子どもの声を社会へ の商品レビュー
昨年「子どもアドボカシー」というものを知り、それにちなんだ本として読んでみた。兵庫県川西市の「子ども人権オンブズパーソン」制度にかかわる著者が活動の内容から社会のあり方までを綴る。 川西市の子どもオンブズは子どもの権利を守り寄り添う先進的な仕組みとして、その世界では知られているけ...
昨年「子どもアドボカシー」というものを知り、それにちなんだ本として読んでみた。兵庫県川西市の「子ども人権オンブズパーソン」制度にかかわる著者が活動の内容から社会のあり方までを綴る。 川西市の子どもオンブズは子どもの権利を守り寄り添う先進的な仕組みとして、その世界では知られているけど、一方でどうして「子どもオンブズ」がありながら「子どもアドボカシー」というよく似ているけど別の名前の仕組みがいま広がりかけているのかと、ちょっと不思議に思った。そのくらい(この本を読む限りでは)川西市の「子どもオンブズ」の仕組みってよくできているし、実際にも機能している感じがする。なのになぜ? 一方、子どものついてだけでなく後半は現代社会のあり方についても書いてある。無理を強いたり同調圧力が強かったりする現代日本社会が子どもを苦しめているわけだけど、それは大人をも苦しめているもの。「自立支援」っていうのも社会でいろいろこの名のもとに「支援」がなされているけど、厳しい社会から振るって排除しておいて、その後で包摂する。その包摂が「自立支援」の名のもとに行われるという見方、「排除してから包摂する」(p.174)=自立を強いる支援(?)に落とし込まれるという構図。なるほど、悲しいけれどうなずける。 そして、こんな社会でより苦しめられるのは子ども。あたりまえのことだけど、現代日本社会において子どもだけのことを考え策を出しても、それは表層の策に過ぎない。社会全体を変えていかなければいけないというわけ……なんだけど。
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教員を始め教育や子どもに関わる仕事をしている全員にとっての必読書。 能力をわかちもつ 社会の問題構築を知る エンパワメントとはゆるめること 子どもに真の意味で向き合うために大切なことが、この1冊に散りばめられている。
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自分とは相いれない思想の本をこれほどしっかり読めたことはない。私は教育はもっと個の能力の開発に焦点を絞るべきだと思っているし、成長を希求することが社会全体の活力につながると信じている。 でもこの数十年日本にはびこるおかしな「自己責任論」と「個人主義」には強い違和感を覚えている。...
自分とは相いれない思想の本をこれほどしっかり読めたことはない。私は教育はもっと個の能力の開発に焦点を絞るべきだと思っているし、成長を希求することが社会全体の活力につながると信じている。 でもこの数十年日本にはびこるおかしな「自己責任論」と「個人主義」には強い違和感を覚えている。 この本はまったく違うアプローチではあるが、同じ問題点をとらえ、個々の事例で具体的に説得してくる。 この本の主張に簡単には同意できないが、対立項として読むべき価値のある本だ。 ******** 現在の社会的な価値観でもって「排除」され、力を奪われたまま、社会保障で「包摂」される。その包摂に「自立支援」という発想が色濃くなってきたのだ。「排除されてから包摂する」という現在の社会保障のあり方をとう作業が、私たちの課題として明確になってきた。 スタートラインが一直線だということが前提の「機会の平等」は、個人の努力だけで人生の課題を乗り越えようという考え方であり、それは個の発達重視の近代教育思想の限界でもある。
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川西市の子どもオンブズパーソンにいる著者による、受けた相談とその解決に至る道筋を元にした、社会に対する変革のススメ。 子どもの気持ちが大人に受け止められていないことが、相談に来る子どもたちの実感にある。子どもと大人の間にコミュニケーションを成立させることをオンブズパーソンが陰から...
川西市の子どもオンブズパーソンにいる著者による、受けた相談とその解決に至る道筋を元にした、社会に対する変革のススメ。 子どもの気持ちが大人に受け止められていないことが、相談に来る子どもたちの実感にある。子どもと大人の間にコミュニケーションを成立させることをオンブズパーソンが陰から日向から支える。 なぜ、子どもの気持ちに向き合う時間や心の余裕が持てないのか。相談から直接示された実態や社会理論から示す。 関係性の中で自らの力を発揮できるようになることで、「能力」を示すことができる。その関係性がなければ、その人の力を測ることはできないそうだ。
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問題を抱える子どもたちは、誰もが大人に話を聞いてもらいたがっている。保護者にもそれぞれの悩みがある。 そんな人たちの話を聞いて、必ずしも解決に導くことを目的とするのではなく、少しでも事態を「ましにする」のがオンブズパーソンの仕事である。少しきっかけを与えれば、自分で解決まで持って...
