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パンドラの種 の商品レビュー

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10件のお客様レビュー

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2022/01/21

現代の病の原因を、人類の進化の歴史から探った。農耕がもたらした劇的な変化により、現代で起きている病巣に迫っている。とても面白い! 過去を分析し、自分の将来を見据えた。健康は当たり前ではなく、勝ち取るものだと実感。

Posted byブクログ

2018/10/31

著者は遺伝学と人類の移住の研究者で、他に「アダムの旅」などを書いている。取り上げるテーマは人類史、農耕の開始、病気、気候変動など幅広いが、原理主義を取り上げた最終章は興味深かった。 ネアンデルタール人は、現生人類とよく似た舌骨を持っていたことから、ホモ・サピエンスと分かれる50...

著者は遺伝学と人類の移住の研究者で、他に「アダムの旅」などを書いている。取り上げるテーマは人類史、農耕の開始、病気、気候変動など幅広いが、原理主義を取り上げた最終章は興味深かった。 ネアンデルタール人は、現生人類とよく似た舌骨を持っていたことから、ホモ・サピエンスと分かれる50万年前までには話し言葉が出現したと考えられている。 7万5000年前から7万年の間にトバ火山が過去200万年で最大の噴火を起こした。吹き上げられた火山灰によって世界の気温は5〜15度下がり、低温は1000年も続いた。8〜5万年前、ヒトの化石などの形跡が枯渇しており、7万年前の人口は2000人だったと推定される。7万5000年前から、複雑な幾何学模様が彫られたオーカー(赤鉄鉱)が見つかり始める。6万年前から、槍の先端に骨を用いて非常に細くするようになり、それまでよりはるかに精巧な道具が作られ出した。その頃から人口も増加し、アフリカより外の世界への居住にもつながった。 植物の栽培は世界各地で起きているが、すべて山岳地帯である。過去数百万年の気候変動に対しても種を保つ場所となり、多様性に富んだ場所だったためと考えられる。1万3000年前に長江流域で米を食べていた証拠が見つかっているが、ヤンガードリアス期にイネの化石は姿を消し、温暖期に戻った時には栽培化されていた。世界の3大穀物はいずれも、最終氷期が終わって温暖化し始めた頃に好んで採集されるようになって人口が増加し、気候が厳しくなったヤンガードリアス期に栽培せざるを得なくなったようだ。人類の遺伝子の変異はどれも過去1万年以内に起きており、この期間に強い選択圧を受けたことを示している。 プラスモディウムDNAの研究によると、マラリアがアフリカから大規模に拡大したのは過去1万年以内であることがわかる。蚊は繁殖に日の当たる浅い水たまりを必要とするため、森の中に開けた場所をつくったり、貯水池や水路をつくったりすると、うってつけの場所になったに違いない。 イスラムの教義を厳格に遵守することを求めるムスリム同胞団は、エジプトが衰えつつあった1920年代に創設され、1940年代後半には数百万人のメンバーを抱え、労働団体や政党とも協力に結びついていた。ムスリム同胞団のメンバーだったサイード・クトゥブは、逮捕されて服役中に「イスラム原理主義の道しるべ」を著し、シャリーア(イスラム法)の実践と、世俗主義に対するジハード(闘争)を訴えた。ハマスはムスリム同胞団から派生した過激なパレスチナ組織として1987年に創設された。1988年に創設されたアルカイダは、サイード・クトゥブの著作の傾倒し、オサマ・ビン・ラディンが用いた。 アメリカでも、1960年代の社会の激変によって家族の価値が否定されたことを背景にして、1956年に創設されたバブティスト協会がマスメディアの力を借りて全米に知られるようになった。1979年に保守的なキリスト教政治団体モラル・マジョリティを結成されると、ロナルド・レーガンはその団体にうまく取り入って大統領選挙に勝ち、共和党も農村地帯の南部や家族の価値を重視する人々、モラル・マジョリティを加えて再結成された。 西欧社会に始まった数百年前からの合理主義や科学に基づくロゴスの体制への移行によって、世界を神秘的なものとして主観的に受け止めるミトスを指針としていた文化は取り残されるか征服された。原理主義は、ミトスの喪失感を覚える人々がそれを取り戻そうとしているプロセスであり、現代社会の主流の外に別の文化を築こうとする欲求である。

Posted byブクログ

2015/08/03

https://www.facebook.com/groups/720100098078534/permalink/753410334747510/ どうも、人間の定住生活は実際的な理由(暮らしがラクになる)ではじまったものではありません。わたしの今の仮説では、文化的、ないし、...

https://www.facebook.com/groups/720100098078534/permalink/753410334747510/ どうも、人間の定住生活は実際的な理由(暮らしがラクになる)ではじまったものではありません。わたしの今の仮説では、文化的、ないし、授受的、つまり、心理的な問題が大きいとふんでいます。

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2014/10/16

人類が発明した農耕が、実は人類にネガティブな影響も与えていた、という衝撃の事実が実にわかりやすく書かれている。 遺伝学や考古学などを駆使し、世界各地を取材した著者だからこその一冊だ。 以前読んだ「にわかには信じられない遺伝子の話」とかぶっている部分もあったが、こちらの方が遙かに読...

