種差別が堂々と行われていたんだ。 しかも日本に憲法を与えた後で。 人間の業の深さが切なくなる。 しかも女社会なので、白人の気持ちも黒人の気持ちもよくわかっちゃうんだよね。 「白人のレディの方が男たちよりひどい」という...
世界一の先進国アメリカでついこの間といってもよいぐらいの時代に人種差別が堂々と行われていたんだ。 しかも日本に憲法を与えた後で。 人間の業の深さが切なくなる。 しかも女社会なので、白人の気持ちも黒人の気持ちもよくわかっちゃうんだよね。 「白人のレディの方が男たちよりひどい」というような描写があったけれどなるほど。 映画版SATC2を見たときに、日本人はあまりベビーシッターを雇わないからあまりピンとこなかったけれど、アメリカはベビーシッターが当たり前なんだという納得がやっといった。 母に原作本を読んでいると言ったら「原書で?」と言われて悔しかったので原書でも読んでみたい。訳者のせいか原文のせいか文や語句に違和感がのこる。
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エイビリーンが愛情かけて育てる、幼いながらも賢くかわいいメイ・モブリー。彼女の物語も読んでみたいような気がします。 それにしても、人種差別やDV、不器用な恋愛や親子関係などの問題の中で、スキーターとエイビリーン達による1冊の本によってそれぞれの人生が変わり、成長していくのを見るの...
エイビリーンが愛情かけて育てる、幼いながらも賢くかわいいメイ・モブリー。彼女の物語も読んでみたいような気がします。 それにしても、人種差別やDV、不器用な恋愛や親子関係などの問題の中で、スキーターとエイビリーン達による1冊の本によってそれぞれの人生が変わり、成長していくのを見るのはわくわくしました。ミニーとシーリアの章は、二人に相手を思いやる気持ちが芽生えてくる様子が微笑ましくてとても好きです。
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苦手な海外小説を克服。文章は少し未熟ながら、黒人を尊ぶことは周りから蔑まれた目でみられることが当たり前の時代のアメリカにおいて、その事実をありのまま本として出版することは命がけのことであろう。その危険を顧みず奴隷制度に異議を唱えたスキーターとエイビーリーンヘルプたちの勇気にとても...
苦手な海外小説を克服。文章は少し未熟ながら、黒人を尊ぶことは周りから蔑まれた目でみられることが当たり前の時代のアメリカにおいて、その事実をありのまま本として出版することは命がけのことであろう。その危険を顧みず奴隷制度に異議を唱えたスキーターとエイビーリーンヘルプたちの勇気にとても感動した。 アメリカらしいジョークも新鮮だった。
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下巻も一気に読んでしまいました。 下巻の方がより筆がのっている感じがします。 スキーターはヒリーに喧嘩を売っておきながら、ヒリーが冷たい目で自分を見たり、村八分にすることを悲しみます。 心の中で、それは十分予想できることだろうとつっこみながら、そこが人間らしいと言えば人間らしい...
下巻も一気に読んでしまいました。 下巻の方がより筆がのっている感じがします。 スキーターはヒリーに喧嘩を売っておきながら、ヒリーが冷たい目で自分を見たり、村八分にすることを悲しみます。 心の中で、それは十分予想できることだろうとつっこみながら、そこが人間らしいと言えば人間らしいです。 ミス・シーリアとミニーのやり取りはこの物語にスパイスを添えてくれます。個人的には、ジョニーが何故ヒリーではなく、シーリアを結婚相手として選んだかをもっと書き込んでくれたら、より深みが出たのではないかと思いました。 シーリアは今風に言うと、いわゆる“天然”ですが、きっとヒリーより容貌が美しかっただけではなく、ヒリーにはない何かを持っていたであろうから。 エイビリーンとメイ・モブリーのエピソードは好きです。 幼いながらも、大人以上に智恵のあるメイ・モブリー。 自分の子どもには、きっとエイビリーンのように言い聞かせたいと思いました。 もともと映画が良さそうだったので興味を持った小説でしたが、当たりでした。 映画もいつか観てみようと思います。
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スキーター以外の白人人格による一人称の表現進行が無かったので、 被差別民(黒人)寄りに偏った視点でストーリーを追ってしまう傾向がありました。 ヒリーが悪の象徴のように描かれているので、 彼女が凋落する様を見たい!という偏屈な欲望を抱えながら読んでしまったりと、 勧善懲悪の期待が...
