クリーニング革命 の商品レビュー
料金は後払いで、受付時にクリーニング契約書をかわす「遅い、高い、でもうまい」を標榜するクリーニング店「レジュイール」の経営者が書いた一冊。 「弱った状態の洋服を回復させるクリニック業」をやっていると語る経営者の仕事への姿勢は、仕事の原点、さらには人間としての大切なものを見つめ直さ...
料金は後払いで、受付時にクリーニング契約書をかわす「遅い、高い、でもうまい」を標榜するクリーニング店「レジュイール」の経営者が書いた一冊。 「弱った状態の洋服を回復させるクリニック業」をやっていると語る経営者の仕事への姿勢は、仕事の原点、さらには人間としての大切なものを見つめ直させてくれる。先日読んだ川田修さんの『僕は明日もお客さまに会いに行く。』にも共通していることだが、彼らの考えていることは仕事云々というよりは、人間として相手のことをいかに思うか、どうしたら喜んでもらえるか、が根っこの部分にある。スキルやテクニックは二の次、大切なのは相手を思うこと。これはもう仕事論ではなく、れっきとした人生哲学だ。
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NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で取り上げられた高級クリーニング店店主による自伝。「お客様に感動を与える」ことを常に念頭に置き、労を惜しまず徹底して仕上げるといった仕事に対する姿勢はすばらしい。ほつれていれば縫うし、ボタンは外して洗う、ネクタイはばらして洗い縫い直すなど、...
NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で取り上げられた高級クリーニング店店主による自伝。「お客様に感動を与える」ことを常に念頭に置き、労を惜しまず徹底して仕上げるといった仕事に対する姿勢はすばらしい。ほつれていれば縫うし、ボタンは外して洗う、ネクタイはばらして洗い縫い直すなど、驚くほどの手間をかける。値段は高くても依頼は増える一方であるというのは、それだけの価値あるサービスをしているという証であろう。苦労をいとわずサービスできる姿勢の根幹には、若い頃の厳しい苦労があったことも詳しく述べている。感銘を受けた一冊。 「しみ抜きの薬剤メーカーの方と相談したり、あるいは化学の専門家に話を聞きに行くこともします。努力はまったく惜しみません」p23 「アイロンでもしみ抜きでも、わからなかったら教えてもらえばいい。私だって洗濯やアイロンの技術を学びたくて、何度もヨーロッパの老舗クリーニング店に足を運んだし、しみ抜きの学校にも通いました。自分の知識と技術力を上げ、お客様に還元するための労力は惜しむべきではないと思うのです。クリーニング業界紙には幾度となく「お客様の立場に立って物事を考えよう」という文言が出てきます。口で言うのは簡単です。しかし、それがどれだけ大変なことかは、実はわかっていないように感じられるのです」p26 「今の世の中は拝金主義的なところがあるように感じます。そんなにお金を信用していいものなのか、疑問に思うこともあります。世情が変われば価値観も変わることを肌身で知っているだけに、私なんかはつい見えないものの価値を重んじてしまうのですが」p37 「履歴書を見ると、最初に勤めた会社をだいたい3~4年で辞めている。その後もせいぜい1~2年で職場を転々としている子もいました。採用する側からしたら、そんなやつは怖くて採れないないですよ。応募した動機を「天職につきたい」なんて言うわけですよ。ふざけるなよ、と思います。長年、一つの仕事を続けてきた結果、天職になるのであって、最初から巡り会えるものではないだろう、と」p47 「今やっていることに無駄なことなど一つもない。きっといつか役に立つことなんだ」p69 「私たちクリーニング屋を始め、いわゆる御用聞きの者たちは、必ず勝手口から出入りをします。ところが、呉服屋は違った。表玄関から堂々と中に入り、客間に通されてお茶菓子なんかを食べていたりする。同じ商い人なのに、この待遇の違いは何なのか、と。しかし、当然のことなのです。呉服屋さんは玄関から通されるにふさわしい身なりや立ち居振る舞いをしていたのですから。よく「人を見た目や身につけている物で判断してはいけない」と言いますが、そういう単純な話じゃない。身なりを整えるということは、相手に対する礼儀なのです。敬意なのです」p114 「「レジュイール」を愛してくださるお客様の期待をずっと裏切らず、尊敬される仕事をしていきたいと思っているのです」p119 「スカートやワンピースの裾は、一度ほどいてからきれいに纏ります。