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人はなぜ騙すのか の商品レビュー

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2024/06/30

タイトルが気になったので読了。 己が利益を得るために他者を騙すということは別に人間だけに限った話ではなくカメレオンや様々な虫は周囲の環境に擬態するしチョウチンアンコウは擬似餌を使って魚をおびき寄せることで捕食する。むしろ他者を騙すことを非難するのが人間だけなのではないかと読んでい...

タイトルが気になったので読了。 己が利益を得るために他者を騙すということは別に人間だけに限った話ではなくカメレオンや様々な虫は周囲の環境に擬態するしチョウチンアンコウは擬似餌を使って魚をおびき寄せることで捕食する。むしろ他者を騙すことを非難するのが人間だけなのではないかと読んでいて思った。 この本の中にも記載されていた『羊飼いと狼』のような「嘘ばかりついていると誰にも相手にされなくなって本当に困った時に助けてもらえない」というような教訓には人間にはあるが私はこれは少し間違っていると思う。私は人が嘘をうくこと自体は仕方のないことだと思う。それは防衛本能からくるものもあれば得をするためのシステムの一部であることもあるからだ。私はそれよりも「自分にとって最も利益の出る行動は何かを常に考える必要がある」ということを教訓にすべきだと考える。そうすれば嘘をつく頻度や相手などを適切に管理することが出来、本当に困った時にもなんとか乗り切れるようになるはずだからだ。

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2023/12/21

 人間の社会・歴史における狡智(ずる賢さ)の在り方や意味を探る。題名にあるような騙すことそのものの理由を問う内容ではない。  「ずる賢いこと」は現代では一概に悪と見做されがちだが、本書によると古代ギリシャの英雄譚や日本の神話や中世武家社会においては寧ろ機智や実践智として尊ばれ、賞...

 人間の社会・歴史における狡智(ずる賢さ)の在り方や意味を探る。題名にあるような騙すことそのものの理由を問う内容ではない。  「ずる賢いこと」は現代では一概に悪と見做されがちだが、本書によると古代ギリシャの英雄譚や日本の神話や中世武家社会においては寧ろ機智や実践智として尊ばれ、賞讃の対象ですらあったという。この狡智が漢才(学問・学識)の対義語としての“やまと心”・“やまと魂”(実生活上の智恵・才能)に相当するのでは、という著者の言説は興味深い。対する中国思想やプラトン以降の西洋思想における狡智の消極的・否定的な捉え方についてもおもしろかった。  とかくフィクションにおいて英雄や武士は常に清廉潔白で正々堂々とした存在として描かれがちだが、実際の神話や軍記物語などではそのような“真人間”より策謀に長けた切れ者のほうが多いということもあり、自分はその事に違和感を覚えていた。寧ろそれには当て嵌まらない者たち--例えば大河ドラマ『真田丸』の真田昌幸・信繁(幸村)親子や徳川家康、『鎌倉殿の13人』の北条義時や大江広元など--のほうが昨今の作品では魅力的だった。本書はこの個人的なモヤモヤ解消に少し役立った。

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2020/05/26

「騙す」ことについて、膨大な資料を駆使して解説している面白い本だ.最初のほうで最近見た Catch me if you canが出てきて驚いた.日本神話で登場人物が策略を駆使して生き延びる事例を紹介しているが、倫理的な反省は全くないとのこと.平家物語にも騙しあう事例が多い由.馬喰...

「騙す」ことについて、膨大な資料を駆使して解説している面白い本だ.最初のほうで最近見た Catch me if you canが出てきて驚いた.日本神話で登場人物が策略を駆使して生き延びる事例を紹介しているが、倫理的な反省は全くないとのこと.平家物語にも騙しあう事例が多い由.馬喰八十八の物語をペースに日本人の「騙す」についての考察が楽しめた.やまと魂についての解説、意外な感じがした.中国の古典、ギリシャ神話なども例に引いているが、引用文献が凄い量だ.p224の"騙すことの前提となっている他者への理解は、騙すことばかりでなく、他者の苦痛や悩みを理解し共感することともつながっている.それは、騙すという利己的な行動とはむしろ正反対な、他者をいたわったり助けたり、あるいは何か有益なことを教えたりという、愛他的な行動の基礎ともなっているのである." という語句は重要な考えだと感じた.

