死の扉 の商品レビュー
イギリスの作家レオ・ブルースの長篇ミステリ作品『死の扉(原題:At Death's Door)』を読みました。 イギリスの作家の作品は、今年4月に読んだP・G・ウッドハウスの『エムズワース卿の受難録』以来ですね。 -----story------------- フェア...
イギリスの作家レオ・ブルースの長篇ミステリ作品『死の扉(原題:At Death's Door)』を読みました。 イギリスの作家の作品は、今年4月に読んだP・G・ウッドハウスの『エムズワース卿の受難録』以来ですね。 -----story------------- フェアプレイで謎解きを──伝統ある英国パブリック・スクールのはみだしコンビ、歴史教師キャロラス・ディーンと生意気生徒プリグリーの名推理。 英国本格の人気シリーズ第1作。 英国のとある小間物屋で深夜、二重殺人が発生。 店主のエミリーと、巡回中のスラッパー巡査が犠牲となった。 町にあるパブリック・スクールで歴史教師をするキャロラスは、生意気な教え子プリグリーに焚きつけられて、事件を調べることに。 嫌われ者だったエミリーのせいで容疑者には事欠かないが……素人探偵の推理やいかに? イギリス屈指の名探偵、キャロラス・ディーン初登場作! 訳者あとがき=小林晋 ----------------------- 1955年(昭和30年)に刊行された作品……キャロラス・ディーン・シリーズの第1作です。 午前1時半近く、スラッパー巡査は担当地区を巡回中に、パーヴィス夫人の店のドアに鍵がかかっていないことに気付く……用心深いパーヴィス夫人が施錠を忘れることは考えられず、不審に思ったスラッパー巡査はドアを開けて店内に入った、、、 声をかけたが返事はなく、懐中電灯の明かりを頼りに奥に進んだところ、パーヴィス夫人は血の海の中に倒れていた……身をかがめて死体を調べているとき、部屋の中に誰かがいることに気付いたが、後頭部に強烈な一撃を受けスラッパー巡査は倒れてしまう。 店主と巡査の二人が前後して殺された事件……その町のパブリック・スクールの上級歴史教師キャロラス・ディーンは、自分の担任クラスのルーバート・ブリグリーにそそのかされて、殺人事件の捜査を手掛けることに……。 パーヴィス夫人は、多くの住人から嫌われ、恨まれていたことから容疑者が多く、その面から動機を考えてしまうのですが……ディーンは、数多くの事件関係者への丹念で駆け引きを交えた聞き込みと、その目覚ましい推理力で事件の様相を一変してしまう結論を導き出します、、、 久し振りに英国ミステリの王道を愉しめた感じ……面白かったー 本シリーズの別な作品も読んでみたいのですが、あまり翻訳されていないようですね。
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ところどころに挟まれる探偵小説の話や辛辣さを含んだユーモア。それ以外はとりたてて特徴のない普通のミステリという印象でした。多様な犯人が生み出されてきた今となっては犯人も意外性はなく、早い段階で察しはつくのではないかと思います。目を見張ったのは解決編のディーンの視点の転換。根拠の不...
ところどころに挟まれる探偵小説の話や辛辣さを含んだユーモア。それ以外はとりたてて特徴のない普通のミステリという印象でした。多様な犯人が生み出されてきた今となっては犯人も意外性はなく、早い段階で察しはつくのではないかと思います。目を見張ったのは解決編のディーンの視点の転換。根拠の不足は認めつつ、想像で埋めることなくフェアに事件の真相にたどり着いた過程は説得力のあるものでした。 作品、作者への傾倒が窺える訳者の解説が秀逸です。作者のバックグラウンドを把握した後に本編を読むとまた興味の持ちどころが変わってきそうです。
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図書館で。 公立高校の歴史先生が犯罪に挑む!のは良いんだけど… 助手の生徒が可愛くないな!実に(笑) そして極悪人ではないけれども小悪人だったおばあさんがねぇ… なんか哀れ。 まあ最初からダンスに行った妻は変な反応だなぁとは思ったんだけど…。でも彼があそこまでしないと犯人があぶり...