スキーター以外の白人人格による一人称の表現進行が無かったので、 被差別民(黒人)寄りに偏った視点でストーリーを追ってしまう傾向がありました。 ヒリーが悪の象徴のように描かれているので、 彼女が凋落する様を見たい!という偏屈な欲望を抱えながら読んでしまったりと、 勧善懲悪の期待が芽生えてしまい、 一方で、読む前から最も期待していた 「当時の人種問題を多角的に知る・考えること」の程度は薄かったです。 とはいえ、とても面白い小説。 ・自立できず何も成し遂げていないスキーター ・幼く無垢なメイ・モブリー この2人の女性が、 エイビリーンの高潔と愛情に感化されながら成長していく物語、 として捉えると 、とても楽しく読了できました。
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映画はまだ見ていない。 だからこその、ドキドキする展開がたまらなく楽しかった。 映画のキャストを若干だけど知っていたので、もちろん頭の中では彼女たちが登場して。 サブタイトルは、ヘルプ達とスキーターだけではなく、ヘルプとその雇い主やベィビーちゃん、スキーターとその母親、そしてもちろんヘルプ同士の「心のつながり」がしっかりと描かれていた。 特にスキーターと母親の関係は、なんだか身につまされる事ばかりww ★が5つではない理由としては、やはり翻訳モノ(外国の小説)の難点かな、事前にあの時代の公民権運動や黒人差別に関してある程度の知識が必要だという部分。まったくの無知だとすんなり物語に入っていくことが出来ないところ。
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よかった。 最後の最後までどきどきした。 慈善パーティはハラハラもんだった。 ひらひらした格好のシーリアから目が離せなくて、 んでもって最後のヒリーとのやりとりなんか、ギャーって感じ。 でもその後ミニーがパイの話をして、 小切手の宛名に彼女がかいたことに、やるなって思った。 ジョニーは彼女を選んで正解だったと思う。 スキーターはもう完全村八分にされて、つらかった。 おまけにスチュアートとも別れるはめになるし。 でもでも、ニューヨークに行くわ、と旅立った彼女は素敵だし、 カッコいい。 これでよかったんだ、と思えた。 あれが本になったらどんなことが起こるのか、怖くて、なにもひどいことが起きませんように、とずっと読みながら思っていた。 結果、色々変化はあったけれど、それぞれが 自分の心の中になにか納得するものを見つけた、とゆーか、 なんかそんな感じで、よかった。 スキーターをルー・アンが呼びとめて話をするところがすごく好きだ。 立場の違いってゆーのはやっぱりあるにしても、 その人がいてくれることに感謝を感じられる、どんな社会であっても、 優しい気持ちが通じあうことはあるんだ、と思わせてくれる。 エイビリーンが、メイ・モブリーに対したように。 あなたは優しい子、あなたは賢い子、あなたは大切な子。 ああ、そうやって言われて育てられることの幸せを。 彼女が与えられたものはきっと消えない。 消えないで欲しいと思う。 エリザベスは変わらないのだろう、メイ・モブリーはこれからも傷つけられるだろう。でも一番奥の心はきっとエイビリーンが育てたものが守ってくれる、そう思う。 これほどまでの差別というものがまかりとおっていた時代、社会を 直接は知らないし、完全に理解することもできない。 でも、きっとどちらの立場にもなりうるのだ。 簡単に。 だけど、ヒリーのように他人を傷つける権利を自分は持っている、 自分だけが正しいと声高に叫ぶことだけはしたくない。
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最後は感動( ̄^ ̄)本が売れたからといって、差別がなくなるわけではないけど、そのなかで、差別を越えて絆があるところもあり、ちょっとづづ今にむかわって代わってきているなと感じた。
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