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2012/06/03

人を騙す。戦争や政治、商売の場面で、知恵を絞りながら相手に勝つプロセスでは、騙すつもりはないが結局騙したことになったり、騙すつもりで騙したり、さまざまな場面で人を騙すことがある。この騙すということに対する、日本、中国、ギリシャでの文化比較がテーマ。 結局のところ、道徳的な観点をど...

人を騙す。戦争や政治、商売の場面で、知恵を絞りながら相手に勝つプロセスでは、騙すつもりはないが結局騙したことになったり、騙すつもりで騙したり、さまざまな場面で人を騙すことがある。この騙すということに対する、日本、中国、ギリシャでの文化比較がテーマ。 結局のところ、道徳的な観点をどこまで考慮するかが課題なのだが、戦争の場合、道徳ばかり説いていても殺されてしまえば元も子もない。圧倒的な力の差がある敵を前に、知力で対抗するというのはよくある話。戦争ならばどこまで許されて、商売ならばどこまで許されるのか。面白い観点での本である。 個人的には、馬喰八十八の話は長すぎると思う。実際の戦争や政治での論争をネタにした話で整理できると良いのだが。

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2012/05/25

引用される多くの昔話や寓話、その他の作品から動物の騙し合いなど、そこのところは興味深くて面白かったのだけど、タイトルから想像した着地点からさほど外れなかった。 というかタイトルがあんまり合ってない気がする。 哲学または心理学っぽい。 けど内容は○○学だ!と決めにくい。 騙しの歴...

引用される多くの昔話や寓話、その他の作品から動物の騙し合いなど、そこのところは興味深くて面白かったのだけど、タイトルから想像した着地点からさほど外れなかった。 というかタイトルがあんまり合ってない気がする。 哲学または心理学っぽい。 けど内容は○○学だ!と決めにくい。 騙しの歴史 というには少々スケールが大きいかな。 柳田國男の話が印象的。 あとは大和魂とか。 誰かを騙してみたくなりますね。

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2012/05/09

タイトルにひかれたが、正直自分の想像している内容ではなかった。 自分たちや親や先生、友達などから、嘘はいけない、人をだましてはいけないという事を、実話や寓話、ニュースを見ながらと様々な場面で何度も教わってきたが、スポーツでの駆け引きやフェイクとだましの違いとはなんだ? 智謀、叡智...

タイトルにひかれたが、正直自分の想像している内容ではなかった。 自分たちや親や先生、友達などから、嘘はいけない、人をだましてはいけないという事を、実話や寓話、ニュースを見ながらと様々な場面で何度も教わってきたが、スポーツでの駆け引きやフェイクとだましの違いとはなんだ? 智謀、叡智と奸智の違いは何か?言う答えとして、先を読み、他人の行動を読み、対応策を考えるという知性において両者に差はないと言う事が著者の言いたいことなのだろう。 映画や小説では、詐欺師を主人公にした話が何本もあり、詐欺師をある種ヒーローとして描いている。 また古くは日本をはじめ中国、ギリシャでも、人をだます物語や実話がいくつもあるが、それらは非難をするわけではなく、騙した本人の行動や知性を称賛している事が多いという事を紹介している。 現代とは倫理観が違う点もあるかもしれないが、騙しととらえるのではなく、駆け引きと考えれば、現代でも騙しは公然と、そして一つのテクニックとして捉えられている事がわかるし、もっと積極的に肯定的に捉え活用していきたいと思うような内容だった。 もちろんニュースになるような詐欺はだめだけどね。

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2012/04/02

騙す知恵も「知性」の仲間。その「狡智」について日本、中国、ギリシャなど古今東西の昔話や思想を考察し、騙しの起源を探った本。もともと「やまと魂」という言葉も、実は勇敢というような意味ではなく、「狡智」を意味していたとか。 時代や文化によっては狡賢さは賞賛されるものでもあって、昔話や...

騙す知恵も「知性」の仲間。その「狡智」について日本、中国、ギリシャなど古今東西の昔話や思想を考察し、騙しの起源を探った本。もともと「やまと魂」という言葉も、実は勇敢というような意味ではなく、「狡智」を意味していたとか。 時代や文化によっては狡賢さは賞賛されるものでもあって、昔話や歴史に語られる清清しい騙しの話が面白い。全体的には堅い文章で重複も多い。

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