図書館で。 公立高校の歴史先生が犯罪に挑む!のは良いんだけど… 助手の生徒が可愛くないな!実に(笑) そして極悪人ではないけれども小悪人だったおばあさんがねぇ… なんか哀れ。 まあ最初からダンスに行った妻は変な反応だなぁとは思ったんだけど…。でも彼があそこまでしないと犯人があぶりだせなかったというのもちょっと、ちょっとな、と思いました。 下手したら死んでたかもしれないのに呑気な先生だなぁなんて思いながら読み終えました。
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スマートな資産家で歴史教師のキャロラス・ディーンシリーズの第一作目とのこと。 主人公のキャラクターは品が良く嫌味もなく、強引さには少し欠けるかもしれないけれど強い意志を感じさせる好ましいキャラクター。 警察と近すぎず遠すぎずの関係なのも、探偵小説的に無理を感じさせない程度で良かっ...
スマートな資産家で歴史教師のキャロラス・ディーンシリーズの第一作目とのこと。 主人公のキャラクターは品が良く嫌味もなく、強引さには少し欠けるかもしれないけれど強い意志を感じさせる好ましいキャラクター。 警察と近すぎず遠すぎずの関係なのも、探偵小説的に無理を感じさせない程度で良かったです。 二件の殺人事件解決に関する手がかりは全て開示されているので、読み直して確認するのも楽しいかも。 街の人間もそれほどどぎつい変人がおらず、全体的に地味だけど味わいのある世界でした。 解説も丁寧で読み応えがありました。
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登場人物全員のキャラクターがたっていて、しかも描写がお茶目で素晴らしい。このキャロラス・ディーンシリーズを順番に読んでいきたいけど、翻訳されていない作品が多いみたいで残念。愛に溢れた訳者あとがきも好き。
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なかなか面白かった。 同年代のアメリカの警官小説 Ed Mcbein の87分署シリーズ第1作 cop hater を思い出させる展開といったら、知っているひとにはネタバレかな
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古き良き英国ミステリー。 小さな雑貨屋の店主と巡回中の警官が殺されるという事件が起き、パブリック・スクールの教師が素人探偵となって謎を解く。 ストーリーは地味だし、殺人事件らしからぬのんびりとした雰囲気に溢れているが、事件はきっちりまとめているし、キャラクタがそれぞれユーモラスで...
古き良き英国ミステリー。 小さな雑貨屋の店主と巡回中の警官が殺されるという事件が起き、パブリック・スクールの教師が素人探偵となって謎を解く。 ストーリーは地味だし、殺人事件らしからぬのんびりとした雰囲気に溢れているが、事件はきっちりまとめているし、キャラクタがそれぞれユーモラスで楽しい。レオ・ブルースの小説はどこか和むので好きだ。これはシリーズ第1作なので、続編の翻訳が待たれる。
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事件が起きた冒頭から、犯人が誰なのか分かってしまいました。。。 そして主人公に魅力が欠けているため、物語に入っていけませんでした。。。 きっと、1950年代当時に列車に乗ったりする時に読むような娯楽小説だったのでしょうか。 でも翻訳文は非常に分かりやすかったです。
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20120605 思ってたよりも好みだった! 英国ミステリしてたー 今まで知らなかったなんてと思ったけど あまり翻訳されてないのですね。 訳も読みやすくて、よかったです。 続きも読みたいけど翻訳されるかな・・・ 原書もあまりないみたいで、ちょっと残念。 もうひとつのシリーズも気になる。 素人探偵役が教師なんだけど仕事熱心ではなく、 犯罪研究が好きで本も出したことがあったり、 生徒に焚き付けられて調査を始めたり、 授業を脱線させようとする生徒たちとの攻防があったりと そういう推理そのものとは脱線した部分も 無駄にはならなくて、面白かったです。 あと、ミステリマニアな会話が面白かった。 あの人はもう出てこないのかなー P241”神懸かりになった女ほど厄介なものはない”という部分、 状況を想像するととてもコミカルで笑えてしまった。 そしてそうやって要点から逸らそうとしてるのかなとか思ったり。
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時代を感じさせない、さらりとした訳でとても読みやすい。 複数の関係者にそれぞれの疑いがあり、誰もが怪しいけど決定的でないもどかしさが何とも言えない。 二重殺人のふろしきの畳み方が見事。こじつけやくどい解説の必要のない、現代推理小説ではなかなかない納得感のある大胆な転換だったと思う。
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