問題を抱える子どもたちは、誰もが大人に話を聞いてもらいたがっている。保護者にもそれぞれの悩みがある。 そんな人たちの話を聞いて、必ずしも解決に導くことを目的とするのではなく、少しでも事態を「ましにする」のがオンブズパーソンの仕事である。少しきっかけを与えれば、自分で解決まで持っていく力が子どもたちには備わっているという考えがあるからだ。 川西市オンブズパーソンの代表を務める筆者が実際に相談を受けた内容とその対処法を中心に、決して力の強くない子どもたちの声を読者に伝えようという試みが見られる一冊だった。
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人間関係を修復すれば、子どもたちは徐々に「力」を取り戻す。 これがこの本の主要なテーゼだったと思う。 子どもたちは過度に競争化されたこの社会で、疲れを溜めたり、立ち止まって置いてきぼりにされている。要所要所で立ち止まることは本来成長に必要なはずのことだが、子どもを取り巻く大人たちも余裕をなくしていて、十分にサポートできていない。このようななかで、大人と子ども、子どもと子どもとの関係修復の手助けをするのが子どもオンブズパーソンである。子どもの声を代弁するのだ。 年々担当区域内での認知度は増し、相談・解決の件数も増えている。こうした個別対応と同時に、子どもの病理を生み出す構造を変えていく提案もしていく。それが、子どもの声を社会に通していくという意味ももつのである。しかしそれにも限界はある。問題の一番の原因は、子どもも大人も余裕を失う(命を削りながら生きることになる)、過度な競争社会であるが、これは提案権のある区域だけでなせる改革ではない。広く社会に訴えていくべきことだ。。 ――― もうすこし解決に至る過程と、その分析を詳しく書いて欲しかったが、全体的にはおもしろいし、読みやすいし、参考になった。 (星3つは”標準的なプラスの費用対効果”の意である)
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「子どもの声を聞き、対話を重ね、関係性に働きかけ、子どもの傍らに立つ」子どもオンブズパーソンについて紹介されている一冊です。 ソーシャルワーカーとしては、同意できる部分が多くあり、また、すぐにでも仕事に取り入れたい部分も多くありました。 唯一、学力保障に関する部分だけが同意し...
「子どもの声を聞き、対話を重ね、関係性に働きかけ、子どもの傍らに立つ」子どもオンブズパーソンについて紹介されている一冊です。 ソーシャルワーカーとしては、同意できる部分が多くあり、また、すぐにでも仕事に取り入れたい部分も多くありました。 唯一、学力保障に関する部分だけが同意しきれなかったです。 私の読み込み不足かもしれないのですが。。 私は学力保障の重要性をとても強く感じています。 学力がほとんど身についていない、、、日常の読み書きでさえ厳しく、おそらくそのことによって生きづらさが増している子どもと出会うことがあるので、、生きていくために最低限の学力保障は必要だと、私自身は考えています。 そして、義務教育期間の子どもであれば、学力保障を担うのは学校が中心になるのではないかと思います。(家庭のサポート力のあるところでは、この課題は生じてこないと考えられるので。) おそらく地域性のこともあり、本書で取り上げられている「子ども」像と、私がイメージしている「子ども」像が違っているのではないかと思います。 子どもを「子ども」として論じることの難しさに気付かされました。 そういうことも含めて、とても学びの多い一冊でした。 子どもに関わる仕事をされている方にはおすすめの一冊です。
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前半は「子どもの人権オンブズパーソン」の役割と事例紹介。後半は背景にある能力主義・競争主義社会に対する批判と、社会への提案。 誰かを責めるのではなく、人間関係へのはたらきかけを通して、子どもの悩みを解いていくきっかけをつくる「調整」と、枠組みにはたらきかける「調査」の2要素を強...
前半は「子どもの人権オンブズパーソン」の役割と事例紹介。後半は背景にある能力主義・競争主義社会に対する批判と、社会への提案。 誰かを責めるのではなく、人間関係へのはたらきかけを通して、子どもの悩みを解いていくきっかけをつくる「調整」と、枠組みにはたらきかける「調査」の2要素を強調して説明している。 子どもの最善の利益を考えていく姿勢には感銘を受けたし、マクロ経済からの論理分析も交えており読み応えがあった。 教職寄りの執筆かと思いきや、そうでもない。教養本としてもオススメ。
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兵庫の川西市のオンブズパーソンで教育担当となった著者の話である。社会の「減速」と能力の共同性という意見には同感されるものがある。教育現場としてオンブズパーソンが必要であるということが強く感じられる本である。
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最初の方はたどたどしく、あまりおもしろくなかったが、後半から終章にかけては、独自の意見もあり、気づかされる点も多かった。 「学力保障」を再考しなければならないことがよくわかった。
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