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アジアにこぼれた涙 の商品レビュー

4.3

14件のお客様レビュー

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2023/03/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

石井光太さん、読了9冊目。 一話一話に出てくる、傷ついたアジアの人々に対する憐憫というか接する著者の悲しみがすごく伝わってきた。 戦争や紛争の難民、孤児、国家や社会の救済からこぼれた弱者たち。搾取の連鎖。 •アフガントラックの絵師…親子の世代間確執的な •ダルフールからやってきた兄と妹:別の著書でも見かけたが、犠牲になるのはいつも弱きもの、女性や子どもたちなのだ •ジャカルタの失恋者たち •イメルダが私に願ったこと:女性を騙す日本人男性(日本人に相手にされなかった底辺民)が諸悪の根源だろう… •クリシュナと〈長髪〉の花園…この2人の友情には人間の優しさが見えた •歓楽街の注射器娘…今の世界は、長い歴史と多くの犠牲者の上に成り立っている、改めて気付かされる •はかない夢…子どもが夢を見出せない国なんて、世界なんて最低だ、そんな惨状を放置する国や政府なら何のために存在するのか •誰がために金は鳴る…草の根で石井さんが活動して国家間の問題がたとえどうにもならないとしても、この人は活動し続けるのだろうな。『世界の美しさを〜』で、石井さんに影響を受けて国際協力などの道に進む若者がいることを述べられていた。自らがそれを職務にできなくても、読者であること、世界中の問題を認識し、アップデートし、子どもに伝えていくこと。 どんな状況でも夢を持ち続ける尊さ •砂漠に消えた少年…ある日突然我が子が誘拐される世界など、あってはならない •自浜で踊る…唯一希望が感じられた。シスターを柱として孤児院の女児たちの連帯と力強さが描かれていた

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2022/03/21

 著者がまだ若い頃、2000年から2008年のアジア。路上で、孤児院で、安宿で・・・難民や路上生活者、孤児たち「底」で生きている人々と一緒に過ごし、取材した記録。  アフガン、スーダン、シリアからの難民たち。「幸せの国」ブータンからの難民がネパールに、世界からの関心を集められずに...

 著者がまだ若い頃、2000年から2008年のアジア。路上で、孤児院で、安宿で・・・難民や路上生活者、孤児たち「底」で生きている人々と一緒に過ごし、取材した記録。  アフガン、スーダン、シリアからの難民たち。「幸せの国」ブータンからの難民がネパールに、世界からの関心を集められずに取り残されていることは、この本で初めて知った(2022年現在、多くが第3国に移住、定住しいるらしい)。    底で生きる人々の、多くの「絶望」と少しの「希望」を描く。 出版から10年経った今も、残念ながら、世界ではまだ新たな「底」が溢れている。大きな物語ではなく、一人ひとりの「生」に物語があることを忘れてはいけない、と本書は語っている。一人ひとりの「生」。

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2021/10/20

東南アジア史10講で、さらっとベトナム戦争時にアメリカ側の兵士たち用観光スポットになった云々の部分が、おしゃれなビーチバカンスイメージからいきなり場末の歓楽街、からのHIV感染拡大、という生々しさ…。おおお…。

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2020/06/02

アフガニスタンでもジャカルタでも、スラム街でも売春窟でも、みんな自分たち日本人と考えてる事や感じる事はさほど変わらないんだな、というのが率直な感想。 ここで紹介されたアジア各国にすごく親近感を覚える。

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2016/07/25

あまりの非日常感に結局全てが「遠い国の悲劇」として摩り替わりそうになるが、最後の章にシスターの話をもってくるという構成が良かった。 幸せを探し続けること自体が幸せなんだ、という文句はありきたりだが、日々モヤモヤしている(つもりの)自分はまだ何かを探そうとすらしていないような気がし...

