きなりの雲 の商品レビュー
石田千さんの独特のテンポ、描写が詰まった1冊。 肩の力が抜けていくような、いつもより少し丁寧にいきたいと思える1冊。
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(2024/01/20 2.5h) 丁寧なてごころの込められた文章にほだされる。 句読点が多く、あえてひらがな使いを選択しているようで、スローなテンポで読み下すことを意識する。 「いらい」「いう」 「〜こられた」「〜くださった」「〜いただいた」 セリフにかぎ括弧を使わないの...
(2024/01/20 2.5h) 丁寧なてごころの込められた文章にほだされる。 句読点が多く、あえてひらがな使いを選択しているようで、スローなテンポで読み下すことを意識する。 「いらい」「いう」 「〜こられた」「〜くださった」「〜いただいた」 セリフにかぎ括弧を使わないのも独特の間を生んでいます。 編み物がしたくなりますね。 冬から夏にかけてのお話ですが、やはり手縫いものの話なので冬に読むと心がフッと温まるような。
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主人公の控えめな姿勢や慎ましく丁寧な暮らし方が心をすすいでくれます。一方で作り手としての職人的一面や芯の通った心情描写はむしろ憧れすら抱きました。心ある仕事は心をつなぐ。静かな教訓がたくさん。
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しみじみとしたいい話だと思う。 が! ひらがなが多すぎる。 なんで?と思うほどひらがなだらけ。 なので、ちょっとあわてていると読み間違えることが多い。 話がかみ合わないので読み返すと、ひらがなひとつを別の言葉に置き換えて読んでしまっていたことがわかる。 形容詞ばかりでなく、動詞も、固有名詞さえもひらがな。 途中で投げだすところだが、ストーリーの良さにひかれて読み進むうちに、もしかして、編み物のように、ひとめひとめ絶対飛ばさずに丁寧に読め!という作者の指令なのかもしれない、と思った。 読みにくい文体は、あつかいに難儀する笠井の毛糸のようなもの、ってことなのかも。
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あたたかな、編み目を一つ一つ進めていくような物語。 マンションの住人とも、手芸屋さんとも、柔らかな信頼感でつながり、心配したりされたり。 編み物をしたくなる。 すこしずつ、その語り口を楽しむ感じで、いつまでも読んでいたいと思いつつ読み進めた本。
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一目一目丁寧に編み込んでいくように、日々の暮らしもじっくり丁寧に、自分の速度で進む40代のさみ子。 この穏やかな雰囲気がたまらなく好きで、もっと読んでいたかった。 思うように行かずに落ち込んだり、周りの人に自分の気持ちを上手く伝えられない不器用さに好感を持った。 そんなさみ子は糸で言うならば色を染める前の「きなり」だろう。 例えば編みもの教室で、全員同じ糸で同じものを編んでいても、一つとして同じものに仕上がらないように、人の生き方は人それぞれ。 人生を長く生きていれば白黒ハッキリ出来ないことの一つや二つある。 「さみちゃん、悔いるならぶつかりなさい。やってみてだめならいいじゃない。もう若くないんだから。」 姉のような存在の人に優しく言ってもらえる有りがたさ。 さみ子の物語の続きを読んでみたい。 そして私も久しぶりに編みものをしたくなった。
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失恋。四十歳。再生。『小泉今日子書評集』にて。編み物教室で講師をしているさみ子は恋人に振られる。つらさから立ち直るために美味しいものを食べたり、人と会話したりして、少しずつ元気を取り戻す。
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さみちゃんと年の近い私。 傷つくのも 傷つけるのも 怖いから ついつい そっけない付き合いになってしまう。 そのほうがラクだし...なんて 言い訳を 自分にしながら。。。 じろうくんに似てる人。 結局、ずっと見てる。 すごく傷ついたときもあったし、 傷つけたことも たくさんかも...
さみちゃんと年の近い私。 傷つくのも 傷つけるのも 怖いから ついつい そっけない付き合いになってしまう。 そのほうがラクだし...なんて 言い訳を 自分にしながら。。。 じろうくんに似てる人。 結局、ずっと見てる。 すごく傷ついたときもあったし、 傷つけたことも たくさんかも。。。 くりかえしてもいいくらい好きだから、悩むんでしょう。 切れる仲と、切れない仲があるのよ。 そっか。 なるほど。 白黒つけるのは 苦手だけど ふとしたときにたどり着いた先に 答えがみつかると いいな。 そのときを 待ってみよう。 そんなふうに思えた本。 小泉今日子書評集 やっぱりいいな。
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石田さんの文、とても柔らかい。 題名どおり、女の子らしいほわっとした印象。 どこで思いきればいいのかな…さみさんのセリフに「参ったなぁ」って独りごちた。だから熱量をそそげる編みものとそれに関わる人達に出会って、少しづつ再生していく姿は読んでて嬉しくなった。生成りの雲。ふわふわ漂...
石田さんの文、とても柔らかい。 題名どおり、女の子らしいほわっとした印象。 どこで思いきればいいのかな…さみさんのセリフに「参ったなぁ」って独りごちた。だから熱量をそそげる編みものとそれに関わる人達に出会って、少しづつ再生していく姿は読んでて嬉しくなった。生成りの雲。ふわふわ漂っているようで、染まらない自分があって。実は骨太だよね。ゆっくり育んでいくものに、確かなものがあると思うから、今日も明日も、小さな灯りをともして行けたらいいな。
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久しぶりの石田千さん。 小説は初めて読んだけど、良かった。エッセイの時みたいに、すうすう読める(すいすい、ではないよね)。読み滞ることがまったくない。 赤木さんの本読んだ後だし、「職人」、熱いなあ。
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