幻影の星 の商品レビュー
白石さん特有のくどくどとした文章に辟易しつつも、なお読後感は良かった。作者の作品にしては珍しく癖のない爽やかな青年が主人公になっているせいだろうか。東京と長崎を舞台にし震災後の作者の死生観を余すことなく描いている重い作品ではあるけれど、武夫とるり子の恋愛作品として読むこともできる...
白石さん特有のくどくどとした文章に辟易しつつも、なお読後感は良かった。作者の作品にしては珍しく癖のない爽やかな青年が主人公になっているせいだろうか。東京と長崎を舞台にし震災後の作者の死生観を余すことなく描いている重い作品ではあるけれど、武夫とるり子の恋愛作品として読むこともできる。 二人が時を超えて再会する展開は、1Q84の天吾と青豆を彷彿とさせると感じたのは私だけだろうか。
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消化不良の作品。 震災後に作者が考えたこと、思ったこと、気づいたこと、伝えたいこと、などを、ファンタジックな物語で表現している。 けれど、途中途中でまるでエッセイのように登場人物が作者の想いを語る場面があり、小説を読んでいるのが、エッセイを読んでいるのかがわからなくなるような、モ...
消化不良の作品。 震災後に作者が考えたこと、思ったこと、気づいたこと、伝えたいこと、などを、ファンタジックな物語で表現している。 けれど、途中途中でまるでエッセイのように登場人物が作者の想いを語る場面があり、小説を読んでいるのが、エッセイを読んでいるのかがわからなくなるような、モヤモヤを感じた。 伝えたいことを伝えるために物語の形をとったせいか、いつもの人物の描き方と比べ中途半端で、いかにも「想いを伝えるための人形」といった感じ。 想いのすべてを伝えるエッセイを書くか、想いをメタファーとした物語を描くのか、どちらかだったら、もっと心に響いたと思う。 少し残念な作品。
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とてもおもしろく読みました。 イリュージョンの考え方はしっくりきたし、 SDカードや携帯のミステリー要素も気になって、 すいすい読んでしまったよ。 堀江さん魅力的でした。 自然体で生きてる感じがよかった。 私堀江さんと同い年なんだなー
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時空を超えて手元に現れた自分のバーバリーのレインコート。謎めいた始まりと好きなキーワードが出てくるので続きが気になってそわそわしながら読みました。神保町、本好き、iPad、スタバ、カフェ、28歳の主人公と震災後の生と死について一緒に語り合っている感覚で読みました。実際の作家の本川...
時空を超えて手元に現れた自分のバーバリーのレインコート。謎めいた始まりと好きなキーワードが出てくるので続きが気になってそわそわしながら読みました。神保町、本好き、iPad、スタバ、カフェ、28歳の主人公と震災後の生と死について一緒に語り合っている感覚で読みました。実際の作家の本川達雄先生の本が出てきますが、エッセイの著者の梅枝母智夫は架空の作家ですね。実在の場所も出てくるのでフィクションじゃないような気がする不思議な小説でした。
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郷里にあった古びたレインコート。買ったばかりのものが今手元にあるのに。時間の観念がずれて起こるさまざまなこと。 不思議な小説。
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ストーリーよりも思索を展開した、「この胸に・・・」の路線となる本だと思う。ところで、引用されていた「人の死の実態を数学的に展開した」著作って、実在の書籍なの?
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
☆ 旦那と別れたときに思ったんだ 当分、前に進むのはやめようって 結局、ずっと自分と言う人間を受け容れないできたのが良くなかった気がしたの。 自分が何をしたいのか分からないって言うのかな、 ずうっとそんな感じで自分をやってきちゃったから。 立ち止まってちゃんと自分を知ろうって思ったのよ ☆ 過去だとか自分の体験だとかは、一体何なのだろうか? それより何より、過去の記憶とは一体何のだろう? 私はずっと母の死に苦しめられてきた。 母が若くしてがんを患い、進んでいく症状や増して行く苦痛に絶望し ほんの数行の走り書きのよなものを残して、 おそらくはほとんど発作的に死を選んでしまった事実に私は悲しみ、 うちひしがれ、 またそれと同じくらいに憤り、 そして何倍もの強さで懺悔してきた。 それらは確かに過去にあった現実であり、 それらが私を拘束し続けているのも明白な事実であるが しかし、前者の「現実」と後者の「現実」とをつなぐ肝心要の 「過去」の方が、当の私自身の記憶から砂がこぼれるように失われているのだ。 このもう一つの新たな現実にはたと気づくと、 母や父、関谷に対するありとあらゆる感情がどうにもバカらしいものに感じられてきたのである。 過去に拘泥することによって結局、 私自身が私を苦しめ続けてきたに過ぎないのではないか。 ふと、そう思い当たったのだ。
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311以降、小説家が何を感じどんな作品を書くのかとても興味があった。この本は一応小説の形になってるけど、時間とか死とかをテーマにした哲学的なエッセイみたいな感じ。以下引用「絶望や希望といった言葉は、そうした超越的な現実の前ではもはやなんの意味もなさないことを僕は感じた。今回の大地...
311以降、小説家が何を感じどんな作品を書くのかとても興味があった。この本は一応小説の形になってるけど、時間とか死とかをテーマにした哲学的なエッセイみたいな感じ。以下引用「絶望や希望といった言葉は、そうした超越的な現実の前ではもはやなんの意味もなさないことを僕は感じた。今回の大地震や大津波のあと、巷に氾濫する「祈り」や「希望」といった言葉にどうしても自分が同調できなかった理由が、その時僕にははっきりと理解できた。僕達は、あの大地震と大津波の光景を目の当たりにすることで、死の恐怖や絶望ではなく、実際は死の永遠性を垣間見たのである。」未来から忘れ物のレインコートが届けられるのはソフィーの世界に似てるし、主人公が男女二人なところは1Q84っぽい。
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軽快に読めるかと思っていたら、途中から自分がこんがらがってしまいました。また、読んでみないと本当は評価できないのかな。
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震災から1年。本書を読み、「生」と「死」、人は何のために存在し、何のために生きているのかを考えさせられた。 時間の概念についての表現というか、例えは面白い。 もの悲しさが残る読後感。
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