人類が発明した農耕が、実は人類にネガティブな影響も与えていた、という衝撃の事実が実にわかりやすく書かれている。 遺伝学や考古学などを駆使し、世界各地を取材した著者だからこその一冊だ。 以前読んだ「にわかには信じられない遺伝子の話」とかぶっている部分もあったが、こちらの方が遙かに読みやすかった。

Posted byブクログ

2014/05/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

DNAを研究することによって明かされる歴史。狩猟民族から農耕民族へと変化してきた人間に対して何が起こっていたのか…。そして著者の想像力は宇宙へと向かう。

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2013/11/11

ホモ・サピエンスが生まれてから20万年、遺伝子の変化の速度と多様性の研究からおよそ7万年ほど前には恐らくスマトラのトバ山の大噴火をきっかけに人口は1万人を切り、一説によるとわずか2千人ほどに落ち込んだらしい。今ならレッドリストに載っている。その後1万年前までには人口は数百万となり...

ホモ・サピエンスが生まれてから20万年、遺伝子の変化の速度と多様性の研究からおよそ7万年ほど前には恐らくスマトラのトバ山の大噴火をきっかけに人口は1万人を切り、一説によるとわずか2千人ほどに落ち込んだらしい。今ならレッドリストに載っている。その後1万年前までには人口は数百万となり世界中に住み着いているのだが人口が増えたはっきりとした理由はこの本には適応力が増したと言うような事しか書かれていないが、ともかく衣服を着るようになり、石器のレベルが上がってきた事は分かっている。そして農耕が始まった。 最近では分かってきているのが採取生活の旧石器時代が豊かな時代であった事。平均身長は20世紀後半のアメリカ人を超えている。当時の平均寿命は男性35才、女性30才と推定されており、平均寿命が延びるのは19世紀に入ってからだ。農耕は人口を大きく増やしたが、人類を不健康にした事を示していると書かれている。人口増加に食物の増加が追いつかず、一人当たりの食料が減ったからだろう。本書ではあまり詳しく触れられていないが生の食事は恐ろしく吸収率が悪い。加熱=調理は食物の吸収を助け、食事以外に使える時間を増やし、得られたエネルギーは消化ではなく脳に回ることになった。人口増加の最初のロケットは火を使った事で、二段目が農耕のように思える。 死亡原因の推移では農耕生活が始まるまでは外傷と傷口からの感染がトップでやがて感染症が取って代わった。農耕生活は都市をつくり、家畜とともに暮らすことで例えばインフルエンザやペスト、天然痘など動物が媒介する病気が増えたのだ。抗生物質やワクチンの発達により現代では生活習慣病やがんなどの慢性病が死因のトップになってきている。 著者は農耕により人口が増えたのが悪いと言ってるのではないのだが後半は人口増が生み出した様々なストレスや環境負荷の話がメイン。より抑制的な生活を選ばざるを得ないだろうということだ。しかし、農耕の話とはちょっと話が遠い。1万年間に農耕がきっかけで起こって選択された遺伝形質の変化の話がおもしろそうだったので、そっちの話が少なめだったのが少し残念。

Posted byブクログ

2013/01/13

遺伝子研究でわかることって、その情報をどう加工して使うか、何処に視点を置くのかでどんどん広がるものなんだなと感じた 遺伝子治療もそうで、可能性と倫理観の綱引きになる 未来の人間はどう変化していくのだろう

Posted byブクログ

2012/10/06

農耕は、気候の変動による寒冷化と乾燥の中で生き残るためにやむなく選択されたものだというのは目からウロコでした。 そして、農耕という道に踏み出してしまったことで、良いことももたらしたが、悪いこともたくさんあった。疫病や心の病も、農耕を始めたことによって登場してきたのだという主張は、...

農耕は、気候の変動による寒冷化と乾燥の中で生き残るためにやむなく選択されたものだというのは目からウロコでした。 そして、農耕という道に踏み出してしまったことで、良いことももたらしたが、悪いこともたくさんあった。疫病や心の病も、農耕を始めたことによって登場してきたのだという主張は、非常にエキサイティングで面白かった。 ただ、最後の2章はなくてもよかったような気がする。

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2012/06/08

人類が定住した新石器時代からの文明や環境変化、生活など様々な出来事が人類にふりかかり進化してきた。 それぞれの分野の入口にたった手引きとしてお面白かった。

Posted byブクログ

2012/05/23

第1章 地図にひそむ謎 第2章 新しい文化が育つ 第3章 体の病 第4章 心の病 第5章 遺伝子テクノロジー 第6章 熱い議論 第7章 新しいミトスへ向かって

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