当然、見た目がよく、しっかりとした仕上がりになる。ネクタイもほどき、きちんとアイロンでしわを伸ばしてから縫い直します。ドレスのフリルは菜箸のような長いコテを使い、二人がかりでクルクルと一つずつ作っていく。気が遠くなるほどの細かい作業です」p141 「夢については、採用時の面接でも聞いています。ところが、ないんですよ。彼らには夢が。本当にびっくりしますね」p191 「私は今の若い人たちの不幸は不況なんかじゃない、何でも揃いすぎた時代に生まれ育ったことだと思っています」p192 「「「レジュイール」に行けば、なんとかしてもらえると言われて来たんです」と聞くと、うれしくなります」p196
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十番にある高級クリーニング店の話。 こんな店があることに気づかなかった。 服に注ぐ情熱が凄い。 こんなに大切にしないといけないならば、服は着れないな、という感じ。 なかなか面白かった。
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高品質のクリーニング屋を実現した古田社長の想いのこもった話。一流のクリーニング屋では預かったネクタイを一度ほどいてから洗いにかかる。サービスには上限がないな。業界の常識に囚われていては考えることも出来ないサービスの質。顧客満足・顧客創造を常に意識した結果がこの本には詰まっている。
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遅い、高い、うまい。 ブルーオーシャン戦略の教科書に出てきそうなクリーニング店が生まれたのは既存のクリーニング店がやろうとしなかったごく当たり前のことを、しかし、徹底してやったからだ。 例えば必ず決まった時間に集配に行く。得意先のご近所に必ず挨拶をする。預かった衣服を丁寧に扱う...
遅い、高い、うまい。 ブルーオーシャン戦略の教科書に出てきそうなクリーニング店が生まれたのは既存のクリーニング店がやろうとしなかったごく当たり前のことを、しかし、徹底してやったからだ。 例えば必ず決まった時間に集配に行く。得意先のご近所に必ず挨拶をする。預かった衣服を丁寧に扱う。店でも、お客さん周りでもきちんとした格好をする。婦人服専門のクリーニング屋としてはファッションや素材を研究し、外国から学び、最新鋭の装置を取り入れる。例えばそう言う話だ。 もちろん普通はそこまでやらないこともやる。一般家庭の飛び込み営業はなかなかうまくいかない。ちょうどマンションが建ち始めた頃で営業に狙いを定めるが管理人が入れてくれない。そこで古田氏は建設現場の作業着からとっかかり、完成後にマンションの管理人に紹介してもらう。 人の育て方も独特で経験者は採用しない。既存クリーニング点の悪い癖がついているからだ。一方で最近の若者には厳しい。例えば求人の際に最初に勤めた会社を3〜4年でやめ、その後も1〜2年で転々としているような人は採用しない。夢が無いという若者にも満足できない。自分が若い頃辛抱して独立したからだろう。 最終章は洗濯のコツ(「クリーニングのプロが教える 家庭でできる洋服の洗い方とお手入れ」と言う本も出してるが) ・洗剤は適量、そして素材によって使い分ける。そしてすすぎが大事。 ・前処理、化粧品は洗顔石けん、食品は食器用洗剤で。油よごれはベンジンなども。 ・こするな、もむな、押すかたたけ。 ・水溶性の汚れはすぐに水でたたく。 ・白いシャツの黄ばみは煮込む。 ノウハウはネタバレになるので詳しくは紹介しないが、素材によって水温やすすぎ回数が違ってくる。どうも手抜きできれいにすると言う方法は無さそうだ。古田氏は家庭の洗濯機置き場にお湯の蛇口が無いのが不満だそうだ。新築マンションのデベロッパーと家電メーカーがセットで開発すれば売れるかもね。
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「お客様に感動してもらえる仕事がしたい」その精神が伝わってくる。 背中が曲がりそうだったり、くしゃくしゃした気分になりそうな時には、もう一度よもう。 安直なビジネス書よりも、何倍か読み応えやアイデアをもらえる。
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クリーニング店にとらわれず どんな仕事にしても原点を見つめなおすという当たり前の事だけど考えさせられました。勉強になりました
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