あまりの非日常感に結局全てが「遠い国の悲劇」として摩り替わりそうになるが、最後の章にシスターの話をもってくるという構成が良かった。 幸せを探し続けること自体が幸せなんだ、という文句はありきたりだが、日々モヤモヤしている(つもりの)自分はまだ何かを探そうとすらしていないような気がしてきた。

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2014/06/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

こんなに平和で, 退屈におびえたり, いかんともしがたいことを征服したくなったり, 幸せに幸せを追及したりしてしまう人の世が, なんだかすべてがバカみたいです. 一方では, ひとを恐怖で圧倒したり, 権力で言いなりにしたり, 情で釣っては裏切ったり, そんなおそろしく狭いくだらない世界もあり, しかもそれもまた人の世です。 かなしくなるだけです. 良心なんて,えらそうな.

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2014/01/26

著者は1977年生まれ。彼の2000年から2008年にかけて、20代のアジア旅の記録。 アフガニスタンからパキスタンに逃れてきたトラック絵師の父子。 スーダンのダルフールからマレーシアに逃れてきた兄と妹。 ジャカルタ、フィリピン、タイに暮らす、かつてのバブル期の日本人に捨てら...

著者は1977年生まれ。彼の2000年から2008年にかけて、20代のアジア旅の記録。 アフガニスタンからパキスタンに逃れてきたトラック絵師の父子。 スーダンのダルフールからマレーシアに逃れてきた兄と妹。 ジャカルタ、フィリピン、タイに暮らす、かつてのバブル期の日本人に捨てられた夜の街で働く人々。自分の国で仕事がないために外国に行かざるをえない人々。 私も知らなかった、1990年代にブータンから追放されたネパール人難民の暮らし。ネパールにも受け入れられず、仕事も教育もなく放置されている。その他、インド、スリランカ、イラン、イラク、、。  スラム、歓楽街、難民の暮らす場所、、、底辺とよばれる場所へ彼は赴き、話を聞き、多くは無力感にさいなまれながら去らざるをえない。  その目的は、人間の営みを知ること。彼らのごく私的な物語を描くこと。そこにどんなに愛おしい人生があるかを伝えること。  この本によってその一端を見せてもらうことができる。しかし、同時に、ひとが多くの場所に同時にかかわることはできないという絶望感と、彼がどう折り合いをつけているのかが気になる。もう少し彼の本を読もう。

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2013/04/04

著者の事実上の処女作。アジアの貧困層のルポルタージュは殆ど読んだのだが、本作には、難民が出てくる。特に、今の日本では「幸せの国」として知られるブータンを追われた、ネパール系の難民について書かれている。 筆者は直近のルポで震災直後の釜石の状況を描いて注目されたが、その視点は本書から...

著者の事実上の処女作。アジアの貧困層のルポルタージュは殆ど読んだのだが、本作には、難民が出てくる。特に、今の日本では「幸せの国」として知られるブータンを追われた、ネパール系の難民について書かれている。 筆者は直近のルポで震災直後の釜石の状況を描いて注目されたが、その視点は本書から一貫している。貧困や難民、そして震災に遭遇した人々といった、非常な困難に見舞われた人々にも、必ず「生活」というものが存在するということだ。このような視点で描かれたルポは以外に少ないと思う。 経済に翻弄され、政治に翻弄され、そして自然に翻弄されても、人は生きる。そしてそこには生活があるのだ。

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2012/10/03

アフガントラックの絵師 ダルフールからやってきた兄と妹 ジャカルタの失恋者たち イメルダが私に願ったこと クリシュナと「長髪」の花園 歓楽街の注射器娘 はかない夢 誰がために金は鳴る 砂漠に消えた少年 白浜で踊る

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2012/07/21

アフガントラックに絵を描く父子、ジャカルタのゲイ娼婦、インド、フィリピンのストリートチルドレン、テロリストに息子をさらわれたイラク人など10編。世界の現実の大きさと、現実の自分の小ささを感じる1冊。

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